「美しいな……エスメラルダ」
男の厚みのある手が、エスメラルダの肌を撫でた。
「髪も、瞳も、その肌も……。何もかもが美しい」
「あ、やぁん……!」
敏感な部位を触れられ、エスメラルダは艶めかしい声をあげた。
「ベネディクト様……。そんなところ……」
「そんなところ、とは、ここのことかな?」
「あ、んんっ!」
胸の突起を摘ままれ、エスメラルダは再び嬌声を上げる。その声を聞いて、ベネディクトと呼ばれた男性は好色な笑みを浮かべた。
ベネディクトの指が、そのままエスメラルダの全身を愛撫する。金粉を溶かしたかのような蜂蜜色の髪。磨き抜かれた翡翠のような濃緑色の瞳と、精巧な芸術のような目鼻立ち。
おおよそ地上のものとは思えない、神が生み出した至高の芸術のような美しさを誇るうら若き乙女。
けれど今、彼女の身体は、男の情欲によって淫らに汚されていた。
「は、ああっ、ん……!」
「ふっ……。相変わらず、一度熱が入ると早いな」
「そ、んな、こと……、っはあん!」
エスメラルダの全身を丹念に撫でたあと、ベネディクトの指が再び胸の突起を摘まむ。そのまま胸を鷲掴みにするように指を這わせ、感触と重量を楽しむように弄ぶ。
「胸の大きさも、柔らかさも、全てがこの世のものとは思えない素晴らしさだ。神はおまえに至高の美しさを与えると同時に、女としての最上の器も与えたようだな」
「は、ああっ、ん……!」
ベネディクトの言葉に、エスメラルダは答える余裕がない。ただただ与えられる快楽に身を震わせ、甘い声を上げるのみだ。
「さて、そろそろ……」
「ひっ、んんぁあ!」
不意に、ベネディクトの指がエスメラルダの秘部に触れる。痺れるような快楽に、エスメラルダは甲高い声を上げた。
「ふっ、もうすでに濡れているではないか。本当に感じやすいのだな」
「そんな、わたくしは……ああんっ!」
否定の言葉を口にしようとするエスメラルダ。だが、その前にベネディクトの指が秘部に触れ、言葉が遮られる。
ベネディクトはいつもこうだった。エスメラルダが彼を拒絶しようとするたびに、それを上回る快楽で押し流そうとする……。
「や、はあ、ああ……」
ベネディクトの指が、エスメラルダの秘部を刺激する。割れ目に指を這わせ、幾度となく同じ場所を擦り続ける。
やがて、ベネディクトの指元から、水泡が弾けるような音が聞こえ始めた。
「さて、十分にほぐれてきたころかな?」
その音を聞き、ベネディクトが口角を吊り上げる。蜜口から零れる愛液の音。それはつまり、エスメラルダの身体が男を受け入れる準備を整えたことを示していた。
「では、そろそろ私のほうも悦ばせてもらおうか」
そう言うと、ベネディクトは服を脱ぎ、裸身を晒した。
「っ……!」
ベネディクトの下腹部、そこにある屹立したものが目に入り、エスメラルダは思わず息を呑んだ。
先端が丸みを帯びた、グロテスクな棒状の物体。何度見ても、これが人間の身体の一部であるとはとても思えなかった。
「どうした? もの欲しそうな顔をして」
エスメラルダの視線に気付いたベネディクトが、口元に笑みを湛えながら言う。エスメラルダははっと我に返り、慌てて眼を逸らした。
「べ、べつに、わたくしは、そんな……」
「嘘を吐け。もう何度も肌を重ねた仲だ。そのときの感覚、忘れたわけでもなかろう?」
「それ、は……」
ベネディクトの発言に、エスメラルダが言葉を詰まらせる。
そう、二人が肌を重ねるのは、これが初めてではない。もうすでに幾度となく、ベネディクトの手によって紡がれる官能を、エスメラルダは味わっている。
そして、彼の雄根の感触もまた、忘れられないほどの快楽と共にエスメラルダの身に刻み込まれていた。
「もし忘れていると言い張っているのなら、思い出させてやろうではないか」
「きゃっ……」
ベネディクトが、エスメラルダの肩を押し、彼女をベッドへと押し倒した。自身よりも大柄な相手に覆いかぶさられているという状況に、本能的な恐怖が呼び起こされる。
だが、それ以上にエスメラルダの意識は、下腹部に近づく彼の分身へと向けられていた。
「っ、あ……」
ベネディクトの雄根が、エスメラルダの秘部に触れた。焼けた鉄のような熱さと、驚くほどの大きさに、思わず息を呑む。
何度も経験したことでありながら、こんなにも大きなものが自分の身体の中に入るという事実が信じられない。何かの間違いではないのだろうかと思ってしまう。
「あ、っふ……」
雄根に愛液を塗すように、ベネディクトはゆっくりと下腹部を擦りつけてきた。蜜壺に擦りつけられる彼の分身が、まるで大きさと形を誇示するかのように感じられて、エスメラルダは思わず身を震わせる。
「ふっ、やはり身体は快楽を求めているようだな。まるで私の動きに合わせるように腰を揺らめかせおって……」
「え……?」
そう言われ、エスメラルダは気付く。ベネディクトの言う通り、自分が腰を動かしてしまっていることに。
「もう少し慣らしてからと思っていたが……遠慮はいらなそうだな」
「え、いや、待って……!」
エスメラルダの制止は間に合わなかったのか。それとも、ベネディクトには初めから止める気などなかったのか。
ベネディクトの腰が勢いよく押し込まれ、彼の雄根が一気に最奥まで突き込まれた。
「は、ああああああ!」
彼の雄根が一息の内にエスメラルダの中を満たし、彼女は思わず声を上げた。
蜜壺が埋め尽くされる圧迫感。全身を貫く衝撃。
そして、それらに勝るとも劣らない、快楽。
「ふっ、ん、くぁあ……」
それらが一度に押し寄せ、エスメラルダは苦悶とも嬌声ともつかない声を上げる。
「ふっ……。やはり、これが欲しかったようだな……」
その様子を見ながら、皮肉げに呟くベネディクト。だが、与えられる快楽によるものか、彼の表情はわずかに悩ましいものになっていた。
「では、動くぞ……」
「いや、ま、はあああっ!」
息をつく間もなく、抽送が開始される。全身を襲う快楽に、エスメラルダは背筋を反らして身悶える。
「はあ、んんっ、んあああ!」
「くっ……! いいぞ、エスメラルダ……!」
ベッドに腕を突き、腰を前後に揺さぶるベネディクト。エスメラルダは仰向けのまま、シーツを握りしめて快楽を堪える。
「おまえの身体は、まるで至上の名器のようだ……! いくら味わっても、まるで飽きることがない」
「そ、んな、こと……、ふあああっ!」
エスメラルダに覆いかぶさり、耳元で囁くベネディクト。羞恥にあおられ、否定しようとするも、快楽に流されてそれも叶わない。
ベネディクトの太くて大きな肉塊が、エスメラルダの中に打ち付けられる。そのたびにエスメラルダは快楽に身を捩り、喘ぎ声を漏らす。
「ふっ、まるで誘っているようだな……」
「はあ、はあ……。え……?」
情欲の色を滲ませて、ベネディクトが呟く。彼の視線は、一突きするたびに揺れるエスメラルダの胸に注がれていた。
「どれ、味見をしてやろう」
「や、は、んああああっ!」
ベネディクトが腰の動きを止めないまま、エスメラルダの胸に舌を這わせた。胸全体を弄り、先端を強く吸い上げる。
「は、あああ……。あんっ!」
突起を強く吸い上げたあと、音を立てて唇を離すベネディクト。唇を離すと同時に、胸が卑猥に弾む。
「や、あん、また……」
「こうされるのが好きなのだろう?」
「そんな……ああっ!」
ベネディクトはそう言うと、再び彼女の胸に舌を這わせた。
胸全体を味わうように口に含みながらも、下腹部の抽送は続く。胸と蜜壺、快楽の源泉を二カ所も同時に責められ、全身に襲い掛かる快楽に、エスメラルダの思考が段々と溶かされていく。
「はあ、あ、ああああ……」
呼吸の感覚が徐々に狭くなり、頭が熱で浮かされたように働かなくなっていく。これが絶頂の前触れだということが、幾度となく彼の手によって絶頂を味わっているエスメラルダには分かった。
「ああ、は、んああ……!」
「そろそろ、か……? エスメラルダ……!」
腰を小刻みに前後させながら、ベネディクトが尋ねる。ベネディクトの呼吸の浅さから、彼もまた絶頂が近いということが感じられた。
快楽に蕩けた頭で、エスメラルダは答えた。
「は、はい……。ベネディクト様、わたくし……」
「そうだな、俺も、そろそろだ……!」
「はあああっ! んああああ!」
そう呟くと、ベネディクトは腰の動きを加速させた。これまで以上に激しい快楽が、エスメラルダを襲う。
エスメラルダの腰を掴み、ベネディクトは乱暴ささえ感じるほどの勢いで、激しく腰を打ち付ける。全身に襲い掛かる快楽の奔流に、エスメラルダは息をすることも忘れ、獣のように乱れ狂う。
快楽の頂が、徐々にせりあがってきているのを感じる。エスメラルダは我を失う恐怖と、それを上回る快楽に流され、何も考えられなくなる。
「ベネディクト様っ、わたくし、もう……!」
「ああ、達するがいい、エスメラルダ……!」
エスメラルダの訴えに、首を縦に振るベネディクト。そのままスパートをかけるように、彼の腰の動きが加速する。
快楽に襲われ、思考もままならないエスメラルダ。その中で、秘部を貫く雄根の動きだけが、鮮明に感じられた。
「ベネ、ディクト、さまっ……!」
「くっ……、エスメラルダ……!」
快楽の渦の中で、ベネディクトの名を呼ぶエスメラルダ。ベネディクトもまた、彼女の言葉に答えるように名を叫ぶ。
絶頂にたどり着く寸前、エスメラルダはベネディクトに縋りついた。
そして――。
「は、あ、あああああああ――!」
快楽の火に包まれ、エスメラルダは達した。
全身に伝播する絶頂の波に、エスメラルダは幾度となく身体を震わせる。全身が強張り、これまで以上にベネディクトを強く抱きしめる。蜜壺に繋がっているベネディクトの雄根が、一気に最奥まで到達した。
「くうっ……!」
うめき声を上げ、ベネディクトもまた絶頂に達した。
最奥まで突き込まれた彼の雄根が脈動し、熱く滾る液体が注がれる。蜜壺のさらに奥、子どもを宿すための器官に、子種が注ぎ込まれていく。絶頂の中にあるエスメラルダは、それにすら快楽を感じ、さらに身悶えた。
「は、ああ、ああああ……」
呼吸を整えるように、浅い息を繰り返すエスメラルダ。少しずつ全身の熱が冷め、快楽の余韻が遠ざかっていく。
それと同時に、激しい脱力感も覚える。歓楽の余韻と共に、意識まで溶け出していくような、激しい疲労を感じた。
「ふう……」
ベネディクトもまた絶頂の余韻が過ぎ去ったようで、大きく息を吐くと、最奥まで突き込んでいた雄根を引き抜いた。ずるりという音と共に、愛液と白濁液が混じった液体が滴り落ちる。
行為を終えたあと、ベネディクトは笑った。
「……いや、今日もよかったぞ。さすがだな、エスメラルダ」
「あ、はあ……」
「ふっ、返事をする余裕もないか」
そう言うと、ベネディクトは再びエスメラルダに覆いかぶさった。まだ続きをするのかと、エスメラルダはわずかに身を強張らせた。
「んっ、ふ……」
その強張った唇に、ベネディクトの唇が重ねられる。疲労で身体が思うように動かず、エスメラルダはただ、されるがままに彼の接吻を受け入れる。
深く、長いキスの後、ベネディクトはゆっくりと唇を離した。
「ふっ、次もよろしく頼むぞ、エスメラルダ」
服を拾い上げ、身につけながら、ベネディクトが呟く。
「おまえは、私のものなのだからな」
「…………」
その言葉に、エスメラルダは答えなかった。
身なりを整えたベネディクトが部屋を出ていく。その姿を、エスメラルダはベッドに横たわったまま見送った。
「はあ……」
唇を指でなぞる。彼の口づけの感触が、未だに残っている。それを感じながら、エスメラルダは瞳を閉じ、まどろみの中へと落ちていく。
抗っても無駄だ。目を閉じて、受け入れるしかない。
ここは、彼――ベネディクト・オルランドの城。
そして彼女は、彼への貢物。
その関係は、何をしても変わらないのだから。
(この続きは製品版でお楽しみください)