書籍情報

罪作りな君【新装版イラスト入り】

罪作りな君【新装版イラスト入り】

著者:妃川螢

イラスト:タカツキノボル

発売年月日:2015年11月06日

定価:918円(本体850円+税)

そんな色っぽい顔、カメラに向けるなよ 「俺のモノになれよ」――。撮影のたび、SINを口説いてくるその男は、漆黒の髪に青い瞳、そのうえ非の打ち所のない完璧な容姿を兼ね備えたショーモデルだった。世界を舞台に活躍していながら、彼、RYUは、なぜかグラビアの仕事に進出してきて、撮影のたびにSINにちょっかいをかけてくる。どんなに邪険にしようとも懲りることなく迫ってくるRYUに、とうとうレンズの前でキスまで奪われたSINは…!

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登場人物

RYU:琉・スティングラー(リュウ・スティングラー)

漆黒の髪に青い瞳をもつハーフの高校生。180cm以上ある身長と王子様のように恵まれた容姿で、今一番売れているファッション・モデル。
SIN:榊真弥(サカキシンヤ)

178㎝の大学生のグラビアモデル。亜麻色のサラサラの髪と琥珀の瞳、抜けるように白い肌。男っぽさを失わない楚々とした顔立ち。地味だが、自然体で均整の取れた美しい顔立ちの青年。

立ち読み

キスに応えたからって、それ以上まで許してやった覚えはない。
というのは、とってもとっても今さらな言い訳なのだろうか?
「ちょ、ちょっと待った!」
圧し掛かる胸を押し返しながら、SINは無駄な抵抗を試みていた。

あっと思ったときにはシーツに押さえつけられたあと。RYUの匂いに包まれて、心臓が口から飛び出しそうなほどに激しく脈打っていた。
 掴まれた腕が熱い。
 身体にかかるRYUの重みや体温が気持ち好くて……うっかり力の抜けそうになる身体と心に鞭(むち)を打つ。
「やめろって……、ん……っ!!」
 両腕を頭上に縛(いまし)められたまま深く口づけられ、SINは喘いだ。逃げをうつ下肢は逆にRYUの長い足に絡め取られ自由が利かない状態だ。
「あんな可愛いことされて、俺の理性がもつわけないだろ?」
 RYUのいう「あんな」が、先ほどSINから返したキスであることは明白だが、しかし、
RYUを煽ったつもりなどさらさらない。けれど「たったあれだけのことで?」と思うのは、どうやらSINの都合であって、若いRYUを奮い立たせるには、あれで充分だったらしい。暴走したところで、責められる謂れは、RYUにはない。  耳朶を甘噛みしながら囁かれて、SINの背中がビクリと撓る。
「俺は、そんなつもり…は、ん……やぁ……っ」
 顎から首筋のラインを伝う唇の感触に、SINは甘い吐息を零した。
「この間だって、アイラに邪魔されなかったら、最後までいってたはずだろ? なんで今さら嫌がるんだよ」
 当然と言えば当然のツッコミに、しかし、馴れない行為に既に涙目になったSINの大きな瞳が、それでも気丈に男を睨み上げた。
「勝手なこと言うなっ!」
「勝手?」
「自分の都合のいいように……俺はそんなつもりは……」
「じゃあどんなつもりなんだよ」
 上から見下ろす視線が熱い。
「あの撮影のときだって」
 過ぎた話を持ち出されて、SINの顔がギクリと強張る。
「妬いたんだろ?」
 真理を突かれて、SINは凍りついた。
「あ、あれは……」
 今さらだけれど、ついつい視線が泳いでしまう。真実だけど、できればもう少しオブラートに包んだ言い方をしてほしい。
「絵コンテには、あんなシーン、なかった」
「だ、だから……っ」
 ――いちいちツッコんでくるなよっ!
 事実なだけに言い返せなくて、SINはぐっとつまってしまった。きゅっと唇を噛み締めて、返す言葉を探す。けれど、「そのとおりだ」と認める以外に、返せる言葉は見つからない。
 自分ばっかり問いつめられて、なんだかとっても理不尽な感情に囚われた。素直になるのも悔しくて、ぷいっと横を向いてしまう。けれどRYUはこたえた様子もなく、SINの機嫌を宥めるように、髪が乱れて露わになった額に唇を落とした。
 つづいて、紅(あか)く腫れるほど噛み締められた唇にも、RYUのそれが重ねられる。
 触れるだけの、キス。
「そんな顔するなよ。俺は嬉しくてしかたないのに」
 素直過ぎるセリフに、カーッと頬に血が昇った。ただでさえ熱くなった頬に、それ以上に熱いRYUの眼差しを感じる。  じっと穴があくほどに見つめられて、SINが根負けした。しかたなく、視線を上げる。すると、青い瞳に真っ赤になった自分の顔が映し出されていた。
「俺がほかの女と一緒にいるの、嫌だったんだろ?」
 アイラを交えた最初の撮影のとき、なぜSINが不調だったのかも、結局バレているらしい。
「そ、そんなの気にしてたら、身が持たないっ」
 拗ねた声で切り返す。
「だから、撮影がうまく行かなくなった」
 その直前、RYUに、「やめちまえ」と罵られて悔しくて、己を奮い立たせて臨(のぞ)んだはずの撮影にもかかわらず、感情がコントロールできなくなってしまったほどに。
「……っ」
 思い出したくもない。あんな醜態(しゅうたい)。
「アイラに煽られて、我慢できなかったんだ」
 ――決めつけるなっ。
「撮影で俺の所有権、主張したかったんだろ?」
「しょ、所有権なんて……そんなの……」
 あのときは、そんな烏滸(おこ)がましいこと、考えちゃいなかった。ただ、RYUの隣に立って釣り合うだけの、男でありたかっただけだ。
「俺は、あんたの所有権、主張するからな」
「……RYU……」
「俺と一緒じゃないグラビアなんて、もう撮らせない」
「そんなの……」
 無理に決まっているではないか。そんなふうに仕事を選んでいたら、すぐにSINは干されてしまう。
「無茶言うなよ」
 RYUも、本気ではないだろう。
 でも、言われて、嬉しいと思ってしまった。
「妬いたって、言えよ」
 また話が元に戻ってしまっている。どうやらSINのヤキモチが、嬉しくてしかたなかったらしい。
「それまでは気にもしてくれなかったから……だから最初は気づかなかったけど、でも、そうなんだろ? なあ?」
 子供っぽい言い草に、思わず笑みが零れる。「しょうがないな」と宥めようとして、けれど、SINは言葉を継げなかった。
 振り仰げば、真面目な顔で言い募る、年下の恋人。
 ――恋人??
 思考を過ぎった特別な単語に、ドクドクと心臓が脈打ちはじめる。
 これだけ何度もキスして、一緒にいたいと望んで、ベッドの上で縺(もつ)れ合っている今になって認識するようなことだろうか?
 ――『あんなカッコイイ恋人がいるんだし」
 にこやかな藍田の声と、「イヤイヤじゃない」と返した自分の声とが、なぜか脳裏を過ぎった。
「俺は……」
 開きかけた唇は、しかし、言葉を紡ぐことはできない。
 妬いていると認めるのも、それをすっとばして「愛している」と返すのも、心臓によくない。ただでさえ耳鳴りしそうなほどに煩く鳴っているというのに。
 どうしたらいいかわからなくて、SINはRYUの青い瞳をただ見つめるばかりだ。
「愛してる」
 降ってくる、端的な告白。
 聞きなれたハズのセリフに、目の奥が熱くなるのを感じて、SINはRYUの胸に顔を伏せた。
「SIN……?」
 緩んだ拘束から逃れて、震える腕が縋りついてくる。
 しなやかな背を抱き締め、RYUはSINの肩口に顔を埋めて、ウットリと呟いた。
「どんなイイオンナも興味ない。俺の頭んなかは、あんたのことでいっぱいだ」
 切々と言い募るRYUに、SINが最後の抵抗とばかり切り返す。
「だったら、なんであんな言い方したんだよっ」
「あんな?」
「『〝オンナ〟になれ』なんて……」
 しかし、RYUから返ってきたのは、思いがけない言葉だった。もしかしたら、そうかもしれないと、心のどこかで思っていたけれど、でもこうもアッサリ言われると、無性にムカつく。
「……俺、そんなこと言ったか?」
「……っ!? お、覚えてないのかっ!?」
「……覚えてない」
 ――……。
「離せっ。俺は帰るっ」
 もともと涼やかな目元をスーッと細め、SINが怒りを露わにする。しかし、暴れるSINをシーツに押さえ込みながら、RYUが真顔で言った。
「何を言ったかなんて、覚えてるわけねぇだろっ」
「お、おま……っ、え……?」
 キッと睨み上げて、しかし目にしたものにSINの罵声は気を削がれ、行き場をなくしてしまった。
 RYUの、なんともいえない、神妙な顔。
 うっすらと染まった頬が、これでもかというくらい、似合わない。
「ちゃんと、考えてたんだっ、言うこと。なのに……、くそっ」
 SINとの初仕事の前の晩、眠れないほど悩んで、考えて考えて、スタジオに向かったのにっ。
「リュ、RYU?」
「あんただけだって、この間から何度も言ってんじゃねぇかっ」
傲慢なのに、どこか必死な声。
もっと聞きたくて、SINは口を噤む。
「俺だけ見てろよっ」
撮影のときのように。
そうして、鎖骨を辿りはじめた唇の感触に、SINは黒髪を抱き寄せることで、応えた。

「ん……ぁ……あ……」
 密やかな喘ぎが寝室にこだまする。
 RYUの手管でアッサリと衣類を剥ぎ取られたSINは、白い肌を朱に染めて、逞しい腕に翻弄されていた。
 もちろんSINだとて、経験がまったくないわけではない。過去にいた彼女たちと何度かは経験がある。しかし、抱かれる立場となると、すべての勝手が違っていた。
 他人の手に触れられることがこれほどの悦楽を生むなんて、SINは知らなかった。
 トロトロと蜜を零しRYUの掌に包み込まれて濡れた音を立てる屹立は、今にも弾けそうなほど張りつめ、しかし、根元を捕らえた長い指によって、塞(せ)き止められている。その苦しさが、さらなる悦楽を生んでいく。
「ダメ……だ、手……離して……っ」
 力の入らない腕で、RYUの二の腕を掴み、絡む指を外そうとする。
「いいよ、そのままイって」
 手のなかの昂ぶりを握り込み、先端をキツク抉られる。小さな喘ぎを漏らし、背を撓らせてSINの欲望が弾けた。  荒い息に上下する白い胸に、RYUが口づける。紅く腫れて男を誘う小さな突起に舌を這わされて、SINは甘い声を迸(ほとばし)らせた。
「あ…ぁ……っ」
 零れる甘い喘ぎと、所在なさげにシーツを彷徨(さまよ)う白い肢(あし)。しなやかな指が艶やかな黒髪を乱暴に掻き乱す。
 胸の上で揺れる頭を外したくて伸ばした指は、いつしかもっとと誘うように髪に絡み、その頭を抱き寄せていた。
 SINの放った蜜に濡れた指が腰骨から太股の内側を辿り、促されるままに開かれた両足の隙間へと進んでいく。濡れた指に秘孔をつつかれて、SINはビクリと背を撓らせた。
 何をされるのかは、もちろん知っている。
 しかし、耳にしたことがあるだけの知識と、それを実際に自分の身体で体験するのとでは、天と地ほどの開きがある。
「RYU……」
 不安げな声が愛しい男の名を呼ぶ。
 身を起こし、安心させるように口づけながら、しかし、RYUは辛そうに眉根を寄せた。
「ゴメン……俺も男ははじめてだから……痛くないようにするつもりだけど……」
 正直な告白に、逆にSINが驚き、その言葉の意味するところに思い至って、頬に血を昇らせた。
 男女間わず、来る者は拒まず去る者は追わずだと噂されていたけれど、実際のRYUは、とても紳士だ。その言葉に少しだけ勇気づけられて、SINはコクンと頷いた。
「……いいよ……」
 蚊(か)の鳴くような小さな声。
 それに応えるように、深く深く口づけられて、SINはその甘さに背を震わせながら、逞しい首にしがみつく。
 それとほぼ同時に、RYUの指が襞(ひだ)を掻き分けるようにして侵入してきた。思ったほどの痛みはないものの、襲いくる異物感に、苦しげな呻きが零れる。
 蜜の滑りを借りて、RYUの指が狭い器官を解すように繊細な動きを見せる。指が増やされると、ピリリと幽かな痛みが走ったが、それでもSINはRYUを抱き寄せる腕を解くことはなかった。

「あ……あぁ……っっ!!」
 突如襲った背を突き抜けるような衝撃に細い腰が撥ね、零れる嬌声をこらえることもできず、SINは驚きに目を見張る。
それはたしかに〝快感〟と呼べる感覚。
「ここがいいのか?」
 先ほどSINが反応した場所を、たしかめるように長い指が押し上げる。
「や……っ!! だ、ダメっっ!! はぁ…んっっ!!」
 痛みと異物感から萎えてしまっていたSIN自身は再び勃(た)ち上がり、先端から悦びの蜜を零しはじめている。硬く閉じていた秘孔は綻(ほころ)び、濡れた音を立ててRYUの指を締めつける。蠕動(ぜんどう)をはじめた内壁は、奥へ奥へとRYUの指を誘い込もうとする。
「すごい……」
 思わず漏れたRYUの感嘆のセリフも、今のSINには聞こえない。ただ、襲いくる快楽の波に呑み込まれないようにするだけで精一杯だ。
「やぁ……んっ」
 指が抜かれるのを惜しむように、SINの内壁が絡みつく。たまらない痴態に、さすがのRYUもゴクリと喉を鳴らした。  既に自分も限界がきている。
 SINを感じたくて……SINとひとつになりたくて……。
 はだけていたシャツを脱ぎ、前を寛(くつろ)げると、熟れた秘孔に猛った切っ先を突きつける。それだけで柔(やわ)襞(ひだ)が誘い込むように絡みついてくる。どうしようもない悦楽に支配されたSINは、濡れた瞳でRYUを誘うばかりだ。  震える瞼に口づけながら、RYUはゆっくりとSINの内部へと侵入していった。
「ぁ……ぁ……、あぁ……」
 切れ切れに、切なげな喘ぎが零れる。
 裂くように侵入してくる熱い杭のリアルな感触に、SINは激しい痛みをも凌駕(りょうが)する喜悦を感じはじめていた。  同じ男に犯されている……。
 その現実がSINをさらに煽り、身体の奥底から湧き上がる恐ろしいほどの快感が脳髄までもを麻痺させる。無意識に白い肢は自身を苛む男の腰に絡みつき、白い指先が背に爪を立てる。
「あ……あぁ……んっ、あぁ……あ……」
 もはやこらえきれない喘ぎがひっきりなしに零れ、再三の口づけに濡れた唇は薄く開いてRYUを誘う。
「SIN……SIN……愛してる……愛してる……」
「RYU……っ」
 譫(うわ)言(ごと)のように繰り返される睦言(むつごと)。
 甘く誘う身体に溺れ、RYU自身も理性をなくしていく。やがて激しさを増した律動に、ふたりは悦楽に溺れ、同時に昂みへと昇りつめていった。

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