書籍情報

冷酷刑事になぜか溺愛されています【書下ろし・イラスト10枚入り】

冷酷刑事になぜか溺愛されています【書下ろし・イラスト10枚入り】

著者:ひなた翠

イラスト:龍 胡伯

発売年月日:2019年10月25日

定価:990円(税込)

「いつも怯えた目をしやがって。俺以外のヤツと話すときは笑顔なのになあ……虐めたくなるだろ」
就職に失敗した大川愛依21歳は、父のコネで警察の非常勤職員となった。片思いしている生活安全課の岡本部長と合コンをしたのだが……酔って記憶を飛ばしたら、女嫌いで有名な刑事一課の黒崎部長とベッドを共にしていて……。

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登場人物

◆大川愛依(おおかわ めい)

21歳。浦賀署地域課総務係非常勤職員。素直で人見知りで引っ込み思案。子供、小動物が好き、甘え上手。父も兄も警察官。保育科を卒業したが、就職に失敗。父親のコネで産休に入る人の臨時職員として浦賀署の生活安全課へ。任期を終えて、非常勤職員の試験を受けて見事合格。今は浦賀署の地域課で働いている。
◆黒崎蓮(くろさき れん)

28歳。浦賀署刑事一課一係巡査部長。好き嫌いが激しい、オンオフを切り替える。好きなものへの執着は強い、嫌いなものは無関心。几帳面。仕事に女を持ち込む女が嫌い。高校卒業後、警察に就職。19歳で交番勤務。23歳で刑事一課に異動。24歳で巡査部長になる。恋人はなし。

立ち読み

「いつも怯えた目をしやがって。俺以外のヤツと話すときは笑顔なのになあ……虐めたくなるだろ」


すべてがパーフェクトの男・黒崎(くろさき)蓮(れん)に押し倒された。そのままラブホテルのダブルベッドで組み敷かれている、大川(おおかわ)愛依(めい)は唇を奪われる。


愛依が今まで味わったことのない深いキスだ。唇を吸い上げられたあとに、彼の熱い舌が口腔内に侵入してくる。ぴちゃっとお互いの液体が混ざり合う音がすると、お腹の奥が脈を打った。


「ん……やっ……」


長い口づけに呼吸が苦しくなった愛依は、黒崎の腕を強く押して拒否をする。酸欠で顔が真っ赤になり、ゆっくりと唇同士が糸を引いて離れていく。


荒い呼吸を整えようと、胸に手を置いて深呼吸を繰り返した。


(く……苦しいっ。息が……)


「キスのときは鼻呼吸をしろ」


「え……? あっ。ちょ……んん、んぅ」


再度、深いキスが始まる。胸に置いた手を退けられると、ノースリーブのシフォンブラウスの裾から手を入れられた。黒崎の指先がお腹をなぞり、胸へと到達する。ブラジャーの上から、優しく手の平で包み込んでから揉み始めた。お尻の奥がなぜかムズムズとくすぐったくて、じっとしていられない。腰をうねり、足をばたつかせた。


「やっ……ん、だめぇ」


「布越しに触れただけなのに、固くなった」


「え? あっんぅ、なに……が?」


「乳首。ピンとしてて、ほら……すぐに摘まめる」


「あっ! あ、やっ……ああっ」


満足そうに笑った黒崎が、唇を覆った。上唇をチュッと吸い上げて、舌を入れてくる。愛依は言われたとおりに、鼻で呼吸をするが、すぐに苦しくなる。


固く敏感になった突起を摘ままれ、引っ張られて、悲鳴のような声が無意識にあがってしまう。背中とお腹の奥がおかしくて、繁みの奥がじんわりと湿っていく。おりものがひどいときのような下着の湿り方に、恥ずかしくて両足をこすり合わせた。「大川……悪い、止められそうに、ない……かも」


熱く荒い吐息で、呟くように黒崎が言ってきた。頬が少し紅潮している彼を見るだけで、今まで以上にゾクリと身体の奥から快感の大波がやってくる。


「あの……私、どうしたら……」


「それ、煽るだけだから」


「えっと……でも」


(なんか、黒崎部長……苦しそう?)


そう言うと黒崎は、タオル生地のガウンを脱ぎ捨てた。黒のボクサーパンツ一枚になり、鍛え上げられている身体が露わになる。デスクワークが多いはずなのに、腹筋は六つに割れていた。締まった身体は、愛依の身体の芯を無意識に火照らせる。


「煽ったのは大川だ……と言いたいが。我慢できなかった俺も俺だ。その怯えた瞳がたまらなく可愛いんだ。まるで誘っているように見える」


「さ、誘っていませんっ!」


「知ってる。わかってるが……ったく。本当に! 何なんだよ、お前はっ」


「えっ? ええ……っと」


急に怒ったような声をあげてきた黒崎に、軽いパニックになった。何が起こっているのだろうか? 頭は割れそうに痛いし、世界はグルグルと回っているし。お腹の奥がジンジンと熱くなっている。


「私は……酔っています」


「知ってる。俺の隣で飲んでただろ」


そうだ。今夜は合コンだった。片思いしている岡本(おかもと)薫(かおる)ともっと親しくなるはずの合コンだったのだが……。酔って記憶を飛ばし、前後不覚になっている愛依を介抱してくれたのはどうやら女嫌いで有名な黒崎だったようだ。


女にはとことん冷たく非道な扱いをすると聞いているのだが、どうして愛依は組み敷かれているのか、不思議だ。


(キスもした……それも、深いヤツを)


「私はっ! その……大人の女性とは程遠いので、そういうのが下手ですが……というか! 未経験ですが。ここがラブホテルなのは理解してます。どういうところかもわかっているつもりです。私と黒崎部長がそういう雰囲気になりつつある……という気がしているのですが、合っているのでしょうか?」


「合ってる……が、いちいち確認するか?」


「違った場合、気まずいと思って」


「今がすでに気まずい雰囲気だろうが」


「ああ……っと。できれば、エッチなしがいいかな? と」


「ほう?」


片眉を引き上げて意味ありげに黒崎が笑みを作った。胸にあった手が、またお腹をなぞって下におりてくる。スカートを捲り、一分丈のスパッツの上から愛依の秘部に指先を這わせた。


「湿ってるけど? それに甘い愛液の匂いもする」


「ちょ……、そんなとこ触っちゃ……んぅ、あっ」


触れられた箇所に電気が走ったかのように身体がビクビクと震えた。今まで味わったことのない感覚に、声が勝手に漏れ、身体がビクつく。恥ずかしくて、顔が燃え上がったかのように熱くなった。


(なに、これ……どうしたらいいの?)


「あれ? 理解してるんじゃないの?」


「りっ、理解と経験はちがっ……ああっ! やっ。なに、ああっ、身体が……」


(勝手にビクビクする)


「理解と経験は違う、ねえ」


フッと笑みを零した黒崎が、チュッと音をわざとたてて太ももに吸い付いた。くすぐったいのと違うゾクッとした寒気のような感覚が脳天へと走り、腰が勝手に動いた。


「ここ弱い?」


「やぁ……ああっん。ゾクッてする。くすぐったいのとは違う感覚で――」


「それが正しい反応だな」


スパッツと下着を一気に脱がされた。誰にも見せたことない繁みが、いま黒崎の視界に捉えられている。足を閉じようとしたが、動きを予想されていたのか、肩を入れられて阻止されてしまった。下着を床に落とされると、彼の指は蜜が溢れ出ている蜜壺に触れた。中指を吸い込むように飲み込んでいく。クチュっと水音が小さく鳴り、あっというまに指の付け根まで咥えた。


「あ、あ……指が……だめえ、出して」


「わかるか? 入ってるって。ヒクヒクして指に絡み付いてくる」


「ん、あっ、ああ……変になっ……おねがっ、あん、動かし、ちゃ……やだっ、だめえ、あああああっ」


(やだ。怖い。お腹の奥が……ヒクヒクして、キュウッてなる)


愛依のお願いは聞き入れてもらえず、黒崎の指が激しく動き始める。嬌声が悲鳴のようにあがり、目の前の世界がチカチカしてから真っ白になった。全身が痙攣して、どっと汗が噴き出した。


荒々しい呼吸のまま、愛依はベッドの上でぐったりと力が抜けた。お腹の奥の奥が、まだ小さくヒクついている。自分の身体はどうなってしまったのだろうか。


意思とは裏腹に熱くなって、苦しくなって、痙攣して力尽きてしまった。


「イッたばっかりなのに悪いな。俺も、限界」


(イッたばかり? 限界……?)


ベッドの脇にある棚へと黒崎が手を伸ばし、籠の中から小さい袋を取り出した。兄の部屋で見たことがある。避妊具だ。


「痛かったら言えよ。止められるか……どうかはわからないが」


「え?」


「愛依の小さい口に、俺のをいれるんだよ。さっきより濡れたから入るとは思うけど、痛いのはどうにもできない。ゆっくりと慣らしてあげられればいいんだけど、な」


申し訳なさそうな表情で黒崎がほほ笑んだ。優しくて温かみのある顔だった。仕事場では見せない感情が見られて、愛依はお腹の奥がきゅっとなった。


「いれるぞ」


「いっ……」


グッと蜜口が押し開いていくのがわかった。ゆっくり開いていくと、ピシッと裂けるような痛みが走った。


「痛いか?」


熱い吐息とともに、愛依を思いやる囁きが聞こえる。


(痛いけど……それだけじゃないのは、どうして?)


愛依は頭を振ると、黒崎の首に抱き付いた。


「あああ……あっ、あ、んぅ」


奥まで入りきると、黒崎が唇を重ねてきた。薄く開いた口から舌が入ってきて、愛依も舌を出し、お互いの舌を絡めた。


(これが……セックス。どうしよう……痛いのに、気持ちいいっておかしい、よね?)


愛依の知識では、初めては痛いだけのはずだった。経験済みの友人たちは皆、口を揃えて痛いと話していたから。友人によっては、痛みがつらくて彼氏と喧嘩した、とか。


「ああ……またっ! ん、んぅ……んんんっ」


「イキそうか?」


至近距離で、整った顔が愛依に問いかけてくる。微かに香る彼の煙草の匂いが、頂点への扉に手をかけた。


(ジンジンしてきた)


「い……イキっ……たい」


「待て、大川……俺も」


腰のリズムが速くなる。身体と身体のぶつかり合う音が大きくなり、びちゃびちゃと鳴る水音も激しさを増し、愛依の耳までも犯してきた。


「やだ、だめぇ……も、う」


勝手に腰が震えだし、背中が反った。黒崎の白い熱が子宮の手前で解き放たれるのと同時に、ピンとつま先が伸びて愛依が身体を震わせた。指のときよりも強く長い痙攣(けいれん)で、彼の雄に噛みついていた。


「すごいな、絞り取られるのがはっきりわかる、とは」


「あっ……ん、ちが……勝手に」


快感の大波がひいていくと、愛依は彼に抱き付いている手を放してベッドに身体を放り出した。力が入らない。お腹の奥がジンジンとして熱くて、何も考えられそうにない。


「大川、好きだ」


「……え?」


「わかってる。俺以外のヤツが好きなんだろ? 少し寝ろ。起きたら、送っていくから」


愛依の中から出た黒崎が寂しそうに微笑んで、額に軽いキスを一つ落としてくれる。


「あの……」


「今夜のことは悪い大人に捕まったと思え。次からは記憶を飛ばすほど、酒を飲むな」


「……はい」


愛依の返事に満足したのか、黒崎はベッドに横になった。温かい腕が愛依の身体を包み込んでくれると、彼の寝息がすぐに聞こえてきた。


(黒崎部長が、私を……好き?)


信じられない。エッチをしたから、社交辞令として言っただけかもしれない。仕事場が一緒といっても課が違うし、仕事をしている部屋の階数だって違ってあまり接点はないのに。


ちゃんと会話したのだって、合コンで隣同士に座ったからで、大半が仕事の話で終わったというのに。どこに好きになるような要素があったというのだろうか?


短大のときの友人である小川(おがわ)美里(みさと)ならわかる。美人でスタイルがいい。男性と話すのも上手だ。ボディタッチもさりげなくできて、テーブルの向かい側で見ていて胸が苦しかった。片思いの岡本が、美里とすごく楽しそうに話しているのを見ているのが辛かった。


勇気をだして合コンをセッティングしたのは岡本と仲良くなりたかったからなのに、と。愛依は優しくて温和な岡本に想いを寄せていた。合コンでは、岡本が美里に惚れていく様を、指を咥えて見ているだけだった。


愛依を抱きしめて眠った黒崎の顔を眺めた。


(あ……目の下にクマが)


泊まり業務を終えて、今日は明けで早く帰れるはずなのに、そのまま夜まで残業をして、遅れて合コンにも参加してくれた。女嫌いの人が。岡本と同期だからと誘われたらしい。意外と友人思いの良い人なのかもしれない。


ベッドに横になったままで、手を伸ばしベッド脇に置いてあった鞄をとり、中に入っているスマホを取り出す。時間も知りたかったけれど、みんなからラインが届いているかも気になった。合コンの幹事として、みんなの感想が知りたい。


『薫さんと付き合うことになりました! よろしく』


(うそ……?)


合コン女子メンバーのグループラインに、美里から写真付きラインが入っていた。笑顔の二人が寄り添う姿に愛依は、『失恋決定』の棘のある文字が胸に突き刺さった――。


(このあとは製品版でお楽しみください)

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