書籍情報

三度目こそは、ハッピーエンドな結末を~精霊の加護を受けた姫の逆転人生

三度目こそは、ハッピーエンドな結末を~精霊の加護を受けた姫の逆転人生

著者:ひなた翠

イラスト:南香かをり

発売年月日:2023年8月25日

定価:990円(税込)

オルトア王国の王太子、ノアの正妻候補に選ばれたエリン。しかし彼女は、その先に不幸な未来が待っているのを知っていた。彼女は、同じ人生をすでに二度繰り返していたのだ。三度目は違う結末を迎えるよう正妻候補から降りようとするエリンだったが、ノアがそれを認めない。それどころか、彼は正妻をエリンに決めているかのように振る舞う。これまでになかったノアの行動に戸惑うエリン。しかも彼は、この時点では知り得ないはずの情報まで知っていて……?

お取扱店

登場人物

立ち読み

序章 初めての夜

 

夜が深まり、エリンが休ませてもらっていた部屋は静寂に包まれていた。

何度目のキスだろうか。

甘く蕩けるような王太子からのキスに、エリンの目がトロンとし、思考力をすっかり奪われてしまっていた。

ベッドの中で唇を離して、近い距離で見つめ合う時間がこんなにも幸福な気持ちで満たされるなんてエリンは知らなかった。

「殿下」

「エリン」

互いの名を呼び合い、引き寄せ合うように唇を重ね合わせる。

まるで食べられているみたいだ。

あちこちを彼の舌が這い、かじられる――様々な感触に翻弄されてしまう。硬い歯が掠めていったと思えば、舌でねっとりと舐められる。

エリンが喉を震わせれば、淫靡なキスで攻められた。

「ん、ふっ」

キスの合間に漏れ出る声は、自分のものとは思えないほどの艶があった。細い腕を彼の首に回し、酔いしれるようにパーティのためにセットした彼の髪を掴んで、より深いキスへと堕ちていく。

「エリンはずるいな」

「ずるい、ですか?」

王太子が何を言わんとしているのかわからずに、エリンは同じ言葉を繰り返して聞き返す。

すっかり思考力を奪われた彼女は、彼に「ずるい」と言われる理由が全くわからない。むしろ「ずるい」のは王太子な気さえしている。

彼の吐息と甘いキスのせいで、エリンの理性は奪われてしまったのだから。

「キスをするたびに、エリンのおねだりが上手くなっていく。たった数回しただけなのに……。俺は不安だよ」

「上手くなるのはいいことなのでは?」

毎回キスするたびに、「下手だな」と思われるほうがエリンは嫌だ。

「エリンのキスを欲しがる男たちがたくさん出てきてしまう。それは困る」

「そんな人いませんよ」

大袈裟過ぎる王太子の不安にエリンはクスクスと笑った。

誰かから言い寄られた経験などエリンにはない。逆に「精霊の加護」を受けていると気持ち悪がられているだろう。

目に見えない力は信じにくく、逆に未知なる事柄で恐怖を植え付けてしまう。そのせいでエリンには幼いころからあまり友人と呼べるような人はいなかった。

エリンの持つ「精霊の加護」を信じる人々からはまるで神のように扱われ、その結果、己の信奉者に同年代の子がいても、友人関係が築けるような子は一人としていなかった。

だから、エリンには想いを寄せる人や友人と親しくなる機会が微塵もなかった。

だが、それらを否定するように、王太子は肩をすくめる。

「エリンが気づいてないだけだ」

「そうでしょうか?」

力説する王太子の言葉に、首を傾げるエリン。

どうして俺の言葉を信じてくれないんだ、という表情をされるが、エリンに現実味のない内容だ。

「私は殿下としかキスしません。だから大丈夫です」

エリンがにっこりと笑うと、王太子は「そ、そうだな」と口の中でごにょごにょと返事をした。心なしか顔が赤く染まっているように見えた。

(私が好きな人は殿下だけです)

今も昔も……。何度生まれ変わっても同じ。エリンは王太子を一途に愛している。

たとえ自分を愛してくれなくても――。

「殿下、もう一回キスしてください」

エリンがお願いをすると、王太子が嬉しそうに微笑んで小さく頷いてくれた。

柔らかい唇を重ねると、甘く濃厚な口づけを交わす。同時に彼の手がエリンの耳や首をなぞり下へと降りていく。

素肌を触る彼の指はまるで生き物だ。知ったばかりの快感が身体の中を走っていく。エリンは我慢できずに、身を捩った。

「……くすぐったい……」

エリンが呟くと、至極幸せそうな笑みを浮かべた王太子が「そう?」と、とぼけたフリをして、指をさらに下へと滑らせていく。

彼の指はエリンの胸へと到達する。ピンと勃ちあがった先端を王太子が指先で弾くと、エリンの全身がビクッと跳ねた。

「あっん!」

撫でられていたときとは比べものにならないほどの強い刺激に、目の前がチカチカした。

「可愛いよ、エリン」

満足げな表情で笑うと、彼は親指と人差し指で突起をつまみ上げた。

「んんぁ、あっ」

(なに、これ)

初めて感じる快感にじっとしていられず、エリンは思わず腰を捩り、足を擦り合わせていた。

下腹部の奥から、トロリと何かが出てくるのがわかって、恥ずかしさがこみ上げてくる。

王太子は指で先端を転がしたり、手の平で膨らみを揉みしだいたりしてくる。そのたびにエリンは甘い吐息と一緒に、艶やかな声をあげた。

王太子の手の動きが止まると、休まずに身体を襲ってくる刺激からようやく解放された、とエリンは思った……が、しかしそれは読み間違いだったとすぐに思い知らされた。

彼の手がすーっとさらに下へと滑り落ちていく。

お腹を通り、太腿をひと撫ですると内腿へと移動した。

濡れた下腹部を悟られまいとしっかりと閉じていたエリンは驚いた。

(どうしよう、バレちゃう)

「エリン、足を広げて」

「でも……」

膝裏を王太子に掴まれて、エリンの抵抗もむなしく、ぐいっと開かれてしまう。

「……恥ずかしい」

見られてしまった。

薄い繁みの奥へと男の骨ばった指が進み、慎ましく閉じた秘裂を辿った。それだけのことなのに、エリンには強い刺激となって襲い、鼻から艶めいた息が漏れてしまう。

くちゅっと鳴る水音が、蜜口が渇いていないことを教えてくれていた。

「良かった。濡れてる」

「……これはいいこと、なんですか?」

「ああ。エリンが俺を欲してくれてるっていう証だから。嬉しいよ」

(欲する……だなんて)

身体の中からトロリと出てきたときは恥ずかしくてどうにかなりそうだったが、王太子が喜んでくれるなら……恥ずかしさも幾分か程度が和らぎそうだ。

エリンから滲む愛液を使い、するりと彼の指が奥へと入っていく。花弁の奥に隠れた淫芽を指の腹で擦られると、尿意に似たような感覚がこみ上げてきた。

「ん、んんぅ、あっ」

じっとしていられず、潤んだ瞳を開けて王太子を見つめると、彼もまたエリンに見入っているようだった。互いの視線が絡み合うと、それが合図だったように唇を舐められる。

ゆっくりと彼の指が淫芽から離れ、濡れた蜜口の奥へと入っていく。

何物も受け入れたことのない蜜洞は知らない異物感に痛みを訴えてくる。少々の摩擦でさえ痛みで悲鳴のような声をエリンはあげてしまった。

「大丈夫かい? ……これはゆっくり、しっかり解さないといけないね」

「え……ぁ、は……ぃ、ん、んぅ、んんぅ」

蠢く彼の指の感触に、尋ねられる言葉の意味を捉えきれずにただ頷きを返すエリンは、我知らず集中していた。

意識したことのない場所を擦られるたび、彼の指を生々しく感じてしまう。

「あ……あっ、んぅ」

(ナカが熱い)

愛液がさらに増えたのだろうか。指が動くたびに聞こえてくる水音の音量が大きくなった気がした。

「ん、あっ、ああ、ん」

「エリン、凄く綺麗だ」

王太子が情熱的なキスをしてきた。

蜜口には彼の指が入ったまま……上も下も淫らな水音が奏でられる。

「ん……ふっ、んぅ」

蜜洞を擦られる痛みが消えたわけではないが……、痛み以外の何かがエリンを襲ってきているのも確かだった。

口から漏れる吐息に甘みが増し、頭の芯が痺れてくる。

「ここ、気持ちいい?」

「ああっ!」

指の腹で奥を擦られてエリンは、悲鳴のような声をあげた。

痛みとはちがう強い刺激に思わず腰が揺れてしまう。エリンのその反応が嬉しかったのか、王太子は執拗に何度も指を当ててきた。

そのたびにエリンはのけ反り、声をあげてしまう。

「やっ……だめ……なにか、きそう」

下腹部の奥から何かが弾けそうな感覚が湧き起こる。

「いいよ」

「あっ……そこ……やだぁ……んんぅ、あああっ」

指の擦る速さが増して、エリンの声も大きくなる。

(やだ、なにかくるっ)

我慢できない強い波にエリンはぎゅっと身体に力を入れた。腰が上下に何度も跳ねて、王太子の指をぎゅうっと締め付けた。

「すごっ……エリンのナカ……痙攣してる」

王太子の目が輝く。

エリンの動きが止まると、ゆっくりと指を引き抜き、てらてらと光る指を見つめた。

「殿下……私、今……」

(何がおきたんですか?)

初めての感覚に、エリンは茫然となった。

「イッたんだよ。気持ち良かった?」

 

(この後は製品版でお楽しみください)

お取扱店