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8月26日から配信されている『二人のシークとハレムの秘された甘い夜』の番外編を限定公開!
下記よりお楽しみください!!

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『二人のシークとハレムの秘された甘い夜』番外編

著者:茅原ゆみ先生著

 

 

「――ありがとう、サイーデ。君が作るお菓子はいつも最高だ」

第二王子ファリスは、きりりとした男らしい眉を下げると、長く王宮に勤めている菓子職人の老婆に礼を言った。そして彼女が焼き上げた菓子を手に、ある場所へと向かう――。

ここはアラビア半島に位置する砂と交易の国、ハスィール王国。

この国には二人の王子がいた。

第一王子の名はアサードといい、淡褐色の肌に金色の巻き毛をした美しい青年で、褐色の肌に黒い髪を持つファリスとはあまり似ていない。身長もファリスの方が少しだけ高く、バラと紅茶を愛する文人である兄に比べれば、剣を振るうことに長けている弟のファリスは、身体付きも立派だった。

二人は異母兄弟なので、似ていなくても当然だ。

しかし一歳違いのアサードとファリスは実に仲の良い兄弟だった。一人の母親の手によって、物心つく前から一緒に育てられたというのもあるが、それ以上にファリスは、兄であるアサードを尊敬していた。

彼は次期王にふさわしいだけの才覚を、生まれながらにして持っていた。その上誰よりも民を愛し、この国を思い、そして国の未来を考えて、的確に行動することができる。

ファリスも国防という役職を担ってはいるが、兄には敵わないといつも思っていた。

しかしそれは決して卑屈な感情ではなく、清々しいほど真っ直ぐで、純粋な憧れだった。心酔といってもいいかもしれない。

だから幼い頃からファリスにとって、アサードの言うことは絶対だった。

たとえ人として誤った方向に少し進んでしまったとしても、アサードが望んだことならば、ファリスは喜んで手を汚しただろう。

地下から汲み上げた豊富な水が湧き出す中庭の噴水を横目に、ファリスは王族の男性しか入れないハレムへと向かった。

今ハレムには、大事な客人が一人いる。

兄の執着と恨みを一身に受けた、美しい女性が……。

「ユリア、入るよ」

数回ノックして扉を開けると、そこには朝露を浮かべた白い野バラのように可憐な姿をした彼女はいなかった。アサード同様文学を愛する彼女は、きっと今、この宮殿の書物庫にいるのだ。

ため息をつくと、ファリスは手にしていた菓子をテーブルの上に置いた。

異国であるハスィール王国に引き留められ、心細い思いをしている彼女に、皿いっぱいに盛られた菓子を持ってくるのが、ここ最近の日課となっている。彼女に少しでも笑顔になってもらいたいからだ。

しかし彼女は目の前にどれだけ美味しそうな菓子があったとしても、本を読んでいる時はまったく気がつかない。それぐらい彼女は本が好きなのだ。

「さてと、どうするかな……」

両腰に手をあて、ファリスはぐるりと室内を見渡した。このあとファリスは、隣国との国境警備に出掛けなければならない。なのであまり余裕はないのだが……。

「しかたがないな。書物庫まで行ってみるか」

そう思って、皿に手を伸ばした時だった。

浮彫細工が施された室内の白い扉の向こうに、天蓋付きの大きな彼女のベッドが見え、ふとファリスの手は止まった。

今は侍女たちの手によって綺麗に整えられているベッドだが、昨夜もあのベッドで、ファリスは彼女とアサードと三人で、激しく交わりあったのだ。

「――あっ、やぁ……アサード様……ファリス、様ぁ……」

目を閉じれば、今でも美しく乱れた彼女を思い出すことができる。

愉悦に蕩けた彼女は、耳に心地の良い柔らかな声で、甘くファリスとアサードの名前を呼ぶのだ。

「ひ……んっ、だめ……そんなこと……しないでぇ……」

背後から彼女を抱き締め、手の中に丁度納まる形の良い胸をまさぐると、彼女は逃げるようにして身体を捩った。大きく開かされた足の間には兄のアサードがいて、彼女の秘裂をそっと指で割り開く。

「やぁっ……!」

赤く薄い舌をひらめかせながら、アサードは彼女の……ユリアの花芯をそっと舐め上げた。

「んんっ……」

自分たち兄弟に抱かれるまで、無垢な身体だったユリアは、強い快感にはまだ不慣れなようで、眦に浮かべた涙をぽろりと零しながら、大きく左右に頭を振った。

「だめっ……、アサード様っ! そんなところ、舐めないで……っ」

しかしアサードは、「いや」とか「だめ」と言われると余計に燃えるタイプらしく、ピチャピチャ……と淫音を響かせながらユリアの花芯をなぶり続けた。

「あぁ……んっ! あぁっ」

同時に、潤っているだろう蜜壺に指を差し入れたアサードは、彼女の中で指を蠢かせ、一際感じてならない場所を刺激している。

「ひゃぁ……、あぁっ! あぁぁんっ、いやぁ、アサード様っ」

ビクビクッと腰を跳ね上げさせながら、ユリアは全身を捻って逃れようとした。

その姿に、ファリスの加虐心は酷くそそられ、硬く立ち上がった彼女の薄紅色の乳首を、両方ともきゅうっと摘まみ上げてしまった。

「いやぁ……、ファリス様ぁ……、んん……っ」

快感に潤んだ瞳で上目遣いに見つめられ、なんと愛らしい反応をするのだろうと、ファリスは胸をドキドキさせながら思った。

すると下半身はさらに滾っていき、どうしても彼女の中に入りたいという衝動が抑えられなくなる。

「――兄さん。今夜は先に僕がユリアを味わってもいいかな?」

自分の声が欲情に掠れているのがわかった。

「なんだ。今夜はずいぶんと積極的だな、ファリス。……よかろう、今夜は先にお前がユリアを味わうといい」

アサードは笑みを浮かべると、すでにくったりとしているユリアの身体を抱き締め、ファリスと場所を入れ替わった。そして背後から伸ばした手をユリアの膝裏に入れると、大きく足を広げさせる。

「こんな格好……、いやぁ……」

小さく泣くようにユリアは呟いたけれど、野獣の如くごくりと喉を鳴らすと、ファリスは柔らかな彼女の唇を貪り、同時に熱く猛った肉槍を挿入させた。

「あぁぁぁ……っ!」

細く白い肢体が大きく撓り、ユリアは太くて長大なファリスを受け入れていく――。

彼女の中は熱くて、締めつけも良く、一瞬でファリスは果てそうになってしまった。それでもなんとか強い射精感を堪えると、大きく腰を突き入れ出した。

「ふぁっ……、あぁっ、やぁ……ん……、ファリス様ぁ……」

熱に潤んだ蕩ける眼差しを向けられ、ファリスはさらに抑えが利かなくなってしまう。けれども彼女の細い身体を壊してしまわないように細心の注意を払いながら、ファリスは筋肉の張った逞しい腰を、彼女へと打ち付けていく――。

「――――と、いけない、いけない。あやうくこのまま昨夜の幻影に飲み込まれるところだった」

ふるふると頭を横に振ると、ファリスは小さく吐息した。そして色とりどりの菓子が盛られた皿を手にすると、濃密な時間を毎夜過ごしているユリアの部屋をあとにしたのだった。

 

 

 

政務室や自分たちの部屋がある宮殿へと向かうと、ファリスは天井の高い廊下を歩き、重厚な扉がしつらえられた書物庫へと辿り着いた。

宮殿内はとにかく広い。

ユリアは「一人では迷子になってしまうから……」と、書物庫へ通うまでは、あまり宮殿内に入ったこともなかったようだ。

確かにファリスも子どもの頃、アサードとかくれんぼをしていて、自宅である宮殿内で迷子になったことがある。それぐらいハスィール王国の宮殿は広い。

「――ユリア!」

薄く開いた書物庫の扉の隙間から、ソファに腰掛けて読書している彼女の姿が見え、ファリスは笑みを浮かべると、彼女に声を掛けようとした。

するとその横には彼女に膝枕をしてもらいながら、ソファに横たわる兄の姿が見え、思わずファリスは扉の影に隠れてしまう。

――二人は自分の知らないところで、こうして逢瀬を重ねているのだろうか……?

そんな嫉妬めいた疑惑が胸の奥に浮かんで、再びファリスは頭を横に振った。

兄とユリアが親密であろうと、永遠に忠実な弟であり続けたいと思うファリスには、関係のないことだ。兄がユリアとの婚姻を望むのならば、それでも構わない。……構わないのだけれど――。

「なんだ? この胸の痛みは」

ファリスは今まで感じたことのない胸痛に眉を顰めた。

片手には、彼女の笑顔を引き出すために、菓子が盛られた皿がある。

今まで覚えたこともない感情に、ファリスはただただ戸惑うばかりだった。

大好きな兄の忠実な弟でいたい。永遠に――。それでも彼女とはもっと親しくなりたい。

揺れ動く二つの感情の間で、ファリスは茫然と立ち尽くすしかなかったのだった。

 

(おわり)

 

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二人のシークカバー完成