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お嬢様は欲求不満!?~フィアンセと淫らな蜜夢の呪い~【書下ろし・イラスト10枚入り】

お嬢様は欲求不満!?~フィアンセと淫らな蜜夢の呪い~【書下ろし・イラスト10枚入り】

著者:大原一恵

イラスト:深山キリ

発売年月日:2016年06月24日

定価:972円(900円+税)

『ほら、ここだ……自分がいやらしい体だということを、いい加減みとめればいい』                                                                立花財閥の令嬢・結里花は誕生日が近づいたある日を境に淫らな夢を見始める。大勢に凌辱される結里花を助け出そうとする手が差し伸べられるが相手の顔は見えず、いつもそこで目が覚める。相談した友人から呪いなのではと冗談半分に言われるも当然信じられず、何も解決しないまま不安な日々を過ごす。そうして迎えた誕生日に開かれたパーティで婚約者・俊尚と初対面することに。俊尚の手を見た時、それが夢の中のあの手だと気づき……!

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登場人物

◆立花 結里花(たちばな ゆりか)

立花財閥の次女。名家としての振る舞いを重んじる環境で過保護に育てられてきた令嬢。そのため、誰とも付き合ったことがなく、世間知らずで可愛い性格をしている。親が決めた婚約者がいるが、結婚の反発心から今まで会ったことはなかった。
◆鈴鹿 俊尚(すずか としひさ)

鈴鹿グループ総裁の孫。鈴鹿家の三男。兄の仕事を手伝っており、若くしてグループ会社の重役を担っている。自由奔放な性格。結里花の婚約者であり、結里花のことは昔から知っていた。

立ち読み

――違う。
心の奥では拒絶するのに、ゆるく腰がうねった。
――違う。違う。こんなの、望んでない。
叫びたいのに言葉が出ない。
心に反比例するように、快感の淫らな腕が結里花の体にまとわりつく。見えない腕、見えない指先、見えない、いくつもの視線……。
『濡れている』
『いやらしい体だ』
賞賛するような溜息にも似た声、声、声。
『ここはどうだろう』
――いやっ!
拒絶する心とは裏腹に、体はその指を受け入れた。開かれた下肢に視線が集中するのがわかる。
熱を持った、淫らを孕んだ視線の数々と、肌に張り付くように感じるほど、間近でいくつもの吐息が洩れた。
体中を這ういくつもの指と舌の感触。自分の身体の奥が潤んでいく感覚。
心が拒絶しようとしているのに、体が歓んでいるのがわかる。
「んん、あぁ……」
その証拠に、無意識に声を洩らしている。
「あ、あ、あ……っ」
小刻みに腰を揺らしている。
『どうだ、この乱れよう』
嘲(あざけ)るような言葉なのに、体はますます淫らになっていく。いやだと言いながら、何本もの指を受け入れている。
――クチュ…クチュリ……。
濡れた音をさせて、掻き回された。その痺れるような感覚に、声もなく達してしまう。
『おやおや、早いな』
『うん、早い』
『まだ経験が浅いから……』
――誰か。
その暗闇に目をこらし、誰かもわからない人に助けを乞うた。
――お願い、助けて。
この、快楽の地獄から助けて出して欲しい。体だけを求められるこの感覚から、解き放って欲しい。
『助けは来ないよ』
声が囁く。
――そんなはずない。
首を振る。絶対にいる。私を助け出してくれる人が、絶対にいるの。
変な確信を持って、言葉を否定する。根拠などないのに、頑なに信じている自分に笑いたくなりながら、それでもこの状況から救い出してくれる手を信じている。
『快感に弱い体なのに』
そう言いながら声が近づき、突き立った乳首を舐めた。途端に、ビクビクと震えるほどの電気が体を走る。
『ほうらね』
満足そうな声は近づき、頬を舐めた。
『こんな格好をして、一体誰が助け出すと言うんだ?』
気がつくと、正面には鏡が置いてある。決して強制だけではないのが、そこに映し出されているすべてでわかる。
自ら求めるように腰を揺らし、うっとりとした表情で快感を享受している。
『これが、おまえだよ』
――違う。
否定する声が弱々しい。
『ここが見えるだろう?』
複数の手によって開かれた下肢の中にある秘部は濡れ光り、物欲しそうにひくついていた。
『これが何も知らない体か?』
――だって、本当に何も知らない。
『早く欲しくて仕方がないんだろう?』
――それは……。
『モノが欲しいだけだろう。快楽が欲しいだけだろう』
――違う。違う、違うの。
首を振るのは、自分の身体の弱さを否定したいからだろうか?
『快楽に溺れるのは、悪い事じゃないよ』
ヌルリと濡れた間を撫でられ、その蜜を乳首に塗りたくられる。
『ほら、後から後から溢れてくるじゃないか』
『なんでもいいんだろう』
――違うっ。
最後には、泣きながら首を振っていた。
――好きな人のじゃなきゃ、いやっ!
手を伸ばす方向に、いるはずの人。きっとその人が助け出してくれるはず。
――だってほら、私にはその指先が見えるのに。
でも、顔が見えない誰か。助け出してくれるはずのその人は、きっと光を背にしているから、私には顔が見えない。でも、ほら、そこにいるのに。
指が届かない。そして体は、快楽に溺れていくのを拒絶しきれず、小さく震えている。
――お願い。ここから救い出して……。
指先の届かない手の、持ち主は誰なの?

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