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王子の秘密の花嫁選び~深窓のシンデレラをさがして~【書下ろし・イラスト10枚入り】

王子の秘密の花嫁選び~深窓のシンデレラをさがして~【書下ろし・イラスト10枚入り】

著者:ゆみみゆ

イラスト:獅子姫

発売年月日:2016年02月26日

定価:990円(税込)

宮廷貴族の長女・アンジェは、父の後妻に命を狙われ、預けられた宮廷画家の元で育てられた。自分が女性だという認識がなく、ある夜、湖で裸になり泳いでいるとき、ベルトラン王子に裸身をさらしてしまう。王子に濃厚な愛撫をされ、その快楽に溺れてしまうが……!

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登場人物

◆アンジェ
宮廷貴族長女。先妻の娘。身の安全のために「男の子」として育てられた主人公、自分を少年だと思っている。だが、長ずるにつれ、身体の変化、周囲との違いに戸惑う。絵の才能がある。
◆ベルトラン
一見強引で喧嘩っ早いが、民を思いやる優しい性格。剣豪。仁義に厚い。病床にある国王に代わり、事実上の王となりつつある。肖像画を描かせるために呼ばれた画家に付き添ってやってきた主人公と出会う。

立ち読み

王子のたくましい両腕がアンジェを包み込んだ。アンジェの涙も、悲しさも何もかも包んでしまうほどに強く。
口付けられた。互いに窒息しそうなくらい濃密に舌を絡め合う。
「ダ、ダメ、王子」
それでも、残った理性で王子から離れようとした。けれどそんな決意は、彼の熱さにすぐに溶かされてしまう。自分を押し退けようとするアンジェの手指に手指を絡め、ベルトランがささやいた。
「アンジェ、私もだ。私もお前が心底愛おしい」
「……」
「こんな気持ちは初めてなのだ。アンジェ、お前のような娘には会ったことがない」
「娘……?」
「だから泣くな。どうすればいつものように笑ってくれるのだ。私を叱ってくれるのだ。お前はもう、私の腕の中で、笑顔を見せてはくれないのか?」
「お、王子」
「私の口付けにはもう飽きたか。私の愛撫はもう、お前を昂らせることはできないのか?」
「そんなわけない……! 王子、僕はいつだってあなたが、あなたが」
欲しい。
その衝動が二人の身体を駆け抜けた。ベルトランの手がスモックの裾から滑り込み、押さえつけられた胸を揉み上げる。アンジェのズボンのボタンを探ると、半ばちぎるように外した。
「っ」
ズボンを下穿きごと引き下げられた。すでに熱くなっているアンジェの温みにベルトランが触れる。あ、とアンジェは喉をのけ反らせた。
「ベルトラン様っ……!」
ベルトランの履いたブリーチズの上からも、彼が昂ぶっているのが分かる。アンジェは夢中でウエストベルトのボタンを外した。いつもより厳重にまとった着衣の下から、昂った王子が現れる。アンジェは思わずその雄々しく天を衝いた彼を握ってしまう。圧迫すると、ベルトランが熱い息を漏らした。
「……」
跪いた。今すぐにでも欲しい。けれど、こんな場所では、互いに服を脱ぐことすらできない。はやる気持ちがアンジェを動かした。手の中で熱く脈打つ王子を、そっと口に含む。
「!」
彼の肌が引き締まったのが分かった。一瞬にして尖る。感じやすくなった彼は、アンジェの口の中でますます猛っていく。溢れんばかりに大きくなった彼を、アンジェは舌でくるみながら扱いた。時に口中から解放しては、先端の丸みを啄み、手指で圧迫した。ベルトランの手がアンジェの髪を乱暴に梳く。腰が緩やかに前後し始めた。アンジェは次第に激しさを増していく彼の動きを、懸命に口腔で受け止めた。
「っ」
突然、ベルトランがアンジェを押し退けた。だら、と彼のものとアンジェを繋ぐ唾液が唇の端から零れ落ちる。ベルトランは余裕を失った手つきでアンジェを立たせると、後ろを向かせた。スモックをまくり上げ、アンジェの裸の尻を引き寄せる。彼の目的を瞬時に察したアンジェは、あ、と声を呑んだ。
今ここで。後ろから、立ったまま。
「ベ、ベルトラ、ン」
この体位は初めてだ。不安がよぎる。けれど、それ以上に滾った互いの熱さが治まらない。アンジェは自然と腰を突き出し、彼を受け容れるために脚を開いた。指でアンジェを探ったベルトランが、いきり立った自らを背後からあてがう。来る。来て。そう唇を噛んだ瞬間だった。
背後から貫かれた。ぬる、と大きな異物が自分の中に挿入される。いつもと違う角度は、今までにない痛みをアンジェの下半身に閃かせた。
「!」
膝が崩れかける。けれど彼を後ろで咥(くわ)え込んだまま、アンジェは必死に自分を支えた。壁に手をついた。細く開かれた扉の向こうでは、依然きらびやかな芝居が続いている。
「っ、っ」
濡れそぼったアンジェの部分は、ベルトランの大きいものが行き来する擦過をどうにか耐えていた。が、普段の体位よりも彼の大きさが生々しい。下腹部を突き上げられるたびに、腹の底が破れてしまいそうに感じる。
「っ、んんっ、んううっ」
声が漏れる。アンジェはあわてて自分の口を塞いだ。そんなアンジェの様子に気付いたベルトランが、動かしながら訊いてくる。
「……痛いか」
「いっ、いいえっ、平気、あっ」
労わりながらも、止められないのだろう。ベルトランの動きはいっそう激しさを増してきた。擦れてる。ぐちゃぐちゃに掻き回されてる。痛いというより、腹の底に点滅する違和感にアンジェは自分も崩れていくことを感じた。一緒に乱れないと、壊れちゃう。
膝が震える。腰が引きつる。けれど、何度も何度も突き上げられるうち、違和感はだんだんと肉の中に溶け入ってしまった。代わりに滲み出てくるのは、驚くほどの快さ。奥から、奥から、快い衝撃が噴き上がってくるのだ。それはすべての感覚を飛ばしてしまうほどに強烈で、アンジェはいつしか、自分から深く腰を動かしていた。
自分の襞がまとわり付く。アンジェが彼を咥えたまま下を震わせると、ベルトランも呻いた。互いが、互いの楽器であり、奏者。
「っ、っ、あっあんっ、べ、ベルトラン様ぁっ」
口元もタガが外れていく。はしたない。そう思う心が、よけいに繋がった部分を食み合わせる。
「んっ、いい、いいっ」
「……っアンジェっ……!」
腰を打ち付けながら、ベルトランがスモックの中に両手を入れた。胸を押さえ付ける布を解こうとする。が、結び目を探し、アンジェの豊かな乳房を解放するには、二人は余裕を失っていた。ベルトランの指先が、布の上から切なげにアンジェの乳首を引っ掻く。
「――!」
女歌手の歌声が高らかに響き渡る。自分の嬌声が、その歌にまみれて昇天していくことを、アンジェは気付かずにいた。

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