書籍情報

白薔薇王女は黒の王太子に奪われて【書下ろし・イラスト10枚入り】

白薔薇王女は黒の王太子に奪われて【書下ろし・イラスト10枚入り】

著者:赤城まや

イラスト:龍 胡伯

発売年月日:2018年11月30日

定価:990円(税込)

『お前はその清らかな容姿の下に、こんな淫らな身体を隠しているのだな……!』
クールランド国の王妹リュドミラは長らくフローリアン国の宮廷に留学している。エドアールはこの国の国王ギョームのただ一人の弟である。そんなある日、国王殺害事件が起こり、フローリアンは現場で意識を失っていたことで容疑をかけられる。潔白を主張するもが、弟であり密かに思いを寄せるエドアールに、絶え間ない甘美で性的な快感を繰り返す淫靡な尋問を受け……!

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登場人物

◆リュドミラ
北の大国、クールランドの王女、19歳。赤みがかった美しい金髪と、鮮やかなエメラルドグリーンの瞳。抜けるように白い肌、すらりとした身体。端正な美貌。
◆エドアール
フローリアンの第二王子。20歳。褐色の髪と同じ色の瞳。切れ長な鋭い瞳に、端正な、少し冷たげに見える容姿。

立ち読み

「う、ンンッ……」


部屋には荒い息づかいと、暖炉の炎がはぜる音だけが満ちていた。


いつもはきちんと編み、結い上げるその長く淡い金髪はほどかれ、敷き詰められた黒貂(くろてん)の毛皮にさらさらと流れている。背中できつく拘束された両手首は、身じろぎするたびにギシリと音を立て、苦悶に顔を歪める。彼女は全裸だった。


「ううッ……!」


むき出しにされた胸の突起や、臍の下の柔らかな蜜壺を隠す膨らみが毛皮に擦れるたび、こみ上げてくる快感に身体が震える。けれども、満足に声を上げることは叶わなかった。両手首と同じく、金で刺繍した白絹を猿ぐつわのように噛まされているからだ。


さらには両足首まで縛られるリュドミラは、さながら虜囚のようだった。不自由な身体でただ、身悶えるしかできない姿は、皮肉なことに黒い毛並みの上で、雪のように白い肌と淡い金髪が暖炉の炎に照らされ、一層際立って美しく艶やかに映った。


「……ぁ、んぅ」


微かに色づくその肌は上気し、触れられればたちまち秘められた花芯に蜜をにじませる。淫らな薬を飲まされたせいだ。ダメ推しのように胸の突起や、下半身の花びらや花芯まで身体を敏感にさせる軟膏を塗り込まれては、どうあがいても快楽に抵抗などできない。


王宮の白薔薇、と讃えられた、くっきりとした二重のエメラルドグリーンの瞳、小さな赤い唇、高く通った鼻筋の美しい面差しは今、まるで蕾が花開いたかのように、蕩けきった淫らな表情を浮かべていた。


「……真実を、話す気になったか」


低い声が自分のすぐ傍から聞こえ、リュドミラはびくんと身を竦ませた。そのエメラルド色の大きな瞳を見張り、不自由な身体をよじってそちらを見る。すぐ近くの革張りの椅子に、簡素だが上質な黒のビロードの胴着と、同色のサージのボトムを身につけた男が座り、こちらを凝視している。


彼こそ、リュドミラを罪人とし、絶え間ない甘美で性的な快感を繰り返す責め苦を与えた男だった。


──エドアール様……!──


リュドミラは震えた。胸を締め付けられるような想いでエドアールを見つめる。密かに心惹かれていた彼は、しかし完全にリュドミラに冷ややかな疑惑の眼差しを向けていた。


行為はともかく、彼の態度は無理もない。エドアールはこの国、フローリアンの現国王ギヨームのただ一人の弟である。そのギヨームが殺害され、現場にはその死体の他、母であるアンヌ王太后と、フローリアンに留学中の彼女、クールランド王女リュドミラが意識を失って倒れていたのだ。皆が駆けつけた時、アンヌ王太后は重傷、リュドミラの手には、血に染まった短剣が握られていた。


「きゃあああ! 大変よ! リュドミラ王女が国王様と王太后様を殺したわ! 人殺し、人殺しだわ!」


それを発見したギヨームの愛人、ジャンヌ姫の叫び声が王宮中に響き渡った。


普段から彼女が、リュドミラのことを良く思っていなかったのは理解している。ただ、ここぞとばかりに繰り返し叫ぶ姿に、リュドミラは呆然とそれを聞いていることしかできなかった。


──その文字通り修羅場と化したまっただ中に、諸国を回り遊学中だった王弟、エドアールが予定を早めて帰国してきたのだ。彼はすぐにまだ息があった母を寝室に連れていき保護すると、同行していた異国の優秀な医師たちの手に委ねた。そして次期国王として、その犯人を直ちに見つけ出すと宣言したのである。状況からリュドミラは第一容疑者となり、囚われてしまい現状に至る。


この時、折悪しく、リュドミラと親しかった彼女の母国、クールランドの大使は病気にかかり帰国の最中で、代わりの者はまだ決まっていなかった。リュドミラの兄たち──異母兄でクールランドの現国王であるミハイルと、両親を同じくする兄で公爵であり、宰相のアレクサンドル──は、今年の秋、クールランドの貴族たちが起こした反乱の対処に追われていた。


幸い反乱は鎮圧に向かい、国民は皆、無為に血を流さなかった国王とその弟を讃えたが、依然として彼らが前線に留まらなくてはならない状況である。


そんなわけで、現在フローリアンの王宮に、表立ってリュドミラの味方や後ろ盾になれる者はいなかった。無論、クールランドからリュドミラと一緒にやって来た侍女たちは必死に抗議したが、それだけではどうすることもできなかった。何より、リュドミラとアンヌ王太后は同じクールランド出身ということもあり、王太后は明るく聡明な彼女が大変気に入っていた。ゆえに、リュドミラの最大の支援者は彼女だったのだ。だが、王太后は深い傷を負い、予断を許さない状態でベッドに横たわっている。


この現状において、リュドミラの側に立つ者はいない。


無罪であったとしても、疑われざるをえない現場の証拠に尋問を止めるいわれはなかったのだ。


 


優しく語りかけるように、エドアールは繰り返す。


「リュドミラ、どうか真実を話してくれ。このままではお前は、母と兄を殺したことになってしまう。お前を嫌うジャンヌの証言だけなら疑いようもあるが、それ以前に侍女たちが、お前が血まみれの姿で、凶器の短剣を持って二人の傍に立っていた、と証言しているのだ」


けれどリュドミラは、そんな彼の問いかけにも、ある理由から、自分は潔白だ、と繰り返す以外、何も言うことができなかったのだ。その他のことはあくまで沈黙を保つ彼女に、エドアールは、ひどくもどかしげな顔になり、ためらった様子の後でこう尋ねてきた。


「リュドミラ。もしや、兄のギヨームが母と喧嘩の挙句、母を怪我させたのか。お前はそれを……兄のしたことを庇っているのか」


リュドミラはぎくりとした。庇う相手は違うが、エドアールの問いかけは当たらずとも遠からずの推測だったからだ。


そんなリュドミラの動揺を見て、エドアールは顔をしかめ、続けた。


「お前とギヨームが、その、親密だったのは知っている。兄も本気でお前を求めていた。だから、兄を庇うなら……」


言われてリュドミラは目を見張り、思わずかぶりを振った。とんでもない誤解だ。リュドミラが密かに想い続けていたのはエドアールだった。ただ、自分はクールランドの王女とはいえ、庶子の生まれだ。大国フローリアンの第二王子、それも嫡子の生まれであるエドアールには釣り合わないと諦めていた部分は少なくともあった。このフローリアンの王宮で暮らし、それを思い知ったこともあったからだ。だから彼への想いをずっと胸に秘めていた。


──留学される直前、ギヨーム様が私に戯れていたのを誤解していらっしゃるんだわ……──


ハンサムで多趣味で、華やかなギヨームは同時に大変な女好きだった。浮き名を流した相手は大勢いて、自分も彼の目に留まった一人に過ぎない。だが、ずっと以前から密かにエドアールを想っていたリュドミラは、ずっとギヨームの誘いを断り続けていた。無論、国王が相手なので失礼でない程度に、だが。


その為、リュドミラはエドアールに懸命にこう応えた。


「どうしてそんなことを仰るのですか。エドアール様は兄上をお疑いなのですか……?」


想いを告げることができないリュドミラの、精一杯の気持ちだった。だがその途端、エドアールは一瞬、ひどく苛立った表情を浮かべたかと思うと、さっと冷ややかな態度に変わり、皆が止めるのも聞かずに彼女を自室に連れ込んだのだ。人払いし、誰一人、許しがあるまで入ってはならないと申し渡した上で。


──どうして、こんなことまで……──


拘束し、淫らな薬を花びらと花芯に塗り、さらには花芯に首飾りを押し込む非道をなしてまで、尋問を繰り返す彼は、リュドミラの知るエドアールではないような気がした。


人がこれほど残忍になれるのだろうか。


リュドミラは震えた。自分が第一の容疑者な上、その行動や言動が、エドアールに納得できるものではないのもわかっている。だが薬を使ってまで、こんなことをされるとは思わなかった。涙のにじんだ瞳で、エドアールを見つめる。


長身で、強靱そうな引き締まった身体。少し流した黒髪と、切れ長で鋭い黒い瞳。極めて端正な、やや冷たい印象を受ける容姿の青年だ。


その冷ややかな口調とは裏腹に、彼の視線は食い入るようにリュドミラに注がれたままだった。


十九歳のリュドミラより、一歳年上なのだが、もっと大人びて見える。数年の、異国の様々な宮廷を巡った経験のためか、面差しは以前より一層精悍になり、男性としての魅力が増していた。


「もう一度言う、話せ。そうしたらその口の戒めを解いてやる」


「……!」


こちらを見据えるエドアールの黒い瞳に、ふっと引きずり込まれそうになったその時、視線をそのままに彼がそう言った。リュドミラは、はっと我に返って視線を逸らした。


事件について、自分は潔白であるということ以外、主張するつもりはない。それは尋問された当初からずっと決めていたことだ。


──絶対に、言えない! 私が見てしまったもののことは。それを知ったら、お母様と仲の良かったエドアール様がどれほど苦しまれることか……──


そう心に決めて、懸命にかぶりを振る。とたんに、拘束された手が軋み、微かな、シャラシャラという金属音が部屋に響いた。


──彼女が今、身につけているものは、ただ二種類だけだった。一つは、後ろ手に回された両手首と両足首、そして轡(くつわ)のように噛まされている金糸で刺繍された白絹の飾り帯。


もう一つは、震える足の間から僅かに覗いている、銀細工の首飾り。


銀鎖に幾つも小さな飾りの下がった、首につけると、シャラシャラと音を立てる、東洋風の凝った細工の首飾り。それはリュドミラの花びらを押し分け、内部の赤く熱を帯びた肉襞を擦り上げ、刺激し、嬲っている。可憐なその音色は、拘束されて快楽から逃れられないリュドミラの嬌声と重なり、さらに身体を高ぶらせていた。


──苦しい……。それに、恥ずかしいわ……!──


自ら選んだことだとはいえ、リュドミラは耐えきれずに目を背けようとした。与えられているどんな淫らな責め苦よりも、エドアールにこんな姿を見られていることが恥ずかしい。皮肉なことに、その恥ずかしさが全身を火照らせ、胸が高鳴り、一層身体を追い詰める。


「ン、ンッ……?」


その胸の高鳴りを感じながら、リュドミラは自分が新たな感覚に囚われていることに気付き、愕然とした。淫らな薬をたっぷりと塗り込まれたからなのか、首飾りを挿入されたリュドミラの花芯は微かに震え、火照り、何故かひどくもどかしい疼きを感じていたのだ。何か、もっと新たな刺激を欲するような……。そのために腰が動き、足指が反り返って、わずかに淫らな動きをしていることにも気付く。


──そんな、私……──


リュドミラは、思ってもいなかった自分の痴態に、呆然とエメラルド色の瞳を見開いた。


すると、彼女の葛藤を読み取ったかのように、エドアールは顔をしかめた。


彼はすぐさま椅子から身を起こすと、リュドミラの傍にしゃがみ込んだ。その間ずっと、彼女を凝視したままだ。そして、ぐいとその身体を抱え起こした。


「う、ッ……」


彼に触れられ、その腕に包まれた途端、それだけで痺れるような快感が走り抜け、リュドミラは喘いだ。唇を塞ぐ白絹は、荒い呼吸と唾液ですっかり濡れている。見張った緑の瞳は潤み、胸の突起はつんと固く尖り、下半身から覗く首飾りは、溢れ出した淫らな蜜に濡れていた。


「淫らな姿を晒しているというのに、何故、こんなにもお前は美しいのだ……」


そんな彼女の姿を、一つひとつ焼き付けるかのように凝視しながら、低く呟く。


「……?」


だがその声は、喘ぐリュドミラには届かなかった。潤んでぼやけた瞳を見開いた彼女に、エドアールは冷ややかに言い放つ。


「それならば仕方ない。もっとはっきりと、お前の身体に聞くしかないようだな。リュドミラ」


身体を拘束された状態のまま、リュドミラは抱き上げられた。すると、その震動で、挿入された首飾りが大きく動き、内部の肉襞を激しく擦りあげる。


「ンッ……! ンうッ……!」


その刺激が伝わってきて、リュドミラは彼の腕の中で力なく身悶えた。布で塞がれた唇からはくぐもった声しか出ない。それに構わずエドアールは、リュドミラを自分が座っていた、ゆったりとした安楽椅子に抱えおろした。彼はその中でぐったりとしているリュドミラを見おろすと、まず両足首を縛めていた白絹をほどいた。


思わずリュドミラは布越しに安堵のため息をついたが、エドアールはすぐに、その白絹で、再度リュドミラの右足首を掴むと、彼女が抵抗する間もなく、椅子の肘掛けと足首を結び合わせた。


「……!」


リュドミラは呆然とし、それから慌ててもがいたが、エドアールは一切構うことなく小卓から、新たに白絹を手に取り、左の足も同じように拘束する。そして彼が身を起こし、数歩下がると、リュドミラはびくんと身を震わせた。


──なんて、ひどい格好……!──


安楽椅子のすぐ近くには暖炉があり、その近くの壁には大きな姿見が掛けられている。楕円型の、部屋の装飾にもなるよう、周囲をぐるりと繊細な彫刻で取り囲んだ優雅なものだ。


エドアールが動く姿も、はっきりと見える。だがそこに映し出される彼女リュドミラの姿は、息を呑むほどに淫らで、羞恥を誘うものだった。


全裸にされ、後ろ手に縛られた格好で安楽椅子に深く座らされているだけならまだいいが、椅子の両側の肘掛けに、両足首をきつく拘束されていた。いわば、Mの字に両足を開かされた格好だった。さらにその開かされた両足の中心からは、濡れた花びらとその中の花芯、そして、中央に差し込まれた首飾りが覗いていた。


「……!」


リュドミラは耳まで真っ赤になり、目を固く閉じた。そして、無理とはわかっていたが何とか足を閉じようともがく。だが足首をきつく拘束されているため、白絹が、ギシギシと軋んだ音を立てるばかりだった。さらに動いたために首飾りがまた、シャラシャラと鳴ってリュドミラを責める。


思わず漏れる声に唇を噛むと、そこでエドアールが傍らに近づいてきた気配がした。ゆったりとした歩調は、どこか自分を試しているのではないかと思わせる。


こんな姿にした彼は、さぞかし嘲笑を浮かべていることだろう。


涙がにじみそうになる。想い人にこんな惨めな尋問を受けなくてはならない現実に、嗚咽(おえつ)がこぼれそうだった。それでも気丈にふるまわなくてはと、自らを奮い立たせるように閉じた瞼を開ける。


たとえそこに彼の嘲笑があろうと、潔白を訴え続けなくてはいけない自分に、退く道はないのだから。


──え……?──


しかし、その目に映ったのは、食い入るようにこちらを見つめる彼の黒い瞳だった。軽蔑や嘲笑はそこになく、ただ熱を込めた視線だけが、リュドミラに注がれている。


リュドミラは、自分の状況も忘れて瞬きを数回してエドアールを見つめ返していた。一瞬、二人の視線が確かに絡み合うが、彼はすぐにきびすを返して、暖炉の上に手を伸ばしていた。


──……何、するの?──


リュドミラは、その手が取り上げたものを見て息を呑んだ。乗馬鞭だった。上質な革で編んだものだ。エドアールはその先端を手の平にあてがい、しなやかさを確かめるように振るう。


「……!」


まさか、それで打たれるのか、と愕然とする。だが彼は思ってもみない行動に出た。その鞭の先端を、すっとリュドミラの喉元に突きつけ、それからつつっと胸元へと滑らせたのだ。


「ンッ……!」



リュドミラは息を呑み、びくんと身を竦めた。口を覆う白絹が唇に密着する。エドアールは、リュドミラの尖っている乳首を、鞭の先でつつき、嬲(なぶ)るように刺激してくる。


途端に、ジン、と、強い刺激がそこから沸き起こった。微かな痛みも含むその刺激は、リュドミラを煽り、花びらから新たに蜜を溢れさせる。


「ンうッ……。あゥ……」


やめて。そう言えるものなら言いたかった。だが布に阻まれ、声が思うように出せない。


エドアールはそれを見て、さらに鞭を強く突き、わずかにしならせた。先端がさらに乳首を責め、胸をくぼませる。


ぞくぞくと、強い劣情が苛められている突起から沸き起こってくる。もう片方の胸の突起にも刺激が伝わり、ピンと張り詰めた。むろん拘束された両手では払いのけることはできず、手首が痛むだけだった。リュドミラは不自由な身体で身悶え、背を反らせた。足を拘束する布がまた軋む。皮肉なことに、こうして束縛状態にされることで、リュドミラの身体はさっきよりも感じやすくなっていた。


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