「エル、ネスト……さま」
かすれた声で、コレットはエルネストを呼んだ。するとそれに答えるように、エルネストはまた唇を押しつけてくる。するとぬるりとしたものが口腔に入ってきて、コレットはどきりとした。
「んぁ……あ、あ……っ」
コレットも舌を絡ませ、ふたりの唇からは、くちゅくちゅと淫らな音が立った。その音さえもが、ふたりの情感を煽り立てる。コレットはエルネストの背に腕をまわし、ぎゅっと強く抱きしめた。
「もっと……エルネストさま」
小さな声で、コレットは彼を呼ぶ。エルネストは目を細めて、彼女の唇を存分に味わった。
「あ……あ!」
コレットが声をあげたのは、エルネストの手がドレスのボタンを外しはじめたからだ。コレット自身以外の手が、ボタンを外すのは初めてだ。コレットは微かな緊張と、そして悦びにとらわれはじめていた。
ふいと視線をあおのかせると、白い神の像が見えた。その表情はなにかを哀れむように、悲しむようにコレットを見つめていた。
ずくん、と心臓が跳ねたのは、後ろめたさがあったからだろうか。このような場所で、男と交わるなんて――いくら廃教会といえども、神に祈りを捧げる場所だ。いいのだろうか、と思う気持ちが、ますます性感を煽り立てた。
「あ、あ……っ……」
ドレスを脱がされて、エルネストの目の前でコレットは裸体を晒している。反射的に両腕で乳房を隠したけれど、エルネストは笑って、その腕を剥がした。
「うつくしい……」
エルネストは、感嘆したように呟いた。
「白く、豊かな乳房。きめ細かい肌。ほら、こうやって触れているだけで……」
「あ、や……っ、……っ」
彼の手は、コレットの右の乳房をつかんだ。大きな手に収められて、すると乳首が擦れて感じてしまう。それはささやかな愛撫だったけれど、コレットはすぐに感じて声をあげてしまった。
「このような、場所で……」
「ここに神がいないと言ったのは、あなただ」
エルネストの声は、どこか焦燥しているようだ。微かにだけれど、呼気が荒い。
「誰も見ていない……ふたりだけの場所で、あなたを……」
エルネストは、片方の乳房に顔を寄せる。尖った乳房にくちづけし、先端をくわえてきゅうと吸う。するとびりびりとした感覚が全身を走り、思わず体をしならせてしまう。
「このくらいで、反応してしまうのですか?」
彼が小さく笑うと、その衝動も乳首に伝わり、コレットはまた声をあげた。
「い、や……ですか。こんな、わたしは……?」
「とんでもない」
エルネストは、小さく笑う。ひとつの乳房は手で揉んで、もう片方は味わうように舐め、乳首を吸い、軽く歯を立てての愛撫を繰り返す。
「やっ……あ、あ……っ、ん、ん……」
その体勢のまま、エルネストはコレットの両脚に自分の足を割り込ませてきた。脚を拡げさせられて、すると今まで誰の目にも晒したことのない秘められたところがあらわになった。
「あ、あ……や、ぁ……っ……」
乳房を愛撫しながら、エルネストは膝でコレットの秘部を擦った。すると思わず声が溢れ、体をひくりと震わせてしまう。
「な、に……これ」
「あなたが、感じている証です」
微笑みながら、エルネストは言った。
「女性の体は、どこもかしこも柔らかくて……感じやすくできている」
うたうように、エルネストは言う。乳房にくちづけられながらの声は肌に響いて、それにすら感じてしまった。
「愛する男に抱かれるときは、特に」
「愛、する……?」
浮かされたようにコレットがささやくと、エルネストは頷いた。そしてまたきゅっと力を込めて乳首を吸われ、大きな手で揉みあげられ、そこから伝わってくる感覚にコレットの息が荒くなってくる。
「そう……あなたは私の、愛する人……」
「あ、あ……っ……ん、んっ」
物足りない、と思った。エルネストの愛撫は優しくて、優しすぎて――体の奥がじんじんと疼く。彼は軽く下半身を突きあげながら、執拗なほどにコレットの胸に唇と指を触れさせた。そこから湧きあがる感覚に声をあげながら、コレットは腕を伸ばして、エルネストに抱きつく。
「も、っと……」
かすれた声で、コレットは言った。
「ねぇ、もっと……もっと、わたしを……」
ねだる言葉を続けると、エルネストは戸惑った様子だった。目を見合わせて、キスをした。互いの柔らかさを感じ取りながら、コレットは重なってくる体の重みを心地よく感じていた。
「ああ、わたしを……!」
コレットの声は、最後までうまく綴られなかった。エルネストの手は下半身にすべり、淡い茂みに入り込むと、そっと隠れている小さな芽に触れる。
「きゃ……あ、ああ、っ!」
「ここも、濡れている」
嬉しそうにエルネストは言って、指の腹で芽をつまんだ。
「あ、あ……あ、ああ、っ……あ、ああ!」
そこに触れられるのは、たまらない快感だった。コレットは全身を反らせて喘いだ。エルネストは執拗なくらいにそこをいじって、そして指をすべらせて花園に至る。
「いぁ、あ……あ、ああ、あっ!」
強すぎる刺激から逃げようとするものの、のしかかってきた男の体重など押しのけられるものではなかった。そのことが恐怖を、そして未知なる世界への期待を大きくする。
「あ、あ……あ、ああ、あっ……」
花びらはぐちゅぐちゅと音を立てて、エルネストの指を歓待した。彼が触れてくるとひくりと反応し、まるで中に誘うようにうごめくのだ。
「や、ぁ……あ、ああっ……!」
「私の指を、呑み込みたそうですね」
秘所を捏ね、つまんでは引っ張って、そうやってコレットを感じさせながら、エルネストの息も荒い。彼が興奮していることがたまらなく嬉しくて、コレットは彼の背にまわした指に力を込めた。がり、と小さな音がしてエルネストが眉を寄せる。
「ご、めん……な、さい」
「いいえ、こんな傷」
彼はすぐに、笑顔に戻った。淫欲のしたたる、艶めかしい笑みだ。それにもぞっと感じさせられる。コレットは彼の指が花びらをかきわけて進み、次から次へと蜜を流す内壁を擦ってコレットにさらなる声をあげさせる。
「だ、め……な、か……中は、だめ……」
自分でも知らない場所を暴かれるのは、恐ろしい。コレットは体を強張らせ、それでも喘ぎ声はやまず、秘所からは蜜が流れ続け、彼の指は中で自在に動いた。
「そん、な……ぁ……いや、いや……!」
指は根もとまで埋まり、二本の指が中でぐちゃぐちゃと音を立てている。最初に指が挿り込んだときには微かな痛みがあったはずなのに、コレットの脳裏にはもう触れられる快楽しかなくて、自分でも意味のわからない言葉をこぼすばかりだ。
「だぁ、め……も、う……や、め……て……」
「ですがあなたのここは、やめてと言っていない……それどころか、もっともっととうごめいていますよ?」
コレットは頰を熱くする。エルネストは微笑みながらそう言って、そしてちゅくん、と指を抜いてしまう。
「やぁ……あ、ああっ……!」
思わず、悲鳴があがった。今まで愛撫してくれていた指を失って、コレットはそれを引き止めようとするように、下肢に力を込めた。
「急がないで」
エルネストはシャツをだらしなく緩め、そして下衣に手をやった。布と金属の音が混ざる。そしてコレットは、今まで指でもてあそばれていたところに、熱くて太いものが押しつけられたことに気がついた。
「ほら……ゆっくりしますから。私を、受け入れて?」
「あ、は……っ……」
濡れすぎて湿地帯のようになったそこに、太いものが挿ってくる。それはぬるぬると、コレットの秘所を犯した。
「あ、あ……あ、ああっ……」
その感覚が、心地いい。コレットは大きく背を反らせ、そんな彼女の体を抱きしめて、エルネストはゆっくりと腰を進めてくる。
「ひぁあ、あ……あ、ん……っ……」
大きなそれは、蜜襞を伸ばし、かきわけて進む。コレットを気遣ってくれているのだとは思うけれど、しかしコレットはもどかしくてたまらない。しきりに腰を揺すって、しかしそれはさらに深く彼を招き入れることにしかならなかった。
「いぁ、あ……ん、っ……あ、あ……ああっ!」
「コレットさま」
かすれた声で、エルネストが言った。
「あなたは、素晴らしい……うねうねと、私を包み込んでくれる」
「あ……あ、ああっ!」
エルネスト自身が、中ほどまで入ったとき。コレットは、体中に走る衝動に甲高い声をあげた。
「な、に……これ。ああ、だめ……だめ、もう……!」
それでもエルネストは、容赦なく腰を進めた。体の奥で、なにかがぶつりとちぎれたような感覚があった。痛くはない――しかしあまりの違和感に、コレットはいまにも泣き出しそうだった。
「いや、ぁ……あ、あ……あ!」
「辛いですか? コレットさま」
ささやく声で、エルネストが尋ねてきた。コレットは涙を浮かべながらも首を横に振る。エルネストは、ほっとしたような表情を見せた。
「辛く、はない……です。ただ、違和感が」
途切れ途切れにコレットが言うと、エルネストは体を起こしてコレットの額にキスをする。その拍子に繋がる角度が変わって感じてしまい、コレットは新たな声を洩らす。
「あなたは、私のものだ」
ゆっくりと引き抜き、少しずつ挿入を開始しながら、エルネストは言った。
「そして私も、あなたのもの……私のすべてを捧げましょう」
「は、い……っ……あ、ああ、っ!」
最奥を突かれた。そこはあまりにも敏感な神経が通っているところで、コレットの全身に痙攣のような感覚が走る。それは何度も立つづけにコレットを襲う。エルネストは彼女の腰に手を置き、押さえ込むようにして激しく抽送した。
「あ、あ……あ、ああ、あっ!」
せりあがるのはたまらない感覚――これを快楽ととらえていいものか。圧倒的な情動の中、コレットは遠く、そのようなことを思った。
「は、ぁ……あ、ああ……っ、ん、っ」
エルネストはコレットの胸に手を置いた。指の腹で乳首を挟んで擦られて、そこからもまた刺激が伝わってくる。コレットは息も絶え絶えに快楽の海の中にいて、そこからコレットを助けてくれるのはエルネスト以外あり得ないのに、同時にコレットの自由を奪っているのも彼なのだ。
「あ、もう……も、う……っ……!」
エルネストが、呻きのような声をあげる。はっと目を見開いてエルネストを見ると、彼もまた艶めいた、それでいてどこか苦しそうな顔をしている。
「エルネ、スト……さま、も」
声を震わせながら、コレットは言った。
「もっと、気持ちよくなって……? もっと、わたしで……気持ちよく」
「もう、充分ですよ」
エルネストは少し笑い、そしてまた抽送を激しくした。コレットは大きく背を反らせて激しすぎる快楽をやり過ごそうとし、しかしそれは叶わなかった。
「いぁ、あ……あ、っ、あ……あ!」
下腹部が疼く。そこからぞっとするような感覚が登ってくる。コレットの目の前にはちかちかと星がまたたき、それがうつくしい、と頭の遠いところで感じていた。
「あ……あ、あ……あ、ああ、っ!」
「く、っ……」
体中がわななく。自分の体が自分ではないかのようで、同時に体の奥に熱い飛沫が撒き散らされたのが感じ取れる。
「あ、あ……あ……っ……」
「コレット、さま」
かすれた声で、コレットは彼を呼ぶ。すると彼の腕がまわってきて、ぎゅっと抱きしめられた。
「んぁ……あ、あ……」
「ああ、まだ達っているのですね」
エルネストは、嬉しそうにそう言った。繋がったままの下肢を揺らされ、すると刺激はますます大きくなる。
「だ、め……っ、……もう、だめ……」
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