彼はニュースキャスター!【第二話配信】

【第二話】

彼はニュースキャスター! ~TL小説編集者の私~ 前編

 

著者:如月一花 イラスト:龍 胡伯

 

 

感じてないわけじゃなくて、本当に体が疲れているだけみたいだ。

加奈はすぐにやる気を出すと腰を使い始めた。

「大輝、好きなところ触って?」

おねだりすると、大輝は加奈の尻をぎゅっと掴む。

「お尻?」

「他にもあるけど。身体中触りたいよ。ふわふわだろ」

大輝に言われて、加奈は照れて頬を染めた。

三十歳を目前にして体に触れたいと言われたり、ふわふわだと言われたりすると、それだけでも褒められている気分になる。最近は思うようなケアが出来ておらず、少しは覚悟していたが、反面、褒められたことで媚薬に浸ったように身体が、脳がすべて大輝に反応してまう。

「そんなこと言っても……、だめなんだから」

加奈が照れ気味に苦笑すると、大輝は切なそうな顔をした。

「真面目な話だよ。加奈に触れてる時が一番心地いい」

言葉と共に、腰を思いきり突き上げられた。

「あああっあああっ!」

加奈はいきなりのことに果てそうになってしまい、目を剥いた。

そのまま、大輝からの激しい抜き差しが始まる。

「あっああっ! 大輝っ!」

「加奈っ!」

大輝の猛りが腹の奥に突き刺さるたび、意識が朦朧としてくる。

蜜が溢れ出し、ぐちょぐちょと卑猥な音が部屋中に響き渡る。いつしか二人は、汗に塗れていた。

最奥を思いきり刺激されると、すぐにでも果ててしまいそうなので加奈は懸命に堪える。

「あっああっ! 大輝ぃ!」

「加奈……狭い……っ。気持ちいい……」

大輝が苦しげだが心地良さそうな声をあげる。

「うっあっ……絡んでくるっ」

彼が悦びの声を上げるのを聞いて、加奈は自らも腰を使って果てるタイミングを合わせようと懸命になった。

何度も小刻みに痙攣して果てたせいで、もはや体中が性感帯になったようだ。

大輝がそろそろと背中を摩るだけでも声が上がって仕方なかった。

「あっああっ! 大輝っ」

「加奈っ加奈っ!」

二人の熱が交わり、部屋の中がうだるような暑さになる中、大輝は無心で腰を突き上げてくる。

「あっああっああっ!」

「くっはあっ」

二人の喘ぎ声が部屋中に響く。しだいに加奈はぐったりしてきて体力も限界に近くなってきた。

大輝も息を乱して加奈の尻を掴んで振りたくる。

「だめだっ。もうイクっ」

「やあっ!」

(ちょっと激しかった⁉︎)

加奈がそんな思いを抱いていると、大輝が男根を引き抜く。が、本当にギリギリだったらしく、白濁を加奈のスカートにかけてしまう。

「あっ!」

いきなりのことで戸惑っていると、大輝が「ごめん」と息を切らしながら謝罪してくる。

「この前泊まりに来たときに、服置いていったろ。あれじゃダメか?」

「うん、大丈夫。だから気にしないで」

互いに見つめ合いながら、すでに羞恥心よりその後のことを考えている。

付き合って二年以上経ち、すっかり所帯じみた関係になっていた。

加奈がもし心配するなら、そっちのほうだ。

「あの……じゃあ、もう一回していいかな」

「お願い」

甘えた声を出すとスカートを脱がされる。ただ今度は、加奈がソファで足を開く番だった。

自ら開脚し、蜜口を開いてみせる。

「おねだりも慣れたな」

「だって、それは大輝が教えたんでしょ?」

加奈は赤面しつつ、羞恥心を煽られていく。

出会った時はもっと恥じらいもあったし、大輝から求められる過激な行為に逃げてしまうこともあった。でも今は快感に変わって、欲しいとおねだりをするまでになっている。

溢れ出す蜜を掬うように、大輝が蜜口を指でいじりだした。

「あっあああっ!」

「垂れてきた。そんなに欲しいのか?」

「大輝に待たされてて、体が変なの」

「甘えん坊は直らないな。普段は素っ気ないくせに」

「大輝の前だけ。だから、お願い。少し、ねえ――いじめて?」

お願いするような目で大輝を見ると、彼は嬉しそうに目を細め、指先を蜜口に挿入してくる。

そして荒々しく掻き混ぜられると、激しい水音がし始めた。

「こんなにして。大洪水だ」

「大輝が言うと、本当にエロく聞こえる。ニュースが聞けないじゃない」

そう言うと、大輝が突然覆い被さってきて耳朶で囁いた。

「淫乱女」

「やめっ」

「大好きだ。加奈」

何よりも聞きたい言葉を聞けて、加奈は崩れるように大輝を求めてしまった。

 

第一話

 

昼を過ぎた頃。

世界出版のビルの三階にある情報誌部門は、翌月の旅行雑誌のことで、慌ただしくしていた。

そこで働く加奈も昼ごはんを近くの定食屋で済ませて、取材先のアポ取りに忙しくしている。

『憧れのリゾート旅』をテーマに、日本各地のハイブランドのホテルにアポを入れたり、写真映えするスポットを探したりと、ネットと睨めっこの日々だ。

(以前似たような記事を作ったけど、あの時とは読者の求めるものも変わってるし、新しいものにしないと)

加奈は意気込んでネット検索をする。ただ当然ながら、そこらに載っている情報はすでに多くの人の目にさらされており、いまいち目新しさに欠ける。

どうせならまだ誰も知らないようなところを探そうと、加奈はいつもお願いしているカメラマンに電話を入れた。

「もしもし、南(みなみ)さんですか? お世話になっております。今電話大丈夫ですか?」

「ええ、いいですよ。どうしました?」

「今度、憧れのリゾート旅で特集するんですが、どこかいいところ知ってます?」

加奈は南に猫撫で声で尋ねる。

すると、南は少し間を置いてから答えてくれた。

「今はどこもネットで拡散されているから、まだ知られてないって断言はできないけど、離島の貸切りなんてサービスがあるらしいよ」

「それどこですか!」

「じゃあ、その取材するのに俺のこと使ってくれる?」

「もちろんですよ。カメラマンとしてもお願いしたくて電話したので!」

加奈は都合のいいことを言ってごまかした。

情報がなさそうなら、カメラマンは別の人に頼もうと思っていたのだ。

南は毎回情報が豊富なので、お願いしている。

どこまで経費を節約できるか、やり取りしながらどう優位に立つか、そんなことを考えながら仕事をする毎日だった。

ネットの情報を利用しつつ、それ以上の情報を提供して売り上げる。

それが今の世界出版の編集者の使命のようになっていた。

ぼんやりしていると自分たちの足元も崩れかねないので、カメラマン一人を選ぶにしてもシビアになってしまう。

「水瀬さん。言ったようにそこ離島の貸切だから、俺と二人きりってのはさすがにまずくないか?」

ふと南に言われて、加奈ははっとした。

恋人の大輝のことを思い出すが、彼から連絡はもう一週間ない。

(南さんとは、以前も泊まりの取材に行ってるから平気だよね)

そう思うものの、大輝のことが頭から離れない。

とはいえ、企画案を他の人に取られるというのも我慢ならない。

南のいう心配は企画を通して簡単に吹き飛ばしたい。

「全然平気です! 何泊でもご一緒しますよ」

「俺は勘違いされるの嫌だなあ」

加奈の気も知らずに南がそんなことを言うので、少しだけムッとしてしまう。

「それは関係ありません。とにかく、その離島に行きましょう! いつにしますか?」

「いつでも行けるけど」

「だったら、木、金曜日で行きましょうか」

「いいね。少しハードスケジュールかもしれないけど、そこは問題ないね?」

「問題ありません。羽田空港に待ち合わせで大丈夫ですか?」

「うん。チケットは取ってくれるよね?」

「こちらで負担します。その離島ですが……」

加奈は大輝とのことを吹き飛ばすように、南と話をつめていく。

大輝以外の男性との取材旅行はこれまでにも何度かしたことがあった。

特に南は信用していて、何回も一緒に取材旅行に行っている。

最初は抵抗があったが、周囲の先輩は何も構わず決めるので嫌だと言っていられない。

もちろん、カメラマン一人に取材をお願いして写真を撮ってきてもらうのもありだ。

でも、これは大輝への当て付けでもある。

大輝はニュースキャスターであり、朝のニュース番組『おはようございます!』のメインキャスターを務めている。

取材クルーと現地へ駆けつけることもあるし、女性キャスターと仲がいいのも知っている。

夜中に職場に出ていくので、加奈と一緒にいるより、仕事仲間と一緒にいる時間の方が長い。

職場には、その甘い声と端正なルックスに惹かれている女性もいるだろう。

それを思うと、カメラマンとの取材旅行ぐらい、どうってことないはずだ。

だが。

「それとな、水瀬さん。その離島、カップルでの利用が多いらしい」

不意に南に言われてどきりとする。

「離島で、しかも貸切りですもんね」

「そう。宿泊するのもコテージだし。俺たちはちゃんと別々の部屋で寝ないとな」

「当たり前です」

(そんなヘマはしないけど、カップルとか誤解されたらどうしようかなあ)

南の無精髭を思い出して、苦笑いする。

大輝は普段化粧水までつけてスキンケアを怠らないが、対して南は無精髭を生やした野生身のある男だ。

大輝が知的で優しい笑みを浮かべる一方、南は豪快に笑うし、声も酒焼けしてガラガラ声と、まるで正反対なのだ。

(仕事仕事。南さんは悪い人じゃないし)

自分に言い聞かせるものの、大輝と旅行もしていない中で、そんな南と離島のホテルに泊まるのは仕事とはいえ虚しい。

「水瀬さん。出来ればなんだけど、枚数多く撮らせてくれないかな。この島、まだ全然知られてないと思うから」

言われて、加奈は顔を引き攣らせた。

たっぷり撮るということは、それだけ手間がかかり、金も請求される。

「要点だけ絞れませんか?」

「ここの景色は絶景だから、それは無理だね」

「……オススメのところだけとか」

「ホテルの中と名所の滝だけなんて味気ないよ」

(情報提供してもらってるし、分が悪いか)

加奈はググッと奥歯を噛んだ。

「じゃあ、絶対売り上げに貢献出来るような写真お願いしますよ!」

「分かってますよ。表紙の材料もたっぷり撮りますから」

(調子いいんだから。ま、仕方ないか)

予算が……と頭を押さえながらも、加奈は南の提案を受けるしかなかった。

彼は旅行のスペシャリストで、ネットに載っていないような穴場を見つけ出してくれる。

しかも絶景スポットを撮らせると、表紙映えするようないい写真を撮るのだ。

問題は、世界出版の旅行雑誌の売り上げが横ばい状態で、コスト面の融通がきかなくなっていることだ。

(編集長に説明するのは根気がいりそうだな。私が南さんに甘いの知ってるから)

吐きそうになったため息を飲み込み、南と予定を確認して合わせ、電話を切った。

すると、後輩の西島(にしじま)に声をかけられる。

「先輩、ここの取材、カメラマンさんだけに行ってもらっていいですか?」

「ええ?」

そう言われて、企画書を覗いた。

 

第三話へ続く〉

 

彼はニュースキャスター!【第三話配信】

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