書籍情報

蜜月記~皇子に囲われた帝姫の秘話譚~【書下ろし・イラスト8枚入り】

蜜月記~皇子に囲われた帝姫の秘話譚~【書下ろし・イラスト8枚入り】

著者:ツヅキ

イラスト:上原た壱

発売年月日:2017年2月24日

定価:972円(900円+税)

『あなたの声は……こんな時でも可愛らしく、麗しい』
前王朝最後の帝姫・迦陵は、新皇帝の後宮に収められようとしたところを西阿国の皇子・李禅の機転によって救われた。名を改め、彼の離宮に匿われる迦陵だが、李禅に妻にしたいと告白されてからは夜毎抱かれる日々を過ごすことに。 徐々に李禅への想いを、求められる幸せを感じ始めたつかの間、彼の留守を狙って迦陵は毒で暗殺されかけてしまう。平穏が崩れ、再び動乱に巻き込まれんとする時、迦陵を救った李禅の思惑が紐解かれていく……。

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登場人物

◆李禅


隣国、西阿国の皇子。皇后譲りの明るい鳶色の髪、端正な顔立ち。体躯はやや細いが筋肉質で、戦傷が薄らと腕や胸元に残る。皇子として取捨選択のできる力を持ち、実直な性格。迦陵を前から知っているような口振りをする。
◆迦陵


文王朝最後の帝姫。射干玉色の腰より長い髪と瞳を持つ。美姫という噂通りの美貌だが、男性に疎く、自分の評価が異性から高いことを知らない。兄たちの愚死、父や母の陰惨な死を経て、周りがすべて敵と思い込んでいる節がある。

立ち読み

「ぁ、あっ……」
離宮の一角にある湯殿の中では、甘い喘ぎが絶え間なく上がっていた。
周囲を池に囲まれ、咲き誇る蓮の花に彩られた美しい宮だ。皇子の別荘として使われるこの場所は滅多に客人を招くことなく、最小限の使用人や宮女たちだけがひっそりと生活を営んでいる。
その、浮世離れした宮の湯殿を満たす甘やかな声色の主は微かに首を振り分け、華奢な身体をくねらせた。
「ぁ、ふぁ、ぁんっ……」
男の指先が粘膜に濡れた内奥をぐちゅりとかき回した。唇をついた吐息は淫らな熱を帯び、自らを追い上げる行為を弱々しくなじる。
「だめ、ぁ、あっ……!」
長い指に秘所をまさぐられる度に、迦氏(かし)は頭が痺れるほどの快感に襲われた。
壁を丹念に塗り固められた浴室は反響がよく、微かな喘ぎも余すことなく響いてしまう。迦氏はそれが恥ずかしくてたまらないのだが、相手はわかっていてこの場所で行為に及んでいる節があった。
「んっ、ぁ……李禅(りぜん)さま、お願いですから、あまり焦らさないでくださっ……」
「焦らすとは心外ですね。あなたが辛くないようにゆっくりとほぐしているさなかです。随分とよくなってきたでしょう?」
「あ、あっ……!」
円を描くように男の指が迦氏の内壁を優しくかき回した。
彼が言う通り、そこは既に蕩けるほどに柔らかくほぐされている。たっぷりと湯を満たした湯船のなかで迦氏は腰を揺らめかせ、もどかしい快感をやり過ごそうと試みる――が、うまくいかない。
「ん、ぁ」
二本の指を使ってそこを広げられると熱い湯が中に入りこんでくる。身体の内側から温められていく感覚に迦氏はたまらず喘いだ。
そうして彼女が身を捩る度に艶めかしく湯の表面が揺れるのを、李禅と呼ばれた男は愛しげに眺めていた。迦氏の細い腰を後ろから抱き寄せ、前に回した指で丹念に秘所を責める。柔らかい肉を指の腹で撫で、少しずつほぐし、快楽を教え込んでいく。
「ぁ、はっ、んあっ……」
背後から抱きすくめられながら、迦氏は湯の中で身悶えた。
「あっ――」
ついに指が三本に増して、一際高い声が湯殿に響いた。
「李禅さま……っ」
「あなたの喘ぎは小鳥のさえずりのようですね」
耳朶に唇を密着させて、李禅は優しく囁く。
「もっと聞かせてください、迦氏」
「ぁ、あっ……」
濡れた感触を伴った囁きは迦氏から理性を奪い去ってゆく。
耳朶を軽く甘噛みされた途端、自分の指を締め付けてくる内壁の動きに彼は愛しげな吐息を漏らした。
「っ……!」
迦氏は両目を閉じて己の反応を恥じるが、駄目だと思えば思うほど、意識から身体が乖離していくかのようだ。
「李禅さま……」
迦氏はどうしたらよいのかわからず、黒い瞳を潤ませる。
「あの、あ……」
すると、李禅はくすりと笑った。
「可愛いですね、戸惑っていらっしゃる。では、私が鳴かせて差し上げましょう」
「あっ……!」
秘所を弄るのとは逆の手がするりと湯の中から這い上がって、湯気に隠された慎ましやかな乳房を包み込んだ。男の手のひらを満たすには足りないそれを、李禅は愛しそうに撫でまわす。
「あ、ふっ……」
指で乳房の先をつまみ上げられ、迦氏は熱い吐息をついた。
固くしこった胸の突起は白く濁る視界の中で紅く色づいていく。そこを、李禅は何度も摘まんでは押しつぶして弄ぶ。
「あ、あっ……」
李禅の望む通り淫らな声を上げながら、迦氏は早く、と願った。
久しぶりに彼がこの離宮を訪れたのは、一刻ほど前のことだった。
旅の汚れを落とす間も待てず、二人で一緒に入った湯殿は大理石を組み上げて作られた豪華な浴室だ。
隙間風が入らないように漆喰で塗り固められた壁は堅牢で、甘い喘ぎは決して外まで漏れることがない。
大きな湯船は花の形にくり抜かれ、二人で浸かってもまだ余裕がある。
端に腰かけた李禅の膝の上で、迦氏は一際淫らに喘いだ。
「李禅さま、もう……っ」
「では、そのまま楽にしていてください」
体内から指が抜けていく感覚に、迦氏はぶるりと頭を振った。長い黒髪が湯の中を泳ぎ、男の腕にからみつく。
淫靡な光景だった。
見ようによっては、水に棲む美しい精が男を誘惑する場面を連想させる。
愛撫し、鳴かせているのは男の方でありながら。実は逆に、そう動かされているだけなのかもしれない――。
迦氏は李禅に背を向けたまま、ゆっくりと腰をあげる。
待ちわびたものが秘所に押し当てられた感覚に、微かなを漏らした。
「李禅、ぁ――」
指とは全く違うものが迦氏を満たしてゆく。
熱く、猛った李禅そのものが。
迦氏と繋がり、ひとつになる。
ゆっくりと、少しずつ――。
「あ、ぁっ……」
あれほど解されたにも関わらず、狭い迦氏の中は李禅を拒むように締まる。
「っ……」
耳元で李禅の吐息が聞こえた。
それだけで感じて、迦氏は応えるように固く目を閉じる。
「んっ……」
「迦氏、大丈夫ですか」
案じる声色に、こくり、と迦氏は頷いた。
自分を満たす熱い楔にすでに腰は蕩けてしまいそうになっている。しかしそれでも彼が欲しくて。
李禅が与えてくれる快感に溺れたくて。
少しずつ体重をかけて、迦氏は李禅を呑み込んでいく。
きつい、が――痛みすら甘美な快感にすり替えて、迦氏は喘いだ。
「あっ、ふっ、ぁっ」
「迦氏――」
「んっ……」
ようやく全てを収めきって、深い息を吐く。
「あ、ぁ、ぁっ」
最初はゆっくりと刻むように揺すられ、迦氏は甘やかな快楽に包まれた。李禅はいつもこうやって優しく抱いてくれる。
李禅は自分の胸に迦氏の背をもたせかけ、しなやかな腰を掴むと最奥まで突き上げた。
「は、っぁん……!」
背をのけぞらせる迦氏を中心に、湯船に大きな波紋が広がる。
「ふっ、ぁ、あっ……」
「迦氏、あなたの全てを愛させて……」
李禅は弓のように張り詰めた迦氏の身体をくまなく撫でていった。
自分より小さな手指から肘、肩にかけて愛撫すると、今度は脇腹をたどり、腰骨に至る。
「ん、ふっ……」
真綿で包み込むような愛撫に迦氏が悶えると、李禅は子どもをあやすような口調で尋ねた。
「足りませんか?」
直接に問われると、恥ずかしさで余計に頬が赤らむ。
優しく扱われるのは嬉しい。ただ、確かに物足りなく感じている自分もいる。腰の奥の疼きは更なる刺激を求め、迦氏の敏感な部分をじりじりと追い詰めている。
「い、いいえ……」
「嘘はいけませんね」
なけなしの抵抗は、うなじに落とされた唇に陥落する。
「あっ……!」
李禅は長い黒髪を指で梳き、露わにした白いうなじへと赤い跡をつけていく。
まるで自分のものだ、と主張するように。
「ん、んっ――」
「迦氏。私は最初に言ったはずですね、欲しいものがあれば何でも言ってくださいと。あなたの願いは全て叶えてみせると私は約束しました」
何が欲しいのですか、と李禅は繰り返す。
だが、羞恥に迦氏は首を振ることしかできない。
「私……は……っ、あっ」
不意に李禅の腕に抱き上げられた迦氏は、やすやすと湯船の外に上げられてしまった。
濡れた床の上に仰向けで横たえられると、長い髪が体に絡みついて淫靡な肢体を作り上げる。床の上を滑り落ちた髪の先がゆったりと湯船の中をたゆたった。
李禅はそんな迦氏の裸体を見下ろして、息をつく。
羞恥に頬を染め、顔を逸らす迦氏の裸体は男の劣情を煽るのに十分すぎるほどの魅惑を放っていた。
「迦氏、あなたは本当に美しい……」
李禅の手のひらが肩からゆっくりと滑り落ちる。
「はぁ……っ」
「私は果報者です。あなたを独り占めにして、こんなにも至福の時を過ごしている」
乳房の形を確かめるように手のひらが這い、脇腹を撫でると――太腿にたどり着く。
「ぁ――」
一糸まとわぬ迦氏と同様、裸体を晒す男は湯の中に残された迦氏の脚を大きく開かせるとその間に自分の腰を進めた。
「ぁ、あ……っ」
掴まれた手首を床の上に押し付けられた迦氏は、李禅の身体に抱きつぶされるような格好で再び貫かれる。
「はぁ、あっ――!」
胸から腰まで、李禅の肌が密着している。
湯船の中に降りた爪先が突き上げられる度に泳ぎ、飛沫を立てる。湯の中で交わるよりも動きやすいのか、李禅は次第に激しさを増して迦氏を突いた。
「んぁ、あ……ぁ、はぁっ……」
「迦氏――」
切なげに名を呼び、李禅は迦氏の可憐な唇に口づける。
繋がったまま交わす口づけはひどく淫らだ。
「んふ、んぁ、あっ」
互いに舌を絡め、唾液を啜(すす)り合う。
「んぁ、ぁ、あ……っ」
舌先を触れ合わせたまま、李禅は両手で迦氏の臀部を掴むと、結合がより深まるように持ち上げた。
「ひぁっ……!」
ぐっ、と奥まで貫かれる感覚に、迦氏は背を大きくしならせる。
「ぁ、李禅さま、……や、ああっ!!」
「迦氏、何が欲しいのです……?」
「わ、たし、はっ……、あ! っぁ、あっ!!」
迦氏はたまらず、李禅の肩を押し返すようにもがいた。
「だめっ……ぁ、あっ――!」
けれど、李禅の動きはおさまるどころか激しさを増してゆく。
大きく腰を回すように突かれ、爪先がぱしゃんと湯面で踊った。
自分の身を組み敷く李禅の背に爪を立て、迦氏は大きく背をそらす。
李禅はいったん身を引くと、大きく腰を動かして迦氏の中を突き進んでくる。その繰り返しは段々と間隔が短くなり、小刻みに揺するような動きに変わった。
「ああ、あ、あぁっ!!」
「迦氏――!」
のけぞらせた喉を甘噛みされながら、迦氏は全身を引き絞るように絶頂を迎えた。
都の喧騒から遠く離れた風光明媚(ふうこうめいび)な宮で李禅に愛される生活――まるで夢のようだ、と彼に愛される毎(ごと)に迦氏はその想いを深めていった。


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