書籍情報

愛されすぎて【特別版イラスト入り】

愛されすぎて【特別版イラスト入り】

著者:妃川螢

イラスト:水貴はすの

発売年月日:2014年10月03日

定価:935円(税込)

君に、拒む権利はないのだよ 明晰な頭脳と冷静沈着な仕事ぶりで、新人にもかかわらず上客を任されるほどに優秀な証券マンの叶晶綺(まさき)。彼は自分のミスから大口の顧客である資産家の黒崎に莫大な損害を与えてしまい、さらに取引停止を申し渡される。なんとか考え直してほしいと頭を下げる晶綺に黒崎は、妖しい笑みとともに新たな取引を持ちかけた――「私のものに、なるか?」と。プライドを踏み躙る内容に、一度はその場を立ち去ったものの、晶綺は断ることなどできるはずもなく。黒崎の仕掛けた巧妙な罠に抗えぬまま囚われていく晶綺は……。

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登場人物

叶 晶綺(かのう まさき)
23歳。中堅の証券会社社員。
黒崎湧逸(くろさき ゆういち)
青年実業家。都心にいくつものビルを持ち、レストランなども経営。

立ち読み

シーツの冷たい感触が、飛びそうになる晶綺の意識を、そのたび現実に引き戻す。
シヤワーを浴びて、ローブを纏(まと)い、黒崎のまえに立ったとき、それまで平静を装ってきた晶綺の仮面が、突如剥がれた。やはり、思考が現実逃避していただけだったらしいと、そのときになって気づいても、もはや逃れる術(すべ)はない。
「いやだ!」と抗い、黒崎の腕を拒む。しかし、許してはもらえなかった
圧倒的な力でベッドに引き摺り込まれ、ローブを引き剥がされて、黒崎の眼前に素肌を晒した。
「君に、拒む権利はないのだよ」
耳元に囁く、しかし、甘い睦言とは程遠い陵辱の言葉。
裏腹、肌を伝う掌のやさしい感触と所有の証を残していく口づけの甘さに、晶綺は驚き、脅え、困惑した。
「ん……あ…ぁ……」
零れた吐息の甘さに、晶綺自身が驚いた。
――こんなの自分じゃない……絶対に違うっ!
そう思っても、心とは裏腹、身体は黒崎に与えられる快楽に、従順に拓いていく
この歳まで、性行為を知らなかったわけではない。しかし、決して行為にのめり込むタイプではなかった。いつもどこか冷めた目で、身体の下で悶える女たちの姿を見下ろしてきた。愛撫をねだる腕を、煩わしいとさえ感じることもあったほどに……。
しかし、今の自分はなんだ? 同性に女のかわりにされ、あまつさえその行為に感じている。深い深い悦楽の淵に落ちてしまいそうなほど……。こんな自分はあってはならないもののはずだ。それなのに……っ!!
「感じやすいんだな」
クスッと笑われて、差恥に肌が焼けつく。大きな手に脇腹を撫で上げられて、ビクリと背が撓(しな)った。冷えた室内の空気と、黒崎の熱い掌とに煽られて、荒い息に上下する胸の上で、ささやかな尖りがツンッと存在を主張しはじめていた。それを知らしめるように、きゅっと孤(つね)られる。
「あ……あぁっ」
痛みにも近い快感が、ダイレクトに下肢に伝わった。
「そのうち、ここを弄(いじ)っただけでいけるような、淫らな身体にしてあげるよ」
言いながら、黒崎はそこへ唇を寄せた。
「……え……な…に……」
しかし、わずかに頭を擡(もた)げた疑問は、そこをきつく吸われたことによって、霧散してしまう。
「は……あ……っ」
ねっとりと絡みつく熱い舌の感触。ズキズキと、今まで経験したことのない感覚が、そこから身体中に広がっていく。まるで痺れ薬が回っていくように……身体の自由がきかなくなる。
胸への愛撫はそのままに、黒崎の手が肌を伝い下りて、晶綺の腰を撫でた。
「や…ぁ……っ」
太腿の内側を撫で上げる大きな手が、行きついた先で喜悦に震えるモノを包み込む。クチュッと濡れた音がして、晶綺は自身の欲望が浅ましくも反応していることに気がついた。
――嘘……っ。
直接触れられることもなく、肌を嬲(なぶ)る手の感触と胸への刺激だけで、そこは痛いほどに勃ち上がり、先走りの液を滴らせている。信じられないという面持ちで呆然と目を見開いた晶綺に、しかし黒崎は事実をつきつけた。
敏感な先端を親指の腹でグリッと弄られて、その衝撃に細い腰が撥(は)ねる。たくみな指遣いで扱かれて、濃厚な蜜液が先端からトロトロと溢れ出した。燃え上がる肉体の欲求を止めることなど、できるわけがない。ただただ、理性を駆逐しようとする欲望に、身を任せてしまいたくなる。
「あ……あぁっ、も…やめ……っ」

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