勇気とこうなるまで男との経験はなかったのに、彼に抱かれて快感を知ってからは、僕はまるで熱に浮かされるように彼を求め続けていた。
それまでは自分の中に、こんなに激しい肉欲があったなんて感じたこともなかったというのに。
一度快感を覚えた身体はまるで坂道を転がるように、もっと激しい快感を求めだす。
勇気にはあまりにも恥ずかしいので言ってはいないが、できることなら一日中でも彼に抱かれていたいと思う。
それほど、僕は彼とのSEXに溺(おぼ)れていた。
指でさんざんそこを弄った後で、彼はゆっくりと突き入れてきた。
そして、挿入に少し緊張している僕の身体を労るように、彼は少しずつ受け入れさせる。
最初の痛みが過ぎれば、後は快感が勝ってくるとわかってはいてもやはり最初はつらい。
僕はギュッと身体を硬くして挿入に耐えた。
「痛いですか?」
心配げに勇気は聞いてきた。彼はどんなときでも優しい。
いつも僕のことを心配してくれる。それが焦(じ)れったいと思うほどに。
少しねじ込んだだけで、僕は苦痛に顔をしかめた。
それでも強がって笑ってみせようとした。
「いいから……いいから、こい……よ」
「ローションをもう一度塗ろうか?」
「また、最初からやるつもりか……冗談だろ」
「でも、修司さん」
「いいって……あ!さっさと全部入れろよ」
僕は文句を言って尻をグイッと彼の方に突き出す。
すると彼の熱い肉棒が、さらに僕の中に飲み込まれる。
襞が強い塊で無理やり開かれる。
焼け付くような痛みがそこから走る。
「あ……っ!」
僕は思わず喘いで全身をわななかせた。
それでも、身体は、焼けるように熱かった。
勇気はそんな僕を見て決心をしたらしい。
そのままカリの部分まで一気に突っ込んできた。
そして、僕の中を硬いそれで引っかき回し始める。
「う……っ……あぁ!」
思わず喘いで、その声を慌てて噛み殺す。
僕のペニスは挿入の痛みに一度萎(な)えたものの、また硬く立ち上がりだした。
「どこを突いてほしい?あなたのいいところを突いてあげるから言って」
「うるさい……どこでもいいからさっさと、やれよ!あ……やぁ!」
僕はとうとう我慢できなくなって喘ぎ始めた。
勇気が腰を少し揺するたびに、僕の中に入ったものが襞を圧迫して抜き差しを始める。
目頭はだんだん熱くなり、涙がポトリとシーツに落ちる。
(僕は……泣いているんだ)
シーツにシミを作っていく涙を見て僕はそう思った。
繋がっているそこからはグチュグチュと嫌らしい音がしてくる。
「あ……!はぁ……っ!」
前立腺を刺激するようにそこを小刻みに突かれる。
僕はシーツをギュッと掴んでそれに耐えた。
だけど、思わず自分から腰を揺らしていた。
彼の存在に僕の中が慣れてくると、痛みはしだいに快感に変わっていき、僕は欲望に取り込まれていく。
なにがなんだかわからなくなってくる。
同じ男に、それも自分よりもずっと年下の彼に貫かれて淫らに喘ぐ。
そんな自分が恥ずかしいとか、あさましいとか、考える余裕さえない。
ただ、勇気の硬くて熱い塊を受け入れ、身体の芯を何度も攻められて、僕は欲望という名の快感に身を任せていた。
そこを何回も突かれないうちに、僕は我慢できなくなって思わず甲高(かんだか)い声を上げた。
「あ!はっ!」
その瞬間、全身をピーンと緊張させた。僕のペニスからは、白濁が勢いよく噴き上がった。
(え……!)
僕は、後ろだけでいったのだ。思わず唖然(あぜん)として彼を見返していた。
「気持ちよかったですか?」
「……うん」
僕は恥ずかしいのも忘れて、素直に頷いた。
そこを刺激されれば誰でもいくことは知ってはいたけど、こんなに簡単にいってしまうなんて信じられない。
そんな自分があまりにも情けなかった。
「まだまだ、いけそうだ」
勇気は、放ったばかりの僕のペニスをそっと手で握りしめる。
それはグニャリとなってはいたが、彼の手の中で微(かす)かに震えていた。
先端からはまだ雫がチロチロと流れている。
「それ……離せよ。汚いだろう」
「汚くない。あなたの蜜だから」
勇気はそれをそっと握りしめて嬉しそうに囁(ささや)く。
その声は扇情的で、僕はさらに熱くなっていった。
「修司さん、すごく可愛い」
「なにを言ってる」
文句を言って、そっと肩で息を大きく吐く。
男同士のSEXを好きだと思う。
真吾に肉欲を感じないわけではなかったが、奴はあまりにも遠くて、とてもそんなことを思えなかった。
だけど勇気は、僕の身体を満足させてくれる。
手を伸ばせば捕まえることができる。
そして彼は僕を求めてくる。僕だけを。
それが身体だけの関係であっても嬉しかった。
僕は、真吾を亡くして以来、熟睡することができなくなった。
それが勇気に抱かれて、彼に包まれているとグッスリと眠ることができた。
彼の腕の中は温かくて安心できる。
勇気は僕に安らぎを与えてくれた。
勇気が僕のペニスをゆっくりと扱くと、それはまた力を漲(みなぎ)らせてきた。
「ほら、元気になった」
「馬鹿……」
僕の中に入っている彼はますます熱くなっていく。
「ごめん……先にいって」
「なに言っているんですか。俺は、修司さんが感じてくれて嬉しいんです」
「勇気……」
勇気は嬉しそうに白い歯を見せて笑った。
そんな彼の笑顔はとても眩しかった。
「さあ、勇気、僕の中でいけよ」
「はい」
彼は素直に頷くと、ゆっくりと腰を動かし始めた。