広々としたベッドの上に寝かされた美(み)久(く)は、頭の上で拘束された手首を恨めしそうに見上げた。
こうなる前に、着ていたスーツは上下とも脱がされ、ブラウスの前ボタンもすべて外されてしまった。レースのブラジャーのカップからは今にも乳房が零れそうになっているし、下半身を隠すのは面積が細く狭いローライズのショーツだけだ。
「こんなことをして、ただで済むと思ってるの? 今すぐに私を解放しなさい! さもないと、逮捕されて警察署に連行されることになるわよ!」
美久の怒声を浴びても、龍郎(たつお)と名乗る男は素知らぬ顔で脱いだシャツを窓際のソファの上に放り投げた。
「誰が俺を逮捕するんだ? あんたがここにいるのは誰も知らない。それに、あんたは自らここに来たんだぞ。飛んで火にいる夏の虫とはこのことだな。刑事さん、今夜はお望みどおり、たっぷりと可愛がってやるよ」
龍郎の手がスラックスのベルトを外し、前を寛げる。そして、硬く猛る男性器を美久の目前に晒した。
「や……やめてっ……」
美久は飴色の照明の中で鴇(とき)色に染まる屹立を見つめながら、首を横に振って唇を戦慄かせる。
「ふふん。『やめて』なんて心にもないことを言うのはどの口だ? 本当は俺に抱かれたくてたまらないくせに。だから、わざわざそんなエッチな下着をつけてきたんだろう? 総レースだから、乳嘴はおろか大事なところも丸見えじゃないか」
着ているものをすべて脱ぎ終えた龍郎が、美久の足元に膝立ちになる。
「ち、違う! 私はそんなつもりじゃ――」
「そんなつもりじゃなきゃ、どんなつもりだ? あんたの手首は縛らせてもらったが、脚は自由だ。それなのに、自分からこんな格好をして……」
確かに美久の両脚は拘束されていないにもかかわらず、膝を緩く立てた状態で左右に大きく開いている。
そのことを指摘され、美久は急いで脚を閉じようとした。
「おっと、今さらもったいつけることないだろう? それにほら、もうびしょびしょに濡れてるじゃないか」
美久の脚の間に手をついた龍郎が、ショーツのクロッチ部分を指でそっと持ち上げる。そして、濡れた秘部を指の腹で撫で回し始めた。
「いやぁっ……! 何をするのっ!」
美久は、はだしのつま先でシーツを蹴り、半裸の身を捩った。
龍郎が美久の目を見つめながら、ニッと笑う。その顔を見た美久の頬が、じんわりと熱くなる。
「何って、セックスに決まってるだろう? 具体的に言えば、あんたの可愛いここに俺の太くて硬いものをぶち込んで、中をぐちゃぐちゃにかき混ぜながら思いきり深く奥を突く――ってとこかな」
「ぁあっ……や、やめ……指……挿(い)れないでっ……お願いっ……ぁっ……!」
美久の懇願も空しく、龍郎が蜜窟の中につぷりと指を沈めた。早々に動き出した彼の指が、美久の恥骨の裏を捏ね回す。
感じるところを的確に攻められ、美久は我慢できずあられもない声を漏らした。
「ゃあああんっ! ダメェッ……! あっ……あ、ああああっ!」
こんな声を出してはいけない。
そうとわかっているのに、道徳心よりも性的な興奮が勝ってしまう。
「本当はダメだなんて、思ってないだろう? あんたは淫乱でエッチが大好きなエロ刑事だ。もちろん、こんなふうに脚を開く相手は俺だけだ。それは、ちゃんとわかってるよ。だから、安心してエロくなりな。そうしたら、思う存分抱いて満足させてやるから――」
「そ、そんな……あっ……そ、そこ……いやぁ……んっ……! あっ……あ――」
淫乱だのエロ刑事だのと中傷されたからには、もっとはっきりと否定して抗議しなければ。
もちろん、毅然とした態度も崩してはならない。頭ではそうしようと思っている。
けれど、彼に弄られているそこは、もう愛撫してくる指の虜になってしまっていた。
「やめてっ……。これ以上エッチなこと……しちゃ……いやぁ……」
さっきまでの威勢はどこへやら。
自分では声を荒らげたつもりだったのに、まるで迫力がない。
それどころか、まるで媚びを売っている猫のような声だ。
我ながら情けない。そう思うも、もはや身体が龍郎のなすがままになってしまっている。
せめて、心だけは最後まで抗う気持ちを失ってはいけない――。
そう思うのに、溢れ出る蜜は今や後孔を伝い下りてシーツを濡らさんばかりになっている。
美久がそんな自分に戸惑い持て余していると、龍郎がこれ見よがしに舌なめずりをしてくる。
「おやおや、刑事さん。嘘つきはドロボウの始まりだぞ。そう教えてもらわなかったか? ほら、エッチなこと、もっとしてほしいって正直に言えよ。指じゃなくて、もっと太いもので奥をズンズン突いて、子宮にたっぷりと精液を流し込んでください、って――」
「やぁっ……」
卑猥な言葉を耳元で囁かれ、いっそう身体が熱くなる。
今すぐに、そうしてほしい。
そんな想いに囚われて、美久は我知らず挿入を誘うように腰を揺らめかせた。
開いた脚の間ににじり寄ってきた龍郎が、屹立の根元を手に持ち、蜜窟の入口をトントンと叩く。
その感触だけでもたまらなく興奮するのに、彼はわざとらしく水音を立て、せせら笑いながら美久を煽ってくる。
「やれやれ、凶悪な被疑者を誘惑するなんて、いけない刑事さんだな。部下がこんなにふしだらで墜落した人物だと知ったら、上司はどう思うだろうな?」
チラリと視線を投げかけられ、美久はいっそう息を荒くする。
「言わないで……! 何でもする……あなたのしてほしいこと、何でもするから上司にだけは言わないで――ん、んっ……」
ふいにキスで唇を塞がれ、熱い舌を口の中にねじ込まれる。
まるで口の中を犯されているようになり、美久は恍惚となって彼の舌を吸った。
「身体は正直だな。そんなに言うなら、仕方ないから、ちょっとだけ挿れてやるよ――」
両方の膝を腕の内側に抱え込まれ、腰をズン、と前に進められる。
ずぷん、と音が立ち龍郎の屹立が美久の蜜窟の中に沈んだ。
そのまま腰を激しく動かされ、たちまち愉悦の沼に引きずり込まれる。
身体の中をこそげられるような感触に魅せられ、美久は背中を仰け反らせた。挿入されながら乳嘴を強く吸われ、いっそう淫らなよがり声を上げる。
「ああああんっ! あんっ……ふぁあああっ!」
蜜窟の中に、ずぶずぶと硬い熱塊を突きさされ、深さと強弱を巧みに変えられながら中を存分に愛撫される。
込み上げる快楽と龍郎への想いが美久の胸を焦がし、演じてきた「女性刑事と被疑者」という設定を保っていられなくなった。
「龍郎……ああんっ! 気持ち……いいっ……ああああっ!」
美久は龍郎の背中に腕を回し、思いきり彼にしがみついた。脚を上げ、動く腰の上で踵を交差させる。
すると、挿入がより深くなって快感がグンと増した。
美久が今にもイキそうになっていると、龍郎がぴったりと身を寄せて蜜窟の最奥に屹立の先を強く押し当ててくる。
「……美久、エッチだな……。すごくいい……。美久の中で俺のものが蕩けてしまいそうだ」
「龍……あ、ああああああっ……!」
子宮の入口に切っ先が寄り添い、何度となくそこを突いた。
龍郎の精が迸るのと同時に、美久は腰を持ち上げてビクビクと身を震わせる。
この世で一番愛しい人と身体を交わらせる悦びに満たされた美久は、自分の中に注がれた熱い想いを感じて、いっそう強く彼の胸に縋りつくのだった。
(この後は製品版でお楽しみください)