書籍情報

マルサのお・し・ご・と❤ 【特別版イラスト入り】

マルサのお・し・ご・と❤ 【特別版イラスト入り】

著者:宮川ゆうこ

イラスト:石丸博子

発売年月日:2014年10月10日

定価:935円(税込)

「泣きながら誘うな」 「誘っていません!」 優秀なマルサ・氷室との捜査の功績が認められ、国税局に栄転した、子猫ちゃん・森川晶。そこでは正式に上司になった氷室の厳しくも淫らな指導が…と思いきや、なにやら彼の様子がおかしい。問い詰める晶だが、氷室に逆ギレされ、売り言葉に買い言葉で家出をしてしまう! さらに勢いで、現在マーク中の美容整形外科へ潜入! 患者を装い、捜査を始めたが……。晶の可憐な容姿に目をつけたシタゴコロとサドっ気たっぷりの院長に、オイシそうな身体を狙われちゃって――晶のピンチに氷室は!?

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登場人物

氷室刃(ひむろ じん)
29歳。東京国税局査察部の査察官。長身で端正な顔立ちでスタイルが良く、クールで男らしい。
森川晶(もりかわ あきら)
25歳。可憐な容姿の税務署員。氷室との捜査の校正気が認められ東京国税局査察部に栄転する。

立ち読み

「晶、今夜は訓練をしていないだろうが」
「あ……はい」
「毎日しろと言ったろう」
「……すみません。今からします」
僕は氷室さんに叱られて、仕方なく浴室へ行った。
シャワーで汗を軽く流し、あそこにもお湯を当て中を掻き出して洗う。
そのままバスタオルを巻き付けて寝室へ戻り、ベッドの横のサイドテーブルの引き出しから、バイブとローションを取り出す。
最近僕は、氷室さんに言われて、それを使ってあそこを慣らす訓練をさせられていた。
それは、男性経験が少ない僕のためだ。
でも、僕は初めて氷室さんに抱かれたとき、クスリのせいもあったがそれほど痛みを感じなかった。痛みよりも快感の方が勝っていた。彼に言わせると、彼が上手いからだという。
だから、彼を中で感じるのは少しも嫌じゃない。だけど、もっと氷室さんに喜んでほしいと思う。氷室さんを身体で縛れるものならば縛りたかった。それは、僕のわがままなのだろうか?
僕はバスタオルを取ってベッドに上がった。そのまま中腰になって尻を浮かせ、ローションを自分のアナルに塗る。そして、そこがベタベタになったら彼に向かって背を向け横になった。
そのまま両膝を胸に付けてエビのように丸くなり、自分でバイブの先端をそこに押しつけた。
深呼吸して力を抜き、そっと中に押し込む。後はだいぶ慣れたせいかわりと簡単に入ってくる。
「だいぶ上手になったな。一人でところてんできそうじゃないか」
氷室さんは新しいタバコに火をつけながらそんな僕を見てクスクス笑っている。
僕はなんたか悔しくてギュッと唇を噛みしめた。
「どうした? 気持ちよくないのか?」
「……こんなの、嫌だ!」
「晶?」
僕はバイブを掴んで一気に抜くと、起き上がって彼にしがみついた。
「いや……嫌だ!」
彼の胸に顔を埋めてすすり泣く。
「そんなに嫌か? おまえだって楽しそうだったろうが?」
「それは……」
言い返せない。だけど、今夜は嫌だった。
「刃(じん)が……刃がいい!」
「甘ったれだな」
氷室さんは困ったようにそう言って、吸いかけのタバコを灰皿にもみ消すと僕を抱き締める。
「刃……」
「欲しいか?」
彼は僕の顔を少し持ち上げて聞いた。僕は鼻を啜(すす)りながら頷く。
欲しかった。彼が……。
彼を身体で感じたかった。ねだるように彼に腰を擦りつける。
そんな僕を見て彼は呆れたようだ。
「どうした? 今夜はまるで盛りのついた猫みたいだ」
「だって……」
「峰に恋人を紹介されて羨ましくなったのか?」
「……違う。違うけど」
羨ましいとは思った。僕は彼をどんなに愛していても、峰には紹介できない。
僕たちの関係はみんなから祝福されるような恋愛とは違う。
むしろ、知られてはいけない恋だ。山崎次長は容認してくれたが、すべての人が次長と同じとは限らない。氷室さんはあまり気にしていないようだけど、僕の存在は彼にとってはマイナスでしかない。彼がこの先出世をしていく上で汚点にしかならない。
「なにを考えている?」
「え……?」
彼は僕を探るように疑わしげな顔でジッと見ていた。
「おまえはまた、つまんないことを考えているな」
「……違います」
「どうだか……」
「氷室さん!」
僕が非難すると、彼はクスクス笑いながら、僕をさらに強く抱き締めてきた。
僕はそっと彼に身体を預けた。唇が降りてくる。僕は自分から唇をおずおすと開いて彼の舌を招き入れた。彼は僕の口の中に舌を差し込むと、僕を蹂躙(じゅうりん)し始める。
舌を吸われ、歯茎をなぞられる。息が苦しくて僕の目尻には涙が浮かんでくる。
思わず彼の背中にギュッとしがみついた。
「あ……! あぁ……っ!」
うっすらと目を開けて彼を見ると、彼は楽しそうにそんな僕を見ていた。
好きだ、彼が……。どうしようもないほど恋している。
身体が熱くなっていく。僕を見る彼の目はとても優しかった。
「あ! あ……ん!」
氷室さんは荒々しくキスをしながら、指の先で僕のあそこを弄(いじ)り始める。
一本が二本になり、二本が三本になり、円を描くように中を引っかき回され、いつしか甘い声を上げていた。

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