書籍情報

雷撃令嬢と守りの魔術師〜研修は秘蜜の任務とともに〜

雷撃令嬢と守りの魔術師〜研修は秘蜜の任務とともに〜

著者:ただふみ

イラスト:ひなた水色

発売年月日:2024.2.28

定価:990円(税込)

魔術師団に入団したレオニーだったが、入団式からトラブルにあい、幼なじみで婚約者のザイフリートに似た雰囲気の「男」に行為を求めてしまう。その後始まった研修生活では、寮の編入を余儀なくされ、新たにルームメイトとなったのは、そのザイフリート。さして自分に興味を持っていないと思っていたザイフリートに時折触れられ、困惑するレオニー。だが彼女の頭の中には、その「男」の存在がチラついてしまう。それでもレオニーは、ザイフリートがいいと願って……。

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登場人物

立ち読み

プロローグ

 

 

「あんっ……」

声を我慢することができないばかりか、漏れ出る声は自分のものとは思えないほど甘ったるい。普段から男性と張り合って生きているレオニーは、自分の口からこんな声が発せられることが信じられなかった。

――なんで、こんな。

咄嗟に口元を手で覆う。

「気持ちがいいのか?」

「わ、わからない……でも、声が、あ、やっ」

「このまま続けていたら、落ち着くんじゃないか?」

背後から抱き締められるようにして体が固定されている。背後の人物はレオニーの胸を揉みながら秘部に指を這わせてこねていた。水音が響く。

「こ、こんな状態では、ひゃっ、あっ、落ち着く、なんてっ」

「薬を抜くためだろう?」

指先が与える刺激がいっそう強められて、レオニーはたちまちに思考が奪われた。浅い呼吸を繰り返し、状況を整理する。

――そうだ、これは薬の影響であって……。

体に触れさせたのは薬の影響で疼く体をどうにかしたかったからだ。対処方法がわからず、レオニーは行きずりの男に頼んで慰めてもらっているのだ。

行きずりの男といっても、彼は襲われかけたレオニーを助けてくれた魔術師団員である。レオニーの同期かあるいは先輩に当たる人物だろう。ある意味では身元のはっきりした人物だ。だから、身を委ねる相手は誰でもよかったわけではない。

「まったく……」

彼は小さく息を吐き出し、レオニーの耳に口元を寄せた。

「これ以上のことを君にするつもりはない。だから、俺に身を任せて快楽に呑まれてしまうといい」

そう告げて、男はレオニーの耳に舌をゆっくりと這わせた。

「ひゃあっ……」

続けて首を舐められると声が上がる。胸の先端を扱かれるとゾクゾクとした。

――この感覚はなんなのだろう。

臍の下あたりが疼く。

「君に経験がないからなのか、俺が下手なのかはわからんが、そろそろ達してほしい。過ちを起こしては、君も都合が悪かろう?」

「……過ち?」

何を言っているのかすぐには理解できなかった。疑問を口にすると、彼の指先が秘裂をゆるゆるとなぞり、窪みの中にその先を沈めた。

「やっ」

「……狭いな」

「な、何を」

「ここに、指よりも太いものをぶちこむことになるってことだ」

指先が出入りしている。はじめは異物感が強くて痛みもあったが、奇妙な高揚感も生じている。レオニーは状況に戸惑った。

――この体はどうなってしまったのだろう。これも薬の効果なのか?

「あっ、んんん……」

「煽らないでくれ」

「そう言われても……あんっ、や、指は挿れないで」

「そうだな。君はこっちの感度もいいみたいだから、今日はなんとかなるだろう」

指は引き抜かれ、秘裂の始まりにある小さな膨らみに彼の指が添えられる。クリクリと転がされると腰が跳ねた。

「や、んんっ」

「このまま続けるぞ。逃げないでくれ、レオニー」

名を呼ばれると切なくなる。

――この人とは今夜だけの関係なのだな……。

名を明かすこともなく、こんな淫らな願いを誠実に叶えようとしてくれる。真面目な男だ。

薬の影響なのか視界を奪われ、聴力も弱まっていて誰の声なのか判別できない。こんな状態じゃなければ、誰なのかわかっただろうに。

「あ、や、な、何か来そう」

ゾクっとするものがあった。怖くなって腰を動かすと、胸を揉みしだいていた手が腰にまわされ、指先が追いかけてくる。

「集中しろ」

「や、いや、待って、あっ、ああっ」

ビクンと強く体が震える。汗が吹き出し、呼吸が乱れた。激しい運動の後のように心臓も忙しい。

「や、ああっ」

浅い痙攣を繰り返すレオニーの体を、男は優しく抱き締めたのちにベッドに転がした。身動きの取れないレオニーの足を掴み、左右に大きく開く。

「な、なに」

彼の顔が秘部に近づいた。視線を感じると再び強く震えて、尻を濡らす気配がした。

「ひくひくと震えているな」

「ま、まだ処置が必要なのか?」

やっと呼吸が落ち着いてきたが、この体勢は心許ない。膝を合わせることも叶わず、彼にされるがままだ。

「処置が必要だと俺が返したら、続けてもいいのか?」

「触るだけ、なら」

「触るだけ、ね……」

男の指先が蜜壺に触れる。蜜をこぼすそこに指を突き立てた。

「あっ!」

すんなりと指先は呑まれて、付け根まで蜜壺に埋まる。緩やかに指が抽挿されると、自然と腰が動いた。

「薬の効果は切れたんじゃないかと思うんだが……ずいぶんと淫らな反応をするな」

「みだら……? は、はしたないだろうか……」

「誰にでもこういう反応をするなら、まあ、そうだな」

そう返されて胸が痛む。反論しようとしたところで、彼の手が不意に気持ちのいい場所に触れた。言葉は瞬時に霧散する。

「ひゃ、あ、ああっ」

「こういうことは、恋人だけにしてもらえよ」

「ああんっ」

どこを刺激するといいのか伝わってしまったのだろう。男が丁寧にそこを擦るので、レオニーは自分の肩を両手で抱きしめて快感をやり過ごそうとした。

「レオニー……イって」

彼の言葉に合わせて全身を快感が走り抜けた。電撃魔術を受けたような痺れが全身を駆け抜ける。

「やぁんっ!」

一際大きな嬌声が上がり、レオニーはついに意識を飛ばしたのだった。

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