書籍情報

狂おしく惹かれる体軀(からだ) 【イラスト入り】

狂おしく惹かれる体軀(からだ) 【イラスト入り】

著者:金沢有倖

イラスト:金沢有倖

発売年月日:2014年10月10日

定価:935円(税込)

「絶対に孤独になんかしないって誓える?」 「お前のためなら、神ですら捨てる」 養父母を亡くした白神羽里は、養母の弟、水知と暮らしている。水知は、人間の脳を使った精巧な人造人間を作る技術を持っている科学者で、その技術が欲しい国際機関から狙われている。ある日、何者かに殺されてしまった水知。羽里は水知を生き返らそうと禁断の人造人間の技術を使う。生き返った水知と狂おしく求め合う羽里は、次第に違和感を感じ始める。「これは俺が知ってる水知なのか?」謎が謎を呼ぶ耽美ミステリー。

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登場人物

水知 (みずち)
29歳。養父母に死なれた羽里をひきとり育てる。無口で無愛想だが優しい。鍛えられた体。羽里のことを誰よりも大切に想っている。大きな自宅は研究室なみの設備を誇っている。サイボーグになってからは性欲魔人と化す?
白神羽里 (しらかみ うり)
20歳。生まれてすぐ捨てられ、施設で育つ。子供の頃は天使ミカエルのよう。早間夫妻に引き取られ、その後、水知にの養子になる。IQが高い。大人になってからは水知の研究を手伝う。殺された水知をサイボーグとして生き返らせるが。

立ち読み

「……悪い、羽里。久しぶりのセックスで我慢ができない。取りあえず一回、挿入(そうにゅう)させてくれ」
「……って……」
柳眉(りゅうび)を寄せて頼まれても、羽里としては困る。まだ、挿入する箇所(かしょ)は挿入するための何の準備もしていない。
「じゃ、じゃあ指で……っ」
慌(あわ)てて自身の指を挿入して入り口をほぐそうとすれば、水知の手によってそれは遮(さえぎ)られた。
「え……? 水知?」
「多分……大丈夫だから」
「って……っ、あ……っ!」
いきなり、勃起(ぼっき)した熱棒を羽里の奥へと押し込んでくる。
急に訪れた圧迫感に羽里は思わず吐息(といき)混(ま)じりの声を上げたが、予想していた痛みはなかったことに驚いた。
しかも、痺(しび)れるほどの快楽が圧倒的に体躯を貫いていて、大きく震えてしまう――無意識に、繋がった秘所(ひしょ)を締(し)め付けてしまった。
それでも腸壁(ちょうへき)を激しく擦(こす)って上下に蠢(うごめ)く内部の異物に、全神経が集中してしまう。
「な……んで……っ」
――痛く、ないのだろうか。
久しぶりのセックスなのに――何の準備もしないで、いきなり奥まで押し込まれて。
何も考えられないほどの快楽が、羽里の脳を支配している――
意識の全てが、繋がった秘所と突かれている最奥(さいおく)に向いている。
じんじんとしていて、疼(うず)いていて――最高に熱い。
「き……もち……い、い……っ」
「――だろうな」
激しく突かれ、つい口から漏らした言葉に、水知がシニカルに笑(え)む――その自信の意味も判らない。
いや、確かに水知はセックスは上手だが――こんなセックスをしただろうか?
(以前の……水知は……っ)
薄れる意識の中、快楽に支配されつつも脳の隅でぼんやり考える。
(もっと、静かなセックスだった……こんな、いきなり快楽を頂点まで高めようとするようなことは……)
――考えていれば、腰を掴まれ体躯を上に持ち上げられると、一気に深く腰を鎮めさせられた。
「あああ……っ」
「―――――っ」
快楽に、堪(たま)らなく羽里の果実が白い蜜を放射してしまう。同時に、羽里の最奥を侵し続けていた熱(ねつ)根(こん)の先端からも欲望の証(あかし)が溢れ出たのが判った。
「……あ……ふぅ……」
「――――確かに、手術台はやりにくいな」
水知の呟きに、思わず顔を上げた。
「……え?」
羽里はまだ息が整っていないが、水知はまるで疲れた様子もない。
考える間もなく、水知は羽里を手術台に押し倒した。
「……え? 水知……?」
「今度は、オ―ソドックスに正常位でやる」
「は?」
「言ったろ? 最初はさっさと挿入させてしまい申し訳なかった、と。次からはゆっくりと、羽里を何度もイかせてやるから」
「って、ちょ……っ、あ……っ」
驚く羽里だが、拒絶を示す前に水知がセックスを始めてしまう――今度は乳首や羽里の快楽に沿(そ)って愛撫をされ、再び快楽が羽里を包み込んでいった。
(あ―もう……)
――早々に、セックスだなんて。
羽里としては、水知がいない間のことを話したり、普通に心の交流をしたかったのだが……。
(でも――確かに)
愛撫に酔いつつ、思う。
(恋人同士なら……これが、正しい姿……かも……?)
羽里は、水知しか知らないから。〝世の中にいる、久しぶりに会った恋人同士が最初に行(おこな)うこと〟なんて知らないけれど。
(案外、セックスという人は多いかも知れない……)
そう思うことにして、羽里は水知から与えられる快楽に身も心もゆだねることにした。

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