白い猫耳と尻尾を持つ猫族のメイにとって、その跡取り同士の異種婚は唐突なものだった。
結婚命令が出た相手は、昔からずっと彼女のことを嫌ってきた犬耳と尻尾持ちの犬族のイヴァンだ。黙々と婚姻式を進めている彼が信じられなかった。
だがこの幼馴染は自分には欲情したりしない。
さすがに初夜は遂行しないだろう――と願いを込めて思っていたら、その予想までが外れた。
「あ、だめ……なんかぞくぞくするし、恥ずかしいから、んっ」
メイは今、イヴァンに組み敷かれて夜着の上から胸の膨らみを揉まれていた。薄い夜着一枚は頼りなく、ほとんど直で触られているような感覚だった。
「もっと恥ずかしいことをするのに?」
イヴァンは首や鎖骨を舐めながら、メイの胸を上下に揉み込んだ。次第に円を描き、下からぎゅっと持ち上げ、先端部分を指先ですりすりと撫でる。
「やっ、それ、だめっ」
びくんっと背が反った。
乱れた夜着から覗いた胸の谷間に、イヴァンが口付ける。舐められてぞくぞくした直後、不意にチリッとした痛みが走って驚いた。
「やんっ……な、何?」
「キスマークを一つだけ。初めてだし、感度がいいみたいだから今日はこれ以上付けない。酒が効いているのか……いや、それとも元々メイが敏感なのか……」
彼が胸元で何か呟いているが、メイはそれどころではない。
イヴァンの片手が夜着の上を滑り、脇から腰までを辿って、長い指先がすりすりっと尻にもかかった。
なぜか彼に触られるたび、お腹の奥がひくんっと疼く。同時に熱くなってきた。
「あっ……」
足が勝手にもぞもぞと動いていたようで、目ざとく気づいたイヴァンが手を差し込んで大きく開き、膝の内側から太腿までを撫でてくる。
その光景に、胸がばくばくした。
恥ずかしい。でも、抵抗したいのに身体がうまく動かせない。
胸を揉まれて身体の中心が疼いた。そのうえ彼が付け根の近くまですりすりっと撫でると、祝い酒を飲み交わした際に、喉を降りたかぁっと火照るような感じが足の間に込み上げた。
「触るの、だめ……あぁ……あっ……イヴァンッ」
熱に浮かされながら名前を呼ぶ。
すると彼が止まり、喉仏を上下した。
「――悪くないようなので、邪魔だし、脱がすぞ」
「えっ、ま、待って」
腰紐が解かれて、あっという間にメイは裸体の正面を晒すことになった。彼は恥ずかしがっているのも待たず、自分も羽織っていただけの一枚の衣装を脱ぎ捨てた。
メイは、彼の割れた腹筋に目が吸い寄せられた。
なんて鍛えているのだろう。それに続いて、自分にはないものがそそり勃っている光景に、目を見開く。
「こ、これ……発情?」
「そうだ」
まさかと思って尋ねたら、イヴァンから即返事があった。
男性はそこが大きくなっていると、子作りができるとは教えられていた。血管が浮き、今にも腹につきそうなくらい主張しているそれをまじまじと見る。
彼が、本当に子作りができる状態らしいことにもメイは驚いていた。
「ま、待って、確かこういうのって女性が準備を手伝ってとか聞いたんだけど」
しかも彼が相手にしているのはメイだ。何もしていないのに、こんなに大きくなっているのもわけが分からなかった。
「見ての通りだ。その必要はない」
「でも……でも、だって……」
「まだ言葉が必要か? 俺達に必要なのは――これだろう」
え、というメイの言葉は、イヴァンの中に消えた。
「……んっ」
彼女の唇は、彼の唇に覆われていた。
状況を理解した頃、ゆっくりと食まれる。イヴァンのキスは、彼の性格からすると信じられないくらい優しい印象だった。
しっとりとした感触を感じさせられて間もなく、メイから湿った吐息がもれる。
「メイ……」
唇を重ね直した彼が、指を絡めて手を握った。先程よりも深く、艶めかしく吸い立てられてメイの身体がぴくっと揺れる。
(あ、キス、もっと気持ちよくなった……)
これが、気持ちいいという感覚らしい。彼が言っていた言葉が脳裏に浮かんだ。重なっている彼の、たくましい胸板に乳房が形を変えるのも変な感じだ。
すると、力が抜けたのを感じ取ったのか、イヴァンが唇の隙間に舌を押し込んできた。
「んんっ……んぅ……ン……っ」
舌同士をこすり合わされる。蛇みたいに絡められたかと思うと、吸われ、ねっとりと口内の隅々まで舐められる。
苦しいけれど、彼が言っていた『悪い感じ』ではない。
なんだかお腹の奥がむずむずした。腹部に彼の硬くなったものがこすれているせいだろうか。それとも、しっとりしてきた二人の肌の感触がそんな変な気持ちにさせるのか。
「んぁっ、ん……んん」
乳房を愛撫される。触れられたばかりだった頃とは違う、ぞくぞくっとした甘い感覚が背筋を走り抜けた。
手の拘束が解けたので咄嗟に彼の腕を掴んだが、力は入らなかった。
息を次第に荒らげながら、イヴァンの手が身体を這う。
「メイ……、メイ」
親指で押すように彼の両手が腹部へと降りた。腰を覆い、くり、くりと押してくる。
「んんっ」
疼く奥が甘く痺れる感じがあった。尻尾に力が入って浮き上がると、彼のふわふわとした大きな尻尾が上から覆いかぶさってくる。
息が苦しくなって涙が滲んだ頃にようやく、長いキスが終わった。
くったりして酸素を何度も吸い直す。イヴァンはメイの腰を撫でたまま、熱を帯びた肌に口付けを落とし始めた。
「ぁ、ン」
乳房を舐められた。乳首をぴんっと弾かれて、そのままばくりと口に咥えられる。
「あぁっ、……あっ」
吸い付き、舌で硬くなった部分をこりこりとされてびくんっと背がはねた。
すると彼の手が足の付け根に回ってきて、メイはびくっとした。
「や、だめ、今触っちゃ……!」
けれど、彼の指は呆気なくそこに辿りついてしまう。
――ぬちゅ、と湿った音がした。
メイは顔を真っ赤にした。
疼く感じがするのは分かっていた。キスを気持ちよく感じ始めると共に、ひくひくっと脈打ってしっとりと濡れ始めていたのだ。
「……ゃ、違うの、これは」
「感じると濡れるものだ。イきたいんだろ?」
「そっ……!」
それは違う、とは否定できなかった。
イヴァンが蜜口の上あたりをやわやわと撫で始めた。途端に、甘い痺れが走り抜け、奥がじーんっとするような気持ちよさがあった。
腰が揺れて、もっと欲しいとお腹の奥から本能的な感情が込み上げた。
尻尾をぴんっと伸ばして先を曲げると、彼が大きな尻尾でくるんっと包み込んで、さわさわと撫でてくるのも快感になった。
「んゃっ、あ……あぁ……っ」
びくんっびくんっとはねるメイを見つめ、イヴァンが腹にもキスをする。舌を這わせ、臍の窪みまでつうっと滑らせ、びくびくっとした下腹部にも吸い付いた。
「んんぅっ」
彼が熱い吐息をもらして頭を起こし、自分の指を舐めた。唾液をたっぷりまとわせると、メイの花唇に、つぷ、と沈める。
「ひゃっ、や、やめてっ」
「抱けることを証明すると言っただろう。ここをほぐさないと初夜ができない。それに――メイも、いいんだろ」
彼の指が、もっと中へと進んで浅い場所を探った。
「……あっ……あ……」
ぬるっとした水音を立て、中で動く指が気持ちよかった。
奥がきゅんっと何度も収縮する。欲しがって、尻尾ごと腰が揺れた。
「あっ、あ、だめ」
「すごいな……うねって、吸い付いてくる。もう三本入った」
「ひぅっ、そこ、こするのやぁっ、気持ちよくて……っ」
よがる顔を、彼にじっと見つめられているのも恥ずかしかった。
イヴァンが胸を愛撫してきた。乳首に軽く歯を立ててこすり、それと同時にもう少し指を奥へと進め、くちゅくちゅとかき出すように出し入れする。
「だめ……あっ、あ、だめなの……きちゃうっ」
初めての快感に戸惑いながらも、メイは本能的に理解して腰を揺らしていた。
お腹の奥が、ぎゅぅっとして熱い。
イヴァンは乳房を片手でくりくりといじり、もう片方を舐めながら、メイの様子を熱く見据えている。
「いいぞ。イきたい時に、イけ」
彼の愛撫が強くなった。収縮の感覚が短くなった膣内で、指を曲げてぐりっと押してくる。
「ひぅっ」
その瞬間、ぞくんっと快感が突き抜けてメイは背を反らした。
「な、何これっ、ゃ、だめだめっ、そこぐりぐりしたらだめ……っ」
「お前のいいところだ――そのまま、イけ」
彼が胸の先端をぢゅるぢゅると吸い、奥を指でぐっぐっと押しながら膣壁を容赦なくこすり上げた。
「あっあ、あっ……ああぁ!」
メイは膝を曲げ、腰をびくんっと浮かせて達した。
弾けた快感が、じんわりと腹部の内側から広がっていく。
くるんっと内側に曲がった尻尾をイヴァンが見た。ごくりと唾を呑むと、彼はメイの尻がくったりと敷布団に落ちるのを見届けてから指を引き抜いた。愛液が垂れる秘裂を辿って、尻をなぞり、尻尾の付け根を指の腹で撫でる。
「んゃあっ、尻尾のそこ、触ら、ないで」
達したばかりなのに、腹の奥がぞくぞくと疼いた。
涙を浮かべて悶えたメイを見て、イヴァンがかっと頬を上気させた。
「敏感なところを手にあててきたのはメイだろっ。離そうとしたのに、追いかけるようにして、そんなのもう、触りたくなるだろっ」
意味が分からない。
なんで彼は怒ったみたいな声を出しているのか。
まさか、自分が無意識のうちに何かしたというのか。そんなはずはない。
「あ、あっ、それなら、もう触らなければいい、でしょ……っ」
「こんな顔見せつけられて、触るのをやめられるかよっ」
白い尻尾の付け根あたりを何度も撫でた彼が、するーっと尻尾の先まで撫でた。
「んん……んぅーっ」
快感が尻から秘所まで伝わり、蜜口がひくついた。奥から愛液が溢れ、またメイのそこを濡らす。
「メイッ」
イヴァンが腹まで反った自身を掴み、先端部分を蜜口にあてた。愛液をまとわせるみたいに上下に滑らせる。
その光景に、メイは敷布を掴んで小さく震えた。
「あ、ゃだ、そんな大きいの入らないからっ」
「入る。大丈夫、メイのここは――ちゃんと、俺を受け入れられるから」
興奮したような呼吸を繰り返し、イヴァンが太腿を抱え持った。
「だめだめっ、お願い、まっ」
慌てた次の瞬間、彼の手に力が入って一気に貫かれた。
(このあとは製品版でお楽しみください)