二人は、お互いの舌先を舐め、吸い、つつきあった。
あふれる唾液を交換しあうような舌の動きも、それにともなう淫らな水音も、マリエに性器の交合を意識させる。
下腹の奥が、熱く疼きはじめた。
そうするうちに、フェルディナントの右手が、マリエのガウンの紐へと伸びる。
唇をあわせたまま、しゅるりと軽やかな音を立てて、腰紐がほどかれていく。
白い夜着の襟もとのリボンを解き、ボタンを外し、前あわせを左右に広げると、白く豊満な肢体があらわになった。
フェルディナントは、なめらかなマリエの肌に手を這わせ、背中に腕をまわして抱き寄せる。
マリエの豊かな乳房が、たくましい胸板に押しつけられ、撓んだ。
硬くなった乳首が擦れて、甘い疼きが生まれる。
「……あ……っ……フェルディ……お願い……胸に、触って……」
首筋に吸いつきながら、フェルディナントは二つの膨らみを鷲づかみにして、揉みしだいた。
「ひっ! ……い、痛いっ!」
マリエは悲鳴をあげた。
ただでさえ大柄な男性の、それも剣を振りまわす軍人の力では強すぎる。
「大丈夫か? すまなかった。つい……」
フェルディナントの手が、ぱっと離れた。
「だ、大丈夫ですわ」
いまの彼は、初夜のときのように無理やりに事を進めたりはしない。
「……フェルディ、あなたは軍人ですから、普通の男性よりも、ずっと力が強いのです。ですから、もっともっと弱い力で、やさしく触れてください。こんな感じで――」
マリエはシャツのうえから、フェルディナントの胸に触れた。
手のひらに少しずつ圧を加えながら、盛りあがった胸筋をたどるように動かす。ぽつっとした小さな突起を見つけると、指先でやさしく引っ掻いた。
「う、うっ……」
フェルディナントが、かすかにうめく。
「男性でも、ここはわたくしとおなじように、感じるのですね」
ふふっと笑って、マリエは何度も、その胸の尖りを引っ掻く。
「マリエ……!」
たまらなくなったのか、フェルディナントはいきなり、マリエの乳房を持ちあげて吸いついた。
「……あ、ああっ――」
胸の頂きにある、茱萸に似た敏感な部分を軽く噛まれ、吸いあげられる。
丸めた舌の先で突いたり、舌の腹で舐めまわしたり、押しつぶしたり、捏ねたり――フェルディナントはあらゆる手段でマリエを昂ぶらせていく。
「……はあ……う、うっ……」
フェルディナントは、たしか童貞だったはず。いったいどこで、いつの間に、こんな愛撫を覚えたのか――。
マリエは身をよじって、快感を与える唇から逃れようとする。
が、フェルディナントのそれは、どこまでもまといついてきて、離れようとはしなかった。
「……んっ、ふ……あっ、ああ……フェルディ……」
鼻にかかった甘ったるい声は、自分が発したものだとは思えない。
下腹の疼きはますます強くなる一方で、さらに重たくて熱い何かが、脚の奥に溜まっていく。
音が聞こえるほどきつく吸い立てられると、何もわからなくなってしまいそうだった。
気持ちがいい。もっと……もっと吸ってほしい。
「――胸をこうされると、そんなに気持ちいいのか?」
フェルディナントに訊かれた。
「……は、はい……とても……気持ちいい、です……あっ、ああ……!」
指の先でぴんっと頂きを弾かれ、ふたたび、口に含まれる。
口のなかで乳首を転がしながら、フェルディナントはマリエの白い夜着の裾を割った。
さりげなく腰を浮かせて協力したマリエは、ぎゅっと眼を閉じる。
(ああ……見られてしまう……)
裾を捲りあげられ、太腿があらわにされた。
腰の前後を覆っただけの簡素な下着など、あっという間に取り去られてしまい、秘部が剥き出しになった。
腿のつけ根に、フェルディナントの指が触れる。
「見ても……いいか? マリエ」
うなずくと、彼は膝に手をかけた。
マリエの白い脚が、左右にゆっくりと割り開かれていく。
太腿のあいだの秘めやかな谷間が、ぱっくりと口をあけ、空気にさらされた。
それだけでも恥ずかしいのに、追い打ちをかけるように、フェルディナントの蒼い眼が舐めるように見つめる。
「ああ……」
マリエの口から、羞恥とも恍惚ともつかない声が漏れた。
「美しいな……蘭の花のようだ」
彼はそう言って、じっとマリエの秘所を見つめる。
「フェ……フェルディ……あまり、見つめないでください……は、恥ずかしいので……」
「恥ずかしい? こんなに美しいのに――?」
「あっ――」
フェルディナントの指先が、マリエの、男性を受け入れる部分にそっと触れた。
彼は、撫でた指をマリエの眼の前に持ってくる。透明な液が光っていた。
「蜜があふれているぞ。本当に、花のようだな」
「――そこに、フェルディ……あなたの身体の一部分が……入るのです」
羞恥を噛み殺して、マリエは告げる。
「こんな小さな、狭い場所に? 大丈夫なのか?」
「出産のときには、赤ちゃんが通るのですから……ご心配にはおよびません」
息を呑む気配のあと、真剣な表情でフェルディナントが訊いてくる。
「指を――入れてもいいか?」
「……はい」
返事をすると、つぷっ、とかすかな音がした。
フェルディナントの長い中指が、マリエの蜜壺に沈んでゆく。
「ああ――」
指のつけ根まですっかり挿入してしまうと、おそらく無意識にだろう、彼は曲げた指先で膣壁を擦った。
その指先が、偶然、マリエの性感に触れる。
「あっ……!」
身体がびくん、と小さく跳ねた。
「ここも……気持ちいいのだな?」
ふたたび、おなじ場所を撫でられる。
長くてかたちはいいけれど、関節の目立つ男っぽいフェルディナントの指が、前後にゆっくりとすべっていく。
指の関節が膣壁に当たるたびに、快感で背中がぞくぞくした。
「……あ、フェルディ……指を……指を、増やして……」
フェルディナントの、二本めの指が差し入れられた。
拡げられる違和感はあるものの、濡れた内襞は、二本の指をすんなりと呑み込んでいく。
増えた指は、先ほど探りあてたマリエの快い場所を正確に見つけ出し、擦り、押しあげた。
「――あ……?」
フェルディナントが、妙な声を出した。
「いま……そなたのここが、締まったぞ。あ、また……」
マリエは顔をそむけ、フェルディナントの顔を見ないようにしながら言う。
「女性の身体の内部は、感じると狭くなります。痙攣するように動くことも……」
「それは、なぜだ?」
「男性の子種を、確実に得るためだとか。そこが狭くなって締めつけが強くなれば、男性に快感を与えることができますし……その結果として、精を受けられますから」
「なるほど。女性の身体というのは、よくできているものだな」
そう言うと、彼は、すっと指を抜いた。
「――あ」
体内から出ていく指を追いかけるように、マリエの腰がはしたなく動く。
「ここは? ここも感じるのか?」
「ひっ……!」
淫裂の先端にある肉の芽にいきなり触れられて、マリエの腰が跳ねた。
「――感じるのだな」
ちろりと赤い舌先をのぞかせて、彼はゆっくりと唇を舐めた。
そのようすの艶麗さに、マリエはぞくりとする。
妖しい感覚を刺激され、さらに性感が高まったところを、フェルディナントの指が追い詰めるように動いた。
すっかり膨らんで反応している肉芽を二本の指で挟み、擦り立てる。つぎに、男性器を受け入れる場所のすぐ近くにある一対の花びらを、一枚ずつ交互につまんで嬲った。
「……あっ、んん、んっ……ああーっ!」
マリエは身悶える。
「ひどく濡れてきたぞ、マリエ……びしょびしょだ」
蜜口、二枚の花びら、そのうえにある敏感な突起――揃えた二本の指で、それらを往復しながら擦っていたフェルディナントが言う。
彼が指を動かすと、くちゅり、くちゅっと淫猥な水音がして、マリエの身体のなかから、さらに蜜があふれ出た。
「――うぅ……」
フェルディナントが、かすかにうめいた。
「……ど……どう、なさったの……?」
息も絶え絶えになりながらマリエは訊く。
「どうすればいいのだろうか、マリエ……こんなことになってしまっている」
マリエの手を取ると、フェルディナントは自分の股間に触れさせた。
(なんて、大きい……)
彼の剛直は、着衣の布を突き破らんばかりにそそり立ち、いまにも弾けそうに漲っている。
太くて、長くて、マリエの小さな手では握り込むことはできそうになかった。
おまけに、硬い。
フェルディナントの下であお向けになっていたマリエは、上体を起こすと、
勃ちあがった逸物のせいでぴんと張ってる下穿きに手を伸ばした。
紐をほどき、思いきって引き下ろす。
跳ねるように飛び出した彼の雄芯は、想像以上に立派なものだった。
天を突いて屹立するようすに、マリエは驚いて眼を見張った。
フェルディナントの身体の大きさを思えば、男性の象徴がそれに見あった質量なのは、ごく自然なことだ。
しかし――。
(……わたくしの身体で、受け入れることができるのかしら……)
一抹の不安が、マリエの脳裏をよぎる。
けれど、生きもののようにぴくぴくと動いている彼の雄芯を見ていると、不安よりも愛おしさや、体内に挿入して感じたいという気持ちのほうが勝ってくる。
(怖い……でも……やっぱり抱かれたい……)
彼に触れられて、女の悦びを知りたい。
本当の意味で妻になり、大切にしてもらいたかった。
欲望の疼きに逆らうことなく、マリエは、フェルディナントの男の象徴にそっと手を添えた。
「フェルディ……あなたのもので、わたくしの、この場所を埋めてくださいませ」
そう言って脚を開き、天を向いていきり立つ立派なそれを、みずからの蜜口に導いた。
先端をあてがい、ぐっと押し込む。
「う……っ」
先端部分がわずかに沈むと、フェルディナントは小さく声をあげ、腰を進めた。
秘所にあてがわれた剛直がずぷりとマリエの内側に喰い込み、ゆっくりと侵入してくる。
「……あっ」
マリエも声をあげた。
先ほど眼で見たときよりも、こうして受け入れたときのほうが、はるかにその大きさを実感したからだ。
(……やっぱり、大きい……)
限界まで拡がった蜜口が、びりびりと痛んだ。
半分ほど受け入れても痛みはなくならず、引き攣れたような違和感が続く。
「……う、ううっ」
噛みしめたマリエの唇から、声が漏れた。
フェルディナントの動きが止まる。
「痛いのか?」
「少し……でも、大丈夫……」
そう言って耐えるマリエを見おろす顔が、わずかに曇る。
動きを止めたまま、フェルディナントはマリエを抱き寄せた。
額に、頬に、軽くキスを落とし、乱れた髪を整えながら、やさしく頭を撫でてくれる。
(あの初夜の荒々しさ、冷たさは、何だったのかしら――)
あまりの落差に、マリエはとまどった。
が、彼が変わってくれたことは、理屈抜きで素直に嬉しい。
そのとき、フェルディナントの腰が、ねじるようにわずかに動いた。
「すまない、マリエ……もう、我慢できそうにない……」
秘所に半分埋まったままの雄芯が、さらに質量を増したのがマリエにはわかった。
それが何かをねだるように、どくどくと脈打っているのも感じる。
「来て。動いてください……フェルディ。わたくしは、大丈夫ですから」
切ない表情で息を吐いたフェルディナントは、シャツを脱ぎ捨てて全裸になった。
上体をかがめて、覆い被さってくる。
マリエは両腕を伸ばすと、身をかがめてくるフェルディナントの首に巻きつけた。
発達した筋肉で被われた背中から腰にかけて、片手をすべらせてみる。
鍛えあげられた腹筋は、綺麗に割れていた。引き締まった硬い肌は適度な弾力があって、なめらかだった。
なんて美しい、男らしい身体だろう。
太い腕や太腿、鎧のように全身を覆う筋肉は、身体の小さいマリエとはまるでちがう。
背中のごつごつした筋肉を楽しむように撫でていると、すべり落ちてきた金髪がひと筋、彼の顔にかかった。
フェルディナントはうるさそうに金色の髪を掻きあげると、ふたたび、腰を進めた。
「……うっ……あ、ああっ……」
太い屹立が、濡れた蜜襞を、強引に拡げていく。
やがて、その屹立は根もとまですっかり収まり、マリエの内部をみっちりと満たした。
小柄なマリエと長身のフェルディナントでは体格差があるので、こうして根もとまで押し込まれたまま身体を密着させると、自然に首にぶら下がるような体勢になる。
奥に当たっていた剛直が、突然、引き出された。
その反動となごり惜しさで、マリエの背中がそり返る。
「やっ……あ、あっ……ん……」
「ああ……マリエ……!」
フェルディナントはマリエの両足を軽々と肩にかつぎあげると、ふたたびシーツに押し倒した。
そして、ゆっくりと抽挿を開始する。
彼は動きながら、自由になった両手でマリエの豊満な乳房を揉み、尖った乳首を弄ぶ。
「……ああっ……やっ……ああん……あっ……!」
フェルディナントが腰を深く送ると、彼の恥骨が、開かれたマリエの秘裂に密着した。
動くたびに、硬く膨らんで敏感になった陰核を押しつぶし、擦りあげる。
膣壁にある快楽の泉、胸の尖り、陰核へと同時に与えられるの三つの刺激は、まるで拷問のようにマリエを責めさいなみ、悦楽の高みへと押しあげてゆく。
すっかり愛の蜜で潤ったマリエの内側は、フェルディナントの雄芯を美味しそうに呑み込み、容赦なく絞りあげた。
「……くっ……いい……マリエ……すごく、締まる……」
「あっ、ああっ……! フェルディ……! わたくし、もう……おかしくなりそう……!」
抽挿が速くなるにつれ、繋がっている部分が卑猥な音を奏ではじめた。
――ぐちゅり。くちゅっ。ぴちゃっ。
耳をふさぎたくなる。
恥ずかしくてたまらないのに、不思議と、マリエの身体の熱と疼きは増してゆく。
もっと淫らな音を聞きたがっているかのように――。
眉間に皺を寄せたフェルディナントが、腰を奥まで突き入れ、ゆっくりと引く。
もどかしい疼きをマリエに与えながら、緩やかな抽挿が続く。
「あーっ、ああっ……!」
たくましい性器で自分の秘所を拡げられ、掻きまわされ、突きあげられる感触を、乳首と股間にある肉芽を擦られ、刺激される感覚を、マリエは堪能していた。
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