「あ、ん、んぅ……っ」
こぼれそうになる嬌声(きょうせい)を、ヴィオレッタは必死にこらえた。
燭台の灯りでほのかに照らされた部屋で、ヴィオレッタは寝台に横たえられていた。身に着けていたドレスの裾は大きくたくし上げられ、つい先日まで男を知らなかった秘部がむき出しとなっている。
「声を我慢する必要がどこにある。ここには私とお前しかいないぞ?」
彼女の秘部に舌を這わせている男性が、嗜虐(しぎゃく)的な声色で呟く。舌を動かしてヴィオレッタの蜜を舐めとるごとに、彼の真紅の髪が揺れ動いた。
「エ、エカルラート様、おやめくださ、んんっ!」
「やめてくれというのか? お前のここは、こんなにももの欲しそうにしているというのに」
エカルラートと呼ばれた男性が、真紅の瞳でヴィオレッタを見据えた。
彼女は乱れている姿を見られる恥ずかしさに、思わず顔をそむけてしまう。
「いまさら何を恥ずかしがるというのだ。お前が乱れる姿など、もうすでに見慣れている」
「ん、んうううう!」
エカルラートが、ヴィオレッタの花(か)芯(しん)を指でつねった。快感が電流のように全身を駆け巡り、喉が己の意志とは無関係に震え、淫らな声を紡ぐ。
ヴィオレッタは口を手で覆い、溢れる声を抑えようとした。そんなヴィオレッタの様子を愉しそうに眺めたあと、エカルラートは彼女の花芯を強く吸い上げる。卑猥(ひわい)な水音を立て、エカルラートの唇がヴィオレッタの敏感な突起を刺激した。
「ん――ああああっ!」
あまりに刺激的な快楽に、ヴィオレッタは身を反らした。こらえることができず、甲高い声が室内に響く。
「ようやく素直になったか。手のかかる女だ」
嬌声を漏らしたヴィオレッタを見て、エカルラートは満足そうに呟いた。
「もっとも……だからこそ愛でる甲斐があるのだがな……」
エカルラートはそう言って、ヴィオレッタの蜜壺を指でなぞり上げ、その指をヴィオレッタの顔の前まで持ってくる。
「見えるか? これが、お前の身体から溢れた蜜だ」
指を濡らす液体を見せつけるように、エカルラートは指を擦り合わせた。粘性のある液体がそのたびに卑猥な音を立てる。
「いやぁ……。見せないで……」
自分の身体から溢れた蜜を、男性が弄んでいる。その光景の卑猥さに、ヴィオレッタは顔を手で覆った。
「これだけ濡れているのだから、もう問題ないな」
エカルラートの声が遠ざかる。その後、蜜壺に熱い何かが触れたのを感じ、ヴィオレッタはおそるおそる顔を覆う手をずらした。
「っ……!」
ヴィオレッタが息を呑む。蜜壺にあてがわれていたのは、エカルラートの雄根だった。
「……行くぞ」
そう呟くと、エカルラートはゆっくりと腰を前に進めてきた。肉を掻き分けられる息苦しさに、歯を食いしばって耐える。
「呼吸を止めるな。ゆっくりと息を吐き出すのだ」
エカルラートの言葉に従い、止めていた息を時間をかけて吐き出す。わずかにだが、息苦しさがやわらいだ気がした。
やがて、エカルラートの動きが止まる。彼の全てが収まったのだと、そのときになってようやく気づいた。
「くっ……。何度やっても、ここだけは乙女のように変わらないな……」
エカルラートが、苦悶の声を上げる。見ると、すぐ近くにエカルラートの顔があった。
美の神の祝福を受けているかのような、完璧な目鼻立ち。真紅の髪と、同色の瞳。その瞳の奥に、ヴィオレッタの紫色の瞳が映っている。
吐息が触れ合うような距離で、二人は見つめ合う。まるで、恋人同士の密会のようだと、ヴィオレッタは思った。
(そういえば……)
エカルラートの肉厚な唇が目に入り、ヴィオレッタはあることに気づく。
純潔を彼に捧げ、全身を余すことなく愛撫され、毎夜のように互いを求めあってなお――
ヴィオレッタは、一度も彼とキスをしたことがないのだった。
「動くぞ……!」
耳元で囁いたあと、エカルラートは抽挿を開始した。
エカルラートの分身が、ヴィオレッタの肉壁を擦り上げる。蜜壺を削ろうとするかのような激しい動き。けれど、先程の息苦しさとは別種の快感が走り、ヴィオレッタは身をよじらせる。
エカルラートが一往復するたびに、ヴィオレッタの最も深い部分が熱を帯びるのが分かる。それが全身に波及していき、ヴィオレッタは意識が希薄になっていくのを感じた。
シーツを掴み、エカルラートの動きに合わせて腰を揺らす。声はもはや抑える力すら失い、一突きごとに楽器のように声を漏らす。
「エ、エカルラート、さまぁ……っ!」
薄れていく意識をつなぎとめるように、彼の名を呼んだ。腕と足をエカルラートの身体に回し、ぴったりと密着させる。細身ながらよく鍛えられた、自分より体温の高い身体を抱きしめる。
「ぐっ……」
ヴィオレッタが彼に抱きついたことで、エカルラートの動きが早まったようだった。秘所を濡らす水音、肉と肉がぶつかる音、そしてヴィオレッタの嬌声が、これまで以上に響き渡る。
「エカルラート、さまっ、わたし、もう……!」
「達するのか?」
「っ…………!」
その言葉に答えることはできなかった。だが、彼は全てお見通しだろう。寝台の上では、ヴィオレッタは彼に嘘がつけない。
「私も、もうそろそろだ……」
耳に吹きかけられる言葉。それすらも快楽に感じ、ヴィオレッタは荒い呼吸を繰り返す。
やがて、エカルラートが一層動きを増した。ヴィオレッタがエカルラートを抱きしめる腕に力を込めると、蜜壺もエカルラートの分身をさらに締めつけた。
「あ、ああ、ああああっ……!」
(このあとは製品版でお楽しみください)