「安物のホテルですまないな」
鷹島は、小規模だが、ドアマンや受付、コンシェルジュ機能の揃ったホテルに案内した。海外旅行客も多いようで、英語と中国語が、日本語インフォメーションに併記してある。
安易にラブホテルを選ばないのが、鷹島らしかった。
鷹島が受付で手続きし、二人はエレベーターで、六階へ上がった。
美久は、自分の一歩一歩が、未知の世界に踏みこんでいると自覚し、足が震えた。鷹島は受付でコートとスーツ上を脱ぎ、片腕に掛けていた。鷹島のグレーのストライプシャツの背中に、美久は何度か頬を寄せたい衝動に駆られた。そうしてもきっと赦される、という状況が、美久の欲望に油を注いでいた。
鷹島はカードキーを挿し入れ、厚めのドアを押し開くと、美久を先に通した。
ごくシンプルなツインルームは、アイボリーとブラウンで統一されていた。部屋の隅にある、ややアジアンテイストの、枝をランダムに組み合わせた間接照明が、部屋全体のアクセントになっている。
背後でドアが閉じる音がして、美久は後ろを振り向いた。鷹島は、戸のすぐ前で立ったままだ。表情は、影になっていて、よく見えない。
もしかして、鷹島は、自分と一緒にいるのを後悔しているのでは、という気持ちが、美久の心に流れた。心配と性的な興奮で、美久の心臓は破裂してしまうのではと思うほど、強く拍動していた。
「本当に……いいのか?」
鷹島が、陰りから、一歩進んだ。顔の半分に、暖かい光が当たり、彫刻のようにくっきりとした陰影をつける。
鷹島は、自分の中に猛る情欲を、頑強な理性でコントロールしていた。どんなに自分が精を吐きたくとも、一方的で性急な行動は、気持ちの温度差を生むと知っている。
美久は、鷹島を見上げながら、着たままのコートを脱ぎ重力に任せて床へ落とした。自分でも、そんな風に誘うような行動をできることが、驚きだった。
美久は、まだ時期的には早い、やや薄手で膝丈のワンピースを着ていた。少し震える脚で、立ちつくしたままの鷹島へ近づき、ゆっくりと、身体を、鷹島に預けた。生地を介してでも、お互いの肉体の感触が伝わってきた。身長差で、美久の頭は、鷹島のみぞおち当たりに位置し、美久の頬から額に、鷹島の弾力ある筋肉があった。
鷹島から、声にならないため息が漏れた。
鷹島は、腕に掛けたコートを滑り落とし、フリーになった手で、美久の頭に触れた。一瞬、壊れ物をうっかり触ったように、手を離したが、改めて美久の髪に触れ、撫でては、一房を指の隙間に優しく絡ませた。
「鷹島さん……」
美久は、髪へ鷹島の指が触れるたび、最高に褒められているような心地良さを覚えた。
「……この段階でいうのも無粋だが……、下の名前で呼んでくれないか? ……苗字だとつい仕事を彷彿してな……」
「あ……。鷹島さん、下の名前、なんでしたっけ……」
美久は、甘えるように、顔を深く鷹島の身体に埋めた。鷹島が触れられて嫌な場所がないか、注意しながら、白く小さな手を、鷹島の身体に添わせる。その立派な体躯と甘い匂い、何より、鷹島の紳士的な力加減に、美久はうっとりと酔った。
「冴樹(さえき)だ。鷹島冴樹」
「……はい、冴樹さん」
美久は熱にうかれたように反復した。
鷹島は、少し屈み、その空間に美久を巻き込むようにして、抱きしめた。
これ以上ないまでに距離を縮め、二人はほぼ同時に目を閉じた。長い間、ずっと探していた相手に巡り合ったような、奇妙な懐かしさがあった。
鷹島は、美久の頭頂部に口づけをした。美久は、甘くて柔らかな感触を受け、小さく声を上げた。その声を耳にして、鷹島の熱が上がってくる。
美久の額、それから目の横、頬から耳元を辿り、首筋へと、鷹島のキスが落とされた。
「んんっ」
鷹島の唇が、耳をかすり、美久は思わず身体を縮こませた。
「ああ……」
フッと鷹島が笑い、片手を伸ばして美久の耳を隠した。
「急に驚かせた。耳が敏感なんだな」
身体のどのパーツが弱いか、初めての交わりでは分からない。たとえ性感帯だとしても、本人が嫌がることを続ければ、時に嫌悪を伴った感覚に変化する。鷹島自身、『されて嫌な経験』があるので、なおさら慎重であった。
「……ん」
美久は、顔を上げて、伸ばされた片腕を伝うように、背伸びをしながら鷹島の首筋に両腕を回した。鷹島は美久の膝の裏へ手を入れ、軽々と抱き上げた。
半回転して美久は一瞬、目を廻したが、自分の足が地に着いていないと知り、改めてその逞しい肩に抱きついた。
美久の絹糸のような艶やかな髪が、ふわっと鷹島の身体にまとわりついた。鷹島は、美しいオーロラのカーテンに包まれたような、ファンタスティックな感覚を持った。美久をベッドへ降ろす時、それが身体の下にならないよう、鷹島は、髪をできるだけ手や腕が当たらない位置へ、慎重に指で梳き流した。
美久は、自分の髪を整え終えて、少し身体を離す鷹島を仰ぎ見た。美久は、腰から両脚を、片側へ畳んでいるものの、無防備にベッドで仰向けになった体勢だ。
鷹島の黒い瞳が、間接照明の光を反射しながら、何かを見定めようとするように、揺れていた。
「……迷ってますか? 冴樹さん」
美久は思い切って聞いた。鷹島はそれを否定するように、ゆっくり瞬きをした。長いまつ毛に縁取られた瞼は、鷹島の瞳に謎めいた色を添えている。
「いや……」
長い指先で美久の前髪を退かし、鷹島は、少し首を傾げながら、美久の顔から身体のラインを、官能的な視線でなぞった。美久は、その貴族然とした仕草に見覚えがあった。料理屋で、美しい文様の入った小鉢を眺めていた、あの姿……。
「大切にしたい時間は早く過ぎる。……だから、時々、記憶に留める時間が欲しい。……だが、その時間さえも惜しいことがある」
「冴樹さん……」
「……変なことを言ったな」
鷹島は、長い身体を伸ばし、美久の左側、顔の上を横断するように手を着いて、自重を支えた。
俯いたことで、緩やかな波を描く鷹島の黒髪が、パラパラと落ち、彼の精悍な顔立ちを隠した。今まで見たことのない鷹島の甘美な顔に、美久の下腹部がゾクゾクと期待に震えた。優有羽との性急なセックスに、悪くも慣れてしまったのかも知れない。美久の身体は、鷹島が早く欲しくて、湿った熱を帯びた。
「……はぁ」
美久は、疼く身体を落ち着かせようと、息を吐いた。
その息を飲み込むように、鷹島が唇を重ねる。最初は、位置をずらして、桃色をした上唇の端を啄む。
「ん……は……」
鷹島の唇に柔らかく喰まれて、美久は声を漏らした。じれったさが、唇の感度を高める。下唇も吸い上げられ、美久は「ん……」と、淡い声を漏らした。
鷹島は、一度顔を離してから、角度をつけて、唇と唇を合わせた。
美久は、キスで感じたことなど、今までなかった。性感帯だという意識さえなく、洋画のような、我を忘れるようなキスなど、夢物語だと思っていた。
だが、鷹島の唇が重なった瞬間、身体中の神経を伝う痺れが走り、頭の中が白くなった。軽く背が反れ、下半身の鼓動が、よりスピードを上げて、美久を急き立てる。
「ん……」
その声は、雄の本能を刺激するように、鼻にかかった甘い響きを含み始める。鷹島はキスを続けながら、美久のワンピースの前ボタンを片手で外した。
鷹島は、スカート下から手を入れ、いきなり繊細な部分を攻めるのは、好きではなかった。特に、まるで処女のような、自分の胸の下にいる娘に対しては。とはいえ、ショートカットをした方が、雄として、色々と楽なのは分かっている。だが、我慢することもまた、交わる上での演出だと思っていた。そして、お互い、最終的な満足も大きい、とも。
「ふぅ……」
美久は、まだ軽く、唇を重ねただけのキスなのに、頭がボーッとした。
鷹島は、上目遣いで、美久の状態を確認する。
(驚くほど、……敏感だな)
美久は、鷹島の名前を呼ぼうと、唇を半開きにした。その時、鷹島が美久の首筋に、甘い口づけをし、反応を見ながら、その白い肌へ、舌を這わせた。
「あっ……ああっ」
開きかけた唇からは違う音が発され、美久は、身体をビクビクと縮めた。
特に弱い耳の部分を攻められたわけではないのに、全身が細かく震えた。鷹島に触れられる全てが、性感帯として、開発されていく。
「さ……冴樹さ……」
感電したかのように、美久の身体が時折、ビクンと弾ける。
このまま、甘い愛撫を続けられたら、自分がどうなってしまうか分からない。さらに、もはや下着を越えて、ワンピースの裏地を濡らすほどの蜜壺に、鷹島を受け入れたら、何が起こるのか、美久には想像もつかない。
「ここまでは……初めて……?」
鷹島が、美久の肌触りを、唇で堪能しながら言った。
「……?」
「こんな風に、なるのは、初めて……?」
美久は、上気し耳まで赤くなった顔で、小さく頷いた。
「じゃぁ、……僕が、美久の、初めての男だな……。嬉しいよ」
低くて甘い声が、美久の胸の辺りに響く。
美久は、その言葉に、身体だけではなく、心までも持っていかれた。
へその辺りまでボタンが付いたワンピースは、すでに半分、開かれている。
「……下着……、外していいか?」
美久は、その言葉に、細かく頷いた。むしろ、すでに、美久の肌は、鷹島の肌と直接、触れ合うことを欲して止まない。美久の本能が、早く、と、鷹島をせがみ、泣きそうな表情をつくる。
鷹島は、一度、身体の位置を戻し、美久に再度、キスをした。今度は、美久の可憐な唇を割る。美久は、鷹島に誘われるままに、自分の舌を、積極的に絡めた。
鷹島の滑らかな舌と触れ合った時、美久の脳内で、白い爆発が起きた。そして、無意識に身体をよじり、鷹島の首へ、細い両腕を伸ばして引き寄せる。
「ふ……ぅ……ん」
鷹島はベッドから美久の背が浮いた瞬間に手を回し、ワンピースの上からブラジャーのホックを、難なく外した。そして、キスを続けながら、美久の片腕を、優しく首から解き、袖を抜いた。そして、もう片側も同じようにする。
美久が深い接吻に夢中になっている間、上半身は、留め金が外れた下着だけの姿となっていた。
「可愛い肩だ」
鷹島は、外気に触れ泡立つ肌を宥(なだ)めるように、唇を寄せて、温めた。
「ん……」
美久は、劣情に染まった瞳を上げて、鷹島の胸へ手を伸ばした。すでに緩んでいるネクタイを不器用に解き、慣れない手つきで、鷹島のシャツのボタンを外した。
初々しい行為に、鷹島は、クスリと笑った。
「……ありがとう」
鷹島は、結び目が解かれたものの、未だに襟にぶら下がったままのネクタイを引き抜き、ベッドの下へ投げた。ストライプのシャツも同じようにし、下に着ていたダークグレーのタンクトップも脱ぐ。
美久の目の前に、引き締まった鷹島の上半身が露わになった。胸筋はほどよい膨らみを保ち、腹筋はくっきりと割れ、まだズボンで覆い隠された鼠蹊部(そけいぶ)へと繋がる筋肉と骨のラインが、淫靡な魅力を発している。
美久は、鷹島の裸に見惚れた。そして、これから、自分が鷹島を受け入れると考え、期待に身震いを覚えた。
「寒いか?」
鷹島は、ふと天井にあるエアコンの吹き出し口に目をやった。その無防備な首筋に、美久は、また違う種類の欲情を覚えた。
「いえ……」
美久は、鷹島に与えられた一連の快楽に、めまいを覚えながら、上半身を起こし、ブラジャーを外した。
西洋絵画のような、小ぶりで白く、パウダリックな質感の膨らみと、淡いピンク色の乳首が惜しげもなく晒され、鷹島は思わず息を呑んだ。
美久は、理性の残渣(ざんさ)で、恥ずかしさを覚えながらも、それ以上に鷹島が欲しかった。だが、力で手に入れられる人ではない。本能が、美久を突き動かし、鷹島を誘い煽ろうとする。
しかし、実際、具体的に、鷹島にどう働きかけ自分の身体へ導くのか、分かる美久ではない。
「白城君……、すごく、綺麗だ……」
鷹島は、絞り出すように言って、美久の首筋に甘くキスをした。そして、美久の背中を支えながら、彼女を横たえた。
鷹島は、胸の間に口づけをし、少女のような膨らみを、これ以上なく繊細に撫でた。女の胸はギュッと揉まれると痛いものだと、鷹島は知っていた。だが男は、興奮に任せて、ついそれをしてしまう。さすがに鷹島は十代や二十代の若者ではなかったし、しかも、美久の胸は柔らかいが、どこか処女的な硬さがあり、力を込めたら壊れてしまいそうだった。
「美久……です。美久……」
「……ああ、そうだな。……美久」
「……ん」
美久は、『ナカ』の欲求を抑えきれず、腰を淫猥に蠢かせ、鷹島の身体へ脚を絡めようと、膝を上げたり、諦めて下ろしたりを繰り返した。
鷹島は、美久をもっと興奮させたかった。自分以外では、今後、一切、満足できないような身体に……。珍しく、彼の中で、独占欲が首をもたげた。
鷹島は、まだ熟れきっていない乳房を優しく舐め上げた。パウダーシュガーが掛かったように白く、ヴェルヴェットのようにきめが細かい。
「あ……ふぅっ」
美久の小さい両乳首が、硬く勃起し、快感への期待で痺れを帯びた。鷹島は、尖りの先端を舌で刺激し、一方の実を、指の腹で擦った。
「あっ……!」
美久の腰が跳ね、かなり下の方へ落ちかけているワンピースがさらにずれた。鷹島は、美久の不意な動きでワンピースが破れる可能性を考慮し、それを、美久の足先の向こうへ追いやった。美久はショーツ一枚の状態となったが、鷹島はあえて下半身から視線を外した。代わりに美久の乳頭を、唇で喰み、甘味のように吸い舐めあげる。
「あっ!」
美久の胸から下半身へと、快楽が落雷のように轟き、彼女は快感に喘いだ。
快感から逃げるように、胸を引いた美久を逃さず、鷹島は、歯の先端で、薄桃の実を、ごく軽く噛んだ。
「あっ、ああっ……!」
再度、美久の脳内が白くフラッシュした。美久の愛蜜が、収縮と共に、どっとあふれ、子宮が呼吸するかのように、腹部が上下する。
「んん……」
美久は、『達する』という経験をしたことがなかったので、そのホワイトアウトの正体が、まだ分かっていなかった。
美久のショーツは、誤魔化しようがないほど濡れていた。まだ、本番行為に至っていないのに、これほどまで濡れているのは、美久にとって、初めての経験だった。
美久が淡い意識のもと、快楽に浸っている間、鷹島は身体を上げ、ベルトを外し、ズボンと下着を脱いだ。
「冴樹さ……」
美久は、より輝きを増す瞳で、鷹島の肢体をうっとりと見た。胸や肩幅に比べて細い腰、筋肉質な太ももとふくらはぎには動くたび筋が浮かび、足首はきゅっと締まっている。そして……鷹島の前の昂りは、今まで美久が見たことがないサイズのものであった。
(冴樹さん、……大きい……)
美久は、情炎に促され、無遠慮にそれを見た。鷹島は、美久の視線が注がれていても、照れる様子はなく、むしろ美久の脚の間に、身体を寄せた。
「美久……素直な反応だ……。もっと気持ち良くさせたい……。今まで、知らなかった分」
「……はい」
正直に返事をするのはあさましかったが、もう、欲求をふさぐことはできなかった。
ショーツは取り返しがつかないほど、ドロドロに濡れ、鷹島の綺麗な指が、それを脱がす間、甘ったるい糸を引いた。
「すごく……、濡れてるな……。何度か、イッたか」
「イった……?」
ショーツも床に落とされ、二人は一糸纏わぬ姿となった。
鷹島が、美久の足首を持って、内太ももにキスをし、その部分を軽く吸う。
「ひぁっ!」
下半身といわず、全身が性感帯と化した美久は、その甘さに身じろいだ。コプコプと、泉が湧くように、愛液が流れ出る。
「どこもかしこも、愛らしい……」
鷹島は、美久の湿った場所へ美しい手を伸ばし、薄い体毛を分けた。
すでに濡れそぼつ紅桃色の花弁を開き、敏感な種を見つける。鷹島は果実を齧(かじ)るように、一帯を口へ含んだ。
「ああっ……‼︎」
美久の尻がビクンと弾けそうになる。だが、その動きは、腰骨をホールドした片手で封じられた。鷹島は、花びらから陰核を見つけ出し、舌先で転がした。
「あっ……、冴樹……さんっ、だ……ぁ……め、そこ……なんか……」
美久の恥丘が、腫れているように、ジンジンとした。あまりに淫欲が昂り過ぎていて、痛みのような感覚も伴っている。
「力、強すぎる? 痛い?」
「痛……く、ない……。でも……」
「ここも、初めてか……」
そう言って、鷹島は未踏の地にある宝物を発見したような、笑みをつくった。
「……なんてことだ」
鷹島は先ほどより少し弱く、舌先を使いながら、軽くその焦点を吸った。
「ひぁっ……」
美久は、顔を横にして、腕に引っかかった枕を握りしめる。下半身は鷹島に固定されているから、逃げられようがない。
「うぅ……っ、あぁ……っ」
鷹島が、陰核を繊細に吸うたび、美久はツンとした鋭い痺れを感じた。最初は、痛みに似た感覚だったが、鷹島に慣らされていくうちに、膣がキュンと窄まり、ジワリとした愉楽を得る。
自分の身体に、このような感覚があるとは、想像もしてなかった。
美久の双丘から、どちらのものともつかない、透明な液体が、ベッドに伝い落ちる。
美久は、身体の奥底から、得体も知れない悦楽が昇ってくるのを知った。
「あ……ひぁ……なんか、冴樹さ……なんか、おかしく……なる……っ」
これ以上、進むことに見知らぬ恐怖を感じて、美久は手を伸ばし、鷹島の逞しい両肩を押した。本気で嫌だという訳ではない、これから初めて得る感覚が何なのか怖いのだ。
「……美久、大丈夫、もっと、リラックスして……。息、ゆっくり吐いて」
鷹島は、美久の両脚に過剰な力が入っているのを感じ、一度、口を離した。これでは、達した時に、脚が攣(つ)ってしまう。
美久は、素直に、鷹島の言うことに従い、深呼吸をした。いつの間にか、身体が汗ばんで、暑い。シーツが、身体の形に、体液でベットリ濡れているのを感じた。
「僕に委ねて……いいね? 初めての感覚かも知れないが……怖いことはない」
美久は頷いた。鷹島は、美久の両太ももの緊張を解くように、少し撫でた。筋肉が少し緩んだのを感じ取って、鷹島は、はっきりと屹立している美久の陰核を、甘く吸い、軽く前歯を立てた。
「あっ……あぁっ!」
美久は、小休憩を挟んでの興で、いきなり頂点へ達した。
「…………んくぅ……っ」
身体の底に溜まっていた享楽が、陰核への刺激により、一気に噴き出した。緩やかな痙攣が、膣を収縮させ、何がどうなってもいいような、快感が下腹部を中心にして広がる。ベッドから腰が反り、美久の脳内で、鷹島の美しい顔や、気怠いような官能的な目線、それにそぐわないような生々しい陰茎がチラついた。自分がこんなにも強い性欲を持っていると、美久は驚きもしていた。だが、普段なら恥ずかしいと感じるのに、今はそれを全力で肯定するほど、思考まで快楽に支配されていた。
(このあとは製品版でお楽しみください)