書籍情報

危ない恋【新装版】

危ない恋【新装版】

著者:宮川ゆうこ

イラスト:石丸博子

発売年月日:2019年03月29日

定価:990円(税込)

「……いい。お前の中は熱くて溶けそうだ。わかるか? 私に絡みついて離そうとしない」
石丸百貨店の外商部に勤務している花園(はなぞの)美野里(みのり)は、今日も我が儘な得意客に悪戦苦闘中。おまけに、アルマーニのスーツをビシッと着こなした、仕事のできる超イイ男、女子社員憧れの的・高杉(たかすぎ)課長には叱られてばかり。そんなある飲み過ぎた次の日の朝、美野里が目を覚ますと、隣に見知らぬ男の顔が。しかもお互い、全裸だった! 焦る美野里に覆い被さり「もっといい声を聞かせろ」と言って美野里のナニを握り締める男。でも、その声は誰かに似てて…?

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登場人物

◆花園 美野里(はなぞの みのり)

石丸百貨店の外商部に勤めて3年になる社員。母性本能をくすぐる子猫みたい、と客受けはいいが、度々ミスをして高杉に叱られている。ノンケだったが、飲み過ぎた勢いで“男”と関係をもったことから開発されていく。
◆高杉 祐輔(たかすぎ ゆうすけ)

石丸百貨店の外商部の課長。長身で逞しい身体をしており、女性に人気がある美形のイイ男。美野里のことがずっと気になっていたが、立場上なかなか打ち解けられずにいたところ、酔った美野里を“介抱”したことをきっかけに関係が変わっていく。

立ち読み

ふと、気がつくと、俺は自分の部屋で、ベッドに寝ていた。


「気がついたか?」


「……は?」


知らない男の顔がすぐ傍にあった。


「あ……」


「俺は帰るって言ったんだが、お前が帰るなと言って離さなかったんだからな」


男は、気まずそうな顔でそう言う。


(あぁ、そうか…俺、酔っぱらったんだ)


「悪い、迷惑をかけて…」


「いいさ。それより、何か飲むか?」


「水が…欲しい」


「今、持ってくる」


男は頷いて起きあがると、台所へと行く。


それも、全裸で…。


ちょっと、待て! 何故、全裸なんだ?


呆気あっけにとられている俺に、男は水を入れたコップを持ってくると、また俺の傍へ潜もぐり込んだ。


その時、初めて気がついた。俺も…裸だったんだ。


(え? どうして? 何故……?)


なんて、そこいらの女子高生のようなことを言っている場合じゃない。


これが、グラマラスな美女だったら、ラッキーとか思うのだが、相手は…男だ。


それも俺よりずっと引き締まって格好いい。さっき見た男の全身は学校の美術の教科書に載のっているギリシャ彫刻の青年像のように素晴らしかった。


焦あせってパニクッていると、男はコップを俺に差し出し、


「ほら、水。どうした、口移しで飲ませてほしいのか?」


艶っぼく微笑んでそう言う。


俺は慌てて頭を振って断ると、やつの手からコップを取り上げ一気にそれを飲んだ。


思わず咽むせる。


「馬鹿だなぁ。落ち着いて飲めよ」


男は笑いながら背中をさすってくれた。咽せて涙がにじんだ目を擦こすると、俺は恐る恐る毛布をめくった。その下は、思った通りスッポンポンで…あちこちに赤い痣あざがついている。


もう、笑うしかなかった。俺は酔っぱらって男とやっちまったらしい。


それも、この状況から考えると、どう見ても俺が犯られた方だ。


思わず脱力してベッドに倒れ込んだ。もうどうとでもなれ状態だ。


多分まだ酔っていたのだ。頭はパニックを起こしてうまく回らない。それに普段の疲れも出て、やけを起こしていた。


そんな俺をやつはジッと見ていたが、俺から取り上げたコップをベッドヘッドに置くと、ゆっくりと覆い被さってきた。


俺はもう抵抗する気は起きなかった。どうやらそれ以上のことをしてしまったらしいのに、今更キスぐらいで驚いてどうする。それに他人の肌の温かさが気持ちよかった。


躊躇ためらいがちに触れてきた唇は俺が抵抗しないと見ると、次第に強引になった。そのまま、息が苦しくて開いた俺のロの中に舌を差し込んできて、無理矢理貪むさぼりだす。舌を絡められ、唇できつく吸い上げられ、たまらず男の広い背中に縋すがった。


男の身体は逞しくて張はりがある。俺は、思わずその背中に腕をきつく回していた。


のしかかられながら口づけを受ける。そのうち目の前がボーっとかすんできた。それは下半身にズーンと来るような濃厚な口づけだった。男の体臭が俺の鼻をくすぐる。


酔っぱらっているせいか、薄気味悪さとか嫌悪感は全然わかない。


まるで自然なことのように俺は男にしがみついた。


あそこがずきずきして、快感だけが俺を支配していく。頭の中ではそれなりに駄目だめだと叫んではいたが、目の前の飢うえの方が強かった。憂うさを晴らしたかったのかもしれない…。何もかもすべてを忘れて羽目を外したかったのだろうと思う。


別に俺はそっちのけはなかったが、男の身体は強くて逞しくて、抱きつくと不思議な安心感があり、俺はうっとりとしていた。


「したくなったか?」


からかうような口調で囁かれ、俺は素直に頷いた。


あそこが痛かったのだ……。


男は嬉しそうに微笑んで、俺の耳を噛む。チクッとした痛みが走り、声を上げたら、そこをやんわりと握りしめられた。


「あ…ぁ…」


思わず声を出していた。女みたいな声を……。


「足を開け」


言われるまま足を開く。男の手がしっかりと俺の物を握りしめる。


やつの手の中で俺の物はビクビクと震えていた。


亀頭を指の先でつつかれ、リズミカルに男の指は俺を追い上げていく。


鼻っ先からすぐに滴が濡れだし、俺はたまらなくて身体をくねらせていた。


「あ…っ」


「もっといい声を聞かせろ」


睨にらんだら、男は楽しそうに笑っていた。


(どこかで見たような……)


思い出せない。


そのうちに指の動きは早くなり、もう何も考えられなくなった俺は、男の動きに合わせて快感だけを追って腰を振っていた。


やるせなくて辛い。熱くて身体から汗がダラダラと流れ出す。


「はぁ…あぁ!」


半開きになった口からは見境いなく声が溢れ出し、身体中の熱がそこに集まってくる。


 


(この続きは製品版でお楽しみください)

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