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続・ドSなバーテンダーとバリキャリOL~正直になれたら、またHなご褒美をあげるよ~

続・ドSなバーテンダーとバリキャリOL~正直になれたら、またHなご褒美をあげるよ~

著者:叶マリン

イラスト:みささぎ楓季

発売年月日:2023年7月28日

定価:990円(税込)

恋人のバーテンダー・朔也と甘く濃密な年末年始を過ごしたIT企業勤務の唯。始業日より朔也の一族経営のホテルの予約システム改修リーダーに抜擢される。その矢先、朔也のバーは定休日が増え、忙しさと共に会える日が減ってしまう。 何かと距離の近いシステムアドバイザー・イケメンのロイと仕事を進めるも、チームの女子から不興を買い、遅れが出てしまう進捗に無理を重ねていく。その中、久々に会えた朔也との蜜月を迎えた翌日、不意に唯は吐血して倒れ……!?

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登場人物

立ち読み

プロローグ

ベッドで目が覚めた……窓の外が暗い。

サイドテーブルの時計を見ると、六時。

えっと……朝の六時、それとも夕方……?

時間の感覚が曖昧――ずっと朔(さく)也(や)さんとベッドにいるから――今も私の後ろで眠ってる彼の腕が、私に絡みついてる。

もう一度目を閉じて、さっき朔也さんとルームサービスで食べたのはランチだった? それとも夕食……? と考える。

でも、あれ……? 何を、食べたんだっけ……ダメ。ぜんぜん頭が回らない。

そぅ……っとベッドを降りて裸のまま、テーブル上の飲みかけのペットボトルの水を飲んだ。

すっかり室温と同じ温度になっているけれど、身体のなかを水が落ちていく感覚が心地いい。

ホテルの部屋って乾燥しがちだから、バスタブにお湯を張って扉を開けておけばよかったな……そんなことを考えながら再びベッドへ、朔也さんの隣にそっと潜り込んだ。

すぐに朔也さんの腕が私の身体を抱き寄せてきて……起こしちゃったみたい。

「ん……!」

朔也さんが私の背中から回した手で、胸やその先端をもてあそぶ。

「……唯(ゆい)は、右と左、どっちのほうが好き?」

「す、好き……?」

背中に朔也さんがキスしてる感触……声にならない吐息が漏れる。

「どっちのほうが感じる?」

「そ、んなの……わかんない……!」

そんなこと、考えたこともないし!

「じゃあ、二人で研究しようか」

「や……ッ……!」

「ここは嫌じゃないみたいだよ? ……ほら、もうこんなになってる」

朔也さんが、私の肩を後ろに引いて仰向けにして、上に覆い被さった。

ベッドサイドの暗い灯りが朔也さんの顔に当たって……どうしてそんなに楽しそうな顔をしてるの?

両方の胸の先を指でコリコリと転がしながら、右耳にキスしてくる。

「やぁうッ!」

耳の中に舌が入り込んできて身体の奥がきゅうッ! となる。

「あぁ、右のほうが感度がいいのかな。唯はどう思う?」

「わ、かんない!! 耳、やだ!」

「嫌? ……じゃあこっちは?」

って……朔也さんの舌がおりてきて……指の代わりに舌で右胸の先が転がされる。

「あぁん……ッ」

「ほら、やっぱりこっちのほうが感度がいい」

あ……太ももに硬いものが当たってる……。

「し……ら、ない!」

両手で朔也さんの肩を押すけど、どけられるはずもなく。

もう、腕にまともに力が入らないし。

「じゃあ唯の身体のことを一番知ってるのは俺かな。……ここのイイところも」

そう言いながら手が下にのびてきて、まだ彼の形を覚えてるソコを撫でた。

「あ……ぁ……ッ!」

さっきからずっとまともな言葉を話せていない……たぶんもうすぐ、考えることも出来なくなる。

「唯はどこもかしこも感度がいいね……憎らしいくらいに」

ふいに顔を上げた朔也さんが、私の顎をグイと右手でつかんだ。

「誰に開発されたの?」

正面から目を合わせた朔也さんが聞いてくる。

「こんな私、朔也さんしか知らない……」

「そんなかわいい嘘、信じてやれないなぁ」

目を合わせたまま薄笑いを浮かべる朔也さんの指先が、敏感な赤い芽を撫で上げる。

「ア……! ほん、とだもん!」

思わず首を横に背けた拍子に、朔也さんの手が私の顎から外れた。

呼吸が乱れるのと恥ずかしいのとで、口元を手で隠そうとしたけど、すぐ朔也さんがその手首をつかんで、私の頭の上に固定する。

顔を寄せてきた朔也さんにキスされて……侵入してきた舌に頭の中まで溶かされる。

舌を絡められている間ずっと、朔也さんの左手は私の敏感なトコロでくちゅ、くちゅと音を立ててる……あ……ダメ……!

「すごく濡れてる」

彼の言葉に、無意識に腰が動いて指から逃れようとするけれど、私の意思を読んだように彼の指は執拗に、私の赤い芽を弄び続ける。

……ダメ……だめ。

「イきそう?」

唇を離した朔也さんが、目をのぞき込んでくる。指は動かしたまま。

もう、コクンとうなずくことしか出来ない……ッ!

「いやらしい身体だね」

ずぷ、と指が奥まで入った。

「……ッア!! ……っ……!」

朔也さんの前で自分がどんな顔をしてるのか、構う余裕なんかない……キモチ……イイ……!!

ひくんっ、ひくんっと何度も腰が跳ねる……肩で息をしながら、視界の端に、朔也さんが何かしてるのが見えた。

あ……ゴム着けてるんだ……そう、理解した途端。

「あ……っんうぅッ! ダメぇー!!」

私の脚を持ち上げて、朔也さんが身体の奥まで一気に侵入してきた。

「んー? 何がダメ?」

腰を打ちつけて私を揺らしながら、彼は見下ろして聞いてくる……薄笑いを浮かべて。

「んッまだっ……ッてる……っからぁ!」

「だからそれは、ダメ、じゃなくてイイ、だろう?」

身体が揺らされる……何度も、何度も。

「唯。正直に言ってごらん? 気持ちいいって」

顔を近づけた朔也さんの低い声が耳元で響く。

その声にゾクっとして……身体がまた反応してしまう。

「ほら、また締まった。気持ちいいね、唯……俺も、イイよ……」

あ……朔也さんのこの顔、好き……理性がとんで私をむさぼる時の顔。

「あ……ン……さく、や……さん……!」

腕を絡めて唇を求めて……聞こえるのは、二人の息づかいとお互いの肌が触れる音だけ。

朔也さん……大好き……!

 

◇◇◇

 

次に目が覚めると、窓の外には昼間の青空が広がっていた。

さっきは朝の六時だったんだ……今は何時なんだろ。

ベッドに寝そべったままサイドテーブルの時計をのぞくと、もうすぐ十二時を指すところ。

うわぁ、なんだか罪悪感……朝からエッチして、起きたらお昼だなんて。

「目が覚めた? おはよう。ルームサービスが届いてるよ。食べられる?」

声がしたほうを見ると、テーブルで新聞を読んでいる朔也さんが目に入った。

ボタンを二つほど外したシャツに、下ろした前髪がラフでセクシー。

「おはようございます……って時間じゃないですけど」

ベッドから起きだそうとして、何も身に着けてないことを思い出す。

あわてて毛布で胸元を隠した。

「なに今さら。そのまま起きておいで。俺は構わないよ」

こっちを見ながらクスクスと笑ってる……朔也さんが平気でも私は平気じゃないです!

「そんなわけには……」

と毛布を身体に巻きつけて、椅子に掛かっている服を取ろうとベッドから立ち上がる。すると、朔也さんが椅子から立ち上がって私にスタスタと近づき、体に巻きつけて背中の方に回した毛布の端をぐっと握ってきた。

「え? ……きゃあッ」

慌てて振り返るも遅く、そのまま毛布を引っ張られ、剥ぎ取られてしまった。

「ちょッ……何するんですかぁッ!」

床のじゅうたんに座り込んで、胸を手で覆いながら朔也さんを見上げると、

「あれ? 悪代官がよくやるあれ、一度やってみたかったんだけどなぁ。なんか、思ってたのと違うね」

と、不思議そうな顔で毛布を手にしてる。

「それは時代劇の悪役が、女性の着物の帯をクルクルとするやつでしょ!? ていうか毛布、返してくださいっ!」

手を伸ばして毛布を取ろうとすると、朔也さんが一歩下がった。

「どうしようかなぁ……」

と、ニヤニヤと悪い顔でこちらを見てくる。

朔也さんって……こんなイタズラする人だったの?

「もう、いじわるしないでください。毛布返して」

座っているとじゅうたんが肌にチクチクして、気持ちが悪い。

「じゃあ俺は後ろを向いてるから、そこの服に着替えたらいいよ」

そう言って朔也さんは立ったまま、私に背を向けた。

もー、カップルのイチャイチャというより、小学生のいたずらレベルじゃないの。

ソロソロと立ち上がって、椅子の座面に置かれた下着を手にとる。

ショーツやブラはフェイスタオルにくるんで、直接見えないようにして置いてくれている……こういう細やかな心遣いは朔也さんらしいのに、さっきみたいな子供じみたこともするのね。ショーツを穿き、ブラの肩紐を腕に通して背中のホックを留めようと顔を上げると、ベッドルームの隣、書斎のような部屋にある鏡に映る朔也さんと目が合った。

「!!」

「あ、見つかった」

心底、楽しそうな笑顔の朔也さんが鏡に映ってる。ということは、私の裸も……。

「もうっ! ……朔也さんのばかぁっ」

大急ぎで残りの服を持ってパウダールームに走り込んだ。

 

◇◇◇

 

「唯、これあげるから機嫌直して?」

そう言って朔也さんが、フォークに刺したひと口サイズのメロンを、私の口元に差し出す。

さっき、服を持ったままパウダールームに駆け込んだあと、そのまま続いているバスルームのバスタブにお湯を張り、ゆっくりお風呂に浸かった。

恋人と一緒にいる時に私だけ、ゆっくりお風呂に入るとかほんとはあり得ないけど、バスルームにしばらく籠城してた。

洗った髪も丁寧に乾かして、パウダールームでメイクも終えてから、服を着て部屋へ戻る。

すると、もともとテーブルの上にあったパンや飲み物の食器のほかに、フルーツの乗ったお皿が増えてた……追加でオーダーしてくれたのかな。

口元に差し出されたメロンを口に含む……ん、冷たくて甘くて、ジューシー。

「おいしい、です」

口の端から果汁がこぼれそうになる。

口を拭こうとナプキンに手を伸ばすと朔也さんがその手をつかんで、そのまま顔を近づけて私の口元の果汁を、ぺろっと舐めとった。

「! 口紅がついちゃう……!」

咄嗟に拭おうと朔也さんの唇に親指をあてると、その指まで朔也さんがパクリと咥えた。

そうだ、こういうこと平気でしちゃう人だった……でも私は今もこういうの、慣れないから。

「もう、ダメですってば……」

目をつぶって斜め下を向いて、そう言うのが精いっぱい。

親指を舐める彼の舌の動きが、もぅ……だめ。

「機嫌、直った? ……直して……唯」

おでこにキスされて、私のそばに移動した朔也さんが私を優しく抱き締める。

「ごめん。すぐ触れられる距離に唯がいるのが嬉しくて」

その言葉にとまどう。

朔也さんが、私のことをそんな風に?

「私こそ、朔也さんとこうして過ごしてるのが信じられないのに……」

朔也さんの背中に腕を回して、服に顔を近づけて深呼吸する……甘い匂い。

これからこの香りをどこかで感じたら、近くに朔也さんがいるのかもと探してしまいそう。

そして、二人で過ごしたこの甘い時間を思い出すんだろうな。

職場に同じコロンをつけた人がいなくてよかった、仕事中に朔也さんとの時間を思い出していたらミスばかりしてしまいそうで、こわい。

メイクがつかないように気をつけながら、朔也さんの服に頭をぐりぐりと押しつけた。

「……なに?」

優しい口調の朔也さんの声が、頭の上から聞こえる。

「朔也さん。大好き」

ぎゅ、と朔也さんが腕に力を込めた。

「ありがとう。俺も唯が大事」

なんて幸せな時間……。

(このあとは製品版でお楽しみください)

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