書籍情報

銀翼の騎士【特別版イラスト入り】

銀翼の騎士【特別版イラスト入り】

著者:水月真兎

イラスト:藤井咲耶

発売年月日:2015年03月06日

定価:918円(本体850円+税)

これから毎晩、抱いてやる。おなえが、俺の体を忘れられなくなるまで……。 傭兵として死線を潜り抜けてきた白瀬司(しらせつかさ)は、最愛の恋人を事故で失って以来、深く心を閉ざしていた。ある時、司は最新鋭戦闘機ノワールのテストパイロットとして、内戦中の北アスナム空軍准将ユーグと出会う。狂おしいほどユーグに抱かれた司は、身を焦がす炎に奪われていく。二度と戦いたくないと願う司を、ユーグはノアールともども戦場へ駆り出そうとするが……。

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登場人物

白瀬 司 (しらせ つかさ)
27歳。三矢重工のテストパイロットだったが、最新鋭戦闘機FX-9ととに北にアスナムの傭兵となる。黒髪に漆黒の瞳。細身だが、しなる鞭のような肢体を持つ美貌の男。
ユーグ・ド・グレイ
30歳。北アスナム空軍准将。クアンナイ基地司令官。北アスナムの首都、ルアンで催された三矢重工のパーティーで司を見初める。褐色の髪と肌。冷たい銀色の瞳を持つ偉丈夫。

立ち読み

「い、やだっ……い、やぁっ!」
一糸まとわぬ姿で、司はベッドの上で両脚を開かされた。羞恥(しゅうち)に悶(もだ)える暇さえなく、一番弱い部分を暴かれ、周到に潤滑剤をまとった長い指で、一年あまり、誰にも触れられたことのなかった内壁を犯された。
涙がこぼれて止まらない。哀しいのか、口惜しいのか、それとも気持ちいいだけなのか、自分でもよくわからない。
ただ、ロイを失ってから空虚なばかりだった胸のどこかが痛いほどざわめいて、苦しくて堪らない。
「締めつけるな。息を吐け」
泣きながら嫌だと拒む司を、ユーグはひどく強引に、そのくせ甘やかすみたいにあやし、体の奥深くまで思いどおりに蹂躙(じゅうりん)した。
そうされることの快楽をとっくに覚えている粘膜を、ぐずぐずになるほど濡らされ、淫蕩に掻き乱される。
びりびりする痺れが、抽送されるほど頭の芯まで突き上げてきて、司は身も世もなく啜り泣いた。
「い、やっ……!」
片脚をユーグの肩に担ぎ上げられて、あられもなく曝された場所を閉ざすことも叶わない。
執拗な視線を感じれば、消え入りたいほど恥ずかしいのに、かえってきつく銜(くわ)え込(こ)んで自分自身を追い詰めてしまう。
「ずいぶん強く締めつけてくるな。気持ちいいんだろう? ここだ……」
「あっ、あぁっ……やめっ、ひぃっ!」
体の中まで触れている男に、素直な反応を隠すことは無理な話だった。
司のどこが感じるかまであっさり見抜かれて、卑猥(ひわい)な手つきで撫でられると、勝手にしなやかな腰が跳ねる。
意識しない司の淫らさにそそられたように、ユーグは間近から上気したおもてを見下ろし、吐息に濡れた薄い唇を片手でそっとなぞった。
「感じやすい体だ。……抱かれたのは、ロイにだけか?」
どこに触れられても感じてしまう。危ういほど司の体を慣らしたのはロイだけかと訊かれ、誰にでも尻を振る淫乱とは思われたくなくて、がくがくと何度もうなずいた。
「幸せな男だ」
目を細めたユーグは、ロイの体しか知らないという司の返事を信じてくれたようだった。
けれど、その一途さはよけいにユーグの欲情に火をつけてしまったらしい。さっきより、いっそう熱っぽく深みを抉(えぐ)られて、司は耐えられないと、自らの張り詰めた性器を握りしめた。
「いやっ、ユーグっ……もうっ!」
「一回、出してしまえ。そのほうが、あとが楽だ」
あとというのがなんのことか、薄々察しはついた。ユーグが自分をとことん抱くつもりだと知らされ、体を満たされる愉悦よりも支配される恐怖に竦み上がった。
「い、やっ、……嫌だっ!」
「そんなに泣くな。苛(いじ)めてるような気分になる」
泣き顔を覗き込みながら、唇を綻ばせるユーグは、これはあくまでも司が望んだことだと言いたいらしい。
けれど、司にしてみれば、弱みにつけ込まれ、強姦されている以外のなんでもない。どれほど感じてしまっても、ロイ以外の男に抱かれたいなんて望んだりしない。
「人でなしっ!」
「もっと泣かされたいのか?」
「ひっ、いや――ぁぁっ! やっ、やっ……」
目と鼻の先にある端整なおもてへなじったとたん、抉るように深く指を出し入れされて、真っ白な内腿を引(ひ)き攣(つ)らせながら、びくびく身悶えた。
「強張るな、司。ほら……」
排泄を堪えるように強く握りしめた指を器用に解かれて、熱いものが無防備な性器に触れたと思ったとたん、灼けつく感触に呑み込まれる。
ユーグの唇に慰められているのだと知って、男の行為が信じられず、涙に滲んだ瞳を大きく見開いた。
「ひっ、い……ユーグっ、いやぁっ!」
ロイには何度もしてもらっていたし、当然、司から彼にしたこともある。愛し合った恋人同士なら、不自然なこととは思わなかった。
けれど、ユーグは恋人なんかではない。まして、司は、グレイ一族である彼を誇り高い軍人だと思っていた。
間違っても、赤の他人の足元にひざまずいて性器を舐めたりする姿は、想像もできなかった。
なのに、目の前で自分の劣情に舌を絡めているのは間違いなくユーグで、うろたえるほど強引な男の所作に搦(から)めとられ、頭の先まで蕩(と)かされていく。
呆気なく極みまでさらわれ、自制の利かないまま、温かく心地いい口の中へ果ててしまった。
(あっ……いいっ)
ぼんやりと意識が霞み、甘い快感に漂っていた司の耳に、微かに届いた喉を鳴らして飲み干す音が、急速に正気へ引き戻す。
ユーグが何をしたのか気づき、男の肉厚な唇を濡らした欲情の残滓(ざんし)を見つけて、司はかーっと頬を紅潮させた。
「いやっ、だ……っ」
「もう飲んだ」
「いやっ……」
恥じらいもなくあっさりと言い放つ男が、何を考えているのかまったく理解できない。
司を辱め、嬲(なぶ)るためだけなら、ユーグがそこまでする必要などないはずだ。本当に欲しかったというなら、それこそどうかしている。
「少しは素直になれ。気持ちいいんだろう?」
「やっ、や、だ……いやぁぁ――っ!」
まだ体内に含まされたままだった指をゆるゆる動かされて、いったばかりのはずなのに、よけいあさましく火照る体が忌まわしかった。
自分が何を求めているか、知らない司ではない。ユーグが、今さら自分を許すはずはないこともわかっていて、拒んで泣くしかなかった。
「司っ! ここ、緩めないと、つらいのはおまえだ」
「はっ、あっ、ぁ、あぁっ……あぁ――っ」
巧みな指先で快楽を送り込んできながら、無意識に張り詰めようとする部分の力を抜けと促されて、意地も矜持(きょうじ)もなく流されていく。
時折、まだ湧き上がろうとするささやかな反抗の意思も、狡猾に弱みをくすぐる所作でふしだらな愉悦へとすり替えられて、自分から汗ばんだ男の肩にしがみついていた。
「よしよし、いい子だ。うんと悦(よ)くしてやる」
「いや、だぁ……。ロイ、ロイ、ロイ……」
耳元で囁く低音が聞き慣れた恋人のものではなくて、怖いと助けを求めると、長い腕にいっそう深く抱え込まれる。
「おい。代わりをするとは言ったが……俺は呼んでくれないのか?」
せつなげに苦笑したユーグに責められたけれど、司はもう何を言われているかさえ意識していなかった。
苦しい。怖い。熱い。でも、ずきずきする場所に、あれが欲しい。満たされることを欲してあさましく浮き上がる下肢を、抑制することすらとっくに忘れていた。
「まあ、仕方ないか」
小さくぼやきながら覆い被さってきた体が、ゆっくり密着してくる。濡れそぼった粘膜を圧迫される力になまめかしく喘(あえ)ぎ、分厚い肩に夢中で爪を立てた。
「ひっ!」
ぴりっと亀裂のように走った痛みには覚えがあって、長いブランクのあった体が怯えたように強張ろうとする。
「力むな。ゆっくり、息をしろ」
「はっ、あっ……いやだ、ロイっ」
励ますように教えられ、抱え上げられた細い腰を何度も小刻みに揺さぶられた。泣いて許しを求めても、熱を孕んだ剛直にじりじりと体を支配されていく。
「だ、めっ……。も、苦し……」
「もう少しだから……、司」
もう無理だと訴えても、決して聞き入れてもらえなかった。慎重な仕草で容赦なく犯されて、硬くて熱いもので体中いっぱいになる。
「あっ、あぁぁっ、はっ……あぁぁぁ――っ、あ――っ!」
視界が真っ赤に染まって、泣き濡れた瞼を見開くと、鋭利な男の顔が、涙にぼんやり滲んで見えた。
「全部、入った……」
乱れた前髪を無造作に掻き上げながら、ほっとした目つきが微笑みかけてくる。南国の明るい月を映したような銀色の虹彩が、鮮やかな光を弾いた。
「……ユ、グ?」
「やっと、俺を見たな」
うれしそうに唇を綻ばせる表情が、痛みにも似たせつなさで司の胸を大きく揺さぶった。
(誰だ、この男は……?)
本当に自分を罠に嵌めて監禁した傲慢な男だろうか。笑った顔が誰かに似ているようにも、まるで知らない男のようにも見え、それとも自分はユーグの何もわかっていないのだろうかと疑った。
「動くから、つかまっていろ。きつければ泣き叫んでもいい」
彼に何か訊きたくて、でも言葉を思いつく前に、激しい嵐が司を奪い去った。
猛々しく突き上げられ、意識ごとどこかへ飛ばされかけ、腕をつかんで引き戻されると頭の芯まで熱塊が突き刺さる。
「あっ、あっ、やっ……いや、あぁぁ――っ! あぁ――っ!」
自分が何を叫んだか、司はまるで覚えていなかった。泣きじゃくり、褐色の胸にすがりつき、翻弄されるままに一度も知らなかったところまで最奥を開かれる。
どこまでが自分の体で、どこまでが身を灼く男のものなのか、境目もわからないほど混じり合い、蕩けきった肌をあふれるほどの欲望で濡らされていた。
「あ――っ、あぁぁぁ――っ……ぁ――っ、あぁ、あ――っ!」
喉が張り裂けるほど絶叫し、その唇を噛みつくような口づけに塞(ふさ)がれる。
貪欲な腰だけが、一年間の空白を満たそうと勝手に蠢(うごめ)いて、萎(な)えない男を甘くやわらかく吸い食んだ。

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