書籍情報

愛を誓え【特別版イラスト入り】

愛を誓え【特別版イラスト入り】

著者:宮川ゆうこ

イラスト:水貴はすの

発売年月日:2015年01月09日

定価:918円(本体850円+税)

なあ、しようぜ――おまえとしたいんだよ ールな超エリート検事・布施(ふせ)の担当事務官を務める恵(けい)は、小さいころ、憧れていた剛(つよし)と偶然再会する。昔と変わらず強くて優しい剛だったが、なんとヤクザの組長になっていた! その上、布施とは双子の兄弟だと言ってきて!? 面差しは似ていても、性格や態度はまったく違うふたりに恵はただ翻弄されるばかり。しかも、剛は「やらせろ」と強引に迫ってくるし、布施には何か秘密があるみたいで――。

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登場人物

布施将人(ふせ まさと)
20代後半。東京地検特捜部から異動してきた検事。Steelmanと呼ばれる辣腕。オールバックに細いフレームの眼鏡をかけている。整った顔立ちに引き締まった体躯のモデルといっても通用する容姿を持つが、目は鋭く輝き、研いだ刃物で一刀両断されそうな鋭い気迫を持つ。
今林恵(いまばやし けい)
25歳。福岡地方検察庁城生支部の検察事務官。色白で華奢な体躯。内気だった小さい頃助けてくれた剛に憧れている。相手の立場にたって考えられる性格のいい男。

立ち読み

「やはり怖いか?」
「あたりまえです!僕は男の身体を見て興奮なんかしませんし」
「それじゃ興奮するようにしつけてやるよ」
(こ……この!)
「強姦罪で起訴します」
「無理だな。証拠不十分で不起訴だ。それに強姦罪じゃない。こういう場合は暴行罪だ」
僕はますます腹立たしくなって、ひたすら彼を睨む。
すると彼は苦笑して言う。
「あのな、それ、逆効果だぞ」
「え……?」
「無理やり泣かせたくなる」
(……!)
僕は唖然となった。しかも、
「とにかくこのままじゃ収まらないから一回いこうか」
なんてふざけたことを言って、彼は俺にキスをしてきた。
「いや……嫌だ!」
無理やり顔を向けさせられ、キスをされる。
それでも嫌で唇をギュッと噛みしめたが、強く吸われて息ができず、思わず唇を開いてしまう。
「あ……!」
そのとたんに彼の舌が素早く潜り込んでくる。そのまま彼は僕の口の中を荒々しく貪りだす。 「やぁ……!うっ!や……めろ!」
足をばたつかせて暴れると、今度は左手で僕の縮こまっているものを、彼はやんわりと握りしめる。
「あ!」
思わず僕は喘いで身体を震わせていた。カッと身体が燃え上がる。
(流されるな!しっかりしろ!)
僕は必死に心の中で叫んでいた。
だけど、彼の匂いが、そして彼の僕を見るせつなげな瞳が、僕のすべてをおかしくさせていく。
頬は上気し、いつのまにか僕は腰を淫らにくねらせていた。 さんざん貪られて、唾液でダラダラになった後、ようやく彼は唇を離した。
僕のペニスは彼の手の中で嬉しげに震えている。
「素直だな」
「触られたら誰でも感じます」
「同性でもか?」
「そうです!」
ムキになって言い返したが、僕はなんだか情けなくなってきた。
「恵、認めろよ。私が好きだと」
「検事……」
「嫌か?」
「それは……。あなたは僕に男のプライドを捨てろと言うのですか?」
「そうだ。私のために捨ててくれ」
「勝手なことを。あなたって本当に身勝手だ!なんでこんな男に憧れていたんだろう」
自分の馬鹿さが悔しい。だけど、彼はジッと真剣な目で僕を見ている。
その目は哀しげだった。
「見るな!そんな目で見るな!やりたければやればいいだろう!欲しければ僕の身体を持っていけばいい。でも、心まで……心まで求めるな」
涙がポトリと落ちる。
(あ……!)
「泣くな」
「あなたが泣かせてるんだろうが……」
文句を言って彼の肩に顔を埋める。彼は泣きじゃくる僕を黙って泣かせていた。
そして、僕がさんざん泣いて泣き疲れると、今度はリビングから酒の瓶を持ってくる。
それを一口含み、僕に飲めとばかりに口移しで注ぎ込んできた。
僕は泣きすぎて喉が渇いていたので思わずそれを飲み下した。
だけど飲み込んだとたん、喉が焼けるように熱くなった。
「なんですか……これは?」
「ウォッカだ」
「そんな強い酒を飲ませないでください」
「どうして?酔えば少しは気休めになるだろう?」
「今から何をされるかわかっているのに酔えるわけないでしょう。これ放してください」
僕は縛られた腕を解こうともがいた。
「一発殴らせろ!」
するとそれを聞いて彼は困った顔で首を竦める。
「意外と気が強いな」
「あたりまえでしょう。あんたは自分が何をしようとしているのかわかっているのか!」
「愛し合いたいだけだが」
「一人でやれ」
「一人では無理だ」
(この……!)
「さぁ、おとなしくやらせろ」
どうしても布施検事は僕とやりたいらしい。僕はさすがに観念するしかなかった。
憧れていた男。彼のようになりたいと望んだ相手。パーフェクトだと思った彼もただの人間だったのだ。鋼鉄の鎧を纏いながら、その内面では血を流していた。
僕を抱いて、少しでもその痛みが安らぐのならばいいじゃないか……。
そう思った自分に僕は愕然となった。
(僕は……)
どうやら僕は後戻りできないほど、彼に魅せられていたらしい。
あまりの情けなさに笑うしかない。思わず苦笑すると彼は怪訝な顔で僕を見返す。
「どうした?」
「……嫌いになれたらよかったのに」
「恵」
「さっさとやれよ。そしたら嫌いになってやるから!」
やけっぱちで喚くと、彼はそんな僕の額にそっとキスをする。
「愛している」
「卑怯者……卑怯だ。最低だ!こんな時に言うなんて馬鹿野郎!大嫌いだ!」
「恵」
涙が再びせきを切ったように流れだした。涙の理由が悔しさだけではなかったのが、ものすごく腹立たしい。 (なんでこんな男に……!)

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