ひゅ、と、冷たい風を感じた。
目を開けると、そこに、男性がいた。年は三十歳中盤ぐらい。アタシは、夢か現実か、現実だとしたらここどこだっけ、と、思った。
そして、目をもう一度つむると、ここが啓二の実家であることと、啓二と義母が買い物へ行ったことを思い出した。
アタシは、思わずガバッと起き上がった。
「きゃぁ!」
「おっと」
その男性は、アタシの頭を避けてうしろに退いた。アタシの視点から男性の靴下がみえた。……まさか、泥棒だったら靴下ってわけない……よね。
一秒後、アタシはそれが、啓二の父親だと悟った。
「す、すみません! アタシったら、寝ちゃって!」
「いいよいいよ、起こしてごめん。奥さんからメッセージもらったんだけど、啓二の相手の、……綾香ちゃん、かな?」
「は、はいっ」
アタシは三つ指ついて……というよりは土下座のように頭を下げた。いやだ、恥ずかしい。そのメッセージがなかったら、アタシは悠長に寝ている侵入者じゃないの。
「ここ、西日がはいって暖かい部屋だから、眠くなるよね」
啓二の父親……義父は、にこっ、としてスプリングコートを脱いだ。ぱりっとしたスーツ姿が現れて、アタシはドキッとする。
「はい……」
義父が、コートを客間のハンガーへかけるあいだ、アタシは彼の外見を観察した。身長は啓二より高いけれどバランスがとれていて、顔はベース型だけど骨っぽさがない。
ダークブラウンの髪をうしろに軽く撫でつけていて、ともすれば幼くみえる二重の目は、アルミのスクエアフレームに囲まれている。
(い、色っぽい……っ!)
アタシは、あの義母の若さがわかる気がした。
こんな男性と暮らして、セックスしていたら、そりゃ若返るわ。死別した夫が色あせるわ。財産だってあげたくもなるわ。最後はアタシの勝手な妄想だけど。
「いるのは知ってたんだけどね、どんな子かなぁって思って。驚かせてしまったね。でも、想像していた以上に可愛い子だったから、すこしのあいだ、眺めてたんだよ」
義父は慣れたようにウィンクをする。
ドキュン。ハイ、アタシ撃たれました。
そして思わず、隣の部屋にある、ベッドルームを想起する。
(ああ、義母は、このひとに抱かれてるんだ、うらやましすぎる!)
啓二がカッコよくないわけじゃないけれど、細身の彼じゃ、どうやってもスーツを着たときの肩幅や胸板がでないのよ。
いや啓二も決してイケメンでないわけではないけれど。
なんて、アタシがグルグル思考を巡らせていると、義父が笑った。爽快な笑い声だった。
「表情豊かな子だね。大丈夫、とって食ったりしないから。ああ、でも、食べたくなる子だね」
長い指が伸びて、アタシのあごを上向かせる。アタシは、耳まで熱くなってきた。お義父さま、近い、近いってば!
「こんな子が啓二君の嫁だなんて、もったいない」
そう言うと、義父はアタシにキスをしてきた。
(えーーっ?!)
アタシは、びっくりした。と、同時に、啓二達のことを思い出した。
「あっ、あのっ、啓二達が帰って……」
「大丈夫、奥さんには、店をでるとき、メッセージするよう、いつも言っているから」
そう言って、今度は、角度をつけてキスをする。
アタシは、義母からメッセージが来る旨を聞いて、ほっとした気分になった。
(いや、安心するなんて、すごくいけないことじゃない?)
そう思うのに反して、アタシは義父の首に腕をまわしてしまった。
「ん……」
アタシと義父の舌がからむ。触れたところからしびれて、アタシは、浮遊性のめまいを覚えた。
(ああ、こんなことをして……)
背徳感が、アタシの背中を押す。
抱かれてしまったらいいのよ、と。
だって、義母よりアタシのほうがお似合いじゃない。
どこかで残酷な声もする。
キスをしながら、義父がアタシの胸に触れた。下から上にぎゅっともみ上げ、敏感な乳首を強めに擦る。
ビン、とした快感が走って、膣がドクリと脈を打った。
(いやだ、アタシったら)
義父がワンピースの下から手をいれ、ストッキングの上からショーツをなぞる。アタシは、思わず、自分から腰を動かしてしまった。
「もう濡れているね。啓二君はちゃんと、お勤めしているのかな?」
(……アタシったら、欲求不満!)
義父がよどみなく、ブラウスのボタンと、ブラジャーのホックをはずした。
生の手が触れただけで、アタシの身体はゾク、と震える。
その反応で義父はアタシのことを悟ったらしく、耳元でささやいた。
「駄目だね、啓二君は。こんなに愛くるしい子を欲求不満にさせて」
図星すぎて、アタシは恥ずかしくなった。
義父がアタシの耳を、舌先でチロリと舐める。とたんに、全身がキュン、と縮んだ。
「ひぃあっ」
「ここの性感帯はバージンみたいだね」
と言って、義父が耳たぶを食む。多少はフォーマルに、と思って、着けてきたパールのイヤリングが落ちた。
「ひぁっん、あっ、ムリで……」
舌が耳を伝い、首筋を這う。アタシは、スーツの肩をぎゅっと握った。
「はぁ……、あぁんっ」
気持ちよかった。舌がこんなにも柔らかく、皮膚を刺激するなんて、初めて知った。
思えば、性急に射精したい男ばかり選んできた。こんな念入りに前戯をされるなんて、初めての経験かもしれない。
啓二も例外じゃないのが淋しいけど。
義父が、片方の乳首に軽く触れると、電流のように快感が背中を通りぬけた。指先でつまみ上げ、そのあと、力を抜いて優しく転がす。
「あぁっ……んんっ、あぁんっ!」
なんだか、もう、どうしていいのかわからなかった。
アタシの身体は、実は着ぐるみで、もう一人のアタシが、背中からでてきそうな感覚があった。
「可愛い声だね。それに、バストの形もきれいだ。こっちも充分に、濡れているよ」
義父がそう言って、裾をめくり、ショーツごとストッキングを下ろした。
アタシの脚を開かせると、そのままクリトリスを舌で舐め上げる。
「ひぃあっ!」
アタシは、声がこれ以上、大きくならないように、あわてて両手で押さえた。
「んーーっ。んぐっ」
呼吸を我慢している苦しさで、思わず、涙目になる。
義父はクリトリスを唇で優しく食み、尖らせた舌で慎重に刺激した。
「あっ、あぁっ、んっ、んぐっ」
そして、アタシが蕩けたところを、義父は一気に吸い上げる。
じゅっ!!
「あぁっ!!」
電気ショックのようなものが下半身に走って、アタシは反射的に、腰をボン、と跳ねさせた。足の指先まで、しびれが伝わる。
「あぁーーっ」
どぽどぽ、と、いう感じで、愛液が膣から流れ出ているとわかった。……これがイクってこと……?
「ひぃんっ、はぁっ」
口を覆うのも忘れて、アタシは頭の横でこぶしをつくった。義父はまだ、クリトリスを攻め続けている。
「アッ、アッ……」
アタシは右を向いたり左を向いたりしながら、腰を揺らした。義父はアタシの太ももを固定していて逃げ場はない。
「お義父さぁ……ん、駄目ぇっ、もう……むりぃっ」
気づけば、目の端から涙がこぼれ落ちていた。
快感で涙がでるなんて初めての経験だった。感じると、どこからでも体液がでるもの?
「あンッ!」
義父は、マッサージの最後、終わりですよ、という合図がごとく、すこし強く吸い上げた。腰がまた浮き、そのまま固定した。
「泣いちゃった? そのぐらい気持ちいい?」
アタシはこくんこくんとうなずいた。いやだから泣いたのだと誤解してほしくなかった。もちろん、そんなこと、義父は承知の上に思えたけれど。
「初めての外イキだね。じゃぁ、こっちはどうかな」
そう言って、義父の中指が膣へはいる。ナカの感触を確認したのか、「ああ、いいね」と呟いた。
義父が指を引くと、ぬちゃっ、と、甘ったるい音がした。
「すごく濡れているよ」
義父が濡れた中指をみせてくれた。
長い指は、透明な液体と白い分泌物にまみれていて、アタシはなんだか興奮した。義父のキレイな指を汚したと思って、“感じた”のかもしれない。
ドクン、ドクン、と、一度、えぐられただけの膣が、いまや遅しと義父の身体を待つ。
義父は、指を膣に戻した。愛液まみれの指は、一瞬だけ、ひやりとする。それから、義父は指を上下に動かした。
「あぁっ、んん、あぁんっ!」
気づけば、アタシの顔のまえに、義父の顔があった。
端正な顔立ちと、下半身の動きが一致しなかった。このひとが、快感をいままさに与えているひとだと、思えなかった。
「ここ、女の子のいいところなんだよ? ……知ってた? 啓二君はちゃんと刺激してくれてる?」
かなり入り口に近い膣の上壁を、義父の指が、ゆるゆると擦ったり揉んだりする。
最初は、あ、気持ちいいかな? ってぐらいの感覚だったけど。乳首を吸われたり、さっきイッたクリトリスを刺激されながら続けられると、だんだん挿入時ぐらいの快感に変わってくる。
「んん……あぁ……、気持ちいい……です」
アタシはうっとりとしながら言った。
「本当に、可愛いね。啓二君にはもったいない」
そう言ったあと、ジッパーを下ろす音がした。
アタシの身体は期待で小さく震えた。
(……そうだ、このひとは、啓二と血は繋がってないんだ。アタシにとっては本当に赤の他人なんだ。啓二と結婚さえしなければ、普通の男女……)
膣口に、硬い亀頭が当たる。アタシは、すこし脚を開き気味にした。
「いれるよ? それともやめておく?」
ここにきて、義父は優しくて意地悪な選択肢をだした。ちょっと、ズルい。アタシはもどかしくて、歯を食いしばる。
「そういうの、なしです……っ」
アタシは、熱くなった身体を止められそうになかった。たとえ、この行為がアタシの責任になったとしても。
「そうだね、実のところ、僕も止められそうにないよ」
そう言って、義父はメガネを押し上げた。
そんなしぐさにも、いちいち、キュン、としてしまう。
義父はゆっくり進入してきた。ぬと、と、粘着質な音がして、アタシの膣口が開いた。
ずずずず、と、いわんばかりに、義父のペニスがさらに奥へ進む。アタシはすこし驚いた。膣を押し広げるペニスが、想像以上に硬くて大きい。
「あっ、ひぁぁぁっ……」
アタシのナカは、義父の型にあわせて、まとわりついた。
「ああ、君はすごくイイよ」
はぁ、と、義父が息を吐く。
「痛くない? 大丈夫?」
「大丈夫です……」
アタシは、目をつむりながら、未知への恐怖に堪えた。それはアタシがいままで経験した男性器の形ではなかった。まるで、太くて大きな蛇のよう。
(ペニスってこんなに大きくなるんだ……)
そのとき、義父が、奥まで差しこんだモノを一度、抜いた。
「アァッ……!!」
ペニスの凹凸がアタシの内壁を刺激し、アタシは悲鳴を上げた。
さっき、指先で刺激された場所が、快感を増幅させる。そしてまた、義父は、ペニスを奥まで差しこんだ。
「ひぁぁんっ!」
アタシは思わず義父のスーツに爪を立てた。背中は反り、尻から愛液が座布団へ落ちる。
「なんて身体なんだ、綾香ちゃん、……気持ちいいよ」
アタシは、その言葉にまたキュン、とした。アタシが、義父を気持ちよくさせてる、って思うと、興奮がさらに増した。
そして、義父は、ピストン運動を開始する。
「ひぁっ、あぁっ、あんっ、あぁんっ!!」
アタシは悲鳴に似たあえぎ声を上げた。圧倒的な大きさで膣を押し広げられ、内壁を強く擦られる。
なにもかもどうでもよくなる快感が、ペニスが突かれるたびに押しよせた。アタシは、下腹部に脳がある生き物だ。
「ひぃ、アァンッ、アン、アンッ!!」
アタシは、勢いに負けて、身体をねじる。頭が、ぼーっ、としてきた。息が上がって、呼吸が苦しい。
「ハァ、ハァ、ん、ハァッ」
「綾香ちゃん……っ、こんな……すごいな」
太ももを持ち上げられ、身体の角度を変えられる。結合したままの、よどみない動きだった。
(すごい、慣れてる!)
「ここはどうかな」
義父は、さっきと違うところを押し広げた。
「あっ、はぁっ! き、気持ちいいですぅっん、ん、アン、アァッッ」
義父の先端が、最奥の……子宮口の辺りまで届いてる。
すこし痛いような気もしたけど、圧倒的な快感がそれに勝った。
……この辺にも、女の快楽ポイントがあった気がする。啓二との行為では届いたことがなかったけれど。知識だけは多少、頭にあった。
「んぅはっ、あん、はぁん、アンッ!!」
突かれるたび、ず、ず、と、アタシの全身が振動する。ブラジャーがはずれ、こぼれ落ちた乳房が、プルン、と揺れた。
「あっ、アッ、あっ」
義父がアタシの太ももを抱え、抜き挿しを強く繰りかえす。
だんだんアタシの膣は快感でマヒしてきて、頭のなかが白くなってきた。身体がときおり、ビクン、とケイレンし、下半身から、じゅわ、と、快感混じりの収縮が起こる。
「あ、……ひぁぁぁっ!」
もしかして、アタシ、イクことができるかもしれない、なんて、思った。イクってことがどんなものか知らないけれど。
「アァッ!」
急に、電撃のような強いしびれが来て、アタシは足先をジタバタさせた。義父の手が、アタシのクリトリスを親指で擦りつぶす。
「あ、あ、ダメェっ!」
(そんなにされたら、アタシ、裏返っちゃう!!)
なんて、変な表現だけど本当にそんな快感が起こった。太ももは固定されているので、思わず腹筋で、ぎゅぅ、っと、その部分を縮める。
「うぁっ」
義父が小さく声を上げた。
「そんなに締めつけたら、ナカで射精しちゃうよ……」
義父のこめかみには、汗が一筋、光っている。
「射精、してください……っ! ナカで……!」
アタシはとんでもないことを口にした。とはいえ、すでにそのラインは超えているのだけれど。
「お願いぃっ! あぁん、あぁっ、あんっ!!」
義父が抜き差しを再開した。
粘着質な音をバックに、また体勢を変え、後背位となった。アタシは尻を突きだすような恰好で、畳の上に伏せた。
「はぁっ、あぁんっ、んぁあっ」
「イケナイ嫁だね。でも僕も、イケナイ舅(しゅうと)か……」
しばらく、お互いの息づかいだけになった。
「アッ!!」
アタシは膣に、いままでにないケイレンを感じた。
身体が泡立つような、不思議な快感が上がってくる。
「アッ、なにっ、イヤっ、あぁ、ひぁぁっ」
「イキそうだね、イッていいんだよ、イッて」
(これがイクってことなの?)
そう思った瞬間、首筋に鳥肌が立ち、じゅゎぁっ、と、額にまで快感が走った。膣はひくひくとケイレンしたのち、ぎゅぅぅっ、といままでにないぐらい縮み、義父のペニスを咥えこむ。
「あっ、つっ」
(このあとは製品版でお楽しみください)