「あっ」
初めての感覚に、アリエルの身体がぴくんっとはねた。
彼は、無意識に逃げる彼女をより強い力で拘束した。キスを落としていきながら、片方の手で衣装をまさぐってローブのボタンを外していく。
「感度は良好みたいですね。この薬のおかげでしょうか」
「んんっ、や、だ」
アリエルは、触れられるそばからぞくぞくと込み上げる感覚に小さく震える。
「怖がらなくて大丈夫です。気持ちよくさせてあげるだけですから、安心してください」
強引に連れてきたくせに、囁く彼の声はひどく優しかった。アリエルの頭を撫でて髪を後ろへと梳き、覗いた額にキスを落とす。
「ル、ルシアンも気持ちよくなるの? つらさが、なくなる?」
「――そうですよ」
一度頭を起こしたルシアンが、いつの間に解いたのか、アリエルのローブをするんっと脱がせてベッドの脇に落とした。
頼りない柔らかな私服姿になってしまったアリエルは自身を抱き締める。
それを見てか、彼がくっと目を細めた。熱い呼気を吐き、自分の軍服のジェケットも手早く脱いでしまう。
「確認しますが、男女の営みは知っていますよね?」
ズボンのベルトまで外した彼が、シャツの襟をゆるめて尋ねてきた。
「し、知ってるわよ」
この歳で経験はなくとも、知識はある。ただ実践したことがないだけだというのに、どうにも口にするのに恥じらいが勝るのはなぜだろう。
魔法薬のせいだとしても、ルシアンに女として見られているからだろうか。
「僕の方があまり余裕がないので、申し訳ないのですがゆっくり進められそうにありません。ですが幸い、依頼されていた媚薬は初めてでも痛くさせないものです」
再び身を倒してきたルシアンが、アリエルの指をそっと絡めて手を握った。熱のこもった黄金色の目に見据えられ、途端に動悸が強くなる。
「僕もできるだけ善処します。どうか安心して身を任せてほしい」
「ルシアン……んっ」
優しく唇を重ね合わされた。
初めてのキスは甘くて、胸が震えた。ルシアンは慣れさせるみたいに軽くついばみ、アリエルに触れ合う温もりを伝えていく。
(私、ルシアンとするのね……)
彼がこんなことになってしまった発端も、アリエルだ。
ここにいる女性も自分だけ。彼のつらさがなくなるのだとしたら、付き合う気持ちだった。
「んんっ」
体から力が抜けたのを察知したのか、彼が唇を舌で舐めた。思わずびっくりして唇に力を入れたら、ルシアンが少しだけキスをやめる。
「怖いですか?」
「えっと、びっくりしただけ……」
「じゃあ、口を開けて」
「え? 口?」
ルシアンが熱っぽく見つめてくるので、アリエルは戸惑いながらも口を開けた。
すると、彼が再び唇同士を重ねてきた。今度は、しっかりと互いの唇を押しつけて口を塞がれる。
「んっ……ふぁ……あ、ん」
何度か感触を慣らすように彼がついばむ。
なんだか、不思議な心地よさがじわじわとせり上がってきた。
アリエルはぼうっとなってきた。自然と唇を開くと、彼が待ち構えていたかのようにぬるりと舌を差し込んでくる。
「……ンっ……んん……っ」
口内で優しく動く熱に翻弄される。奥に引っ込むと『大丈夫』と囁くみたいに舌をこすり合わされ、気付けばアリエルもぎこちなく彼の舌に応えていた。
(どうしよう、気持ちいい)
体が熱くなってきて、目がとろんっとしてくる。
ルシアンの大きな手が、アリエルの体のラインを確認するように滑り降りた。
「んんぅっ」
腹から腰の横にかけてなぞられると、ぞくんっと背が甘く痺れる。
「つらい思いはさせたくないんです。――ですから、気持ちよかったら、気持ちいいと言ってください」
低い声で囁かれ、まるで魔法の呪文みたいにアリエルの体から緊張が抜けていく。
(そっか。気持ちよかったら、気持ちいいって言っていいのね)
初めてのアリエルは、そう感じるのは恥ずかしいことではないらしいと理解する。
「分かってくれたみたいですね。なら、これはどうですか?」
手を握り直したルシアンが、襟から覗く白い肌に口づける。
「んっ。そこ、吸われるとなんだか気持ちがいいわ」
肩に頭を埋めたルシアンが、くすりと笑った。
「可愛い人だ」
「あっ……はぁ……」
首に吸いつかれる。その間に柔らかな胸の膨らみを包み込まれ、感触を確かめるように形を変えられた。
かと思ったら、彼の指が服の上から乳首を軽くこすってきた。
「んんっ、何、して」
「分かります? ここ、少し硬くなってる。キスでも結構感じてくれたみたいですね」
言いあてられてドキリとした。ルシアンが教えながら先端部分をこすり、ますます胸の先が不自然にくっと立ち上がってくる。
アリエルは、それを見て恥ずかしくてたまらなくなった。
「ルシアン、これはあなたのつらさがなくなるためのものであって……」
「そうですね、早く挿れたくてたまらないですよ。でも解さないと。それにこれからもっと恥ずかしいことをするんですから、これだけで音を上げられても困ります」
「え? きゃあっ」
疑問を覚えた次の瞬間、あろうことか彼が組み敷いたアリエルの足を大きく開かせた。自分の力で閉じられなくしたうえで、足の付け根にまで手を伸ばす。
スカート越しに秘められた場所を探られ、アリエルは羞恥に震えた。
乱れたスカートから、自分の白い足が半分以上も晒されている光景も恥ずかしすぎた。
「ル、ルシアン、ひゃっ」
彼の指が秘所を探り当てた。
そこはしっとりと湿っていた。彼の指が触れた途端、ひくんっと反応する。
「濡れるのが早いですね。これも、元の媚薬の効果なのでしょうか」
どこか興奮を滲ませ、ルシアンが布越しに秘部をこすり始めた。その手が湿った割れ目をかするたび、鋭い快感がアリエルの頭まで走り抜けた。
「あっ……あぁ、待って、何これ」
ルシアンの指が柔らかな花園を刺激するほど、不思議な感覚が腹の底から込み上げてくる。
濡れていくような感覚がして、どんどん中が甘く疼いていく。
「中から溢れてくるの、分かりますか? もうキスみたいな音がする」
ルシアンが不意にスカートの中へ手を入れた。薄い下着の上から秘所をこすられ、アリエルは咄嗟に彼のシャツを握りしめた。
彼の指の腹が布の上から撫でるたび、奥が甘く痺れた。
時々秘芯に触れられ、不埒な気持ちが腹の底からぐぅっと込み上げてくる。
「あぁ、やだ。なんで、こんなに濡れて」
柔らかく濡れた陰唇が、ルシアンに動かされくちゅくちゅと音を立てている。初めての快感は気持ちよく、込み上げる疼きに腰は揺れた。
「恥ずかしがることはありません。気持ちよく感じている証拠ですよ」
「でも、もう滴っていて」
「特別な蜜です。こうしてほぐれて、中へと迎え入れやすくなる」
「ひぅっ」
ルシアンの指が、花弁を押し開いてぬぷりと中へ進んだ。
痛みはなかった。ひくつく中をこすられると、更なる快感が込み上げる。
これも元の媚薬効果なのだろうか。強制発情したのはアリエルではないのに、下腹部の奥がじんっと疼いた。
(ルシアンの指が、熱くてとろけそう……)
膣壁がいやらしくうねって、ルシアンの指に吸いついてしまうのを感じた。
「驚きました。指を数本入れても大丈夫みたいですね」
「うぅ、言わないでぇ」
「気持ちいいんでしょう? 悪いことじゃないです」
ルシアンの指が蜜壺をかき回した。カッと燃えるような官能を覚え、アリエルの腰がベッドの上ではねた。
「ああっ、あっ……あ!」
蜜壺に入ったままの彼の指から、手のひらへと愛液がこぼれ落ちていく。
「ほら、アリエル。気持ちいいのなら教えてください」
震える膣壁をこすりつける彼の指が、ぐちゅりと一点を押し上げた。
その瞬間、アリエルは強い快感にとろけた。
「あぁ……あ……やだぁ、気持ち、いい」
奥が一際切なくぎゅぅっと疼いた。そのわななきを感じ取っているかのように、彼が指の刺激を強めてきてたまらなくなる。
秘めるべき場所へ指を入れられていることへの恥じらいより、快楽が上回った。
中が熱くて、収縮を繰り返しながら蜜を溢れさせる。けれど、もっと、とアリエルの中は貪欲に疼く。もっと大きい物を締めつけたい、と……。
「くっ、なんて可愛い声を出すんですか」
指を中で動かし続けるルシアンが、悩ましげに眉を寄せる。
「かなり気持ちよさそうですが、イきそうになっていませんか?」
「んんっ、違うの。あっ、ん」
「説得力皆無ですよ、こんなにも蜜をこぼして」
ルシアンがアリエルを覗き込み、蜜壺の中を一層淫らにかき回す。
「奥からどんどん溢れてきますね。舐めてしまいたいくらいです」
(このあとは製品版でお楽しみください。)