「あっ……あっ……あぁ!」
「随分上手くなったじゃないか、クリスティーナ。絞まりもいい。まだ一週間と経っていないのにこの調子では、身体が疼いてたまらないだろう」
「そ、そんなつもりはございませんっ……ひっあぁ! そ……そんなに……あぁ!」
「奥を少し突いただけで、こんなに悦ぶとは。いやらしい女だ。処女の娼婦。やはり買って損はないな」
クリスティーナは四つん這いのまま、蜜を垂らして口をぱくぱくさせ、空気を求めて喘いだ。
処女の喪失などあっという間で、問題はその後に待っていた止まらない快楽だった。
自分の知らない未知の世界に溺れて飲み込まれてしまうと、頭の中は真っ白になって何も考えられなくなる。今も、頭の中はイーサンのことでいっぱいだ。
恋に似た衝動に駆られてしまうし、それが違うと分かっていても胸が勝手に切なく疼く。
そして身体は鋭敏に反応している。
余計なことを考えていると、思い切り最奥を突かれてクリスティーナは目を剥いた。長い黒髪が乱れ、汗で背中に張り付いているが、それが卑猥に誘うようにも見える。
「ひあっ……! そんな……乱暴にしたら……壊れてしまうわ!」
「ああ、壊してしまいそうだ。クリスティーナの身体を見ると、壊したくなる。手加減がどんどん難しくなる」
「……そんなことを言わないでください……」
クリスティーナは胸にじわりと甘い疼きが広がっていた。
こんなに乱暴にされ、しかも壊したいという衝動がある人間に、なぜか胸がときめいて仕方ない。処女を失った時優しくされたからだろうか。
それとも、毎回優しいせい?
本当の意味など分からないが、口で言うほどイーサンは乱暴に扱うことはなかった。
それどころか、クリスティーナのことを気にして案じてくれる。
そんな彼がうわ言のように『壊してしまいそうだ』と支配的な欲求をぶつけてくるのだから、胸がたまらなく痛む。
自分の身体を弄び、楽しんでいるだけなのに、クリスティーナの中にはそれ以上の感情が徐々に芽生えつつあった。
少なくとも、イーサンに比べれば自分は冷静ではいられなくなっている。
もう一度、最奥を突かれ始めると、クリスティーナは背を仰け反らせ口をはくはくとさせて、喘ぎまくっていた。
このままでは、イーサンの欲望を受け止める前に自分が果てそうだ。なんとか堪えなくてはと必死になるものの、彼の熱を受けるたびに腹の奥がじんじんと切なくなる。
「イーサンッ!」
クリスティーナは思わず叫んでいた。しかし、イーサンは冷静に、クリスティーナにハンカチーフを噛ませる。そうされると、じんわりと悲しみが満ちてくる。
彼が淡々と、この乱れた状況を楽しめる余裕があることが、辛くて、信じられないと思う時があった。
「クリスティーナ、そんなにいいか?」
こくんこくんと頷いて、クリスティーナは後ろを振り向いた。
涙目で訴えても、きっと自分の気持ちなど分かってもらえないだろう。
身体を蹂躙されているのに、気持ちまで支配されて嬉しいなど、変わり者だと思われるに違いない。
(恥ずかしいわ……、とても、でも、もっとして欲しいと思うのはどうしてなの)
クリスティーナは頬を染めると、そっとイーサンが頭を撫でてくれる。
「可愛いクリスティーナ。初めて会った時より、艶やかな印象を受ける。こんなに毎日猛りを咥えておいて物足りない顔をして、信じられない豹変ぶりだ」
「んんんっ」
クリスティーナは首を振った。
そんなつもりはないと訴えたいが、にこりと微笑まれ、頬を撫でられると何も言えなくなる。
イーサンと見つめ合うだけで息が荒くなり、身体中で彼を感じているのが分かる。怒張は腹の奥で膨らみ、擦れるたびに息が弾んでいった。
(私、一週間で彼の『愛玩道具』になったのね)
自覚するしかなかった。
性に無知だった自分には、毎日抱き合うことは、刺激の強い日々だったのだ。
もはや、彼なしでは生きられないとすら思える。
クリスティーナが潤んだ瞳を向けると、イーサンは苦笑して抽送を速めた。
腹の奥を思い切り突かれ、たまらず上がる歓喜の声は全てハンカチーフに吸い取られる。
たまらなくて、何度も息を荒げてイーサンの名前を呼んでも、くぐもった声しか出せない。
(彼に身も心も支配されてる。私、彼を好きなのね……)
その刹那、腹の奥で熱が飛散した。
どくどくと放たれ、それを余すところなく子宮の奥に飲み込むと、イーサンはぼそりと言う。
「子供はまだいらないな。クリスティーナの子だと困る」
「え……」
熱を帯びていた身体が急速に冷えていった。
好きだと錯覚しそうなほど抱かれた一週間。
完全に彼のものになってしまったというのに、今の一言はあまりに冷たいものだった。
「どうして……」
「クリスティーナ。君は道具だからだ」
「……はい」
落ち込んで返事をすると、クリスティーナは一気に力が抜けてベッドに寝転んでしまった。
期待したわけではないが、子供が出来れば妻に迎えてくれないかと薄っすら考えたこともあった。でも、やはり自分の立場は変わらないらしい。
イーサンも隣に寝転ぶと、少し汗ばんだ上半身がこちらを向いていることに気が付いた。
慌てて顔を上げると、イーサンは微笑み、クリスティーナの頭を撫でる。
「父から結婚しろと言われているんだ。今度会うことになっている」
「結婚……」
思いもよらぬ言葉に、頭が真っ白になる。
イーサンは一生独身を通すと思っていたが、やはりその考えには無理があったのだろうか。
なぜ今更結婚なのだろう。
クリスティーナは努めて笑みを作り、イーサンを見つめた。彼はぼんやりと自分を見つめながら頭を撫でてくるだけだ。
「なんで今更結婚を」
「弟が領地を統治していることが問題だと、邸に顔を出した時に家族内で責められてね」
「でも、今まで好きにやっていたのに」
「そうだな。俺としても、見知らぬ貴族の令嬢と結婚なんてしたくはないんだが」
「え……」
クリスティーナの心に光が灯るような気がした。
自分は見知らぬどころか、深い仲を持った女だ。
妻に、と思わず口から出そうになるがそれを言う勇気はなかった。
最初に何度も言われていたが、クリスティーナは『愛玩道具』以外に考えられていない。でも、まだ期待をしてしまう愚かな自分がいた。
(だめね)
「仕方ないな。ほら、こっちに来い」
そう言って抱き寄せられると、クリスティーナは彼を背に胸の中にすっぽりと収まる。
次第に彼の猛りがむくむくと大きくなり、お尻につんつんと当たると羞恥でいっぱいになるが、自分で感じてくれるのかと思うと、心が満たされて上目でせがんでしまいそうだ。
「クリスティーナ。そんなに欲しいのなら、自分でやるんだ」
「分かりました」
イーサンを寝かすと、クリスティーナは猛りを掴み自分の蜜口にあてがい、ゆっくりと挿入した。
ぬっぷりと入ると、自分の重みで一気に最奥まで貫かれ、クリスティーナはたまらずに仰け反り、イーサンの身体の上で腰を振りたくった。
「いつもより激しいな。クリスティーナ」
「そんな……つもりは……」
本当にそんなつもりはないと否定したい。
でも、イーサンの身体が全くの他人のものになると思うと、切なく悲しくてやるせない思いで一杯になるのだ。腹の奥で疼く想いを感じながら、子宮口にがんがんと当てると、悦楽を感じて自分でも信じられないほどに激しくなっていく。
ほんの少し前までは、この行為が恥ずかしく信じられないと思っていたのに、彼と繋がるたびに愛されたいという束縛する気持ちが生まれた。
自由に生きるイーサンと結婚して自分だけの夫にしたいと思うのに、彼の優しさは『愛玩道具』に平等に与えられるもの。
新参者のクリスティーナの部屋に偶然にも日ごとに通ってくれているに過ぎないのだろう。
時間が経てば飽きられ、部屋に通うことも億劫がられるとマクレガーは説明してくれた。
結婚という形で他人の夫になるなど、許せるものではない。
「イーサン! イーサンッ!」
腹の奥に猛りが何度も当たり、クリスティーナは淫猥な声を何度も上げて今にも果てそうになる。腰が勝手に揺れ、自身で胸を揉みしだくと、先端を捏ねるだけで身体中が震えた。
「ひんっ」
「クリスティーナ……。手をどけて」
自分の手をそっとどけると、代わりにイーサンが優しく胸を包み先端を扱いてくれる。最奥を突かれながら、ピンク色のそれを摘ままれて扱かれて、クリスティーナは荒い息を吐くしか出来ず、卑猥な声を何度も上げた。
こんな風に淫らに自分からイーサンを求める日が来るとは思わなかった。
「素敵だ。クリスティーナ」
「イーサン……」
とろんとした目で見つめると、それはもう恋以外の気持ちでは説明がつけられなかった。
自分が彼の結婚に嫉妬し、心から反対している。
「どうか、私の腹の中にたっぷりと」
「ああ、いつもそうしているだろう」
イーサンにわざと言っても、彼は自分のあさましい願いなど気が付くこともなかった。
子供が出来たら、彼は自分のものになるかもしれないと思ったが、期待しても無駄なように感じる。彼は行為が終わると、いつも苦い薬湯をマクレガーに命じ飲ますのだ。
それがなんなのか説明されなくとも、想像くらいは出来る。
自分は結局『道具』なのかと切なく思うと、隘路がきゅっと猛りを咥え込み、締め上げた。
イーサンは息を弾ませながら、クリスティーナを強引に揺さぶる。
そんなことをされては身体が壊れてしまうと自ら腰を振り、彼の要求に応えようと必死になった。自分は愛されることはないのだと思いながらも、僅かな望みを捨てきれない。
クリスティーナは卑猥な声を上げながら今にも果てそうな意識を朦朧とさせると、下から思い切り突き上げられて、目を見開く。
「あっ……あぁ!」
「もっと奥がいい。凄いな、クリスティーナの膣(なか)は」
(この続きは製品版でお楽しみください)