書籍情報

宮廷占術師と純真乙女の恋色魔法【書き下ろし・イラスト5枚入り】

宮廷占術師と純真乙女の恋色魔法【書き下ろし・イラスト5枚入り】

著者:氷室夏夜子

イラスト:龍 胡伯

発売年月日:2020年9月25日

定価:990円(税込)

「ああ……すごい。私の花嫁は可愛らしくて、いやらしい……大好きです」
王宮で出会った、青い髪の宮廷占術師ルーク・グリフィスに弟子入りしたロゼ。占術で政治をも動かすルークを尊敬し、ますます占術に磨きをかけるロゼ。実家の貧乏侯爵家を復興できるだけの占術を身につけるだけのはずが、ロゼを恋人のように扱うルークに振り回される日々に流されてしまう。しかし、自分を大切にしてくれるルークに、いつしかロゼも今まで感じたことのない感情に支配されて……。

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登場人物

◆ロゼ・フローレス 

カード占いが趣味の侯爵家の次女。『侯爵家の魔女』と噂されている。煮詰まったらケーキを焼きまくる悪癖。ルークの弟子になる。容姿はくすんだ金髪、ストレートロングヘア、緑の目。自分の容姿にあまり興味がなく、地味な色の服を好む。犬(グレース)を飼っている。
◆ルーク・グリフィス

宮廷占術師で政治案件にも呼ばれる。王宮の一室に住んでいる。一見柔和で優しい雰囲気を持つが、つきあってみると嘘だらけで子供じみた顔を見せる。キツネ狩りなど国王に誘われればつきあうアクティブな面も持つ。『侯爵家の魔女』の噂を聞いてロゼに興味を持つ。髪が青色短髪。いつも青のローブをまとっている。

立ち読み

プロローグ


 


狭い座席、揺れる馬車。ルークは膝の上にロゼを乗せ、その唇に唇を寄せていた。舌を追いかけられるようなキス。必死に逃げて、捕らえられ、舌に舌を這わせてくる。それだけでロゼは背中がぞくぞくするのを感じた。


(初めての時と、何か違う)


ロゼの腰を抱いているのとは違う手で、ルークは器用にロゼの胸元のリボンを解いていく。今日は背中ではなく、前にリボンが並んでいる服を着ていた。夕焼けの赤に、サテンのリボンがちらちらと光を放っている。続いて、下着の胸のリボンも外して、ロゼの胸元を明るみに出した。


「やっ……こんな、窓も開いて、こんな場所で……」


ロゼが身をよじらせて言うと、ルークは唇を離さないまま、馬車のカーテンを引いた。夕焼けの光はもう入って来ない。イヤリングの揺れる耳元に軽い口づけをしながら、あらわになったロゼの胸の尖りを指で弄んだ。


「あっ、やっ……」


「貴女の体は賢いですね。もう快感を拾うことを覚えています。ほら、口づけしただけでもう背筋が蕩けています」


ふにゃふにゃになった体が、ルークの腕に支えられている。口づけを受けただけでこんな風になるなんて、体がどこかおかしいと思いながらも、力が入らない。自分で腰を支えることともできない。そのくせ、ルークの唇が胸を這うとびくびくと力が散ってしまうのだ。


「あっ……そこ、は……」


胸から手を離したルークがスカートを開いて、下着の横から指を滑らせてきた。ルークは何もしていないのに、馬車の振動で、指は内壁を撫でている。


「うう、んぅ……」


それだけじゃ足りない。どうしてそんなはしたないことを思うようになったのだろう。ルークに愛された体はロゼの言うことを聞いてくれなくなっている。くちゅくちゅと水音が立つのを、馬車の音が少し緩和してくれていた。それでも聞こえてしまう水音が、ロゼの鼓膜を舐めているようだった。


「……動かしてほしいですか? 中を、かき回しても?」


いつの間にか涙が浮かんでいて、ルークの顔がぼんやりとしか見えない。こくりと頷いてしまったのはどうしてだろう。下腹に広がる甘い快感のせいだろうか。


ロゼが頷いたのを受けて、ルークの指が激しく動いた。同時に鼓膜をこする水音が大きくなっていく。


「んっ……んんっ……」


大きな声を上げると御者に聞こえてしまう。他人にこんな甘い嬌声を聞かれるなんて思うだけで、ロゼにたまらない羞恥心を抱かせた。


「シルクの靴下のレースを汚して、あなたのものが染み込んでいっています」


「嫌で、す……もう……」


ルークに、もう何も言ってほしくなかった。何か言われるたびに、ロゼは恥ずかしくなってくる。ルークはロゼの胸の尖りに舌を這わせながら、器用にロゼの下着からレースの靴下ごと、脚を抜かせた。片脚にひっかかっている下着はそのままだ。ロゼの秘所にはまだルークの指がある。馬車が荒い道を通るたび、その振動で声を上げそうになっていた。


「ロゼ。もっと大きい声を出してよいのですよ。御者には石を踏む音しか聞こえていません。中で何が起こっていようと、彼には届きませんから」


そんなことを言われても、この行為自体に慣れていないロゼが、心の中から羞恥心をはがすのは無理なことだった。


「私が聞きたいと言っても、声を聞かせてくれませんか?」


「だって……そんな、無理です……こんな、人がいるところで」


ロゼが蚊の鳴くような声で言っている隙に、ルークは下衣の前を寛げていた。見るのは初めてではない。怖いと思ったこともあるのに、今は下腹に広がる快感がもっと深く、ロゼの頭の中を支配したような気がした。ルークがいつものルークではないような、どこか怖いような顔で笑って、膝に乗っているロゼの脚を割り開いた。そして、自らの脚を屹立の上へと跨らせる。ロゼにはどうしたら良いのかわからなかった。


「ここに……座って下さい。貴女の中に、入れながら……」


荒い息の隙間でとぎれとぎれの言葉を口にするルークに、体がぶるりと震えた。


「む、無理です、そんなことっ……」


慌てて片脚を上げて逃げようとするロゼをぐっと押さえて、腰を捕まえるられた。影を落とす青い前髪の下に、いつもとは違う青い目がぎらりと光っていた。


「大丈夫。場所なら、私がわかっています……ロゼは私についてきてください」


セリフと同時に、ロゼの秘所に熱を持ったものがあてがわれる。言葉通り、ルークはロゼの場所を知っている。ロゼの腰を持つルークの両手が、一気に引き下げられた。


「きゃっ……!」


知らず、大きな声が出て、ロゼは口元を両手で押さえた。


「まだ……途中です」


あらわになった胸元に頬を寄せ、目はロゼに向いていた。合わせるのも怖いような視線だ。


「後は貴女が自分で、腰を下げて下さい」


「そんな……」


「できるでしょう?」


ルークは体を支えていたロゼの両膝を軽く持ち上げた。重心が腰に移り、ルークのものが自分の体重で深く深く、突き刺さってきた。


「あ……あ……嫌、怖い……」


「嘘。そんなこと、思っていないでしょう」


少し体勢を整えて、今度は下から突いてくる。ロゼの下腹が急に熱を帯びて、それは全身に広がっていくようだった。ルークの手がロゼの腕を取って、自分の首の後ろへと誘った。


「しっかり……支えていて下さい。私を、放り出さないように……」


「え……」


涙声のロゼは次の瞬間、息をするのもを忘れてしまう衝撃を受けた。ルークの腰が動いて、下から突き上げてくる。


「や、めてぇっ……」


もはや、ロゼの声など届いていないようだった。カーテンを引いた馬車の闇の中、ロゼは声を振り絞って鳴いていた。ルークの肩にすがるしかなくて、声を隠すのにその肩の肌に歯を立てた。ルークの肩に、自分が流した涙が伝い落ちていく。


「んんっ……んあっ……」


肩から口を外すと声があふれてしまう。永遠に続く、甘くて苦しい夢だと、揺すさぶられながら、ロゼは思うのだった。



 


(このあとは製品版でお楽しみください)

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