書籍情報

恋する瞬間【特別版】

恋する瞬間【特別版】

著者:妃川 螢

イラスト:蓮川 愛

発売年月日:2015年07月03日

定価:918円(本体850円+税)

「そんな目で見つめられたら、嫌だって言われても奪いたくなる」 譲りの綺麗な容貌が災いし、いつも身の危険に晒されてきた瑞記。そんな彼に、母親の再婚で新しい父と、6つ違いの弟ができた。だが、学生服姿で目の前に現れた義弟・将斗は、あの夜―得意先の担当者に怪しいクスリを使われ危うくヤられそうになった―瑞記がホテルで一夜を共にした相手だった! 焦る兄を横目に、過剰なスキンシップを仕掛けてくる将斗。弟の強引さに振り回されながらもなぜか嫌いになれなくて……。 学ラン(高校生)×スーツ(社会人)の愛はどうなる?

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登場人物

桜井 将斗(サクライ マサト)
がっしりとした体格と長身の大人びた風貌の高校3年生。中学1年生のときに通った塾の講師だった瑞記に一目ぼれをし、以来、ずっと恋焦がれている。
須藤 瑞記(スドウ ミヅキ)
24歳のサラリーマン。女性のような綺麗な容貌を持つ青年。優しげな外見とはうらはらに、人を怒鳴りつける気の強さを持っている。大学生の頃に塾の講師のアルバイトをしていた。

立ち読み

「泣くなよ。恐くないから」
受け入れかねる現実を目の当たりにして半ばパニックに陥った俺を宥めるように、男の手が頬をやさしく撫でて、眦(まなじり)にキスが落とされる。
「ふ…ぁ……っ」
そんな些細なことにも、俺の身体はビクビクと痙攣したように反応を返してしまった。
涙に滲んだ視界には、知らない男の顔。
たぶん年下の……でも精悼で男らしい顔が、俺を見つめている。
男の俺なんか拾わなくても、いくらでも相手がいるだろうに。
男としての資質に恵まれた相貌がフッと緩(ゆる)んで、青年の目がやさしく細められる。それは酷く魅惑的な表情だった。
「運命……かな?」
自分に言い聞かせるような、眩き。
「……え……?」
見下ろしていた影が落ちてきて、男が何を言いたいのかわからなくて問い返そうとした唇を、塞(ふさ)がれた。
「ふ……ん…んんっ」
情熱的な口づけ。
熱い舌が歯列を割って押し入ってくる。
「や……ん…ふぁ……っ」
巧(たく)みなキスに翻弄され、きつく舌を吸われて、とうとう俺の理性が陥落した。
目の前の快楽に、男の身体は抗(あらが)えないようにできている。
しかも今は、クスリのせいで身体中が性感帯になったような状態で……理性の壁がぐずぐずと崩れていくのを止めることは、どうしたって無理だった。
「さわ…て……」
自分じゃ、シーツを握(にぎ)り締めているのが精一杯。
ギリギリまで追い込まれた肉体は、浅ましい悲鳴を上げている。
たとえそれがクスリによって齎(もたら)された強制的なものであったとしても、目の前にある快楽に溺れてしまいたいと、牡の本能が訴える。
「も…いや…だ……っ」
楽になりたいっ!
この身体を明け渡して、理性の壁を打ち破って。
「朝まで、可愛がってやるよ」
口の端(はし)を上げて笑う男の顔が、欲情に煙った俺の目にも、この男にならすべてを差し出してもいいと思えてしまうほど、魅力的に映る。
着ていたものを脱ぎ落とし、きっちりと筋肉のついたしなやかな身体が覆(おお)いかぶさってきて、俺はそれだけで身体を震わせた。
「ぐっしょりだな……イきたくて、たまんないんだろ?」
「ん……あぁ……っ」
顔中にキスを降らせながら、男の手が俺の欲望を捕らえる。蜜の滑りを借りて、それを塗り込めるように的確な動きで扱(しご)かれて、俺はあっけなく達してしまった。
「は……あぁっ!」
ビクビクと背が撓り、内腿(うちもも)が痙攣する。膝に力が篭もって、爪先がシーツに皺を寄せる。 少し触れられただけなのに、それは今まで経験したことのないほどの快感で、それだけで俺の脳は正常な思考を止めてしまった。
「あ…ぁ……すご……」
「イくときの顔も、可愛いな」
そんな腐ったセリフとともに、再び唇が塞がれる。
ねっとりと絡みあうキスに興じながら、男の手が再び俺の欲望に伸びて、今度はゆるゆると扱きはじめた。 顎から首筋、鎖骨を辿っていた唇が、胸の突起を捕らえる。
すでに敏感になったそこを悪戯(いたずら)な舌先に突つかれて、俺は背を撓らせる。男の手に握られた自分自身がドクンと疼くのがわかって、羞恥に顔を背けた。
「ん……やだ…それ……」
胸を弄る男の頭を退(の)かせようと、力の入らない腕を上げる。けれど、男の髪をかき混ぜるだけの指先は、ねだっているとしか思えない。
片方を舌で嬲られ、もう片方は親指の腹で押し潰すように捏ねられる。下肢では、一度放って尚、浅ましく勃ちあがって蜜を滴らせる欲望が、それに反応するように震えて、さらなる喜悦を生み出していた。 きゅっと胸の突起を抓られると、ビクンと腰が揺れる。そのたび溢れる蜜が男芯を伝ってシーツまで濡らし、男の腹に擦られて、濡れた音を立てていた。
圧(の)し掛かっていた男の重みが退(ど)いて、力の抜けた足を開かされる。あっ!と思ったときにはもう、淫(みだ)らに晒(さら)された股間(こかん)に、男の顔が埋まっていた。
「あ……や、やめ……っ」
ピチャッと濡れた音がして、敏感になった先っぽを舐(な)められたのがわかった。
誘うように口を開いて、トロトロと蜜を零(こぼ)す鈴口を舐められ、その刺激だけで果ててしまいそうになる。滴る蜜を舐め取るように全体に舌を這わされ、次に口腔に含まれた。
ねっとりと絡みつく舌の熱さ。時折掠(かす)めるように立てられる歯の感触。そして、厭(いや)らしい音を立てて、男の唇に扱かれる感覚。
「あ…は…ぁ……んっ……やぁっ」
恐ろしいほどの快感に、俺はただ頭を振り、身悶(みもだ)えるしかない。
やがて、一際強く吸われて、俺は促されるまま、男の口腔に情欲のすべてを吐き出した。
「はっ……あぁっ!」
シーツから浮くほどに背が撓り、きつくきつくシーツを握り締めて、経験したこともないほど激しい絶頂に追い上げられる。
陸(おか)に上がった鯉のようにビクビク撥(は)ねる腰を、男は容易く押さえ込んで、余韻を引っ張るように丹念な愛撫を施してくれる。俺が吐き出した蜜を当たり前のように飲み干し、溢れた蜜に濡れた欲望を清めるように丹念に舐める。
そして顔を上げると、濡れた唇を舐め、ニヤリと笑った。
「まだ、全然足りてないみたいだな」
言われて、カッと頬に血が昇った。
事実、クスリに犯された俺の身体は、熱く滾ったまま。放ってもすぐに回復して、再び蜜を滴らせはじめてしまう。
「や……あ……っ」
果てのない欲望が恐くなって、俺は唇を震わせる。
もう、まっとうな思考など、カケラも残ってはいない。
ただただ、底なし沼のような欲情をどうにかしてほしくて……気づいたら、見下ろす男に手を伸ばしていた。

「たす…け……こわ…い……っ」
男としてのプライドも見栄(みえ)も、かまってなどいられなかった。
経験のない恐怖に、ただただ足が竦む。
情けないと思っても、身体が震えてしまう。
浅ましい声を、上げそうになってしまう。
恐くて恐くて、涙が零れた。
すると、男の腕が俺の背に回され、ぎゅっときつく抱き締められた。
「大丈夫だから……俺だけ見てればいい」
そして、チュッとあやすようなキスが落とされる。
「恐くないよ。気持ちいいことをするだけだから」
耳朶(じだ)に囁かれて、俺は広い背に縋る。たしかなものなんて、今はこの男の存在しかなくて、だから、ただがむしゃらにしがみついた。
自分の放ったもので濡れる下肢の狭間を、男の指が探る。
奥まった場所にある秘部を撫でられて、思わず瞳を上げていた。
「ここも……いい?」
聞かれても、応えられない。
クスリに犯され、欲情に痺(しび)れた脳では、なんと応えたらいいのかも、判断がつかない。
だから、ただ見つめ返した。
「そんな目で見つめられたら、嫌だって言われても奪いたくなるな」
困ったように微笑んで、男は濡れた指先を挿し込んでくる。
「あ……んっ」
クスリのせいか、苦しさも痛みもない。
そのかわり、拓かれた場所がざわめいて、明らかな快感を伝えてきた。
「や……うそ……っ」
自分の身体の反応に、驚きの声が零れる。
抵抗なく男の指を迎え入れたその場所は、しっとりと潤んで異物を包み込み、そして、きゅっと切なく締めつけた。
「やわらかくて、でも狭くて……凄いな……」
「ん……や…だ……」
ジワジワと押し拓(ひろ)げられ、指が増やされていく。濡れた内壁を擦り上げる指が何かを探すように蠢(うごめ)いて、そして次の瞬間、その場所を捕らえた。
――……え?
「あっ!や…ぁ……あぁっ!」
抑えようとしても抑えきれない声が溢れる。
ぐいっとその場所を押し上げられて、無意識に太腿で男の腰を締めつけていた。
「いや……あ…あ……あぁんっ」
後ろに男の指を咥え込んだまま、俺は再び吐精してしまう。そんな場所を弄られただけでこんなになってしまうなんて、信じられない。
けれど、男の行為はこれだけでは終わらなかった。
後ろから指を引き抜くと、膝裏を抱えてさらに大きく足を開き、そして、そのときになってようやく目にすることになった男の欲望を、その場所に突きつけた。
先ほどまで指で弄られていた場所に、熱くて硬(かた)いものが押し当てられる。
ぐっと強く押しつけられると、蕩けた肉襞が口を開いて、その先端がズプリと沈(しず)んだ。
「あ……は…ぁ……っ」
指など比べ物にならないくらい太くて熱いもので入り口あたりの敏感な壁を擦られて、それだけで俺の欲望が再び頭を擡(もた)げる。
それを確認して、男は一気に腰を進めた。
「あぁっ!」
男の欲望が根元まで突き刺さって、その衝撃に、俺はガリッと男の背に爪を立てる。
「や…ぁ……ふか…い……っ」
内臓全部を抉(えぐ)られるようなもの凄い圧迫感。
恐ろしく深い所まで犯されて、腹の奥で男の欲望が脈打っているのがわかる。
「あ…ぁ……ダメ……も……っ」
受け入れただけなのに、ゾクゾクと背を突き抜ける、たしかな快感。
男のものに後ろを侵(おか)されて、俺は感じている。
信じ難(がた)い事実が、より劣情(れつじょう)を煽る結果となって、俺は知らず腰を揺らしていた。
「こんな綺麗な顔して、ホントはとんでもない淫乱だったんだ?」
わずかな驚きを含んだ、でも揶揄(からか)う声。
「凄く、可愛い」
繋(つな)がったまま身体を倒され、その場所が切なく痔く。
「や…ぁっ」
蕩けた喘ぎを零す唇を塞がれて、吐息ごと貧られた。
はじめゆるやかだった抽挿が、やがて激しさを増していく。
混濁した意識下、それでも俺が状況を覚えていられたのは、ここまでだった。
このあとはもう、わけのわからないことを叫んで、淫らな声で唏いて喚いて、ただ男の突き上げに喘いでいたことしか覚えていない。
そして、次に意識を取り戻したとき、俺は、カーテンの隙間から差し込む朝日のなか、男の腕に抱かれていた。

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