書籍情報

砂漠の王と淫らな調教

砂漠の王と淫らな調教

著者:早瀬響子

イラスト:有馬かつみ

発売年月日:2015年02月06日

定価:990円(税込)

これからお前を俺好みの姓奴としてとことん調教してやる。 中津川グループの青年・逢坂(おうさか)春樹(はるき)は、前総帥とダキール前国王ラグルとの密約で十五歳の時に、人身御供としてダキールに送り込まれる。長年薬を使われ、わずかに触れられただけで感じてしまう淫らな身体にされてしまう。ラグル以外に何人もの接待役として淫らなもてなしをさせられていた。その後クーデターで王位についたゼイドは、幼いころ慕っていた春樹とラグルの関係を知り、姓奴として調教された春樹を嫉妬して自分好みに調教すると言い渡したが……!?

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登場人物

ゼイド・アル・ダキール
21歳。異国で追放された母と苦労を重ねていたが、資金を貯め、砂漠の民を率いて反乱を起こし、父のラグルを追放する。漆黒の髪に緑の瞳、日焼けした肌、精悍な身体。
逢坂春樹(おうさか はるき)
27歳。日本を代表するグループ、中津川グループの傍系の青年。前総帥とダキールの前国王、ラグルとの密約で、15歳の時にダキールに人身御供として送り込まれ、性奴として調教される。

立ち読み

「──ッ……!」
逢坂春樹は、全身が小刻みに震えるのを抑えることが出来なかった。
彼が今、身にまとうのを許されているのはたった一つ、ほっそりとした白い首にかけられた縄だけだ。
縄は長く、真ん中から二つ折りになっていて、折ったところで輪に結び、それを首にかけさせられている。太さは、春樹の親指よりも少し細いくらいだろうか。非常に強靱(きょうじん)な、そしてしなやかに作られた縄だった。
その、首の下で結んだ状態で二重になった縄を、力に満ちた若い男の手が掴(つか)んでいた。男はその縄をそのまま身体の下部へと持ってきて、春樹がびくんと身を引きつらせるのにも構わず、その股間に無造作にくぐらせた。春樹の荒い息づかいが、ほの暗い室内に、密やかに響いている。
縄は首の下の他にも、いくつか結び目がこしらえてあった。臍(へそ)の下のあたりにも一つあって、そこで一旦二つに分かれ、春樹の牡茎を両脇から挟むようにして股間をくぐり、その後ろ、秘孔のあたりでまた並行になる。そのまま男は、春樹の背中側に手を回し、一度、背骨のあたりで強くその縄を引っ張った。
縄がシュッと音を立て、春樹の身体を、特に股間の敏感な部分を容赦なく擦りあげた。その刺激に震えた瞬間、縄は彼のまろやかな尻の間に強く食い込んだ。その感覚に、春樹は息を呑んだ。
「──あ、ンッ……」
だがその時、思わず唇から漏れた声の淫らな響きに、本人が愕然(がくぜん)とした。明らかに、自分はこの締めつけられる感覚に、感じてしまっている。唇が濡れ、唾液が湧いて出るのがわかる。
思わず頬が染まった。とたん、嘲(あざけ)るような声が背後から響いた。
「淫売め。やはり、こんな行為が好みか」
冷ややかな、鞭のような声だった。春樹は再び身を固くした。羞恥のあまり顔を背けようとしたが、声の主はそれを許さず、最初に首にかけられた輪の後ろ側にもう一度縄を通した。そして、身体半分を縦割りにぐるりと縄で取り巻いた形で、その縄を一層きつく締め上げる。
「ひ、あッ……」
ギリッ、という音とともに、縄が股間にさらに食い込む。胸や背にも食い込んだ。思わずまたこぼれた声は、前のものよりさらに淫らだった。声の主が一層、嘲笑を浮かべるのが見なくてもわかった。彼は春樹のほっそりとした顎にもう片方の手をかけ、恥ずかしさにうつむくのを許さず、手荒く自分の方へと顔をねじ向けさせた。
ゼイド・アル・ダキール。二十一歳の青年である。彼はほんの一昨日、この砂漠の王国、ダキールの新国王となったのだった。十歳の時、母ともどもこの国を追われた彼は、十一年後の今、逆に父である前国王、ラグルを捕らえ、追放して自身がその座に就き、首都ザキアの中心にそびえる大理石の王宮も手中にした。そしてその最奥に囚われていた、父ラグルの性奴だった春樹も。
春樹は、戦前は財閥であり、今も日本経済を支える一大企業グループ、中津川家の末端の出身だった。それが十五歳の時、両親を亡くしたことから、当時の総帥の意向で何も聞かされずにラグルの王宮に送り込まれ、性奴にされてしまったのだ。それと引き替えに、中津川グループはダキールが産出する豊富な石油資源を得ることが出来たのだった。
──そして時は流れ、王宮に閉じこめられて十二年目の今、春樹は数えきれないほどに夜伽(よとぎ)を命じられた王の寝室に連行され、新しく支配者となったゼイドによって、まさに凌辱(りょうじょく)されようとしていた。
全裸にされ、縄を打たれた春樹は、大理石の床に跪(ひざまず)かされていた。床の上には血のような深紅を基本に、手の込んだ繊細な文様が織り込まれている美しいペルシャ絨毯(じゅうたん)が敷かれている。
四方はイスラム伝統のアラベスク文様を金細工でふんだんにはめ込んだ壁で、室内にはさまざまな、手の込んだ彫刻を施した、重厚で美しい調度が置かれている。窓には金糸でずっしりと刺繍されたカーテンが掛かり、春樹の周囲以外、外の明かりは遮断されている。あちこちに生けられた花々が、どこか扇情的で濃密な香りを漂わせていた。
「……」
その豪奢(ごうしゃ)な部屋の中で、春樹は震えながらゼイドを見つめた。
──初めて会った時は、小さくて大人しい子供だったのに……──
今さらながらに、時の流れを思う。そして、胸の奥に締めつけられるような痛みを感じた。
ゼイドが性奴だった自分を嫌悪するのも、軽蔑の眼差しを向けてくるのも当然なのだ。彼はラグル前国王の息子であり、母は王妃だったのだから。それに自分は……。
十二年前のその記憶が信じられないほどに、ゼイドは、見違えるような『男』に成長していた。日に焼けた浅黒い肌に、黒い豊かな髪。精悍(せいかん)な身体と表情は力と自信に満ちていて、自分より六つも年下だとは到底思えなかった。
わずかに尖り気味の顎、形のいい眉。通った鼻筋。端正で彫りの深い顔立ちだが、力強い輪郭と、今は微かに嘲笑を浮かべている少し厚めの唇が、男性的でどこか傲慢な雰囲気である。
けれど何より強い印象を与えるのは、その瞳だった。くっきりと切れ込んだ二重の、さらに切れ長な瞳。それが鮮やかな、極上のサファイアを思わせる青色なのだ。この砂漠の国では、滅多に見られない色である。その瞳が今、強い光をたたえ、春樹を食い入るように凝視していた。
「──あ、ッ……」
「そんな顔をして、俺までたぶらかすつもりか!お前が今、どんなに淫らな姿かじっくりと見てみろ!」
自分の状況も忘れ、思わずその瞳に吸い込まれるように見とれてしまっていた春樹は、痛みにはっとわれに返った。ふいにゼイドが何かに気づいたような表情になったかと思うと、苛立たしげに顔をしかめ、春樹の髪を手荒く掴(つか)み、目の前の鏡に向けせたからだ。
目に飛び込んできたその姿に、春樹は震えた。壁に掛けられた大きな姿見に、自分の全裸の姿が映り込んでいる。
すぐ傍に立つ大きなスタンドの明かりに照らされている為に、全てが露わだった。思わず頬が染まった。なんという淫らな格好だろうと思う。しかも跪(ひざまず)かされ、剥(む)き出しにされた白い肌には、縄が絡みついている。
春樹は今年、二十七歳になる。だがその顔も、体つきも、年齢より若く見えた。中背の細身の身体つきだが、顔が小さいのでさらにすんなりと見える。もともと色素の薄い体質なのだが、特にその肌はずっと日に当たっていないために抜けるように白くなり、前国王ラグルの命令によって極上の香油やクリームなどで磨き上げられていたため、絹のように滑らかだった。
茶色の髪は豊かで、つややかでさらさらとしている。それが軽く流した形で、卵形の小さな顔を取り囲んでいる。髪と同じ色の瞳は大きく、鼻筋は高く通り、唇は小さく赤かった。
けれど、春樹は自分のそんな姿が嫌いだった。肌も顔も女のようだ、男に媚を売るために作られたのだろうと亡き王太子のカインや、アリ大臣をはじめとする臣下たちに、さんざん嘲笑されたからだ。
しかも今、鏡に映る姿を見て、まさにゼイドの言葉通りだと思った。
一見して、自分が劣情を感じているのがわかる。顔だけでなく全身が薄紅色に上気し、震えている。そして瞳は潤み、唇はうっすらと開いてあえいでいる。肌が白く、瞳が大きいために、それらが一層はっきりとわかってしまうのだ。それだけではない。感じやすい部分、胸の二つの突起は鏡の中でもはっきりとわかるほど固くなり、さらに……。
「……!」
思わず真っ赤になり、春樹は顔を背けた。その股間の牡茎は、この行為を受けて既に感じてしまっていたのだ。充血し、その竿の部分をはっきりともたげ、先端の鈴口からは、淫らな露が止めどなく溢れだし、牡茎を濡らしている。またその部分が明かりに光ってひどく淫らに見える。
さらに春樹の身体を縛り上げている縄が、それを一層際立たせていた。縄は彼の首に輪になってかけられ、そこから二重にそろった状態で身体を縦割りに緊縛(きんばく)している。その前面の部分で幾つかの結び目がこしらえられていた。そしてちょうど臍(へそ)の下あたりにも結び目があり、そこから縄は一旦二つに割れ、牡茎の左右を挟むようにして股間をくぐらされている。その後ろ、秘孔のあたりで再び結ばれて一つになり、背を這いのぼった形で、最初に首に回された縄の後ろを再度くぐり、引き締められて春樹の身体を締めつけているのだった。
そうやって、縄と縄に挟まれた格好の牡茎は、後ろで縄が強く引っ張られているため、絞り出されるような形で際立って見えてしまっていた。左右に渡された縄で根本を擦られているため、その擦過する感覚が、縄が股間に食い込む感触とともにひどく淫らな劣情を伝わらせてくるのだ。
十二年もの間、性奴としてラグル前国王に嬲(なぶ)られ続け、都合のいい身体に調教され続けてきた春樹の身体は、わずかな刺激にも反応してしまうほどに感じやすくなっていた。

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