書籍情報

サイバー・ラヴァ―ズ

サイバー・ラヴァ―ズ

著者:水月真兎

イラスト:羽田共見

発売年月日:2015年02月06日

定価:918円(本体850円+税)

僕に、セックスを教えて 人間の快楽に奉仕するための人工生命体――セクサロイド。 十六歳の瑞希は生命体工学者だった父の死により、完璧な美貌を持つ二体のセクサロイドを相続する。しかし一体が別の男のもとに出荷されてしまった。父の形見を回収したい瑞希は引き取り交渉に向かうが、男が望んだ条件は、瑞希がセクサロイドの代わりにSEXの相手をすること!! 経験のない瑞希は残る一体に快楽のレッスンを頼むが、彼(セクサロイド)のテクニックに、体ばかりか心までも翻弄されて……!? 初登場・水月真兎が艶めかしく彩る近未来エロティシズム。

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登場人物

ネフェル
アンドロイド。もう一人の試験体、男性型。髪はブロンド、瞳の色はグリーン。
久世瑞希(くぜ みづき)
16歳。天才生命体工学者の父をもち、5歳で大学に入るなど、生まれてからずっと英才教育を受ける。
ネイル
瑞希の父久世達興が瑞希のために造り出した素材や思考パターンが最も人間に近い男性型アンドロイド。艶やかな黒い長髪と精悍さを供えた端正な顔立ちに加え、均整のとれた長身。人が望みうる理想の美貌と能力を持っている。

立ち読み

「ん……ぅ──」
男の両脚の間に膝を着いて、昂りを咥えさせられた唇から、掠れた吐息がこぼれる。
ネイルに教えられた通りに、口の中に含んだ男に丁寧に舌を絡ませ唇を遣って刺激した。初めてこの寝室で舐めろと強制されたときとは全然違う。
どうすれば男に快感を感じさせられるか、僕はもう知っている。それに──
「どうした?男を咥えただけで、もう濡らしているのか?大した淫乱ぶりだな、瑞希──それほど、あのセクサロイドとのセックスは悦かったのか?」
からかう声に、できるなら耳を塞いでしまいたかった。
恥ずかしい行為にさえも、馴らされた体はどうしようもなく昂ってしまう。ネイルに抱かれるときは、それさえも歓びだった。
こんな男に、感じたくはない。でもロイズを楽しませるためには、あさましいこの体をすべて見せるしかない。
セックスの道具になりきること──それが、ロイズの望みだ。
行為に没頭することで、執拗な視線を忘れようとした。
なのに強引に、後ろ髪をつかんだ手が、僕の顔を股間から引き剥がす。
「わたしの質問には答えるんだ──」
体ばかりじゃない。この男は僕を心まで貶(おとし)めたいんだ。
潤んだ瞳で、まっすぐにロイズを見上げた。
おもてを上げた僕に、酷薄な唇から少し感嘆したようなため息が洩れた。
「ほう──いい顔を見せるな……あのセクサロイドと何度寝た?」
「わかりません──」
セクサロイドと同じように、主(あるじ)に仕える口調で答えた。
指で昂りを扱きながら、先端を淫らな音を立てて何度も啄む。
乱暴に髪をつかんでいた男の手は、満足そうに頭を撫でる動きに変わった。明らかに快楽を感じている陶然とした目つきが、僕を見守る。
「わからないほど何度もしたのか?」
「はい」
「毎晩?」
「朝も……昼間も、夜も──僕がネイルを欲しがりました……」
ありのままを答えた。
ネイルとの関係を、誰にも恥じることはない。
僕にとって、ネイルはたった一人の身も心も許しきった恋人だ。ネイルがセクサロイドでもアンドロイドでも、その想いは純粋な恋だから。
ネイルは、僕の初恋だ。
「セクサロイドのものを、こんなふうに舐めたのか?」
けれど、蔑んだ声音が僕を責める。
「はい……」
「淫売め──」
吐き捨てるようになじられた。
誰にどんなふうに言われようと、もうどんな言葉にも、僕は傷ついたりしない。
ピチャピチャと、咥えた肉塊を舐め上げた。
「男を、後ろに咥え込むのが好きなんだろう?」
欲情していることを隠さない目で、ロイズを見た。
ネイルは僕を、どんな最高級のセクサロイドよりも素晴らしいと言ってくれた。だからこの体で、必ずネフェルを取り戻す。
「ネイルに、抱かれるのは好きです」
本当に好きなのは、ネイルだけ──
僕が自ら望んで抱かれたいのは、ネイルだけだ。その気持ちまで、ロイズに売り渡すつもりはない。
誇りだけは、何があっても失わない──
振り上げられた平手打ちを、声ひとつ上げずに受けた。
暴力や体だけの快楽に屈したりしない。
「訊いたことにだけ答えればいい──」
怒りをあらわにしてギラついたまなざしが、僕を睨む。その目が、残虐な欲望の色彩をおびていく。
張りつめた楔が、嗜虐的に喉の奥を突き上げてくる。
吐き気を堪えて、男の暴行に耐えた。
「このまま、自分で解すんだ」
冷えた命令にも、素直に従った。
男への奉仕にすでに濡れそぼっている指で、やわらかな花芯をまさぐる。硬い楔をそこに受け入れても傷つかないように、慎重に内部を解いた。
「ぁ……はぁ……」
潤んだ喘ぎ声が洩れてしまう。
自分で触れている感触にさえ耐えきれないほど、この体は脆くなっている。
ネイル……ネイル──
心の中で、愛しい男の名前を呼んだ。
そうすると、少しだけ胸の痛みが慰められる気がする。
「ん……く、ふぅ──」
ネイルとのやさしいセックスを思い出すだけで、甘やかな吐息がこぼれる。
細く喘ぐたびに、口の中の男は質量を増した。
初めて触れたときよりもずっと充実したロイズの昂りに、ゾクリと背筋が慄く。
貫かれれば、きっと正気ではいられない。ネイルに抱かれるときと同じように、別の男の腕の中で悦がり狂ってしまうだろう。
怖…い──
でも、ここまで来てしまった以上、もう引き返すことはできない。
ネフェルを取り戻すためだ。この男が、僕の体に飽きるまでだ。
自分に言い聞かせて、震えそうな心と体に叱咤する。
心地よさそうに僕の髪を掻きまわしていたロイズが、また引き攣れるほどきつくつかんで、上気した顔を覗き込んでくる。
「ねだってみろ……」
促されて、男を咥えた唇をわななかせた。
違う。僕が欲しいのは、この残酷な目をした男じゃない──
澄んだ空のような水色の瞳。そして、熱くこの体を包み込む闇の色。ほかの誰も、欲しくない。ネイルだけ……
「挿れてください……お願い……」
蕩けそうな花芯を自ら掻き乱しながら、泣き濡れた声で男をねだってみせた。
傲慢に微笑んだロイズが、腕をつかむ。
片腕に引き摺り上げられて、艶やかなガウンを纏ったままのロイズのがっしりとした膝に抱き取られた。
ロイズに向けて大胆に両脚を開かされた恥ずかしい姿を間近に見下ろされて、羞恥にも淡く瞳が滲む。
ロイズはしばらく、恥じらう僕の表情を楽しんだ。
やがて細い腰を縛めるように、逞しい両腕をまわす。
「自分で挿れて、腰を振ってみせるんだ──」
こうして見つめられることも耐え難い。それなら、相手が誰かもわからなくなるほど悦がらされた方がマシかもしれない。
でも──
まだ、ネイルだけにしか抱かれたことはない。
この体にほかの男を受け入れることには、強い抵抗があった。
ずっと、ネイルだけのものでいたかった──
のろのろと、ロイズの広い肩にすがって腰を浮かせた。
猛々しい凶器の形をあらわにした昂りに、指を絡めて添えた。
熱を持って疼く花弁へと、静かに宛てがう。
いや、だ……嫌──っ!
悲鳴を上げる心を、無理やり押し殺した。
ゆるやかに腰を下ろしていく。
男の熱が、しどけなく綻んだ花弁を灼く。
「くっ……ぁ──」
「どうした?ちゃんと挿れてみろ──」
腰を支えて強引に引き寄せる男の腕に逆らえずに、開き始めた花芯が軋みを上げる。
(いやっ……いや──ぁっ!!)
拒絶を声にすることは、僕には許されない。
この体は、ロイズのもの──どんなふうに扱われ、どう犯されようと、僕は従うことしかできない。
ネイル……──
僕は、僕の心を裏切っている。愛するものを裏切ってしまう。
ロイズに犯されて、以前と同じようにネイルに抱かれることができるんだろうか?
悔しい。哀しい……
「ごめ……なさい──」
ネイルへの言葉は、いつの間にか声になっていた。

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