「はぅ、ふ……、んあ……」
薄暗い部屋の中に、女の嬌声が響いていた。
狭い室内にあるのは灯りの消えた蝋燭(ろうそく)と、大人二人が眠れる大きさのベッドのみ。宿の一室というよりは、男女が一夜を過ごすためだけの部屋といった様相だった。
そこには男と女が一糸まとわぬ姿でベッドに横たわっていた。
「ん、んんっ……!」
胸の突起を抓(つね)られ、女は苦悶の声を上げた。
その声の主は、まだ少女と呼んで差し支えないほどの、年若い女だった。癖の強い赤毛を、目立たないようにと短く切り揃えている。食が細いのか、手足は触れれば折れてしまいそうなほど細かったが、男の手が触れた胸は、不釣り合いなほど大きかった。
「すまない、ルージュ。痛かったか?」
気遣わしげな声で、男が問いかける。ブラウンの髪に、グレーの瞳。顔立ちは柔和なものだが、その体は細身ながらよく引き締まっていた。
「……いえ、少し驚いただけですから……」
ルージュと呼ばれた少女が答える。それから、不安げな声で尋ねた。
「あの、アラン……」
「どうした? ルージュ」
「わたしの胸、へんじゃないですか……? 妙に大きいですし……」
アランと呼ばれた男は、首を振って答えた。
「そんなことはない。とても綺麗だ。ずっと触っていたくなる」
胸を優しく愛撫しながら、アランは答えた。ルージュは笑みを浮かべ、アランの顔を胸にうずめるようにして抱きしめた。
「嬉しいです、アラン……」
「むぐっ……」
突然のことに、アランは困惑した様子を見せた。表情は窺(うかが)えないが、耳まで赤く染まっているのが見える。それを見て、ルージュはますます笑みを深めた。
「今日は、わたしがしてあげますね……」
そう言うと、ルージュは身を起こし、アランの上に跨った。腰の上まで位置をずらすと、アランの分身が痛々しいほどに嵩(かさ)を増しているのが見える。何度見ても、こんな大きなものが自分の中に収まることが信じられない。
「……少し、恥ずかしいですね……」
ルージュは照れ笑いを浮かべながら、自身の秘部を指で開き、その中にアランの雄根を迎え入れた。胸への愛撫によってしめりけを帯びた秘部は、ゆっくりと媚肉の内側に男根を受け入れていく。
「んんっ、くぅ……」
腰を落とすごとに、質量のある肉塊が体内に入り込んでくる。内臓を圧迫されるような異物感。荒い息を吐きながら、ルージュは少しずつ彼を受け入れていく。
やがて、アランの腰とルージュの腰が触れ合った。最奥まで彼を受け入れたのを知り、ルージュは彼に微笑みかける。
「……入りましたよ、アラン……」
「っ……あ、ああ……」
うめくように返事をしたアランは、苦しげな表情をしていた。おそらく、快楽を堪えているのだろう。彼にこんな表情をさせているのが自分だと思うと、言いようのない満足感を覚える。
ルージュはアランに跨ったまま、彼の胸板を両手で撫でた。普段自分がされているように、両手を胸に這わせ、たくましい胸板を撫でまわす。腕を伸ばすたびに、膣内にある男根が擦れ、もどかしい刺激が伝わってくる。
「くっ、ル、ルージュ……」
焦らすように緩やかな愛撫を繰り返すルージュに、アランが懇願するような瞳を向けてきた。その表情が、ルージュの嗜虐(しぎゃく)心に火をつける。
「ふふっ……、いいですよ。わたしも、そろそろ限界、でしたから……」
アランの腰に手を着き、ルージュはゆっくりと自らの腰を上下し始めた。雄根が引き抜ける限界まで腰を持ち上げ、再び落とす。そのたびに、媚肉と雄根が擦れ、痺れるような快楽がルージュを襲った。
「んっ、ふ、はぁ……」
媚肉が擦れる刺激を堪えながら、少しずつ動きを速めようとする。けれど、伝わってくる強烈な快楽に、思うように腰が動かない。
「ふっ、んん……!」
腰を落とした際に、アランの分身が、ルージュの最奥を突いた。子宮の入り口を押し上げられ、喉の奥から、嬌声が零れる。
「ああ……、だめ、感じちゃう……」
「っ……!」
その呟きが、アランの琴線に触れたのか、アランは下からルージュを突き上げてきた。
「んんっ!? あ、アラン……!」
アランはルージュの両手を掴むと、自ら腰を動かし始めた。アランの切っ先が膣内の最奥を穿(うが)ち、ルージュは途切れ途切れに嬌声を上げる。
「んっ、んあっ、アラ、ンっ……!」
「すまない、ルージュ……! もう、堪えられそうにない……!」
腰を動かしながら、アランが呟く。アランの鍛えられた身体は、上に跨るルージュを難なく突き上げた。そのたびに胸は弾み、喉から声がこぼれ出る。
「だ、だめ、アラン……! 今日は、わたし、がぁ……!」
激しい快楽に身悶えながら、ルージュは何とかアランを制止しようとする。だが、強烈な突き上げにうまく言葉を発することができない。
アランがルージュを突き上げるたびに、ルージュの身体は持ち上がり、激しく上下に揺れる。自分の全体重がそのまま快楽として伝わるような激しい行為に、髪を振り乱して身悶える。
「ひぁ、んああああっ!」
突き上げられるたびに弾む豊満な胸を、アランは下から持ち上げた。身体が上下するたびに、アランの手の中で胸が卑猥に形を変え、ルージュの快楽と羞恥心を刺激する。
「くっ……! ルージュ、そろそろ、限界だ……!」
アランは苦しげに呻くと、腰の動きを一層早めた。身を焦がす狂おしいほどの快楽に、ルージュの頭は真っ白になる。
「ア、ランっ……、わたし、あたしも……!」
快楽の頂(いただき)が近づいてきているのが分かる。もはやルージュに何かを考える余裕はなく、ただただアランから与えられる快楽に嬌声を上げるだけの存在となる。
「ふ、くぅ……!」
繰り返される抽送(ちゅうそう)の果てに、アランは一際深く切っ先を押し込んだ。子宮の入り口を押し上げられ、一拍遅れてアランの白濁が最奥に放たれる。
「あ、あ、あああああ――!」
絹を裂くような嬌声を上げ、ルージュもまた絶頂を迎えた。快楽の波が濁流のように全身に押し寄せ、ルージュから快感以外のあらゆる感覚を奪っていく。
「はああああ……、っはぁ、はあ……」
深く、長く息を吐き、絶
頂の余韻が過ぎ去るのを待つ。アランもまた、白濁を全て放出し終えたようだった。一つ息を吐くと、なおも胸を持ち上げていた腕を離す。
ルージュはしなだれかかるようにアランの上に倒れ込んだ。たくましい胸板に頭を預け、息を整える。繋がっていたアランの分身が、淫靡な水音を立てながら引き抜かれた。
「……今日はわたしがしてあげるって言ったのに……。酷い人です」
ようやく呼吸が整ってきたルージュが、頭を彼の胸に預けたまま呟く。
「す、すまない……。私を喜ばせようとしてくれる君の姿が可愛らしくて、つい……」
言いづらそうに、恥ずかしそうに、アランが答えた。アランの心臓の鼓動を耳にしながら、ルージュも答える。
「ふふっ……。そう言ってもらえると、嬉しいです」
アランの胸に顔を預けるルージュの視界には、お互いが脱ぎ捨てた衣服が映っていた。微笑みを浮かべたまま、ルージュは思う。
(ちょろいものだわ……)
(このあとは製品版でお楽しみください。)