ロレッタ・オルビーの卑猥な声は、静かな書斎にとても相応しいとはいえなかった。
けれども彼は、グラハムは今まで会ってきた男性と違うのだ。初めて好きになれた男性。身体を許し、乱れることも構わないと思うほど惹かれた、愛しい人。
だからこそ、ロレッタはソファで足を広げ、絶えず甘い声をあげた。
「あっあっ! グラハム!」
何度も秘丘を往復する長い指に蜜芽を摘ままれると、堪えようのない快楽に意識が飛びそうになる。
蕩けた顔でグラハムの太い首にしがみつくと、彼は熱い息を吐いた。
「ロレッタ。場所を変えようか。ソファの上では狭いだろう?」
ロレッタはすぐに首を振り、上目で続きをしてほしいと強請ねだる。
蜜がとろとろに溢れ、芯まで疼くこの身体をどうにかしてほしいのだ。
いくら書斎と寝室の部屋が繋がっているとはいえ、移動する時間が惜しい。何度も繰り返した逢瀬で快感には慣れても、昂る気持ちを抑えられなかった。
「ほしい、の……っ」
それまで、男性は皆冷たくて、『噂』を信じてダンスを踊ることも、会話すらしてくれなかった。
他の令嬢のように華やかに振る舞いたいと思っても、自分には遠い世界、入ることの許されない世界だと思って、近づくことはない。
こんな風に甘く抱かれ、身体を求められる日々を心のどこかで望んでいた。
グラハム・ベイクウェルを、好きになるばかりだ。
「仕方ないな……」
求めることを望んでいたような眼差しに胸が高鳴る。彼の太い指で丁寧に花芽を圧し潰され、擦られるとたまらず声があがった。
「あっあっ……あぁ……あぁ!」
「キスしてもいいか?」
「は、はい」
期待して目を瞑り、口を閉じると、足を急に大きく開脚させられ、さっきまで弄られていたところに、グラハムの唇が触れた。
「ひあっ……。だめっ、汚いわっ」
「そう思うのはロレッタだけだ。綺麗な形、蜜の甘い匂い。君そのものを表しているみたいだ」
「ど、どういう例えです?」
「ほら、黙って」
ちゅっちゅっと吸われて、ロレッタは羞恥を煽られて思わず固く目を瞑る。
グラハムに舐められているところがじわじわと熱を帯び、意識が集中していく。
浮かされるように腰を揺らして喘ぐだけだったロレッタは、快楽の淵で彼の熱心な姿をいつの間にか見つめるようになっていた。
大きな身体はしなやかに鍛えられた馬を想像させるのに、腕は熊のように太い。
その腕にある戦傷を見ると、どきんと胸が鳴る。
「んっ……やめ……グラハム……」
「本当にそう思っていないだろう? さっきから観察するみたいに見ているじゃないか」
「だって……」
自分ををここまで愛してくれる人はいないと思っていた。
自分の身体は、年のいった男の慰み者になることぐらいでしか使い道もないのだろう、と半ば諦めていたのだ。結婚も、恋愛も、何もかも手に入れることなど不可能だと思っていたから、だからこそグラハムの好意ひとつひとつを確かめたくて、見つめてしまう。
そこにいやらしさはない。いや、でも、本当はいやらしいのかもしれない。
「そんなに……舐め……ないで……。あっそこっ……やぁっ!」
「弱いところは、ここだ。ぷっくりピンク色に膨れている」
「だめっ……そこには触れないで」
「ロレッタの言うことを聞くと思うか? さっきから蜜道だってひくついているんだ。逃がさない」
だってほら、グラハムの熱っぽいことばを聞いて、満たされていくばかりだ。
「本当は……好きにしてほしいの」
「ん?」
「私の身体は、グラハムのものですから」
「そんなことを言って煽っているつもりか?」
にこりと微笑まれて、ロレッタは困ってしまった。
彼にその身を全て捧げ、結婚すると決意し、抱かれた。
冷静さはなくなり、蕩ける身体とともに心まで溶かされていく。だというのに、グラハムは淡々と儀式を済ますように手際よく、的確にロレッタの性感を刺激する。
溢れて止まらない蜜はソファに染みを作り、そこは今すぐにでも彼を受け入れるのに充分だった。気持ちの上でも、はやく貫いてほしいと願ってさえいた。
その願いを叶えるように蜜壺に深く指を突き入れるグラハムに、ロレッタは腰を跳ねさせた。
「ああぁ! はぁっ……んぁっ……変に……なりそうです」
「そうなるといい。ロレッタの顔は、とうに蕩けているがな」
「そ、んな……こっ、と!」
いつの間にか半開きになっていた口を慌てて閉じ、ロレッタは赤面した。しかし、すぐにまた喘ぎが漏れ、だらしなく開いてしまう。
「あんっ……あんっ」
「可愛い声だ。蜜も溢れてとまらない」
「そう……ですか? んっんっ」
はしたない声を上げながら会話を続けると、腹の奥がじんじんと疼いて止まらない。
グラハムの指で奥を突かれるたび、快楽に溺れてしまう。
ぼんやりした頭では考える暇などなく、めちゃくちゃに蜜壺を掻き混ぜるグラハムによって、激しい水音が書斎に響いた。
「あぁあ!」
身体のどこにも力が入らず、ただグラハムにされるがまま。
彼の鋭い視線を感じて、肌がちりちりするように研ぎ澄まされていく。
指に絡みついた蜜を見つめ、グラハムが目を細めた。
「女であることは変わらないな。魔女と語られようと、なんであろうと。愛しさに変わりがないように」
普段ロレッタは陰に隠れるような令嬢で、ひっそりと生きていた。
こんな卑猥な姿など、誰にも想像などできないだろう。
それに、彼女の後ろをついて回るのは『魔女』という忌み名だ。
ロレッタと関わった男性が三人もこの世から消え、恐ろしい女だと噂されるがゆえにつけられてしまった。おかげで人は遠ざかり、今後も孤独に生きるしかないとさえ思っていたほどなのに。
「あぁ! グラハムっ」
グラハムと出会った途端、指先ひとつで腰をくねらせ、甘い声をあげている。
淫猥な声と水音が響き渡る書斎は、今や日常のひとつだ。グラハムとの甘いひと時なくして、ロレッタの人生は語れないほどに。
「もっとたっぷりだ」
「もう……身体が……」
指を二本に増やして抜き差しされ、ロレッタは身体をひくひくと震わせると、蜜を溢れさせた。
「あぁぁ! あんっ……んんっ……ください……」
「もう少しだ。ロレッタ」
「グラハム……グラハムッ……」
うわ言のように呟くと、がくがくと痙攣する腰を抱きかかえられ、指を思いきり咥え込まされた。
「ぁ、……あぁっ!」
秘肉が圧迫し、頭が蕩けていく。
真っ白に染まる世界にロレッタは身を委ねた。
煌びやかな金髪は汗で艶めき、ブルーの瞳はグラハムに助けを求めるように……彼自身を求めるように目を潤ませる。
荒い吐息の中、グラハムから熱っぽく見つめられた。
「続けるか?」
「もう決めております」
「でも、嫌なら言ってくれ」
グラハムはスラックスをくつろげると、ロレッタはソファに横たえられる。
さっきのように開脚させられ、足を担ぐグラハムによってスカートが捲りあげられ、下肢や秘部が露わになる。
羞恥に顔を背けると、グラハムはそっと頬を撫でてきた。
「さっきまであんなに見ていたのに」
「……仕方ありません」
そっと腰を降ろされ、屹立を蜜口にあてがわれる。
「あっ!」
「痛いか?」
「平気です」
ロレッタは思ったよりも、痛みが快感に勝っていることに驚いた。
潤んだ秘部は彼の肉をどんどん呑み込み、奥まで貫かれる。
「きついが、入ったな」
「幸せ……です」
息を淫猥に漏らしながら、ロレッタはグラハムに囁いた。
彼の熱が腹の中で脈打ち、震えている。
「あっ……んん」
「どうした?」
「い、いえ」
ロレッタは本当のことなど恥ずかしくて言えなかった。
咥えている肉棒が、腹奥でひくひくと蠢くたびに背中がぞくぞくとして、甘い疼きに変わるのである。自分の身体や気持ちがグラハムと繋がることで作り変えられ、彼なしでは生きていけなくなっていくような気分にさせられてしまう。
「動くが、構わないな?」
「はい」
グラハムの問いに緊張しつつ頷くと、抜き差しが始まる。
求めていた行為だ。それなのに、快楽はよくとも男性にはまだ慣れないからか、身体は反して無意識に身を捩り逃げてしまう。
「あぁ!」
「痛いか?」
「いえ、もっと……もっと、してください」
(この続きは製品版でお楽しみください)