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愛の嵐に囚われて~水晶の処女姫と褐色の騎士~【書下ろし・イラスト8枚入り】

愛の嵐に囚われて~水晶の処女姫と褐色の騎士~【書下ろし・イラスト8枚入り】

著者:春原いずみ

イラスト:セイン流

発売年月日:2016年04年29日

定価:990円(税込)

ウェブスター伯爵家次女で未来を視る力を持つクリスタルは、成年の披露目を機に母から護衛の騎士を与えられる。褐色の肌の騎士アレクシス。不思議な美しさを持つ彼の機微に触れるうちに心を開いていくクリスタルは敬遠していた舞踏会に出始め、人見知りだった自分の殻を破っていく。銀髪の姫と褐色の騎士はそこに居るだけで目立つ。それまで舞踏会の主役であった姉・キャロラインは、その座を奪ったクリスタルに黒い感情を抱き始め……!

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登場人物

◆クリスタル・ウェブスター
様々な事柄を予知する能力を有す、銀髪の美しい少女。表情に乏しく引っ込み思案で、予知能力を行使する時以外は人目を避けて生活する。姉の器量の良さに憧れる。
◆アレクシス・オルブライト
褐色の肌に、金色の髪と瞳を持つ美青年。忠義に篤く、優しく性格。クリスタルを見守る眼差しが柔らかい。

立ち読み

「クリスタル……」
彼の長い指がクリスタルの唇をそっと撫でる。薄く開く桜色の唇。そして、重なってくる熱い彼の唇。
「……っ」
唇から溶けてしまいそうなほどの彼の熱。指を絡め合い、頬を重ねて、ただ口づけに酔う。初めてのキスは驚くほど熱く、長いものになる。幾度も角度を変え、お互いの唇を舌で愛撫し、そして。
「……ん……っ」
少し開いた唇から彼の舌がゆっくりと滑り込んでくる。小さく怯えるクリスタルの舌を探し当て、熱く絡んでくる。髪を撫で上げる指が熱い。背中を抱く腕が熱い。何もかもが熱くて、クリスタルは無意識のうちに、ナイトドレスのリボンを解いていた。ふわりと解けたドレスからこぼれた素肌がひんやりとしたシーツに触れて、少しだけ涼しくなる。でも、その素肌も、すぐに彼の掌に包まれて熱くなる。
「クリスタル……」
彼の濡れた声が髪を揺らす。
「愛している……あなたを……」
「私もよ……アレクシス……私も……愛してる……」
彼の開いたシャツの胸元に手を当てて、クリスタルは囁く。
「あなたの胸……とてもどきどきしてる」
「あなたもだ」
彼の掌が優しく、クリスタルのまだ堅い処女の乳房に触れた。白いふっくらとした乳房の先に、淡いピンク色の蕾が震えている。その蕾に、彼がそっと口づけた。
「あ……っ」
ナイトドレスからこぼれた二つのふくらみを、彼が優しく撫で、そっと指に力を込めて、手の中に包み込む。
「あ……ああ……ん……」
思わずこぼれてしまったはしたない声に、クリスタル自身がびっくりしてしまう。でも、その驚きもすぐに、まだ未熟なふくらみから伝わる官能の疼きに包み込まれてしまう。
彼がそっと指を動かすたびに、優しく蕾を吸うたびに、身体の奥が疼く。お腹の奥がずうんっと重くなって、思わず身体を縮めてしまいそうになる。少しだけ怖い。感じたことのない感覚に、少しだけ怖くなって、彼を抱きしめる。
「あ……っ」
いつの間にか、薄いナイトドレスはベッドの下に滑り落ち、その上に彼のシャツが重なった。初めて感じる人の素肌の熱。さらさらと乾いた素肌の温かさが触れあって、しっとりとした熱に変わっていく。
「あなたは……とてもきれいだ……」
彼が素肌を重ねて囁く。
「何もかもが……美しい……」
滑らかに張りつめた彼の美しい褐色の素肌。金色の髪を指に絡めて、クリスタルは小さくため息をつく。美しい私の獣……私だけのもの……。
「……あ……っ」
彼の掌がするすると滑り、クリスタルのシルクのような肌をなぞっていく。まろやかな肩、ふっくらとした乳房、ほっそりとした腰、そして。
「……クリスタル……」
「……あ……あん……っ!」
彼の長く滑らかな指が、クリスタルのしっとりと温んだ花びらをくぐった。まだ頑なな処女の泉をゆっくりと優しい指先で撫で、温かな蜜を溢れさせていく。
「あ……ああ……あ……ん……ん……っ」
恥ずかしい声がこぼれる。ただ彼の胸に顔を埋めて、身体の奥から溢れ出す声に翻弄されていく。
「ああ……私……私……どうし……たの……」
身体がしびれたようになって、力が入らない。彼の指がゆっくりと、でも確実にクリスタルの中に入ってくる。
「……怖がらないで……」
彼が少しつらそうに囁く。
「お願いです、クリスタル……僕を……怖がらないで……」
怖くないと言ったら、それは嘘になる。この疼きも、不規則に乱れる胸の鼓動も怖くてたまらない。でも、なぜか、彼を抱きしめる腕をゆるめようとは思わなかった。なお、彼の胸に深く顔を埋め、そっと首を横に振る。
「怖くは……ないわ……」
顔を上げ、彼の少しかげりの見えた瞳に微笑む。
「あなたが一緒なら……怖くないの……」
「クリスタル……」
再び唇をかわす。甘いキスに心が解ける。優しくベッドに沈められ、彼に抱きしめられる。
「怖かったら……嫌だったら……僕を突き放して。もう……僕は僕を止められない」
彼の囁きに頷く前に、クリスタルは嵐に巻き込まれていた。とてもとても熱い嵐に。
「あ……っ」
唇を触れ合わせたまま、彼がクリスタルを怖いほどの力で抱きかかえた。自分の身体でくるみ込むようにして、優しいが容赦のない力で抱きしめ、身体をたわめていく。
(私……どうなるの……)
怖い気持ちと好奇心がない交ぜになった気持ちで、クリスタルは彼の背中に腕を回す。彼の体温を感じていれば、怖くない。この静かな夜の中で、二人きりでいても、少しも怖くない。
「……っ」
温かく潤み始めていた花びらに、ふいに熱いものが押しつけられた。花びらがとろけ落ちてしまいそうなほど熱いもの。
「あ……」
微かな声をあげてしまう。彼が少しつらそうに吐息をついた。クリスタルは首を横に振り、腕に力を込める。
「……怖くはないの……」
離さないでと指の力で囁く。
「あ……ん……っ」
「……っ」
熱い痛みが身体の真ん中を突き抜ける。その熱にどっと蜜が溢れだし、花びらをしとどに濡らす。
「……ん……んう……っ」
「……身体に力を……入れないで……」
「あ……ああん……っ!」
自分でも驚くような声が響いた。熱い高まりが身体の内側を焼いている。身体の奥から溢れる蜜が高まりをよりいっそう熱くして、二人の体が溶けるように一つになっていく。
「あ……あ……ああ……ん……っ!」
「……クリスタル……っ」
激しくなっていく衣擦れ。互いを呼び交わす熱い声。夜の空気を震わせる悩ましい音が、美しく生けられている薔薇の花びらを散らす。ふわふわとこぼれ落ちる花びらにも、二人は気づかない。
一つになっている。二つ身になっていたものが、一つに溶ける。彼がクリスタルの中に入り込み、奥底で一つに溶けた。
「あ……ああ……ああ……ん……っ!」
「もっと……聞かせて」
アレクシスが熱く囁く。
「クリスタル……その声を……もっと聞かせて……」
「熱い……凄く……熱い……の……っ」
『聖なる娘』のいつも落ち着いている声が高くうわずる。考える間もなく、言葉が溢れだし、声がこぼれる。
「あなたが……いるのね……ここに……いるのね……」
「ああ……クリスタル……っ」
「離さ……ないで……あ……あん……ああ……っ!」
強く揺さぶられて、びくんっと身体が震える。身体の奥が溶けてしまいそうに熱い。痛みよりも熱さが強い。痛みに震える間もなく、身体が彼の熱に溶かされてしまった。身体の中で、熱い嵐が起こっていた。戦士の強靱(きょうじん)な身体に抱きすくめられ、射抜かれて、クリスタルの処女の身体が姿を変え始めている。自分でも驚くほどの滴が溢れだし、熱く太股を濡らす。恥じらっていた身体は、彼の下で柔らかくしなり、彼の力に応える。彼を包み込み、激しく愛する。彼の熱を注ぎ込まれて、乙女の城が扉を開く。
「あ……ああ……アレクシス……っ!」
震えながら、彼の名を叫ぶ。
「アレクシス……アレクシス……っ!」
彼の力強い腕が、クリスタルを抱え上げ、強く抱きしめる。
「あ……ああ……っ!」
「クリスタル……っ!」
吐息の勝った二人の声が窓を震わせた。
一つに溶けて、白いシルクのシーツに金と銀の髪が乱れる。お互いの指を結び合わせて、二人はただ一つに溶ける感覚の中に漂う。
「……離さないで……」
囁く声。震える声。
「どこへも……行かないで……ここに……いて……」
ここにいて。
私の中に……ずっといて。

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