書籍情報

一途な純情御曹司と、お世話係な私~恋愛対象外だった幼馴染にまさか迫られています~【書き下ろし・イラスト5枚入り】

一途な純情御曹司と、お世話係な私~恋愛対象外だった幼馴染にまさか迫られています~【書き下ろし・イラスト5枚入り】

著者:百門一新

イラスト:緒田涼歌

発売年月日:2021年4月30日

定価:990円(税込)

「目の前に好きな相手がいて、ようやくキスできるようになったのに、見るなって方が無理だ」
二十九歳の穂花には、御曹司の幼馴染社長がいる。ずっと一緒にいるせいで結婚予定だと噂されているが、よく口喧嘩もする「ただの世話係」……だったはずなのに、ぐでんぐでんに飲んで愚痴りまくっていたら、なぜか本人がいてベッドに強制連行されて!?

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登場人物

◆立河穂花(たちかわ ほのか)

恋や理想より、仕事で生きてきた「仕事ができる女」29歳。自分勝手な幼馴染の御曹司の世話焼きで、いつも手いっぱい。そろそろ自分の人生を考えて、世話係を卒業しようかなと考えていて。
◆京之塚晃(きょうのづか あきら)

いつも偉そうで自信たっぷりの、穂花の「幼馴染のイケメン御曹司」29歳。現在は若社長。実のところ、初恋にはピュアで、いったん仮面が崩れた以降、穂花の前でよく赤面顔を晒すことに……。

立ち読み

プロローグ

 

ホテルの一室で、ベッドが小さく軋み喘ぐ声が響いている。

普段文句の応酬をし合っている幼馴染の晃(あきら)の身体が、まるで別人みたいに男の一面を見せて、穂花(ほのか)に重くのしかかってきていた。

厚いその胸板を押すものの、どかすこともできない。

「んっ……んん」

反論の言葉は、キスで晃(あきら)の口の中に消えてしまう。

どうして私、こんなことに?

先程まで会社の後輩と、もう一人の幼馴染と飲んで愚痴っていた。今、その文句を言いたい相手に組み敷かれて、舌を絡めるキスをされている。

「んぅ……ん……んっ」

お酒で力が入らない。

彼とは幼馴染で――穂花は、ただの世話係なのに。

「ふぁっ、あ、んぅ」

逃げる舌を、淫らな動きで追いかけられる。

それは、唐突にキスをしてきたあの時と同じだった。どこか強引なようでいて、優しくて、大人のキスだ。

なすがままにされたいような、流されてしまいたいような。

でも、どうしてまた私は晃にされているのか?

「んんっ」

思考が理性に引き戻されそうになるたび、それを分かっているかのように彼が穂花を快楽へと誘う。

呼吸もままならなくて、それなのに〝気持ちいい〟だなんて。

「ん、んんぅ……!」

舌の根を吸い上げられて、じーんっと脳芯が甘く痺れた。

頭の中まで、蕩けてしまいそうになる。私達、ただの幼馴染なのに……という言葉が何度も脳裏を過ぎった。

体を重ね合わされているせいで、互いの体温の高まりを感じた。

おかげで口付けの熱も、一層いやらしさを増すようだった。

「……ゃ、だ。あき、ら」

口付けの合間に喘ぐものの、声は甘い。

普段は女扱いしてこない腕が、肩を抱いてきた。

「ふっ……んんっ……ン」

なだめるみたいに、穂花の口内を大胆な動きで優しく愛撫してくる。まるでロマンチックな大人のキスだった。

こんな彼なんて、知らない。

戸惑い、舌が後ろへ引っ込むと優しく引っ張り出される。

「んんっ、ん、んぅ……っ」

後頭部を撫でられ、首の後ろを支えられた。

顎のラインをかすった指の熱に、ぴくっと体が反応して、撫でられ無意識に口を開けさせられてしまう。

情熱的なキスに、ただただくらくらした。

知らず知らず彼の服を握り締め、受け止める。

「気持ちいいか?」

ふっと唇を離して、近くから尋ねられた。

やや呼吸が上がった幼馴染の目は、見たこともない熱が宿っていた。

「穂花」

いつもより甘い声で、晃が名前を呼んでくる。目を合わせただけなのに、まるで惹かれ合ったかのように再び唇を重ねられた。

柔らかな唇を押し付けられたと思ったら、食べるみたいに貪られる。

ぬるりと舌を入れられ、絡め取られて中を執拗に愛撫された。

「ん……っ、ン」

熱い吐息ごと、貪るみたいにキスを求められた。

幼馴染の男の一面に、穂花は小さく震えた。彼の片手が体へと伸びて、衣擦れの音に肩がはねた。

「あっ」

官能的な愛撫に、お酒で熱を持った身体がぴくんっと反応する。

でも唇を離してもらえなかった。

「んんーっ」

ちゅくりと舌を吸われて、喘ぎも彼の口へと消える。

体のラインをなぞられる感触に、びくびくと腰がはねた。腰から脇腹、腹をゆっくりと掌で触りながら、上へと向かう。

触れられるたび、火が灯っていくみたいだった。それでも晃の口付けは止まらなくて、体はぞくぞくと甘く痺れるばかりだ。

まるで、期待しているみたいじゃないの。

込み上がるいやらしい気持ちを、穂花は否定しようと思った。

「んゃっ……、ンン」

だが直後、彼女はビクンッと腰をはねさせた。

秘められた場所の疼きを察せられているのか。彼がズボン越しに、足でぐりぐりと擦り付けてきたのだ。

ひくひくと疼きだしている蜜口が、きゅんっと反応する。

いよいよ逃げなくてはと穂花は思った。こういった経験はなかったが、彼が意図的に足で刺激してきているのは分かった。

けれど、泥酔した身体は自由にならなかった。

「は、ぁ、んぅ」

せめて腰を逃がそうとするものの、自分から彼の足に擦り付けるようになってしまって、ひくんっと足の間が疼きを増した。

不意に晃が、よりのしかかってきた。

くちゅくちゅと淫らな音を立てて、激しく舌を擦り合わされた。

「んっ、んんっ、ふぁっ、あっん」

いやらしい水音に、ますます穂花は羞恥を煽られた。割り入れられた足が、足の付け根ごと体を揺らしてくる。

体の奥が、どんどん熱を帯びてくる。

ぴたりと体が重なって、どこにも逃げられない。

「穂花、想像していた以上だ」

酸素を求めて喘いだら、晃のそんな声が聞こえた。けれどまたすぐ深く口付けられ、途端に思考する力も失っていく。

ちゅくりと音を立てて舌同士を擦り合わされる。唇を愛撫されるたびに、与えられている疼きは増して官能への欲求が増し。

触れている全部が、燃えるみたいに熱い。

穂花は、自分だけでなく幼馴染も興奮しているのだと分かった。

キスの方に気を取られて、服の上から、形を確認するみたいに体を撫でていく手さえ心地良く感じてしまう。

――でも、そんなんじゃだめなのだ。

ただの幼馴染同士だったのに、なんでこんなことになっているの?

「んんっ!?」

不意に、ジャケットを開かれてびっくりした。

彼の大きな手が、内側へ滑り込んできて急くようにまさぐってくる。遠慮のない手付きに焦燥が込み上げた。

でも、その間も、口内を舌でくすぐられて文句の一つも言えない。

「ンン、んっ、ふぅ」

荒々しい手付きだ。それなのに肌から彼の大きな手の温もりが伝わってきて、背中にぞくぞくと甘い痺れが走るのだ。

下腹部の奥に、じんわりといけない熱が増す。

キスも触れられる行為も、気持ち良さが勝って抵抗を一瞬忘れた。

「あっ、ぅ」

彼の手が、柔らかな膨らみを包み込んだ。

その乳房に手を掛けられた瞬間、ベッドの上ではねた。じーんっと体の芯が温度を上げた気がした。

揺らすように形を変えられて、初めての快感が弱々しく起こり始める。

「穂花」

キスの合間に、甘く求めるような声で呼ばれた。

どうしてそんな風に呼ぶのか。戸惑っている間にも、口付けられながらシャツの上から乳房をもみしだかれた。

キスとはまた違う、不思議な甘い心地が込み上げてくる。

間的には、そうかからなかったことだろう。それなのに、くらくらして穂花はたっぷりの時間に思えた。

「んっ……ん……んんっ」

ちゅくちゅくと深い口付けをされながら、角度を変えて、感じ入るように柔らかな胸を撫でられる。

どうしよう、力が全然入らない。

快感に目も潤ませて、穂花はくらくらしながら思った。

想像もしていなかった大人の激しいキスだけでなく、彼に体を探られる感触だけで、どんどん力が抜けていってしまう。

「んんっ」

彼の手が、穂花の大きな胸を下から包み込む。

どこか官能的な動きで、豊かな胸の形を変えさせられた。その指先が膨らみをなぞり、胸の先端を探り当てた。

「んっ、は、ぁん」

胸の先を、指先でくすぐられて妙な気持ちが起こる。次第に、そこが固くなってくるのを感じた。

これを、やめさせなければと思う。

こんなのはおかしい。彼は、一度だって穂花を女として見たことなんてないのに――。

 

そう思っている間にも、晃は酒で火照った穂花の体を触り、あっという間にジャケットまで脱がしてしまった。

ギシリ、と二人の体重でベッドが軋んだ。

「穂花」

熱い吐息を耳に拭きかけられてゾクゾクした。

肌に吸い付く湿った唇の感触。なぞられる手の熱、これまで一度だって触れられたこともなかった場所に晃が触れていく。

本当に、どうしてこんなことになっているのか分からない。

晃は、幼い頃から一緒にいた幼馴染だ。そして穂花は、お目付け役の世話係みたいなものでもあった。

彼にとっては、ちっとも対象ではない女性のはずだった。

それなのに――。

「いい声だな」

自分とは思えない甘い声を出された。それを晃が、男の顔で満足そうに言って、首にキスをしてくる。

彼とは日頃から口喧嘩もする仲だった。

どうして私は、彼にベッドに組み敷かれているのか?

「お前に、ここで分からせる」

――それって、一体何を?

戸惑う間にも肌を愛撫され、とうとう乳房を直に揉まれた。固くなった先端を、彼の指先が官能的に刺激してくる。

力の抜けた手では、止めることもできなくて。

「やだっ、だめ」

晃の手が、秘められた場所へと滑り込んだ。聞こえてくるいやらしい水音に、ますます穂花は羞恥を煽られた。




(このあとは製品版でお楽しみください)

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