「いい加減、住所は思い出したのか?」
圭はイライラしながら、BMWの後部座席に一緒に乗っている美樹に聞いた。もう何十回と聞いた質問だったが、やはり美樹は素直に答えてくれない。
「私の住所なんか聞いて、御曹司ったら、どうするつもりれすかー?」
くくっと喉を鳴らして笑うものだから、圭のこめかみにはぴきりと青筋が浮く。
「どうもしねえよ。それよりその呼び方もやめてくれ」
「じゃあ、なんて呼べばいいんれすか?」
「……圭」
そう口にしたものの、どうしてこれから部下になる社員に、下の名前で呼ばせようと思ったのか、圭は自分のことながら不思議だった。
美樹のほうはなんとも思わなかったのか、よりご機嫌になったようだ。
「そうれすかー! 圭きゅーん!」
「…………」
はあっとため息をついた圭は、運転手に向けて諦めたように告げる。
「このまま俺ん家に向かってくれ」
「……かしこまりました」
お抱えの運転手もその言葉に驚いたのか、一瞬だけ間があった。それもそのはず、延岡圭はその手のスキャンダルとは無縁なのだ。
(弱ったな……)
圭が美樹をどうしようかと考えていると、美樹が急に自分に寄りかかってきた。
「な、なんだ!?」
「うふふ、圭きゅん、あったかーい」
すりすりと頬を腕に擦りつけてくる美樹。
圭は真っ赤に顔を染め、慌てて美樹を押し退けようとする。
しかし美樹のほうを向いたところで、なんとそのまま彼女に押し倒されてしまった。そしてなぜか服を脱がされていく。
「お、おい――ん、んん!?」
言葉が出なくなったのは、美樹が強引に唇を重ねてきたからだ。
無理やり襲われた女性のごとく、美樹を引きはがそうと躍起になるも、美樹は止まらない。圭の唇をこじ開け、舌までねじ込んできた。
「~~~~!?」
くちゅっと、唾液が混じり合う音が響く。
「んー、ん、んんっ」
美樹が気持ちよさそうに圭の舌を吸っている。
最初こそ抵抗していた圭だったが、その甘美な心地につい、理性を傾かせてしまった。
美樹の背中に腕を回し、彼女を引き寄せる。
そして――。
「あ、あふっ、うっ」
美樹の喘ぎが、圭の部屋の中に響き渡る。
圭は仰向けに裸体を横たえた美樹に覆い被さり、彼女の耳を愛撫しながら、胸を揉んでいた。
均整の取れた身体のあちこちにキスしたせいか、ところどころうっ血している。
けれどそれが愛の証のように感じられるのか、美樹はうわ言のように「もっと、もっと」と繰り返していた。
圭が美樹の耳殻をつうっと舐めると、美樹がぴくんと反応する。
既に乳房の先端は尖っており、圭の指先がそこを弾くと、さらに美樹は啼くのだった。
「あっ、リョウスケ!」
「…………」
しかしたまに美樹が違う男の名を呼ぶことで、圭の中では少なくない嫉妬心が芽生えていた。
(リョウスケ? 花園には実は恋人がいるのか?)
そしてその“リョウスケ”とやらに負けたくなくて、より愛撫に力が入っていく。
すると美樹が極端に喘ぎ、圭の優越感に拍車をかけた。
「そ、んなっ……あ、あん! いつもより、うっ……ん、ああ! いい!」
身体をずらして、先ほどから存在を主張している乳首を軽く噛む。美樹は身体を浮かせ、快感に身悶えていた。
「どこだ? 花ぞ――美樹は、どこが弱いんだ?」
艶っぽく聞くと、美樹が両の足をもじもじと擦り合わせる。
圭は美樹の胸を円を描くように優しく揉みながら、反対の手を下へ下へとずらしていった。
下生えを越えたところで、既に湿っている秘所に気がつく。
「いつもこんなにいやらしいのか?」
わざと蔑むように辱めてやったら、美樹は顔を真っ赤にしながら首を横に振った。
「こんな、こんな感じたの、初めて……!」
「…………」
ふっと、圭が口角を上げる。
そして骨ばった手を伸ばし、濡れて開いた割れ目に滑り込ませた。
「あああん!」
瞬間、美樹が甘い吐息を漏らす。足をくねらせ、快感に耐えているようだ。
くちゅり、くちゅりと、水音が鳴る。
「美樹はどこが好きなんだっけ?」
今度の質問にも、美樹は朦朧としながらも、素直に答えた。
「そこ、尖ったところ、そこ、触って、触ってぇ」
「ここか?」
つんと飛び出た花芽をこすると、美樹が「きゃあ!」と悲鳴に似た嬌声を上げる。
「そこ、やぁ、でも、もっと、もっとぉ」
圭は言われた通りに、人差し指と親指を使って、こりこりと花芯をしごいた。
美樹の秘密の場所はより甘い蜜をたたえ、太ももにまで伝って零れていく。
「ん、んんっ、もう、ほしい、リョウスケの、ほしいっ」
「ほう、リョウスケの、ねえ」
いつまでもどこかの男と間違えている美樹に意地悪したくなって、あえて挿入を急がなかった。
「まだだぜ、美樹? もっと、もっと啼いてからだ」
「や、やぁ……意地悪、しないでぇ……!」
涙目で見つめられると、少しばかり良心が痛んだが、これを望んだのは美樹だ。そう自分の心に言い聞かせることで、圭はさらに美樹を攻め立てる。
美樹の秘孔に、ずずっと指先を挿入した。
「あ、あああっ」
すかさず反応する美樹。
一本はやすやすと入ったので、二本、三本と、指を増やしていった。
「そ、そんなに、ダメ、ダメぇっ」
「ダメと言いながら、もうぐちゃぐちゃじゃないか」
圭は笑いながら、手を上下させ、ぐちゅぐちゅと蜜壺をかき回す。
するとたらたらと蜜が零れ、いよいよそれはシーツにまで届き、丸い円を作った。
「んんっ、ほしい、ほしいよぉ……! もっと、大きな――」
言いかけたところで、不意打ちとばかりに美樹にキスする圭。
口腔内をしゃぶり尽くし、美樹の喘ぎを呑み込んでいく。
「ん、んんっ、んぅっ!」
その頃にはもう、圭の息子ははち切れんばかりに膨らんでいた。
(くそ、我慢できないのは俺のほうか――)
誘ったのは花園美樹だと、自分は悪くないのだと、改めて圭は自分に言い聞かせる。
「美樹。もう、止まらないぜ?」
「ん、んぅ、いいの、いいの!」
美樹が圭を受け入れやすいように、足を大きく開く。
圭は美樹の足の間に自分を潜り込ませ、先走りの液が付いた剛直の先端を密口に押し当てた。
「きて、きてぇっ……!」
美樹に言われるがまま、圭は腰を押し進めた。
「あ、ああ、ああああ!!」
美樹の喘ぎが大きくなるにつれ、圭が中に入っていく。
平均よりだいぶ大きな圭の一物が、美樹の媚肉を擦り、愛液をまとわせて奥を目指す。
「き、気持ちいい、気持ちいいよぉ!」
「くっ――」
圭もまた鋭い快感に支配され、ともすればいってしまいそうになるのを、必死で我慢していた。
(美樹の中、すっげえ絡みつく……こんなに締め付けられたら、いってしまうではないか!)
ぱんっと肉を打ち付け合い、ふたりはついに交わる。
はあはあと荒い息をつきながら、お互い涙目で見つめ合った。
「んん……こんなに満たされたの、初めて……」
「ああ、俺もだ」
美樹はともかく、圭は嘘ではなかった。こんなに興奮したセックス、ほかにあっただろうかと思い出す暇もなく、快感が次を促してくる。
「動くぞ?」
「ん、ん!」
美樹が圭の背中に腕を回し、爪を立てた。
抽挿を開始すると、背中に痛みがよぎったが、そんなことなんでもないとばかりに、圭は快楽を貪った。
「う、くっ」
動くたびに、鋭い快感に襲われ、目の前で火花が散るようだ。
「あ、あんっ、んんっ、あ、もっと、もっと!」
美樹も意識は混濁しているのに、身体は最高潮に達しているのか、必死に圭に縋りついてくる。
「やばっ……いきそうだ……!」
ついに圭に限界が訪れた。こんなに早くくるなんて、思ってもみなかった。
だけど美樹のアソコがあまりに悦(よ)すぎて、もう我慢ができそうにない。
「わ、わたしも、いっちゃう、いっちゃうよぉ」
美樹も同じだと知って、圭はほっとする。
(俺だけいったら、かっこ悪いからな)
「一緒にいくぞ」
そう言うと、美樹がこくんと頷いた。
「ん、うん!」
圭の腰の動きが激しくなり、美樹はひたすらに喘ぐしかなかった。
ぱん、ぱん! と、肉が打ち付けられる音とともに、結合部からはぐちゅぐちゅと淫らな水音が漏れ出てくる。
「「いく、いく!」」
お互いの声がそろい、ひときわ強く圭が肉棒を最奥に突き入れたところで、美樹もまた絶頂に達した。
どく、どくっと先端からは白濁が飛び出し、美樹の愛液と混ざって蜜口から零れ落ちてくる。
「はあ、はあ……」
(このあとは製品版でお楽しみください)