書籍情報

伯爵令嬢は背徳の蜜愛に溺れて【書下ろし】

伯爵令嬢は背徳の蜜愛に溺れて【書下ろし】

著者:麻倉とわ

イラスト:さんかく

発売年月日:2015年07月24日

定価:972円(本体900円+税)

伯爵家の令嬢レティシアは、婚約者のフランツを亡くして修道院に向かうが、仮面の男に拉致されて森の古城へ連れていかれる。そこは女たらしで悪名高いクリストフ王子の離宮で、王子に脅かされて純潔を奪われてしまう。罪深さを恐れながらも、毎夜抱かれて愉悦に溺れていくレティシアは、クリストフが時折見せる優しさと寂しそうな横顔に惹かれ始める。しかし、フランツの死には大きな秘密が隠されていて……。

お取扱店

登場人物

◆レティシア・フォン・ヘッセン

伯爵家の末っ子で18歳。長く艶やかな黒髪と大きな紫色の瞳を持つ清楚な美少女。信心深く、逆境に陥っても屈することなく、前向きに進もうとする芯の強さを持つ。婚約者のフランツは初恋の人。
◆クリストフ・オットー・プリンツ・フォン・エルメン

エルメン国の第一王子で21歳。がっしりとした長身で、月光のようなプラチナブロンドの髪と青い瞳を持つ美貌の青年。悪い仲間と酒色に溺れ、父王から謹慎を言い渡されて離宮で暮らしている。レティシアの許嫁・フランツの死に関与しているらしい。

立ち読み

キスが落ちてきたのは、むき出しの肩先だった。
「……ひっ」
男の唇から与えられる生々しいぬくもりに息を呑み、レティシアは小さく身を震わせた。
繊細なレースに縁取られたナイトドレスには袖がなく、胸が大きく開いている。極上の白(しら)絹(ぎぬ)だから羽のように軽いものの、体の線がくっきりと浮かび上がってしまう。
男の強い視線から逃れたくて身を引こうとしたが、すぐに腕をつかまれて抱き寄せられた。
「あっ!」
そのまま寝台に押し倒されて、レティシアはきつく目を閉じる。相手の目を見ないのは、彼女なりの抵抗だった。
けれども男が怯む様子はない。その唇はレティシアの華奢(きゃしゃ)な肩から鎖骨のくぼみをたどり、あえて痕を残そうとするかのように執拗に、滑らかな肌を這(は)い回る。さらにローブを大きくはだけられて、レティシアは必死に胸元を隠そうとした。
「ど、どうかお許しくだ――んんっ!」
しかしすぐに両手を引き剥がされ、解放を願う言葉も中途半端な形で封じられてしまった。懇願を遮ったのもまた、彼女を組み敷いている男の口づけだった。
唇をこじあけ、獰猛(どうもう)な舌が入り込んでくる。息継ぎさえままならない強引な接吻。水音をたてて繰り返されるキスに、レティシアはただ翻弄(ほんろう)されるしかない。
「う……んっ! い、いや!」
それでも目を閉じたまま顔を背けようとすると、顎先をつかまれて無理やり引き戻された。
「抗うな、レティシア」
尖らせた舌先がからかうように、唇の輪郭をなぞる。
「むだなことだ。とうにわかっているだろう?」
震える耳元に皮肉な囁きが響いた。
「レティシア、君は本当にすばらしい。とびきり美しいだけでなく、誰よりも愛情深くて貞淑だ。胸を打たれずにはいられないが……」
男が体を起こしたらしく、寝台がきしむ音がして、押さえつけられていた上半身が自由になった。思いがけなく体が動かせるようになり、レティシアは目をあけた。 
「あいにく君が愛した男はもう戻ってこない」
春の野を彩るすみれの紫色――その澄んだ瞳に映ったのは、恐ろしいほど美しく不敵な微笑だった。
「あ……」
対する男の瞳は青く輝いている。薄暗いろうそくの光の中でも、その美貌は神々しく見えた。
「レティシア」
低く、それでいて甘く若々しい声が、レティシアの身を強ばらせた。心の底から相手を拒んでいるはずなのに、名前を呼ばれると体の奥で何かが蠢(うごめ)き出す。
「あの男がそれほど恋しいのか」
答えるひまはなかった。
「私が忘れさせてやる」
男は寝台から飛び下りると、レティシアを抱き下ろした。よろける体を支え、床の上に立たせて、背後から寝衣をたくし上げる。
「な、何をなさるの? いや! やめて! おやめください!」
ナイトドレスの下には何もつけていない。レティシアは慌てて逃れようとしたが、抱きしめる力が強くて身動きできなかった。たちまちナイトドレスは腰のあたりまでめくり上げられてしまう。
立たされた場所の前には大きな鏡があった。揺らめくろうそくが、その鏡にたおやかな肢体を映し出す。上半身こそかろうじてローブをまとっているものの、小さなへそや薄めの茂みまであらわにされてしまったのだ。
男が長い黒髪を背中へ払いのけたので、布地越しでも張りつめた胸の尖りが見て取れる。あさましく、どこか物欲しげな自分の姿に耐えられず、レティシアは鏡から顔を背けようとした。
「だめだ、レティシア」
たちまち厳しい調子で咎(とが)められた。
「うっとりと潤んだ瞳や、ばら色に上気した頬をちゃんと見るんだ。君は、こんなにも抱かれたがっているじゃないか」
「い、いいえ、そんな――あっ!」
レティシアの体が大きく跳ねた。剥(む)き出しの尻をいきなり撫で上げられたのだ。左右のなだらかな曲線をなぞりながら、男は耳元に唇を寄せた。
「脚を開いて」
「い、いやです」
しかし男の甘い声は、恥ずかしい命令を繰り返す。
「開きなさい。触ってほしいはずだ。秘密の場所は、もうぐっしょり濡れているのだろう?」
レティシアは思わず唇を噛んだ。言われるまでもなく、両脚の奥は甘い刺激を求めて疼(うず)き続けている。決して認めたくなかったが、体は繰り返される性戯にすっかり慣らされてしまっていたのだ。
「さあ早く」
「い、いや」
しなやかな指が胸元に伸びる。それがまろやかな二つのふくらみを弄(もてあそ)び始めても、レティシアは男の腕の中から逃れることはできなかった。
「レティシア、私を拒むな。もう神の家には決して行けないのだから」
乳房をまさぐる指先に、ふいに力がこもる。
「私は……君を離さない」
「ああっ!」
この館に来るまで、レティシアは身も心も清らかな乙女だった。だが今では胸の果実を愛される悦びを覚えてしまった。秘められた花芯を暴かれ、指で蜜を塗りたくられることにも、ぬめる肉の芽を舌先で転がされることにも、男の剛直に激しく貫かれることにも――それどころか自らその悦楽を求めてしまう時さえある。
感じてはいけない。溺れてはいけない。レティシアを抱くのは神に祝福された相手ではないのだから。
「お、お許しください、どうか」
伝えきれない思いが雫となって、白い頬を濡らす。すると男はレティシアを振り向かせ、目元にたまる涙を唇で吸い取ってくれた。
「泣くことはない」
「どうか……お願いですから」
「わかった。ではレティシア、こうしよう」
長い指がローブの胸元をつかんだかと思うと、大きく引き裂いた。
「あっ!」
「君の望みをかなえてやろう」
「望み?」
相手の動きはすばやかった。再び背後に回り込み、その美しい紫の瞳を破り取った白絹で覆ってしまったのだ。
「な、何をなさるのですか」
視界を奪われ、とまどっていると、そっと抱きしめられた。首筋に唇を這わされ、レティシアは反射的にのけぞってしまう。
「あ……」
男の香りは雄々しくそびえる若木を思わせる。背中に押しつけられた厚い胸板から、あたたかな体温と規則正しい鼓動が感じられて、体に震えが走った。目隠しをされているためか、いつも以上に刺激に反応してしまうようだ。
自分をとらえた男へのどうしようもない恐怖。しかし同時に、わずかだが確かな期待も覚えずにいられない。それが許せなくて、レティシアは唇を引き結んだ。
「レティシア、私だと思うな」
「えっ?」
「あの男に……抱かれていると思えばいい」
乳房をこねる淫靡(いんび)な手つきとは裏腹に、どこか寂しげな声だった。だが、そのことに思いをめぐらす間もなく、背後から回された指が胸の肉粒を摘み上げた。
「ああ、もうこんなに尖らせて……まるで誘っているみたいではないか」
「そんなこと――あっ! うう」
押し潰すように指先に力を込められ、思わず呻いてしまう。身を捩(よじ)ろうとしても離してくれず、男はローブの上から小さな肉果をいじめ続けた。
形が変わるほど荒々しく乳房を揉みしだいたかと思うと、今度はあやすように優しく撫でさする。執拗に責められているうちに、薄い下生えの奥は恥ずかしいほど濡れそぼってしまった。けれど男はさらにレティシアを追い上げようとする。
「あ、ああ……どうか、お許しを」
「嘘つきだな、レティシア。素直に脚を開きなさい。それとも……まだやめてほしいか?」
「い、いいえ」
レティシアは唇を噛みしめ、おずおずと脚を開いた。これほど追い上げられたまま放り出されたら、きっとおかしくなってしまう。
「いいぞ、かわいいレティシア。君に、たっぷりご褒美をあげるとしよう」
言葉と共に、濡れた淫花に指が押し当てられた。それがもどかしいほどゆっくり動き始めて、レティシアは嬌声を上げる。
「あっ、ああ!」
「さあ、あの男のことだけを考えるんだ。神のことなど忘れてしまえ」

お取扱店