書籍情報

ロイヤル・シークレット・ベビー ~運命の恋は国王陛下と~【書き下ろし・イラスト10枚入り】

ロイヤル・シークレット・ベビー ~運命の恋は国王陛下と~【書き下ろし・イラスト10枚入り】

著者:雛瀬智美

イラスト:青海信濃

発売年月日:2021年6月25日

定価:990円(税込)

『しばらく触れられなくて気が狂いそうだったのだ。覚悟してほしい。朝が来ても、離すつもりは毛頭ないから』
招待された仮面舞踏会にて酒に酔って倒れた伯爵令嬢レティシアは、介抱してくれた謎の美青年フランシスに愛を囁かれ、夜を共にしてしまう。再び顔を合わせることなく数カ月が過ぎたある日、懐妊が発覚するレティシア。出産を経て3年、フランシスの面影を見るようになる我が子に愛情を注ぐうち、彼への想いが募る彼女に渡されたのは、晩餐会への招待状だった。「幻なら、よかったかい?」 不意の再会に喜びもつかの間、彼は自らを国王と明かして……!?

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登場人物

◆レティシア・フォンテーヌ

フォンテーヌ伯爵令嬢。月光を紡いだような銀髪、青の瞳をしている。対照的な姉と比較されがちで、少しだけ卑屈なところもあるが個をしっかり持っている。
◆フランシス(アレクサンドル・ジャンメール)

ジャンメール国現国王。太陽を象徴する金髪、鮮やかな緑瞳をしている。兄の急逝、父の逝去を経て、隠れるだけだった自分を変え、矢面に立ち続ける覚悟を決める。温厚で、慈愛深いゆえか、子供にも甘い。

立ち読み

序章

抱きしめられた腕の中で、恍惚(こうこつ)とあえぐ。

どうしてこうなったのかなんて、もうどうでもよかった。

舞踏会のために訪れた公爵邸の豪奢(ごうしゃ)な客室で、出会ったばかりの人と一糸まとわぬ姿で触れ合っているのだ。会場で口にしたアルコールが残っているのか、特有の夢心地な気分が拍車をかけているようだった。

「愛しています……フランシス様」

うっとりとつぶやけば、彼の動きはさらに大胆になる。それが自然であるかのように、覆(おお)いかぶさる身体を私は受け止めた。すると、甘酸っぱい気分に浸る触れるだけのキスから、唇をこじ開けるようにぬるり、と湿る舌が歯列を撫であげ、絡みついてくる。

「あっ……ん」

吐息が乱れて、知らずフランシスにしがみついていた。

「怖くないよ……大丈夫」

こくこくと頷(うなず)く。口づけの間に言われるから、ぞくりと震えてしまう。次第に思考が濁ってきて、くらくらし始めた。

「かわいい」

そんな私を見て、歯列をなぞり、口内を舌でくすぐる動きを繰り返すフランシスは、意地悪な微笑みを浮かべてさらに攻め立ててくる。

「ふ……あっ……」

お互いの唇の間で糸が引いていた。

唾液を交換するように、何度となく絡められる舌。キスが、こんなに情熱的だなんて知らなかった。読んだ本のどこにもこんな淫らなキスのことは書いていなかったはずなのに。

惚けてしまった口の端から顎に伝う滴が、肌を濡(ぬ)らしていく。

「……あ……!?」

ドレスの上から胸を包み込まれ、びくっと身体が反応した。

「羽のようにふわふわとやわらかいね」

「そん、な……っ」

感触を確かめるように、やわやわと揉みしだかれる。口腔に舌を出し入れしながら、彼はドレスの上で指を踊らせた。

「敏感なんだね」

ドレスの上から胸の頂きをつままれて、息を詰める。首筋を吸い上げられて、思わず両手で口元を押さえていた。張り詰めた緊張感をほどくように、優しいキスをしてきた彼は、私のドレスを脱がしていく。

メイドが二人がかりで締め上げたとき、圧迫感で声を上げたコルセットもいともたやすく外されてしまう。

気がつけば、シュミーズとドロワーズだけの姿になっていた。

明かりを落とした部屋の中で、どうして器用にそんなことができるのか。

うろたえて胸元を隠した手は、大きな手によってはがされてしまった。

「……ま、待って」

「この下に隠しているものを見せて?」

ぶるぶる、と頭を振る。そんな甘い声で言うなんて反則だ。

紳士的な人は一気に進めず、ゆっくりと段階を踏んでいく。だからか、本当は怖くてたまらないはずだったのに、抵抗する気持ちがいつの間にか快楽に浸食されて霞んできていた。

すべてをあらわにされて、思わず顔が熱くなる。赤くなった頬はこの暗がりでは見えないだろう。それでも、素肌が初対面の男性に晒されている事実は変わらない。

「本当に美しい……触れただけでわかるよ」

「ん……」

ドレスの上から触れられたときとは明らかに違う。彼の指が、直に触れている感覚は鮮烈だった。胸の頂きをくにくにとこねられると、小さなしびれが身体を襲うようだ。

「かわいい乳首だ。私に触ってほしくて主張している」

「んんっ……あ、そんな……」

フランシスは、指で頂きをこすり、ちゅっ、ちゅっ、と口づけを落としてくる。

「あ……っ……ふあ……」

頂きをなぞる舌が、強くそこを吸い上げる。身体がどうしようもなく熱くなった。

するとフランシスは、くすりと笑った。

髪をなでてきて、なだめるように囁いてくる。

「かわいい人、ゆっくり愛してあげるね」

瞳に涙の粒がたまっている。息を吹きかけるように胸元でしゃべられると、もっとおかしくなりそうだった。

「あなたに出会えた喜びをどう伝えたら良いんだろう」

「ん……あっ」

唇に包み込まれて、頂きがしとどに濡(ぬ)れたのがわかった。きゅ、と嚙(か)まれて大きな声が漏れそうになる。

額から頰、首筋へとキスを落とされていく。

唇を押し当て、吸われるたび、ぞくりとしたものが背筋を駆け抜けていく感覚に襲われる。

「や、やめて……駄目っ」

拒絶の意を示しても、フランシスはやめてくれない。それどころか、ぐい、と両脚を開かされていた。

彼は、私の下腹部に頭を埋めて、あろうことかそこを舌でなぞった。息が荒くなる。彼の息も同じく荒々しいものになっていた。

「かわいらしいここが、涙をこぼしているよ。あなたの宝石にもっと触れていいかい?」

「……ふぁ……っん」

蕾(つぼみ)を唇に挟まれる。じゅくじゅく、と音がしてこれは何だろうと思った。

「こんなに溢(あふ)れて……そんなによかったのかい?」

「それ、は……」

その問いかけに答えられるはずもなかった。

溝のあたりにキスをされて、もっと大きくなる水音につれ、増していく快感など、恥ずかしくて口にできようもない。

けれども、フランシスは違う。

「レティシア……あなたが、出している音だよ」

「……いやあ……」

平然と直接口にされ、さらに恥ずかしくてたまらないが、身体が波打つのは止められなかった。

そこを舐(な)める彼の舌を直接、胎内に感じる。侵入してきた舌が浅い場所で小刻みに揺れるのは、たまらなく心地いい。

「……っ……ああ……んっ」

「感じるの?」

舌が抜かれたと思ったら、違うものが入ってきた。

「え……やっ……」

フランシスの長くて繊細な指だ。ごつごつとした指の感触が、伝わってくる。胎内の一番深い場所で、ぐい、と指を折りこまれた瞬間、声が出ていた。

「ひっ……あっ」

フランシスは、私の声を聞いて更に指の動きを激しくする。手で口元を覆っていても漏れる声は、抑えられない。

浅い場所を撫(な)でた後、一番奥に突き立てられて息がつまる。頂きをきゅっとつままれ、反対側を唇で食(は)まれれば、もう何も考えられなかった。

「あ……っ……はっ……」

「そろそろ……達しそう?」

フランシスは、一番奥で小刻みに動かしていた指を引き抜いた。

「ああっ……!」

ぬるりと、指が出ていく瞬間、びくびくと身体が波打つ。

髪を梳(す)く優しい動きに、心地よさを感じたのもつかの間、秘めた場所に硬い何かがつきつけられていた。

「これから、一つになるんだよ」

その意味を悟り赤面する。私に触れるそれは、切っ先でゆっくりと押し開いてくる。

「花が開くみたいだ……」

「はあ……っん!!」

身体が重なったと同時に、最奥を貫かれた。その瞬間、とめどない滴が、目尻から頬へとこぼれていた。

「フランシス様……っ」

彼の背中に腕を絡めると、苦笑する気配が伝わってくる。

「少しだけ、我慢して」

フランシスは、その言葉通り緩やかに腰を動かし始めた。ナカでこすれるたび、痛みが広がっていく。引き裂かれるというのは、間違いではない。これが、男性と交わるってこと。

「う……っ……」

「あなたは、とても美しい」

痛みより悲しい予感に泣きそうだったが堪える。

「もっと、君を教えて」

深い場所に突き刺される熱い欲望が、ずるりと抜け出てはまた深く沈む。その繰り返しの動きが、速度を増す頃には痛みはなくなり、甘い感覚に支配されていた。

「んん……っ」

舌が上唇と下唇を舐めて、口内に潜り込む。フランシスが、私の舌を自分の舌で弄んでくる。

突き上げる動きはゆっくりでもどかしく感じていたが、次の瞬間、ぐるりと円を描く動きになった。たまらず、声が出てしまう。

「……や……あ」

「ずっと、こうしていられたらいいのに」

こくこく、と頷く。

「あん……っ……ふあっ」

頂きに口づけられて、頭が白く濁る。怖いと思った。

「愛しているよ」

うっとりと、彼の言葉に酔いしれる。フランシスは、耳朶(みみたぶ)を甘噛みし、耳元で魔法をかけてきた。奥で、膨らんだ欲望が一度身震いした。繋がった部分が熱くてとけてしまいそうなほど、フランシスは幾度となく腰を擦りつけて私を支配しようとする。

白い火花が脳裏に見えた気がした。何度か、素早く突かれて、ぶるっと震えた。大きな手のひらが髪を撫でてくる。彼の汗が、肌に滴り落ちてくる。下腹部からは、ぬるぬると滑る感触が伝わってきた。

「フランシス様……っ」

「レティシア……君は最高のレディ(痴女)だよ」

揺れる視界の中で、彼以外は何も見えなかった。

熱に浮かされた声で言われた言葉に涙がこぼれる。初対面の異性に身を捧げたはしたない女なのだと、自覚したくはなかった。

「ああ……っ!」

強く突きつけられた肉欲が、奥を鋭く突いた。そのままどくどく、熱いものが断続的に注がれて、意識が焼き切れていく。抜け出ていく彼を感じたのを最後に、後はもう何もわからなくなった。

 

(この後は製品版でお楽しみください)

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