書籍情報

仔羊は魔界の伯爵さまの腕の中【書下ろし】

仔羊は魔界の伯爵さまの腕の中【書下ろし】

著者:稲垣さくら

イラスト:故知

発売年月日:2014年10月03日

定価:935円(税込)

「今までで、一番の快楽を羊に教えてやろう」 「や、ぁ…んっ……」 神父見習いの羊(よう)。愛らしい外見と何事にも一生懸命な性格は町の人達に愛されている。羊はある日トマト畑でサミュエルと出会う。煌(きらめ)く碧い瞳と黄金色に輝く髪を持つ完璧な容姿のこの男は、人の体液が好物の進化した魔界のバンパイアだった。キスさえしたことのない清い体をサミュエルに食料として捧げ嬲られるうち、体の喜びを知る羊。自分は単なる食料、それとも? 悩む中、羊は中央教会にサミュエルを殺せと銀の杭を渡されるが……。

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登場人物

サミュエル
人間の年齢では25歳ぐらいにあたる。魔界に住む進化型の吸血鬼。由緒正しい伯爵家の主。
羊(よう)
20歳。神父見習い。色が白くてくてかわいい。

立ち読み

ベッドに仰向けに押し倒された羊(よう)は、ぎゅっとシーツを握り締め、全身をこわばらせる。
サミュエルは羊の腰を跨(また)ぐと、大きな手のひらで顎を掴(つか)んだ。
「今夜も、随分、緊張しているな」
真っ直(す)ぐに見つめられ戸惑う自分の表情が、宝石のように煌(きら)めく碧(あお)い色の瞳に映し出されている。
相手は、ただでさえ、同性の羊でも見とれてしまうほどの美貌の持ち主だ。
これから、そのサミュエルに施される行為を頭に思い描くだけで、動悸が激しくなる。
「まあ、いい。ディナーは時間をかけて、楽しむものだ」
サミュエルは目を細め、やわらかな笑みを浮かべると、羊に唇を重ねた。
同時に侵入してきた舌に、歯列をなぞられる。
「んっ…ぅ、んっ……!」
激しく吸い上げられ、息苦しさに喘(あえ)いだその僅(わず)かな隙に、サミュエルは、するりと奥へ忍び込んできた。
舌をねっとり絡められると、少しずつ身体(からだ)から力が抜けていく。
「ん、ふっ…ぁ…っ……」
口の中を蹂躙(じゅうりん)され 飲み込めず溢(あふ)れた唾液が、唇の端からこぼれ落ちた。
心臓はどくどくと速い鼓動を打ち続け、気を失う前のように頭の中が白くなっていく。
「ふぁ、っ…ん、っ……」
濃密な口づけは、硬く縮こまっていた羊の身体に熱を灯(とも)し始めた。
次第に体温が上がり、血液が下腹部へと集まっていく。
サミュエルは唇を離すと、羊が顎へとこぼした唾液を舌でなぞった。
「キスだけで、こんなに甘くなる。本当に感じやすい身体だな」
羞恥に頬が紅潮する。
「か、感じてなんかいませんっ……!」
思わず大きな声が出た。
「隠しても無駄だと言った筈(はず)だ」
彼は口角をきゅっと上げ、少しくせのある羊の黒髪を梳(す)くように撫(な)でる。
「んっ……」
そんなところまでも性感帯になってしまったのだろうか。
指を動かされる度、くすぐったさに似た卑猥(ひわい)な痺(しび)れが羊の下肢に走った。
「言っただろう? 羊が快感を覚えると、体液の味が変わるから、すぐに分かる」
羊の髪を弄(もてあそ)びながら、サミュエルは再びキスをする。
先ほどよりは少しやさしく、唇を食(は)むように、ゆっくりと口づける。
傍から見れば、二人は恋人同士のように思われただろう。
でも、このキスは愛情表現ではない。
サミュエルは、進化型のバンパイアだった。
バンパイアといえば、生き血を吸うのが一般的なイメージだが、進化型の種族は、人間の血液ではなく唾液や涙や汗など、体液を好むという。
「んっ、ふぅ…んっ……」
長く深いキスからようやく解放された羊は、悩ましい息を漏らした。
身体が熱い。
シャワーを浴び、さらさらになっていた肌に、うっすらと汗が浮かび始める。
「良い香りがしてきた」
寝間着のローブの腰紐(ひも)を解かれた。
サミュエルは上体を屈め、露(あら)わになった羊の白い胸に唇を寄せる。
「あっ……」
小さな果実のようにぷつんと尖(とが)った左の乳頭にいきなり歯を立てられ、羊は悶(もだ)えた。
硬い歯に挟まれた敏感な赤い粒を舌が何度もつつく。
「そこ、っ…イヤ……で、すっ……」
羊はサミュエルの頭を引き剥がそうと必死に髪を引いたが、無駄な抵抗だった。
乳首を唇に含まれ強く吸われ、腕の力が抜けてしまう。
「ああっ…ん、っ……!」
指は縋(すが)るものを求めるように、サミュエルの金色の髪の中をさまよう。
「くすぐったいな」
サミュエルは、羊の両手を掴むと、頭の上にねじ上げた。
先ほど解いたローブの腰紐で手首を縛る。
「食事の邪魔をするとは、行儀が悪い」
抵抗を封じると、サミュエルは再び、羊の胸にむしゃぶりついた。
「あっ、イヤ…っ……!」
一方を唇に含みながら、もう片方の乳頭は指で転がすように刺激する。
「んっ、ぁ…っ……」
指と舌で愛撫を繰り返された羊の乳首は、サミュエルの唾液でべとべとに濡らされた。
敏感な場所は、身体の中で繋(つな)がっている。
先ほどのキスで大きさを増していた羊の脚の間のものが、胸を刺激される度、反応する。
それは、いつの間にか、下着の上からでもくっきり分かるほど形を変えていた。
「いやらしい」
サミュエルは美しい笑みを浮かべると、羊の下肢へ指を伸ばした。
「まだ直(じか)に触れてもいないのに、本当に卑猥な身体だ」
「ちがっ…イヤっ……」

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