書籍情報

転生した魔力無し悪役令嬢の運命 ~婚約者になったら予想外の幸せが待っていました~前編

転生した魔力無し悪役令嬢の運命 ~婚約者になったら予想外の幸せが待っていました~前編

著者:百門一新

イラスト:小路龍流

発売年月日:2023年5月26日

定価:990円(税込)

アンジュは、魔力無し悪役令嬢だ。 魔力の量が人間の価値を決めるこの世界で運命を変えようと努力するが、婚約者には嫌われ、婚約破棄の日を迎える。 あとは魔力無し令嬢として追放か……と思っていたら、突然攻略キャラでもない軍人王太子に「お前は、俺が娶る」と言われ、まさかの身体の関係を持って彼の婚約者になることに…!? しかも処女を捧げた翌日に、彼の城での同棲生活も決定ですか!? 婚約破棄から幸せになっていく悪役令嬢ラブ!!

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登場人物

アンジュ・ローズベル

エリスト王国の公爵令嬢。
18歳。
髪と目はブルー、体格平均身長、細見、けれど胸は結構大きめ。
前世は22歳の社会人、短期大学時代から真面目でコツコツ頑張る子だった。
悪役令嬢に転生したのち、絶望していた中、ヒーローと出会う。
シルベスタ・フォン・ロベルヴァルト

隣国の軍人王太子。
25歳。
髪は紺色、・目はエメラルド、体格は引き締まって細見、181cm。ゲームの攻略キャラではない。とても魔力量が多く、どんな属性の魔法でも使える最強の魔法使いにして、軍人として知られている。
無表情、顰め面が基本。冷たい王太子、と言われている。

立ち読み



 

 

 

プロローグ

 

 

――私は、悪役令嬢だ。

名前はアンジュ・ローズベル。

乙女ゲーム【隣国の公爵令息と五人の運命の人~あなたが選ぶ恋は~】の、ブルーの髪と目をした我儘で意地悪な、魔力もないのに偉そうにしている公爵令嬢だ。

アンジュ・ローズベル公爵令嬢は、ゲームの中の嫌われ者だった。

隣国の婚約者であるシフォン公爵家の令息、パトリックに婚約破棄をされて、さらには魔力無し令嬢として家からも追放されてしまう。

私は二十二年間、日本人女性の『杏奈(あんな)』として過ごしてきた。

短期大学を卒業して、新社会人になって間もなくの頃、突然爆音と共にオフィスが揺れて――そこで記憶は途切れている。

次に目を開けた時には、五歳のアンジュ・ローズベルの姿になっていた。

 

ゲームの始まりの舞台は、エリスト王国だ。

ここは魔法国家が集まる大陸で、魔力の量が人の価値を決めている。

ローズベル公爵家も、強い魔力を有した家系だ。アンジュはそこの長女に〝魔力無し〟で生まれた。

『たまにある、魔力の発現が遅いだけでしょう』

成人までには魔力も開花するだろうと、隣国のシフォン公爵家も期待してローズベル公爵家からの打診を受け入れ、縁談が決まった。

(貴族に〝魔力無し〟は生まれない……その常識が仇になったのね)

転生した時には、すでに婚約がされていて私は絶望感に襲われた。婚約という設定からは、もう逃げられない状況だった。

婚約者は隣国の公爵令息、パトリック・シフォンだ。

彼は、金髪碧眼のゲームのメインヒーローだ。十五歳の時に婚約者の顔を見がてら来国した際、男爵令嬢リナ・モニスと出会って一目惚れ。そして二人は、両国をまたいで数年かけて愛を深めていく――。

その男爵令嬢ことリナ・モニスが、このゲームの主人公だ。

そして私は、みんなの嫌われ者であり、いずれ婚約破棄される〝悪役令嬢〟だ。

 

大学時代は勉強に専念し、入社してからは、初めての仕事に懸命に取り組んでいた。そんな私が唯一楽しんだのが、スマホでできる恋愛ゲームだ。

頑張って生きてきたのに、絶対に嫌われる悪役令嬢に転生して私は絶望した。

 

私は、せめてもう一つの破滅フラグ〝魔力無し令嬢としての追放〟だけでも、どうにかしたいと思った。

七歳から始まった隣国での勉強に加え、ゲームと違って、私は魔力の基礎訓練も行い魔法の勉強もして努力し続けた。

だが、そのまま成人の十八歳の誕生日を迎えてしまった。

やっぱり私に魔力は現れてくれなかった。アンジュ・ローズベル公爵令嬢は、成人と同時に国から〝魔力無し〟の肩書きを与えられた。

「兄も妹も魔力を持っているのに、なぜ魔力無しの子ができるんだ! お前、あれは本当に私の子だろうな――」

「またお疑いになるのですか!? わたくしはあなたと違って愛人も――」

また、両親の口喧嘩だ。

アンジュは使用人に「さっさと持って行ってください」と、ぞんざいに押し付けられたクッキーの皿を抱えたまま、密かにリビングを盗み見た。

(でも……)

これも、そろそろなくなると思うと、少しばかり心は軽かった。

この先に待っていることを思えば『心が軽くなる』なんて、妙な感想だろう。

けれど、どうあがこうが運命は変えられなかった。

私は、嫌われ者のアンジュ公爵令嬢でいることに疲れてしまったのだ。

(じきにシフォン公爵家から手紙が届いて、そして私は父と一緒に隣国へ向かう……)

ゲームの出来事をなぞるように思い返した。

私の人生は、来月に隣国でクライマックスを迎える。それから帰国後に、追い打ちをかけるように一族からの追放劇が始まるのだ。

 

だが、隣国のロベルヴァルト王国で婚約破棄された瞬間から――私を取り巻く人生は、ゲームのシナリオと違った展開で私を戸惑わせることになる。

 

◇◇◇

 

隣国の王宮で、シフォン公爵との婚約破棄が正式になされた。

けれど王の間を出たあと、アンジュはなぜか休憩室のベッドの上にいた。

自分を組み敷き、ドレスのスカートの中に手を入れてあやしく蠢かせているのは、二十五歳の王太子シルベスタ・フォン・ロベルヴァルトだ。

「あんっ、ん……だめ、そんなところ……っ」

「よく感じるんだ。濡れるだけ痛みも減る、時間がない」

急ぎだと口にした通り、彼はドレスを脱がさなかった。

しかし初めて異性に服越しに胸を揉まれ、目の前でカリッと歯を立てられてアンジュは恥じらいの中でのけぞった。

「んやぁっ」

彼が攻め立てる蜜口から、気持ちよさがどんどん込み上げて止まらない。

そのせいで、どこを触られても次第に感じるようになってしまっていた。

下腹部から淫らな気持ちも込み上げてきていた。

「動きが速いの、指、もう、やぁ」

のしかかっているシルベスタの軍服の礼装を、たまらず掴んだ。

まだ日中で明るい休憩室に衣擦れと、ちゅくちゅくとアンジュの花園が初めて立てる淫猥な音が上がっている。

「気持ちいいのだろう? 腰が揺れてる」

ドレスのままでも、やはり分かるらしい。

アンジュは中がひくひくと疼き、初めての官能の熱に腰が揺れているのが自分でも分かっていた。

いよいよ恥ずかしくなって顔をそむけた時、シルベスタが手をスカートから引き抜いた。

「もう直に触る。下は脱がせるぞ」

「――あっ」

ドロワーズを引き抜かれる。

「ああっ、あ……っ」

彼の指が、今度は直接蜜口に触れてきて、濡れた表面をくちゅくちゅと愛撫されてアンジュは背を甘く震わせた。

先程までも、濡れて直に触られている感じだったので、差異はなかった。

しかし彼の指は、柔らかくなった花弁を探り当てて滑ってきた。

「あ、あ……あぁ……」

異性を受け入れる大切な割れ目の内側を、シルベスタがこすってくる。それは下着があった時にはなかった感覚だった。

よく感じる上の部分と、ひくひくと痙攣する蜜口を撫でられて恥ずかしい声が止まらない。

こらえようとすると、彼が胸を手で覆いながら覗き込んできた。

「声を我慢するな。出した方が、濡れるのも早い」

「あっあ……やぁっ」

近くで顔を見つめられ、秘めるべき場所を足を開いて彼に触られているのが、アンジュには恥ずかしくてたまらない。

(こんなの、前世でもしたことがない)

生憎、恋人さえも作ったことがない人生だった。

彼を受け入れるために密を出すこと。その行為はアンジュには長く感じたけれど、彼女はその先があるのをすっかり忘れていた。

「ひぅっ」

ぬぷりと男の指が中へ入ってくる。

「あ、あぁ、殿下……っ」

初めての異物感に、とっさにすぐそこにある彼の軍服の袖を掴んだ。

「入れないと、ほぐしてやれない」

それは分かっているが、二本目の指も続いて入ってきて、アンジュは彼の軍服を掴む手に力を入れた。

(あ、あ、指が……っ、私の、中に)

けれど、耐えなければとアンジュは思う。

――婚約をするために、初めての行為をする。

彼がドレスを脱がしもしていないのも、性急に繋がるためだ。

アンジュは、婚約破棄が終わったあと、彼と父の間であっという間に決まってしまったそれには驚いたし、悲しくなった。

彼は仕事の予定が入っているので、すぐにでも済ませたいと考えているのだろう。

でも、アンジュに『すぐ』は無理だ。

(私は前世を含めても初めてなのにっ)

服を脱がされなかったのは幸いだったのかもしれない。しかし、やはり足の付け根を異性に触られているなんて状況が恥ずかしすぎる。

この二人の行為は、扉の外で待機しているメイド達や父達にも聞こえているはずだ。

(でも――)

それでも彼女が従い、本気で逃げ出していないのも目の前の男が原因だった。

「アンジュ、時間はないができるだけいいようにする」

そう言ってアンジュを見つめてくるシルベスタは、やはり他の人とはどこか違う眼差しで、彼女をその瞳に映すのだ。

(――どうして?)

それがどんな感情なのか、アンジュはじっと見つめて読み取ろうとする。

シルベスタが、すっと目を細めた。

不意に彼の指の動きが速まる。アンジュは一層息も乱れ、頭の中まで熱っぽくなってうまく考え事が続かなくなった。

「ああっ、だめっ、何かくるからっ」

だから指を止めてとアンジユは訴えた。喉がそり、腰も震えて、無礼だと分かっているのに彼の軍服を強く握り締めて皺にしてしまう。

「いい、そのまま身を任せて」

ぐちゅ、と彼の指が中から腹を押し上げ、そこを重点的にこする。

「んやあああぁっ」

その瞬間、これまで以上の快感が込み上げてアンジュは達した。

快感が強すぎて頭の中が白くなる。ひだが震え、蜜を垂らしながら収縮を繰り返して、彼の指にきゅうきゅう吸い付くのが分かった。

 



(私、イってしまったんだわ……)

シルベスタはようやく動きを止めてくれたが、彼女が果てたのを理解している間にまたしても動かし始めた。

「ひゃあっ、あ、だめっ」

「だめではない。君は、俺の手を感じてくれている」

気のせいか、シルベスタの声に興奮が滲んでいる気がする。

結局、アンジュは続けてまたイかされた。畏れ多くも王太子の腕を掴んで、腰をびくびくっと浮かせて果てた。

「アンジュ、そろそろ入れるぞ」

彼がアンジュの足を大きく広げ、のしかかってくる。

二人の間で、ごそごそと彼の手が動かされるのが見えた。

たくし上げられたドレスの裾に隠れてよくは見えなかったが、アンジュもこれから何をされるのかは察していた。

その時、すぐ目の前にある彼の唇が小さく動く。

「あっ……何……?」

魔法呪文が囁かれると、下腹部が光った。

一瞬、不思議な温かさを感じてアンジュはひくんっと腰をはねさせた。

「初めては痛い。それを少しの間感じなくさせる魔法と、治癒もかけた」

「そう、でしたの……」

アンジュはせっかく魔法の世界に転生したのに、魔力無しのせいで、その魔力さえ感じることができなかった。

(不思議、魔力って温かいものもあるのね……)

父や母、兄や妹がアンジュに『どいて』と言って魔法を使った際には、ひんやりとした冷たさを感じてばかりだった。だから、あれが普通なのだと思っていた。

「――アンジュ」

その時、シルベスタが身体を上げてきた。

自身を取り出したのだろう、そう思って視線を上げたアンジュは、見下ろす彼に「あっ」と声をもらしてしまった。

(この目……)

先程から、彼に感じていた不思議な感じがなんであるのかようやく気付いた。

(久しぶりに見る、差別のない眼差しだったんだわ)

アンジュは、ゲームと違って偉ぶって社交界に進んで出なかったから、自国の攻略キャラ達とは接点さえもなかった。

けれどゲームの設定通り、攻略キャラ達からも疎む目を向けられた。

悪役令嬢アンジュ・ローズベルは嫌われる設定。それだけでなく魔力無しという事実が、彼女を孤独にしていた。

(それなのに――)

シルベスタは、ただ真っすぐに彼女を見つめていた。

その冷たくも見えるエメラルドの瞳が、初めて熱くなっているのを見られたのは欲望が高まったこの状況のせいなのか。

(この時にだけ、温かく見える瞳なのかしら)

それなら、悪くないかもしれないとアンジュは思えた。

王の間に入る前、不思議に思っていた。彼の目が、魔力無し令嬢というレッテルで見ていないと分かったから。

「あっ……」

彼が腰を進めてきて、蜜口に先端部分がぬちゅりと入るのが分かった。

「……あ、ああぁっ」

身構えてすぐ、シルベスタがアンジュの中をぐーっと進んできた。

「くっ、きついな――力を抜け」

彼がアンジュの肩に腕を回し、太腿を持ち上げて腰を徐々に押し込んでいく。

(無理――熱い、苦しい)

けれど、彼が言った魔法のせいか不思議と痛みはなかった。

力を抜いたら楽になれるのだろうか。アンジュは、懸命にそれが入ってこれるよう力を抜こうと努力した。

「あ……あっ……」

狭い隘路が、大きな熱に押し広げられていく感覚に震える。

シルベスタがアンジュの頭を撫で、顔にキスの雨を降らせた。

(キスをするような人だなんて、思わなかったわ……)

そのまま貫かれるとばかり思っていた。だが彼は熱を持ったまま、汗ばんだアンジュの首筋や鎖骨にもどんどんキスを落とす。

これは、婚約のための既成事実。

時間がないからと性急に繋がろうとしているのに、配慮を感じるのはどうしてか。

おかげでアンジュもどうにか力を抜くことができた。

「――アンジュ、すまない、受け入れてくれ」

すると耳元でそんな謝罪が聞こえて、驚く。他国からも一目置かれ、一睨みで貴族達も黙らせる軍人王太子が、今、詫びたのだ――。

「ひぅっ、あ……!」

その衝撃を受けた時、アンジュは声が出なくなった。

ずぐんっとシルベスタが奥まで深く入ってきた。

大きくて硬い熱に、内臓が押し上げられるようなきつさを覚えた。子宮に届いた衝撃で息が詰まり、頭の中までちかちかした。

(して、しまった……)

もう、あと戻りができない。

アンジュは、自分の中に隣国の王太子が収まっている状況に慄く。こんなこと、ゲームではなかった。

だがシルベスタは、アンジュにためらう時間さえ与えてはくれなかった。

「あっ、殿下っ、……んっ、あ」

シルベスタが、アンジュの片足を引き上げるように持って腰を揺らし始めた。

「まだ、きついが――じきに、よくなる」

「ああっ、ひぅ、んっ」

「君の中は、熱くて、……持ってかれそうなほど、いい」

何が『いい』のだろう。

けれどアンジュは、初めての突き上げにいっぱいいっぱいになっていた。蜜壺をぎちぎちと圧迫しながら押し込まれ、その太いものを先端近くまで引き抜かれる。するとそれはすぐ、またアンジュの中へと戻ってくるのだ。

「あっ、んぅ……っ、ん……」

「声は我慢しなくていい。今日にでも婚約するためには、行為があったと聞いた証人が多いほどいい。結婚まで早くなる」

シルベスタが徐々に腰の動きを大きくする。

我慢なんて、すぐできなくなった。

「あんっ、あっ、あぁっ」

 

(この後は製品版でお楽しみください)

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