「中はあまり使い込んでいないようだな」
(え……?)
彼が何を言っているのか、経験のない俺はすぐにはわからなかった。
だが次の瞬間、何かが俺のそこをグイッと押し開く。
それが彼の指だと気づいて俺はギョッとなった。
「ほら、逃げるな。いきなり入れたりしないから安心しろ」
(……!)
桐澤はそう言うと、逃げ腰になった俺の身体をグイッと掴んで引き寄せ、手を伸ばして飲みかけのグラスを取る。
何をするのかと思ったら、残っていたウイスキーを俺のそこに落とし始める。
「やめろ!」
嫌がって逃げようとしたが、片手で押さえつけられて逃げられない。
彼の力は尋常ではなかった。
そのまま俺のそこにウイスキーが流れ落ちていく。
そこはすぐにウイスキーで濡れそぼり、酒の匂いが立ち上った。
「どうせ嘗めるならこの方が美味しいだろうが」
彼はそう言うと、空になったグラスを元のテーブルに戻し、躊躇うことなくそこに顔を埋める。
「あ……!」
俺は思わず甲高い声をあげていた
。 (え?今のは俺の声か……!)
俺はまるでAV女優のような声をあげていたのだ。
だが桐澤はさらにそこを舌で嘗めだす。
(あ……!)
ピチャピチャと彼の嘗める音が静かな部屋の中に響いている。
恥ずかしくてどうにかなってしまいそうなほど卑猥な音だった。
彼は動揺している俺を尻目に、さらに強く吸い上げては嘗め始めた。
股間の付け根を丹念に舌で嘗め上げ、ウイスキーでグチュグチュになった産毛を一本一本すき上げる。俺の身体の芯かち何かが蠢きだした。
それは自分では信じられないような感覚だった。
この俺が男に触られて感じるなんて……。
するとそんな俺を、桐澤は嘗めながら上目遣いにジッと見ている。
俺はその視線の強さにドキッとなった。
(試されている……)
ここで嘘をついていたとばれたら面倒なことになる。
俺は腹を括(くく)るしかなかった。
(やってやろうじゃないか!殺されるわけじゃなし、男とのセックスぐらいなんだ!)