書籍情報

国王陛下の子守歌姫【書下ろし・イラスト8枚入り】

国王陛下の子守歌姫【書下ろし・イラスト8枚入り】

著者:麻倉とわ

イラスト:上原た壱

発売年月日:2019年03月29日

定価:990円(税込)

「我慢するな。啼け、ユリアナ。いい声を聞かせてくれ」
零落した子爵令嬢ユリアナは美声の持ち主。ある日、泣きじゃくる赤ん坊に子守歌を聞かせたことがきっかけで、王子の子守歌係に選ばれる。赤ん坊を連れた青年は、なんと甥を育てている国王ヨハネスだった。ユリアナは男らしく優しいヨハネスに惹かれていくが、ある重大な秘密を知ってしまい――。

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登場人物

◆ユリアナ・マリア・フォン・ヴィルシュタイン

18歳。プラチナブロンドの髪、緑の瞳。貧乏子爵の娘。無口だが心優しく、逆境に翻弄されながらも、明るく生きようとする美少女。歌うことが好きで、クリスタルのような美声をしている。
◆ヨハネス・フランツ・フォン・ロンヴァルド

27歳。黒髪、琥珀色の瞳。裕福な小国ロンヴァルドの新国王。長身の美青年だが、出自のせいで少々野性的。亡き母は異国の血を引いていて、そのことを気にしている。王宮では浮き気味だが、実は優しく高潔な心の持ち主。急死した兄夫婦の息子を育てている。

立ち読み

い……どうか」


荒い呼吸と、今にも消え入りそうな哀願。それらは背後に立つ青年の耳にも届いているはずなのに、彼は琥珀色の目を細め、豊かな胸の頂いただきを強く捻った。


瞬間、痛みと呼ぶには甘過ぎる疼きが痩身をしならせる。


「あ、やぁんっ!」


「ああ、ユリアナ」


ユリアナと呼ばれた娘はなんとか逃れようとしたが、どうすることもできなかった。寝台の天蓋を吊るす支柱を抱くようにして、金の紐で両手首を縛りつけられていたのだ。


一方で青年は片手で乳房をまさぐりながら、細い腰を引き寄せた。ユリアナよりもかなり背が高く、肩まで波打つ髪は漆黒で、精悍な顔や夜着からのぞくたくましい胸板も浅黒い。そのせいでユリアナの肌の白さがいっそう際立って見えた。


「嫌ぁ――」


「嘘つきだな。君は、俺にこうされるのが好きなはずだ。だが……そんな大きな声を出していいのか? せっかく寝かしつけたコンラートが起きてしまうぞ」


「あっ」


ユリアナは顔色を変え、寝台の傍らに置かれた金の揺りかごを見やった。そこにいるコンラートはもうすぐ一歳になる王子だが、幸いよく眠っているようで身じろぎひとつしない。


だが、ほっと息をつく間もなく、再び淡い色の乳首を捻られた。


「きゃうぅっ!」


「ほら、すっかり硬くなっている」


器用な指先が可憐な尖りを巧みに弄ぶ。いくら堪えようとしても、摘ままれてクルクルとこねられれば、声を抑えることはできなかった。日ごろ剣を扱う指の腹は硬くて少しざらついているが、それがまたたまらない。ユリアナの翡翠を思わせる瞳は、すでに快感で潤みきっていた。


「もちろん俺はいっこうにかまわない。君の声は、いつだって鈴の音のように愛らしいからな」


髪をかき上げられて、うなじに口づけられ、ユリアナは強くかぶりを振る。そんな抵抗をあざ笑うように、青年の唇がゆっくり首筋を這い始めた。


「我慢するな。啼け、ユリアナ。いい声を聞かせてくれ」


「あ、は、あぁ……」


先ほどから腰の辺りに硬いものが当たっていて、その感触もまたユリアナを追いつめる。それが何なのかは、すでに嫌というほど教え込まれていたのだ。


しかも青年は、拒絶が許される相手ではなかった。


「へ、陛下……」


寝衣を剥ぎ取り、ユリアナの自由を奪って、執拗に嬲っているのはヨハネス・フランツ・フォン・ロンヴァルド――若干二十七歳にして、このロンヴァルド王国を統べる王なのだから。


「さてと」


ふいにヨハネスが膝頭を使って、ほっそりした両脚を後ろから割り開いた。


「……っ!」


閉ざされていた脚の狭間に外気を感じ、ユリアナは小さく息を呑む。


「こちらの具合はどうだ? そろそろ蕩けているはずだが」


「やぁっ!」


ヨハネスの指先が下肢の間に忍び込んできたのだ。さらに髪と同じ色の和毛をくすぐって、奥の秘裂へと伸びてくる。


「あ、あう」


「やはりな。もう、こんなに濡れている」


ほてった襞をかきわけ、ヨハネスは繊細な肉花をいたぶり始めた。羽で撫でるように優しく撫でたかと思うと、次の瞬間には指の腹で容赦なく擦り上げる。


「だ、だめ――」


ユリアナにもそこが潤っている自覚はあった。だが改めて言葉にされると、恥ずかしさが募って、いっそう身体が熱くなる。


「淫らだな、ユリアナ」


「ひぃっ!」


気まぐれな、けれどもそれゆえに絶妙な愛撫。強く引き寄せられて逃げられないユリアナは、涙を浮かべて、細い腰をくねらせた。


「これからも……どこへも行かないな?」


問いかけられても、ユリアナは答えを返すことができない。しかしもともとそんなものはどうでもよかったのだろう。すぐに顔だけ振り向かされて、唇を柔らかく塞がれた。間を置かず、合わせ目からヨハネスの舌が入り込んでくる。


「んっ、あ、ん」


からかうように舌先をくすぐられると、腰が勝手に揺れてしまう。動きを封じる不自由な姿勢にも煽られていた。本気で逃れたいと思っているのに、ユリアナはますますヨハネスに絡め取られていく。


そんな気持ちを見透かしているのか、口づけはさらに深く濃厚になった。


「ん、う、んん!」


秘部をいじられながら歯列をなぞられ、頬の内側をくすぐられる。ユリアナはいつしか自分からヨハネスの舌を追いかけていた。うまく息継ぎできないせいで、何も考えられなくなり、身体からも力が抜けていく。


その時、下半身からヌチュヌチュという水音が聞こえた。キスと愛撫に反応して、淫らな蜜がまた溢れてきたのだ。


「嫌ぁ……」


あさましい自分が恥ずかしくて、できることなら消えてしまいたかった。それなのにユリアナは、意識せぬままヨハネスに秘処を押しつけてしまう。


すると待ちかまえていたように、長い指が蜜口に差し込まれた。



再び淫らな音が響く。ヨハネスに抱かれるまでは存在さえ定かでなかったのに、その部分は今、狂おしいほどに喜悦していた。熱を帯びた隘路を繰り返し擦られ、少しずつ広げられて、ユリアナは声もなく全身を震わせる。


「ユリアナ、力を抜け」


唇を離してユリアナを解放すると、ヨハネスは細い腰を抱え直した。息をつく間もなく、熱塊が一気に押し入ってきた。


「ああっ!」


足に力が入らず、華奢な身体は今にもくず折れそうになる。しかし手首を縛られ、後方から串刺しにされているせいで、それもかなわなかった。


「今一度訊くぞ、ユリアナ」


ユリアナを貫き、大きく揺さぶりながら、ヨハネスが再び詰問する。


「コンラートと……俺のもとから去らないと誓うな?」


問いかけというより、命令に近い強い口調。それでいてなぜかヨハネスの声はかすかに震えていた。


「あ、あ……はぁん」


ユリアナは喘ぎながらも、懸命に頷こうとした。


こんなことをしなくても、自分は決して逃げたりしない――そう伝えたいのに、ヨハネスは答える余裕を与えてくれない。むしろ返事を封じるかのように、いっそう激しく性急な抽挿でユリアナを追い上げる。


「陛下……も、もう……やめ、あうぅ」


媚肉を抉られるたびに目蓋の裏で閃光が弾け、ユリアナは細い悲鳴を上げた。もはや傍らで眠る赤子を気遣う余裕さえない。


なおも容赦なく犯され続け、ようやく許された時には、ほとんど気を失いかけていた。


「あ――」


背中にひんやりした絹の感触が当たり、ユリアナは閉じていたまぶたを上げた。手首の拘束を解かれ、抱き上げられて、寝台へ運ばれたのだ。


「ユリアナ」


視界は頼りなくぼやけているのに、ヨハネスの姿ばかりは鮮明だった。光の加減なのか、琥珀色の瞳は金色がかって見える。こうして閨ねやで情事にふけっている時でさえ、その面差しは息を呑むほど凛々しかった。


「どこにも行かせない。俺は、誰にも……君を渡さない」


全身に強い視線を感じたが、目の前が少しずつ暗くなり、ヨハネスの声も遠のいていく。


「陛下、わたくし、は」


自分もどこにも行きたくない。もし許されるなら、このままずっと彼とコンラートのそばで、毎晩子守歌を歌って暮らしたい――なんとかそう伝えたいのに、声が掠れて、唇もうまく動かなかった。


もとからユリアナはおしゃべりな娘ではない。まして今のような状況では、まともに言葉を紡げるはずがなかった。


「へ、いか――」


心のうちを言葉にできないまま、ほどなくユリアナは意識を手放した。


(この続きは製品版でお楽しみください)

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