書籍情報

転生した魔力無し悪役令嬢の運命 ~婚約者になったら予想外の幸せが待っていました~後編

転生した魔力無し悪役令嬢の運命 ~婚約者になったら予想外の幸せが待っていました~後編

著者:百門一新

イラスト:小路龍流

発売年月日:2023年9月29日

定価:990円(税込)

悪役令嬢なのに、隣国の軍人王太子の婚約者になってしまったアンジュ。同じく転生者の男賢者に出会うと、見守っていた王太子シルベスタの嫉妬も爆発……!?「ずっと君のことを見てきた」恋をしてしまったアンジュに、彼はずっと秘めていた想いを伝えてきて――ゲームの主人公によって、とんでもない秘密まで知ることになる後編の完結編、魔力無しの悪役令嬢に転生してしまったアンジュの迎えるハッピーエンドとは。

お取扱店

登場人物

アンジュ・ローズベル

エリスト王国の公爵令嬢。18歳。髪と目はブルー、体格平均身長、細見、けれど胸は結構大きめ。前世は22歳の社会人、短期大学時代から真面目でコツコツ頑張る子だった。悪役令嬢に転生したのち、絶望していた中、ヒーローと出会う。
シルベスタ・フォン・ロベルヴァルト

隣国の軍人王太子。25歳。髪は紺色、・目はエメラルド、体格は引き締まって細見、181cm。ゲームの攻略キャラではない。とても魔力量が多く、どんな属性の魔法でも使える最強の魔法使いにして、軍人として知られている。無表情、顰め面が基本。冷たい王太子、と言われている。

立ち読み

プロローグ

二階にある共同私室には、真昼の明るい日差しが降り注いでいる。

ウィンター城は、建物の周りも広い敷地に囲まれているので王都の町に溢れる日中の活発さも届かない。

それと同じくして、城の中の一つの部屋で行われていることも――敷地の外の者達は、知ることができない。

「あん、んっ……あっ……あぁ……」

真昼間の明るさに不似合いな、湿りけを帯びた喘ぎが広い共同私室に上がっていた。

窓までささやかに、がたがたと鈍く響いてくる音。

それは、二人分の体重で寝椅子が揺れて立てている音だった。横たわっているのは乳房を襟からこぼし、揺らしているアンジュだ。

彼女のドレスのスカートはたくし上げられ、柔らかな線を描く白い太腿が揺れていた。

寝椅子の背から見える彼女の足が大きく開かれているのは、その間でシルベスタが沈めた腰を一心不乱に揺らして、のしかかっているからだ。

「君の心の傷がいえるまではとっ、触れないつもりでいた――許してくれ」

乱れたドレスごと抱き締められて、アンジュは一層愛液をこぼした。

滾った彼の熱が、より大きさを増して奥を突き上げてくる。

堪えられないほどの快感に自然と涙が浮かんだ。

気持ちよくて、激しくて、――そして愛おしさから、疼く子宮が深く強く突き上げられるたびに彼女へ甘美な悦楽を伝えてくる。

「あっあっあ、シルベスタ様……っ」

短い息を吐きながら、彼が恐ろしい速さで突き立ててくる。

寝椅子ががたがたと揺れていた。

腰を押し込みながら上半身を彼の長い腕でかき抱かれ、撫でられる感触は、アンジュの官能の熱を一層強めた。

そして彼が激しく奥を揺さぶってくる行為が、彼を好きだという思いを強めていく。

(こんなこと、してはいけないのに――)

まだ仕事途中のシルベスタ、そして今は真昼間だ。

それなのに彼に求められていることを喜んではいけない。彼は必要があってアンジュに求婚しただけで――。

「ひぅっ」

ぱちゅんっと腰を叩きつけられた際、ぐちゅんっと蜜壺を掻き混ぜられて、ぞくぞくっと奥から粟立つような快感が押し上げてきた。

(ああ、私、感じて……)

アンジュがびくびくっと感じてしまうと、彼がそこに自身の先を寄せるようにして、ぐぐっと腰を押し込んだ。

「ああぁっ、ああ、あっ、んぁっ、やぁ」

そこを重点的に突かれて、たまらず腰を浮かせて喘いだ。

けれど、どんなに快感を逃がしたくても、上からのしかかっているシルベスタがそれを許しはしない。

「アンジュ……アンジュっ」

衣服が乱れた身体をまさぐり、口で愛撫しながら彼はアンジュを高みへとのぼらせる。

そしてまた、彼自身が共にのぼろうとしているのだ。

触れてくれている手に愛おしさが込み上げる。かつて、一緒に果てようと言ってくれた言葉が今一度思い出されて、涙が浮かぶ。

「あんっ、あっ、ン、あん」

喘ぎながらアンジュがどうにか手に触れると、彼が官能に突き動かされたみたいに素早く奪い取り、寝椅子に押し付ける。

無我夢中の営みのように、二人は手を握り合って腰を揺らした。

アンジュは、もうとうに声なんて抑えていられなかった。彼が聞きたいと望むまま、快感によって言葉にならない声をもらす。

気持ちよさに涙をこぼしながらも、心では『好き』と叫んでいた。

そして、都合がよかったから婚約をされただけの身なのに、愛情を抱いてしまってごめんなさい、と――。

淑女としては乱れてしまってはいけない。

そう思うのに、彼に攻められるごとに『イきたい』という官能に思考が支配されていく。

豊かな乳房をこすりつけるように背をそらし、がくがくと震える下肢を広げ、愛液をしたたらせる中心に繰り返し彼を迎え入れる――。

「出してくれと、ねだるように蠢いて搾り取ろうとしてくる」

気持ちよさそうな呻きを彼がもらす。

そんなシルベスタの声を聞くだけで、アンジュは『今だけは許して』と理性を自分から手放してしまう。

彼と、果てたいのだ。

シルベスタが望んでくれたように、今度は二人で一緒にイク――。

 

間もなく唇を重ね合い、長いようでいて短いその行為に終わりが訪れる。

その、ほんの少し先が来るまで二人の喘ぐ声は室内から窓の向こうへとこぼれ、間もなく絶頂を迎えてようやく寝椅子の揺れる物音も止まった。

(このあとは製品版でお楽しみください)

お取扱店