プロローグ
「んっ……んっ……」
オフィスで甘く蕩ける声をあげながら、赤岩(あかいわ)椿(つばき)は一つに束ねた黒髪を乱しながら、羞恥心と戦っていた。
先ほどまで真剣に仕事をしていたデスクに体を横たえられて、長身の宗像(むなかた)瑛人(えいと)が覆い被さってきている。
「んっ……誰か……来たら……」
「来ないですよ」
柔らかい声音は、いつもより熱を帯びているようだった。
宗像から真っ直ぐ見つめられて、椿は恥ずかしさと心地よさが入り混じっている。
恐怖心もまだあるが、もう気持ちは止められそうにない。
宗像と一緒にいると心地良さと安心感があって、それまでのトラウマが消えていくのだ。
椿は小柄な体を快感で震わせながら、潤んだ瞳で宗像を見つめた。
宗像はネクタイを緩めて、椿の唇に強引なキスをしてくる。
「ンンッ」
「もう我慢なんて出来ませんから」
「が、まん?」
「ええ、ずっと我慢してたんです」
椿は動揺した。
まるで彼が自分に好意があるように聞こえる。
宗像は友達だと言って気楽に接してくれていたし、酔った自分を介抱してくれた時すら手を出さなかった。
だからこそ、友達なんだと思い、膨らむ好意を封印していた。
彼の言葉によればバレンタインデーのあの日から我慢させていたことになる。
宗像はいきなりブラウスのボタンを剥ぎ取っていくと、胸に顔を埋めてくる。
「きゃっ」
困惑していると、ブラをずらされ、先端をぺろぺろと舐め回されてしまう。
「んっあっ」
「可愛い……」
「やあぁ」
恥ずかしさで顔を覆うと、宗像から手で払われた。
「見せてください。どんな顔してるか」
「こんなの反則」
「反則じゃありません。お互いにきちんと気持ちを確認していますし」
「そうじゃなくて……。こんなところで、こんなこと」
「じゃあ、今からホテルに行きますか?」
言われて、椿はどきりとする。
今から中断して服を整えてホテルを探すなんてことをしていたら、熱が冷めてホテルなんて行けなくなるだろう。
そんなことを考えていると、宗像は指先で先端を摘み上げてくる。
「んんっんっ!」
「声。我慢しなくていいですから」
「どう、して?」
「警備員、この時間は来ません」
「で……でも……あっああっ!」
いきなり先端を捏ね回されて、椿は体を仰け反らせた。
感じたことのない快感に勝手に声が出てしまう。
腹の奥がジンジンし始めて、蜜がトロトロと溢れ出して下着を汚し始めた。
「ふあっあっあっ!」
「こっちは? どうなってるか確かめてみますね?」
「やっ!」
「ちゃんと見ないと」
楽しむ宗像に対して、椿は慌ててジタバタした。
しかし、宗像は簡単にスカートを捲り上げて下着を脱がしてしまう。
そして秘丘を指先でするすると撫でられてしまった。
「蜜で溢れて蕩けていますね」
「言わないで……。恥ずかしいから」
「初めてですか?」
椿は小さく頷いた。
二十八歳まで処女を守り抜くほど、恋愛は苦手だった。
トラウマのせいで、男性不振気味でもあり、恋愛とは縁遠い生活をしていたのだ。
それなのに、宗像だけは心が許せてしまった。
宗像は二歳年下で、最近は思い切りアプローチされている。
「じゃあ、ここで少しした後にホテルでしましょうね」
「だめっ」
「ベッドでちゃんとしないと、お風呂にも入れませんから」
言いながら、宗像はするすると滑りに任せて秘丘を撫で回してきて、体がブルブル震えてしまう。
蜜が溢れ出して止まらなくなってくると、宗像は指を突き入れてきた。
「ンンッ!」
「痛いですか?」
「平気……」
「たっぷりほぐして、僕のものにしますね」
「宗像く……」
頭の中が蕩けて、何も考えられなくなってしまいそうだった。こんな痴態を晒しているのに、彼に触れられていると思うと幸せに満ちてしまう。
宗像の優しい表情と裏腹に、指が獰猛に抜き差しを始める。
「あっあああっ!」
グチュグチュと卑猥な音を立てながら内壁を擦り上げられて、椿は体を捩って必死に快感から逃げようとした。
自慰では得られないような刺激に、少し指を動かされただけでも果ててしまいそうだ。
「ナカ、もうトロトロです。僕のこと、少しは認めてくれてますか?」
「……認め……てるから……」
椿は腹の奥から湧き上がるジワジワした感覚に耐えきれなかった。
まだ少し弄られているだけなのに、もう宗像と一つになりたいと思ってしまう。
(私、こんなに宗像くんのことが好きだったの? 止められない)
椿の困惑とは裏腹に、宗像はめちゃくちゃに蜜壺を掻き混ぜ始める。
「ふああああっ!」
「じゃあ、もっと刺激強くしますね?」
「ら、らめっ。む、宗像くんっ――」
すると彼はにっこり微笑んだ。
「そんなお願いされると、ちゃんとイカせて気持ちよくさせたくなります」
宗像はいきなり指を引き抜くと、秘丘に顔を埋めてきた。
「きゃあっ」
「たっぷり、イかせてみせますね」
言うなり、舌を蜜壺に突き入れて、舐め回してくる。
「ふああっ……ああっ……ああっ!」
椿は羞恥心と恥ずかしさで蕩けきってしまった。
イヤイヤと首を振りながら悶えても、宗像は夢中で舐めて止めてくれそうにない。
ぴちゃぴちゃと音を立てて舐めてくるので、オフィスには相応しくない音が響いている。
椿は一気に頂きを昇り詰めてしまい、頭を真っ白にさせた。
「あああああああっ!」
果ててしまうと、宗像は顔を上げて口の周りの蜜を拭った。
「イケたみたいですね。じゃあ、もっとしましょうか」
「宗像く……」
とろんとした目で椿は宗像を見つめた。
彼は我慢していたと言っていただけあって、簡単には止めてくれそうになかった。
そもそも、彼からバレンタインチョコのお返しを貰ったり、見つめられたり、ただの友達にしてはおかしな距離感だった。
宗像のことを友達として信用していたこと、そして心の奥底にある好意に気がついても蓋をしたことがいけなかったのだろう。
きっと今晩は、お互いに止められないと思う。
そんな気がしながら、椿は宗像の肉塊をオフィスで初めて受け入れた。
(この後は製品版でお楽しみください)