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亡国の王女は、紫の皇子に毒杯を捧ぐ【書き下ろし・イラスト10枚入り】

亡国の王女は、紫の皇子に毒杯を捧ぐ【書き下ろし・イラスト10枚入り】

著者:氷室夏夜子

イラスト:真神れい

発売年月日:2020年10月30日

定価:990円(税込)

「何度だって言ってやる。私の妻になれ、リリア。私を愛していなくてもいい」
故国リグサリアを焼き滅ぼされた、王女リリアーヌ。彼女はリグサリアを焼いた張本人、第一騎士団団長であり皇太子でもあるブラッドフォードに復讐を決意する。ブラッドフォード付の侍女にまでなったリリアーヌは復讐を実行に移し始めるが……!?

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登場人物

◆リリアーヌ

亡国リグサリアの王女。治癒呪文の能力を持つ。リグサリアを滅ぼした、ダリストルの騎士団長ブラッドフォードを強く憎み、彼の侍女にまで上りつめるが、次第にブラッドフォードを愛する心と復讐心の狭間に苦しむことになる。
◆ブラッドフォード

ダリストルの皇太子で、第一騎士団団長をつとめ、リグサリア攻略を実行する。リグサリア女王の呪いで寝たきりになるが、リリアーヌの治癒呪文で目覚める。リリアーヌを『命の恩人』と称し、特別にそばに置く。リリアーヌを愛することになる。

立ち読み

 


プロローグ


「んんっ……あっ……


リリアーヌは今、一糸まとわぬ姿で透明のガラス窓に手をついて、背中に舌を這わされながら、別の手で秘所を弄られていた。気まぐれに肉芽にぬるりと触れて、また秘所へ戻っていく。蜜が溢れて、内腿を流れ落ちていくのが自分でもわかった。


(どうしてこんなことになったんだろう……


一度ならわかる。気まぐれだ。じゃあ、二度目は? 


何の感情もない、ただの遊びだ。侍女に手を出しても、この男は咎められることはないのだ。


ブラッドフォードの控え部屋には、長椅子で眠っている側近がいた。彼に気づかれるといけない、ということで、隣の部屋で侍女服を脱がされた。


「貴方には……ちゃんと、愛すべき婚約者がいるでしょう……? こんなことがばれたら、婚約を解消されるわよ……


秘所をぐちゅぐちゅとかき混ぜられながら訴える声は、涙声だった。


リリアーヌが言った言葉が意に添わなかったのか、ブラッドフォードの指はさらに奥へと進んできた。低く甘い声が、耳元で囁く。


「やきもち?」


「んっ! ……違うわよ」


秘所から指がじゅぽっと音を立てて抜かれた。腰がふらふらで立っているのさえつらく、体を支えられなかったのを、ブラッドフォードが「おっと」と抱き支える。


そして、ガラスに手をついた、さっきと同じポーズを取らされた。


「いい? 君の手はここに貼りついているんだ。見えない糊でね。だから簡単にはずれちゃいけない」


わけのわからないことを言いながら、蜜で濡れた指をリリアーヌの口の中にねじ込んでくる。自分の蜜の味など知りたくない。あまりに奥のほうまで突っ込まれたせいで、咳が出た。


ブラッドフォードは素知らぬ顔で、リリアーヌの唇を撫でていた。


「嫌……濡れた手で、触らないで」


耳元を舌で撫でられ、くちゅっと水音がする。鼓膜まで濡れてきそうな気がして、リリアーヌは身をすくめた。


「彼女はとても綺麗だろう……? 綺麗で優しくて笑顔が似合う。……私にはもったいないくらいの女性だよ……


濡れた手で触らないで、と言ったのを聞いていたのかいないのか、ブラッドフォードはリリアーヌの白い胸を揉んだ。


時折、ぬるりとしたものが胸の尖りをかすめていく。そのたびに、リリアーヌはうつむいたまま、腰を引いた。


(『私にはもったいないくらいの女性』……


だったら彼女と『恋』というものを真面目にやればいい。侍女の体を弄ぶ時間を、彼女に使えばいいのだと、リリアーヌは胸の辺りがもやもやと痛んだ。


「窓を見てリリア。君の胸、いびつにゆがんだ形につぶされて、その先に突起ができている。さっきまでは小さくて桜色で慎ましかったのに、今は真っ赤に腫れて、立ち上がってる」


見たくない。こんなこと、気持ち悪い。


それなのに、内腿を流れ落ちる蜜のせいで、背筋にびりびりと快感が走るのだ。


(こんな体、わたしじゃないっ……


眉根を寄せて、唇をかみしめる。唇からこぼれる声だって、自分のものじゃないはずだ。


「ねぇ、リリア」とブラッドフォードの蜜で濡れた手が、髪を梳く。


「彼女の話をするなら、君の彼のことも、話してもらわないといけないよ……? 私は猛烈にやきもちを焼いてるんだから……


髪からするりと指を抜くと、また秘所に戻ってきた。溢れる蜜のせいで、簡単にブラッドフォードの指を受け入れてしまう。


「んんんっ……やめ、こすらないでぇ……


「窓を見ながら、彼について、説明してよ」


腰を支えていた手が一瞬抜けて、リリアーヌの顎をくいと上げ、また腰に戻っていった。


(だれ……このだらしない顔)


眉根を寄せ、顔を真っ赤に染め、だらしなく開いた唇からは、銀糸が垂れて顎を濡らしていた。


触れられた胸は蜜のせいで、てらてらと光り、腰を突き出した格好で、ブラッドフォードの腕に固定されている。


脚を大きく開き、内腿には自ら溢れさせた蜜が筋を作って流れている。


「ねぇ、彼とはこういうことした?」



ふるふると首を横に振る。


秘所に入ったままの指がぐりぐりと内壁を押し、奥へ奥へと入ってくる。奥に入ってくるほどに、リリアーヌの体は火照り、じわりとした快感が下腹に集まってくる。


腰が、震えだす。


「私より、君のほうが罪深いんだよ? だって君は彼とこの国を出ようとしてたんだからね?」


それは本当のことだ。だが、それを悪いことだとも思ってはいない。


そんなことよりも、もう挿れてほしかった。


「私を置いていくつもりだったんだね。君は酷い女の子だよ。だって、私は君を信じていたんだからね?」


リリアーヌは頭を横に振った。


もうどんな言葉も、口にしたくなかった。


秘所を弄っていたブラッドフォードの指が、濡れて筋を作っている内腿を下から上へと、ゆっくりと滑った。


「こんなに濡れて……よっぽどしたいんだね、リリア。ね、私がほしい?」


悔しいが、ほしくてたまらない。


窓に映る赤い顔の女が、こくこくと小さく頷いた。


「じゃあね……」とブラッドフォードが耳元に囁く。


「お尻をうんと突き出して。うーん、まだ足りないなぁ……


リリアーヌの手が、窓ガラスをつたってずるずると落ちていく。ブラッドフォードに言われていた架空の『糊』は剥がれ落ちた。リリアーヌは、うつ伏せた状態で膝を割り、腰を突き出した。


「うん、まるで猫みたいだ。可愛いよ、リリア」


前を寛げたまま、服を着た状態で、ブラッドフォードはリリアーヌの秘所に屹立を突き込んだ。


「ああっ……!」


目の前がきらきらする。


肩に手を置いて、ぐしゃぐしゃと音を立てながら、ブラッドフォードが腰を押し付けた。「蜜が、泡立ってる」と呟いたブラッドフォードの声も、うっすらとしか聞こえない。ブラッドフォードは何度も腰を打ちつけながら、リリアーヌの耳元に囁いた。


「君は……こんなに可愛くて……絶対に放してあげられない……


「こ……


腰を打ちつけ、水音を立てながら、荒い息で「何……?」と返ってくる。リリアーヌは床についた頭を無理矢理振り向かせて、ブラッドフォードを見た。


──殺してやる。


声が出ない。


聞いたこともないような甘い嬌声が唇を侵食していて、リリアーヌは言いたかった言葉を言えずにいた。ブラッドフォードを体に受け入れると、どうしてこんなにも甘い感覚に支配されてしまうのだろう。


窓に映るもう一人のリリアーヌは、涙を流して全身に走る快感に、酔いしれていた。


 


 

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